新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1009 立て替えた新聞代を払ってくれません


投稿者 Kさん Y新聞販売店勤務  投稿日時 2011.4.13 PM 10:06 


Y新聞の販売店に勤務しています。

去年の暮れに新聞代を2カ月分立て替えましたが、嘘ばかりつかれて、いまだに取れません!

良い方法があれば教えてください。


回答者 ゲン


どうにも厄介な客のようやな。その客は、一体どんな人間なのやろうか。普通の会社員か、一人暮らしの高齢者か、独身の若者か、男性なのか女性なのか、それらによって対応がかなり違うてくる。

いずれにしても『嘘ばかりつかれて』と言うことからすると、タチの悪い客には違いなさそうやな。

『去年の暮れに新聞代を2カ月分立て替えました』ということやが、そもそも何であんたが、その客の未払い分の新聞代を立て替えなあかんのやろうか。

新聞代を払わんというのは、その客が悪いのであって、あんたのせいやないと思うがな。

責任のないことで、あんたが店のために、その新聞代金を立て替える必要はないはずや。

もし、そうするよう店に強要されとるのやったら、それは「切り取り行為」ということなり違法性の高いものや。

昔はそういうのも多かったということやが、今は少ない。少ないが皆無というわけやなく、それで泣かされとる販売店の従業員は多い。その手の相談が、時折このQ&Aに寄せられるさかいな。

「切り取り行為」というのは、新聞講読料の集金期日までに回収ができんかった場合、その集金を担当した従業員の給料から一時立て替えをさせるシステムのことをいう。

集金時に使う「証券」と呼ばれる領収書は二枚綴りになっていて、一枚が店に提出する控え、もう一枚が客に渡す領収証になる。それを切り離すことで「切り取り」と呼ばれている。ご存知とは思うが。

集金さえ順調にできれば何の問題もない。店に集金した金とその「証券」の控えを渡せばええだけやさかいな。

ところが、販売店によれば、集金期日というのを厳格に決めていて、その日までに集金人が集金できんかった場合、集金できたときに渡す控えの「証券」だけを回収し、その代金の納入不足分を給料から差し引くというシステムを取り入れとるという。

強制的な一時立て替えということになる。

客の都合で「今日は持ち合わせがないから、少し待ってくれ」とか、その客となかなか会えずに集金できんというケースが、この業界には結構ある。

ある意味、仕方のないことなんやが、例えそうであっても、その責任を集金人に押しつけとるわけや。そうすることで、その新聞代の集金が確実にできるさかいな。

そして、その立て替え分がほしかったら、自分で集金しろと言う。

販売店側の狙いは、回収不能金をなくしたいということだけや。そのためには従業員を泣かしても構わんという理屈になる。えぐいとしか言いようのない行為や。

はっきり言うて、こんなことをしとる業界は日本広しと言えども、この新聞販売店業界くらいしかないと思う。

当然、違法性の高い行為ということになる。

労働基準法第24条第1項に定められた「賃金全額払いの原則」に違反するさかいな。

その証拠を持って労働基準局あたりに、お恐れながらと訴え出れば、その販売店は相当まずい立場になると考えられる。

これに対しての新聞販売店の言い分としては、「集金の使い込みやサボリを防止するため」というのが多いようやが、労働基準局にそれは通用しない。

もっとも、その立て替えをしたのが、あんたの個人的な考え、意志によるものやとしたら、また別やがな。

いずれにしても、その新聞代金の立て替えなどはするべきやなかったと思う。

ところで、その客は、今もその新聞を購読していて、最近の分の支払いはしとるのやろうか。

もし、そうなら、あんたの分を先に貰い、店には最新の分が未納やということにしとけばええのと違うやろうか。

そうして、なるべくなら立て替え分をなくすようにすることや。

そうではなくて、その客が、すでに購読期間を終えているという状態で、あんたが立て替えた分だけの購読代金が残っていて、その回収に困っているという場合は、少し厄介やな。

『嘘ばかりつかれて』ということは、その客は、その代金の支払いには、例え口先だけであっても一応「払う」とは言うてるわけやな。

しかし、その意志があるのか、ないのか、結果として払ってない。

こういう金払いの悪い客というのは、どこの販売店にも必ず何人かはいとるもんや。そして、かなりの高確率で、そういう人間からは回収しにくいと相場が決まっとる。未回収の大半が、その手の人間やさかいな。

この手の人間を相手にする場合は、根比べのつもりで、その近くに行く度に、しつこく集金に行くことやな。

ただ、そのときに注意せなあかんのは、あまり強気になって脅すような口調には絶対にならんことや。あくまでも「2ヶ月分の新聞代を支払ってください」と丁寧な言葉づかいに終始するよう気をつけることや。

せやないと、タチの悪い奴は、その揚げ足を取って、思わん反撃をしてくることがある。「あの新聞販売店のヤクザみたいな人間に脅かされた、脅迫された」と言うてな。

そうなったら、とんでもない方向に話を持って行かれるおそれが生じるさかいな。

それでもラチがあかん場合は、あまり奨められた方法やないが、そういう人間から回収する方法として、その人間が勤め人やった場合、その勤め先に電話、もしくは直接、押しかけるという販売店もあるということや。

相手次第では、それなりに効果があるとのことや。

ただ、その場合は、「新聞代の集金です」てなことは第三者に聞こえるようには言わん方がええ。ただ「○○さんは、おられますか」と言うだけに止めておくことや。

電話の場合なら、電話口で、その相手が、あんたやと確認する。あるいは、訪問したときなら、あんたの姿を見せるというだけで、効果があると思う。

つまり、その客にとって、あんたは厄介な人間やなと思わせることが、狙いのすべてなわけや。

その客が、もともとそういうタチの悪い人間ということもあるかも知れんが、あんたを舐めて、そうしとるという風にも考えられるさかいな。

ただ、本当に払うつもりがあって金がないから払えんという場合は、それでも難しいかも知れん。そうなら、一度に払って貰うということを考えるより、例え千円でもええから、少しずつ回収することやな。

結果的には、その方がええと思う。

最後に一言。

新聞代を立て替えるという行為は、金を貸すということにもなるさかい、それが回収できんで困るのなら、何度も言うが、最初からそういうことはせん方がええよ。

もっとも、あんたが、そうした背景には、他にもいろいろ事情があるのかも知れんがな。それがあるとして、それ次第では、また違った方法が考えられるとは思う。

ワシのできるアドバイスとしては、ここまでやが、どうされるかは、あんたが考えて決めるしかない。


ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート 
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
 

書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム