新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.100 解約についてと爆弾カードについて
投稿者 福男さん 新聞販売店経営 投稿日時 2005.5. 8 AM7:46
ゲンさんへ
時々疑問に思うことがあります。それは、読者が契約解除をする場合、ゲンさんがよく契約内容にあわせた解約金を、店に払うようにおっしゃってますが、それは当然と言えば当然なのでしょうが、そちらの契約書にはそういうことが書かれているのですか?
こちらも、解約にはよっぽどの事情が無い限り応じませんが、実際、法的には何も払わなくてもいいのではないですか。
他店への転居などは、契約は無効となりますよね。実際は契約分取ってもらいますが知恵のある人には、無理の場合があります。
けんかをしないで上手い方法は、別に一筆貰うしかないでしょうが、そちらの方の店は何かやってるんですか?
それと、もうひとつ、今更聞くのはなんですが、爆弾カードという内容を教えてください。こちらで言っているテンプラカード(嘘の契約カード)、手裏剣(店に代金をを渡す)それか、置き勧(契約者に代金相当のカクザイか現金を渡す)ようなものと思ってはいるのですが。
お恥ずかしい質問ですが、おひまな時に教えてください。
回答者 ゲン
『そちらの契約書にはそういうことが書かれているのですか?』と言うことやけど、書かれていると言えば言えるかも知れん。
大抵の購読契約書の裏面には『クーリング・オフのお知らせ』というのがあると思う。今は、これがないと訪問販売としての契約が出来んからな。
それには『特定商取引に関する法律でいう訪問販売での申し込み又は契約の場合、本書面を受領した日から起算して8日間は、○○新聞販売所への本契約の解除を書面で行うことが出来ます』とある。
その特記事項として『この場合、損害賠償または違約金の支払いを請求されることはありません』という注釈が必ずあるはずや。
これが、あんたの言う『契約書に書かれているのですか?』という質問の答えになる。これは、裏を返せば『クーリング・オフの期間を過ぎれば、損害賠償または違約金の支払いを請求しますよ』と言うてるのと同じやからや。
ある意味、姑息に過ぎるかも知れんが、あからさまに解約違約金を請求する項目は必要ないわけや。実際、それを請求する販売店は、その一文を楯にとっとるからな。
法律的な解釈は、このサイトの法律顧問をして頂いている今村英治先生から寄せて頂いたものがある。Q&A NO.96でも紹介したが、念のためもう一度しとく。
特定商取法には継続的役務提供契約の中途解約を認める条文がありまして、これによると例えば学習塾の契約などは、中途解約のペナルティの上限として2万円または1か月分のどちらか少ない方という取り決めがあります。
これを類推適用するのが、いまのところ正当な賠償額かなと個人的に思います。したがって迷惑料として2万円を超える額を請求するのはいくらなんでも高すぎるというゲンさんの回答はまことに的を得ていると私は思います
法律は一方的な解除の申し込みをした購読契約者には、新聞販売店が損害賠償や解約違約金の請求を認めとる。
この問題に関しては、大抵の弁護士さんや行政書士さんの回答は、話し合いによる解決しかないと言われると思う。
せやから、あんたの『法的には何も払わなくてもいいのではないですか』と言う論法は成り立たたんということになる。
もちろん、払うか払わんかは、そのケース毎で違うと思う。客がそのことに素直に納得すれば払うやろし、納得せんかったら払わんやろ。
その場合、新聞販売店は契約不履行による損害賠償請求の訴訟を起こすしかない。その主張が裁判所で認められれば、客は払わなしゃあない。
認められるかどうかも、そのケース毎、あるいは担当裁判官の裁量によっても違う。確かなことは訴えて判決が出んことに分からん。法律とはそういうもんや。裁判官以外の人間が裁定を下すことは出来ん。
まあ、新聞購読契約程度の場合、その訴訟にまで発展するケースはほとんどないがな。大抵は、話し合いで解決がつく。つかなんだら揉めるが、そのままということも珍しいことやない。
すべては、当事者次第や。せやから、ワシはこういう問題を相談された場合、強行論、穏便策の両方を常に提示しとる。そして、その判断もその相談者の選択に任せとる。
ただ、そういう契約者の多くが契約に対する怖さを知らんケースが多いから、そのことに対する注意はしとるがな。
あんたの店では、こういう違約金の請求をしたことはないようやけど、それも、販売店それぞれの方針、やり方というのがあるから、それはそれでええと思う。
ただ、ワシの知る関西、東海の店では、その解約違約金を請求する所が多いから、そのことを踏まえた回答をしとるわけや。
せやから『けんかをしないで上手い方法は、別に一筆貰うしかないでしょうが、そちらの方の店は何かやってるんですか?』ということも特別何もしてないと思う。
喧嘩をせんで解決するのは話し合いでお互い納得するしかない。あんたの言う、契約時に客から一筆貰うというのも、現実的には難しいやろ。そんなものをわざわざ念押ししたら嫌がる客は多いのと違うかな。
契約書の書式からして、表面に『購読契約書』とはっきり書かれたものもあれば『購読申込書』と湾曲な体裁にしとるものもあるからな。
営業する立場で言わせて貰えれば、客に用心というか不信感を抱かせるような内容のものは避けたいというのが正直な気持ちやからな。必要なことは言わんとあかんがな。
次の『爆弾カードという内容を教えてください』ということやけど、正直、これは関東方面だけの表現やろと思う。ワシも最近になってこのサイトへの投稿で知ったくらいやからな。
せやから、このことについて一番最初に教えてくれた関東の販売店にメールで聞いてみた。その内容や。
『私の知る限り「爆カード」の爆は「爆弾」、「自爆」の2種類です。
「爆弾」は、その爆カードが約切れで止まった後に、セールスさんがおいしい「もろ止め」と思い「爆発」してしまうからです。
「自爆」は、そんなことを繰り返していると、稼げなくなることからです。
爆カードの種類は2種類あり、「現金爆」と「B券爆」です。
「現金爆」は、「新聞代は、3925円。3ヶ月で11775円。俺が今12000円置いて行くから契約してよ」です。「B券爆」は、「B券24枚でチャラでしょ・・・」です』
ということのようや。置勧と言うには、それはあまりにも行き過ぎとるように思う。ワシらにはちょっと理解し難いことやな。
第一、儲からんやろ。営業というのは仕事やし、商売や。儲からなその仕事にも商売にもならんと思うがな。
関西や東海ではこういうことをする者は少ない。しかも、客のいかんを問わず手当たり次第ということのようやから、そういうのは聞いたこともない。
ワシらでも、全くそういうことがないのかというと、どうしてもあと1枚という時には、そういうことを頼む場合もあるが、それでも、相手は選ぶ。大抵は心やすい客にちゃんと事情を言うてそうする。
よほどの人間以外には頼まん。それよりも、そうなるケース自体の方が希や。それこそあっても年に1度あるかないかや。
しかし、こういうのは、地域毎でいろいろあるもんやと思うけど、あんたの言う『手裏剣』というのも変わった言い方やで。
このことを、この相談者に聞くと、すぐ返事か返って来た。
聞かれました手裏剣のことですが、実は、1年程前に聞いたことが初めです。その日入ったベテランのセールスさんが、今日はシュリケン、シュ シュというのです。
何ですかと聞くと、現金でカードを買うというのです。自分も長く業界に居るのに、初めて聞くのもおかしいとは思っていました。
今回、ちょっと調べてみました。
ある人が作ったようです。その人は若手を数人預かっていたのですが、特拡など奨励をつけた作戦時にノルマがいかない場合、現金を置いてくるように指導? していたときに作った言葉のようです。
聞くところによると、出勤時に、キャッシュカードのあるところで、車を止めるそうです。そこで現金を引き出して、営業員にその現金を配る時の手早さをそう表現したようです。
キャッシュとシュリケンのゴロが似てると言うのかな。その言葉を考案した人は、ユーモアのある人やなと思う。せやけど、その内容は『爆カード』と同じやろから、洒落にするにはきついな。
どんな業界にもそれなりの業界用語というもんがあるのが普通やけど、それにしても、この新聞業界の業界用語は何も知らん人間からすると物騒な言い方が多いと思うのと違うかな。
営業は『叩き』『鉄砲を撃つ』。契約は『縛り』『先縛り』。再契約の『起こし』というのも穏やかな言い方とは言えん。『喝勧』『引っかけ』なんかはそのままで十分意味が分かりそうやけど、受ける印象は悪い。
それに『爆弾カード』や。加えて『手裏剣』とくれば、その内『忍者カード』ちゅうのも出て来るのんと違うかな。
そうは言うても、その業界用語というのは、その業界で根付いとるもんやから、今更変えるわけにもいかんやろけどな。