新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1007  Y新聞なべ〇ね氏発言による解約について


投稿者 Gさん Y新聞販売店勤務 投稿日時 2011.4. 9 AM 9:43 


ゲンさん、ハカセさんいつも勉強させて頂いております。

私はY新聞販売店で勤務する従業員のGです。

違約金についての質問です。

よろしくお願いします。プロ野球開幕時期をめぐり、なべ〇ね氏の発言、態度が気にくわないのでもらった物はお金で返すから解約したいと電話がありました。

契約の内容は23年1月から2年で毎年3ヶ月無料、洗剤1ケース、ビール1ケース、契約日は21年10月17日です。

商品に関して言えば22年になってから届けて欲しいとの事でしたが、21年の年末に 「いつになったらもって来るの。ええ加減な店やね。」と苦情をいわれ、その日に謝罪と商品をお届けにいきました。

配達開始前にあいさつしたところ、他紙の契約が半年あるので延期してほしいとの事だったので延期に応じました。

しかし、今月に入ってこの様な解約の電話がありました。店としても当然応じる事ができません。契約内容の見直しや期間の短縮などを言いましたが全く購読する意志がないとの事でしたので違約金18000円頂きますと申したところ、なぜ、そんな高いの? と言われました。

私共は拡張員さんに14000円払っていますし、商品も渡している分がありますから、これぐらいはしかるべきだと思われますがゲンさんはどう思われますか?

また、このお客様は なべ〇ね氏=本社=販売店だと思われており、「なべ〇ね氏の発言は不謹慎でありそんなもとで働く販売店は信用できない、だからこれは正当な解約理由にあたる」と言い切ります。

「販売店にとって、新聞本社は得意先と仕入先の関係であって、仕入れ先が気にくわないからというだけで解約理由にはなりません」と言いましたが、違約金を拒否します。

もしお客様がこの様な事で違約金を拒否し続けた時にはどうしたらいいんでしょうか?


回答者 ゲン


『このお客様は なべ〇ね氏=本社=販売店だと思われており』というように、新聞社と新聞販売店が一体、同じ企業体、組織やと考えておられる方は多い。

このQ&Aにも、そう誤解されておられると思われる一般読者からの相談も多いさかいな。

その都度、ワシは「新聞社と新聞販売店はメーカーと小売店の関係であって、それぞれが、まったく違う企業体、会社や」と説明しとるのやが、それでもまだ世間の認識を変えるまでには至ってないようや。

その理由として、電気販売店などのように、新聞と同じようなメーカー専属の販売店のケースが考えられる。

電気販売店の場合は、まずその小売店の名前が看板に大きく表示されとるさかい、たいていの人はメーカーとは独立した販売店やと考えるのに対して、新聞販売店では、その新聞社名を掲げた看板が前面に出とるということがある。

目に入るのは、その新聞社名だけやさかい、同然、新聞販売店を経営しとるのは新聞社やと誤解して、そう思い込む人が現れるのは、ある意味、無理のないことやと思う。そう誤解されやすくなっとるということや。

そういった固定観念、思い込みの強い人と揉めた場合、いくら新聞販売店の人間が、「そうではないですよ」と説明してもなかなか納得してくれんということになる。

その誤解が、さらなる誤解を呼ぶ。

今回の震災の影響で著しく電力事情が逼迫して、計画停電まで余儀なくされとる状況が続いていた中、プロ野球のパ・リーグでは、早々と開幕の日程を延期すると発表した。

それに合わせて選手会、政府までもが試合日程の延期をプロ野球のセ・リーグにも求めた。

それを無視するかのように、Y新聞グループ本社の会長でプロ野球界に大きな影響力を持つ『なべ〇ね氏』が『セ・リーグの開幕を予定どおり開催しろ』と言い、『変える必要が無い。地震なんか知らん』という暴言を吐いたということが大きく報じられたために、多くの人から、ひんしゅくと怒りを買ってしまった。

それがあった故に、その客も『なべ〇ね氏の発言、態度が気にくわない』ということになったのやろうと思う。

あんたの言われるとおり、『販売店にとって、新聞本社は得意先と仕入先の関係であって、仕入れ先が気にくわないからというだけで解約理由にはなりません』というのは正しいんやが、そういう固定観念、思い込みの強い人に、いくら正論を言うても納得させるのは難しいやろうと考える。

しかも、『契約内容の見直しや期間の短縮などを言いましたが全く購読する意志がないとの事でしたので違約金18000円頂きます』と言うたというのでは、火に油を注ぐだけにしかならん。

この『違約金18000円頂きます』というのは、2年契約の自己事由による解約違約金の額としては、業界では一般的で、それほど高額なものやないとワシも思う。『商品も渡している分がありますから』ということでサービス品込みの額ならよけいや。

ただ、その理由に『私共は拡張員さんに14000円払っています』ということを挙げるのは頂けんがな。それは販売店側だけの都合、理由で契約者には何の関係もないことや。

あんたは、その拡張員に払った分の営業費を解約するのなら負担しろとその客に言うてるわけやさかいな。業界内でならそれで通るやろうが、外部の人間にそれを理解させるのは無理や。法的にも通る話やない。

解約違約金というのは、その契約を解除されることで、本来得られるはずやった利益分の損失を請求するという決まりがあるから、あくまでもその損害という形にせなあかん。

せやから、こういう場合は、単に『違約金18000円頂きます』だけでええわけや。いらん補足は「蛇足」にしかならんさかい、止めといた方がええ。

あんたの気持ちの中には、『配達開始前にあいさつしたところ、他紙の契約が半年あるので延期してほしいとの事だったので延期に応じました』ということで、譲歩したのにという思いもあるのやろうと考える。

普通、契約の延期をしておいて「解約」するというのは、おかしな話で筋の通らんことやさかいな。

しかし、あんたにとっては正しい、筋の通ったことでも、それが納得できん人も世の中にはいとるということを知っておいた方がええ。正しいからと言うて、すべてがそのとおりになるとは限らんさかいな。

そして、こういう客商売をするのなら、そういう半ば分からず屋とも言える客でも上手くなだめて対処する必要があると認識しとくことや。

客と揉めても得られるものは少ないと考えて。

今のままでは解決までには、かなりの困難が予想される。あんたも、そう考えられたからこそ、ここに相談したのやろうがな。

こういった揉め事を解決するためには、どういう状態になるのが一番ええのかを考えることや。

この場合やったら、その客が解約を撤回して、その契約どおり新聞を購読して貰うことやわな。

そうであるなら、「苦情には反撃する」、「解約すると言うのなら違約金を払え」という姿勢では、その客の翻意を促すのは難しいと予測せなあかん。

そこまでの状態になるまでに、あんたが取れる行動は他にもあったはずや。

一番ええのが、苦情をそのまま受け止め、客と同調して矛先を躱すことやった。

「プロ野球開幕時期をめぐり、なべ〇ね氏の発言、態度が気にくわない」と言われた場合、ワシやったら、

「本当に困ったもんですわ。あんなことを言われたら、誰でも怒りますよ。私も、お客さんと同じように腹が立っています。分かりました、お客さんの気持ちは私が責任を持って本社に伝えますので、今日のところは、ご立腹でしょうけど、私に免じて少しお待ち頂けませんか」と返す。

こう言えば、少なくとも『そんなもとで働く販売店は信用できない』という言葉は聞かずに済むはずや。

こういう苦情を言い出す人間は、そのときの状態、勢いだけで言うてしまうケースが多い。

そのときにいくら反論しても無駄や。何を言うても聞き入れて貰えることが少ない。

それよりも相手に同調すれば、「そうやろ、あんたもそう思うか……」と、客の態度も軟化しやすくなる。

その客が軟化したの見計らって、「実は、販売店にとって、新聞本社は得意先と仕入先の関係でして……」と説明すれば、「へぇー、そうなんや」と分かって貰える可能性が高くなるということや。

当然、後の展開も変わってくる。

幸い、『23年1月から』の契約を『他紙の契約が半年あるので延期』したということやから、その契約が実行されるのは、今年の7月からということになる。まだいくらか余裕があるわけや。

その間に情勢が変わることもある。

例えば、現在、Y新聞傘下の球団が、その電力不足を補うために、自家発電設備のレンタル契約をして、それでドーム球場の電力の大半を補おうと計画しとるという。

それはすぐにでも実施されるやろうから、そうなれば電力不足故、ひんしゅくを買ったという暴言の影響も影を潜めるのやないかと思う。

「やはり、ちゃんと考えるところは考えとるのやな」と、世間の評価もそれなりに上がっってくれば、その客の考えも変わる可能性が高くなる。

この時間を稼ぐという方法は、結構、効果がある。いくらそのときに怒っていても時が経つにつれ、人の怒りというのは収まっていくものやさかいな。

怒っている当初は、なるべく、はぐらかした対応に終始し、しばらく冷却期間を置いてから説得を試みるようにすることや。

揉めとる最中にその客に何を言うてもあかんやろうと思う。

その契約の実行が7月ということなら、ここ1、2ヶ月は何も言わず静観しとくのが、今のところ得策やないかな。

冷却期間を置けば、少なくとも現在ほどの怒りは収まっとるはずやから、そのとき交渉すれば、また違った結果になる可能性が高いと思う。

こういうケースやと、消費者センターに相談するということも考えられる。むしろ、その方が、あんた、および販売店にとっては有利に事が運ぶものと考えられる。

消費者センターで、今回の件について相談すれば、その『なべ〇ね氏の発言、態度が気にくわない』ということが、正当な解約理由にはならんというくらいは、その客に教えるはずやさかいな。

あるいは、その客がその消費者センターに相談した際、その消費者センターの担当者から、あんたの勤めとる販売店に問い合わせがある可能性が高い。

そのときに、あんたの正論をぶつければええ。その思い込みの強い客と違い、消費者センターの人間は法律を主体とした判断を下すように教育されとるさかい、正論ならほぼ確実に通る。

但し、何度も言うが『私共は拡張員さんに14000円払っています』というようなことは絶対に言うたらあかんで。それを言うたがために、「契約者にその営業費を要求するのは筋違いでしょう」と、その消費者センターの担当者に一蹴されたというケースもあるというしな。

あくまでも『今回の場合は、私どもに何の落ち度もないことで、明らかにお客様の自己理由による解約希望ですので、こちらとしましては、その解約違約金額を請求させて頂いただけのことです』と言うに止めとくことや。

その客が消費者センターに行かず、性急な答えを要求してきた場合、「消費者センターにでも、相談されたらどうでしょうか。そうすれば、私どもの言っていることも分かって頂けると思いますので」と言うのも手やと思う。

あんたの言うことは聞けずとも、第三者である消費者センターの言葉には耳を貸すやろうしな。

あるいは、責任ある立場の上司、店長クラスの人間が、再度出向くという方法もある。人が違えば、また相手の態度にも変化があるものやしな。

また、従業員のあんたにはできん判断、融通もその店長クラスの人間になら簡単にできるやろうから、あんたのように「これが当店の決まり事ですので」ということもなくなる。

どのみち、最悪な状態になれば、その上司に報告せなあかんわけやさかい、その前に、その客との交渉を頼むという方法もあるということや。

もしくは、その客の交渉については、あんたにその全権を任せて貰うよう話をするかやな。それでないと、どんな交渉も難しい。

その場合は、「私どもの店で話し合った結果……」と切り出して、その方針なり結論なりを伝えたらええ。

その結論が、新聞販売店として、あんたの言うとおりのことしかできんというのなら、最悪の事態に突入するしかないがな。

その客が、あんたの要求を拒否して交渉が決裂した場合は、法的にはその契約は生きとるわけやから、7月からの配達を続けるしかない。

当然、その分の支払いの請求も発生する。その際、その支払いをその客が拒否した場合、どうするかは、あんたの店の判断になる。

支払いを拒否しても配達を続けて、その代金を請求し続けるか、あきらめて途中で打ち切り、それまでの金額を請求するかになる。

最終的に、その客がその支払いに応じれば問題ないが、応じない場合は、最悪、損害賠償訴訟を起こすしかない。まあ、金額が知れてるから、それをしたとしても少額訴訟ということになるやろうがな。

そういう事態になったらなったで別途、その方法について説明するさかい、そのときにまた相談してくれたらええ。

それよりも、まずは、その客の心を和らげ、説得することを第一に考えてほしい。

そうすることで、今後、それなりにトラブルに対する交渉力もついていくはずやから、あんたにとっても無駄にはならんやろうと思うしな。


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