新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1018 浜岡原発の発電停止のみを評価するのは如何なものでしょうか
投稿者 H.Sさん 新聞販売店専業員 東京在住 投稿日時 2011.5.14 PM 4:36
お久しぶりです。H.Sです。
今回の貴サイトのメルマガで、総理大臣の浜岡原発全停止を評価するゲンさんの発言がありましたが、核燃料が原形を留めないメルトダウンを起こした福島原発の事例を考慮すれば、浜岡原発の発電停止のみを評価するのは如何なものでしょうか。
緊急原子炉停止は、電源が喪失しても、高圧の窒素ガスと水圧により、核分裂の連鎖反応は止められるし、福島原発でも実際支障なく行われました。
問題はその後の非常用炉心冷却装置が、全電源喪失により作動が途絶えたことが、今回の福島原発の事故の発端となりました。
ならば現在原発が発電しているいないに関わらず、放射能汚染事故を防ぐとの観点から論じれば、全電源喪失の危険がより少ない場所に、速やかに放射性物質の移送が行わなければならないのではないでしょうか。
放射性物質をそのまま海沿いの原発施設に置いたままの原発発電停止は、あまりにも今回の震災からの教訓を活かしていない、短絡的施策だと私は思いますが、如何でしょうか。
回答者 ゲン
本当に久しぶりやね。最後にメールを貰ってから、もう2年近くになるかな。
いつも、ワシらのサイトやメルマガを見て頂いて本当に感謝している。そして、こういった意見をして頂けるのも有り難いことやと思う。
あんたの『浜岡原発の発電停止のみを評価するのは如何なものでしょうか』という質問は、今回のメルマガ『第153回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■日本復興への提言 その2 原子力発電廃止の流れを止めるな』の中でワシが、
『過去、このメルマガ誌上では、現首相への批判めいた記事が多かったが、今回の要請については素直に、正しい英断やったと認めたい』
と言うたことに対してのものやと思うが、今まで日本政府が原発推進一辺倒の姿勢やったことを考えれば大きな変化やし、原発廃止の方向に向かう貴重な第一歩になるという意味で評価すると言うたわけや。
まずは最初の一歩がなければ何事も前には進まんさかいな。
もちろん、首相には「原発を全面廃止」するという考えがないというのは、あらゆる場面で広言しとるさかい、実際そうなのやとは思う。いずれ、「安全対策が施された」として原発を再開させる意向があるというのも、そのとおりなのやろう。
それからすれば、浜岡原発1箇所の発電を停止したくらいで評価するのはどうかという、あんたの言い分は理解できるし、正しい見方やとは思う。
しかし、その首相の思惑とは別に、そう決断したことによる影響は現在、如実に表れとる。
2011年5月14日現在、「一般社団法人日本原子力技術協会」 の発表によれば、原発54基中、定期点検中での停止が34基、運転中が20基ということになっている。
もっとも、この中には福島第一原発、および第二原発の合計10基も「定期点検中」になっているというふざけた発表も含まれとるがな。
それらの「定期点検中」の再稼働が、現在、この首相の停止要請で難しくなったということがある。
実際、すぐにでも再稼働を表明しとる原発は、今のところまだ1基もない。まあ、予定としては、すべてを再稼働させたいのやろうが、このままの情勢では、今すぐそうするのは難しいと考える。
それくらい、首相による今回の浜岡原発停止要請の影響が大きかったということや。
原発についての詳しい仕組みは説明できんが、いくら素人でも、原発の稼働中より完全停止した状態の後で地震や津波に見舞われた場合の方が、被害が少なくて済むというくらいのことは分かる。
今回の福島第一原発のお粗末な対応も、その稼働中に突然の地震と津波に襲われ、あらゆる装置が壊れ、パニックになった結果やと考えるさかいな。
人はパニックに陥ると判断を狂わす、ミスを冒すというのは、幾多の事故の現場で証明されとることや。
その点、今回の浜松原発は、その震災を予見しての停止なわけやから、少なくとも突然のバニックになって操作や手順を誤るケースは少ないはずや。
『問題はその後の非常用炉心冷却装置が、全電源喪失により作動が途絶えたこと』というのなら、福島第一原発事故の教訓を活かし、よけいその対処、準備も同時進行で万全を期さなあかんわな。
『ならば現在原発が発電しているいないに関わらず、放射能汚染事故を防ぐとの観点から論じれば、全電源喪失の危険がより少ない場所に、速やかに放射性物質の移送が行わなければならないのではないでしょうか』
と言われておられることについては、そうすることがベターやという意見にはワシも賛成するが、残念ながら、そうすることは現実的やないと考える。
移送というのは、他地域の原発施設へということやと思うが、この日本に震災の危険のない地域などあり得んさかい、どこへ移送しようが絶対安全ということは考えられん。
同じような危険は原発のすべてが海沿い、海岸近くにある現状を考えれば、どこであっても同じような事故は避け難いと言うしかない。
東日本大震災にしたところで、その地震の予測確率は日本中でも最低クラスに属していて0.1%程度と見積もられていたわけや。それでも、現実に大震災は起きた。
『全電源喪失の危険がより少ない場所』というのが、東海地震の起きる確率、今後30年以内で87%以下の場所というのなら、そういう所もあるやろうが、そこに移送したところで、その方が安全やという絶対の保障はないさかいな。
それに、現在の状況で、それらの原子力発電所に放射性物質を移送するとしても、移送される原発を有する自治体も、そう簡単にはその受け入れを認めんやろうし、そこの住民からも相当過激な反対運動が起きることも予想される。
それを計画した段階で頓挫するのは目に見えとると思うがな。
現時点では、その浜松原発の敷地内の安全性の高そうな場所に、その放射性物質の格納施設を早急に作るか、防水設備を構築する、あるいは予備電源設備を浜岡原発の近くに設置するくらいしか手はないやろうと思う。
それらの準備、対策ができるまで東海地震が発生せんことを願うしかない。
何とも心許ない話やが、例えそうであったとしても、何もせんより、した方がええと思う。
その意味で首相の『浜岡原発停止要請』を評価すると言うたわけや。そして、中部電力がそれに応じたという事実も大きいと。
止めたのが浜岡原発のみやとしても、それから得られる効果は大きなものやったと確信しとる。
『放射性物質をそのまま海沿いの原発施設に置いたままの原発発電停止は、あまりにも今回の震災からの教訓を活かしていない、短絡的施策だと私は思います』ということやが、具体的にどこに移送されたらええのかという案が、あんたにおありなのやろうか。
あれば聞かせて頂きたい。
素晴らしいと思える案なら、このQ&Aか、メルマガ『第153回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■日本復興への提言 その2 原子力発電廃止の流れを止めるな』に追記としてバックナンバー掲載時に載せて広く知らせたいので。
今後も、折りを見て、メルマガの『日本復興への提言』シリーズは続けていくつもりや。
それにはこの原発問題は避けて通れんから、ワシらも何かええ方法を思いついたら、その都度話したいと考えとる。
追記 移送地域の具体的地名について
投稿者 H.Sさん 新聞販売店専業員 東京在住 投稿日時 2011.5.17 PM
8:18
こんばんは。
前回の私の移送先や対策が、あまりにも抽象的だったのではないかと思い、改めて具体的地名を明記したいと思います。
それは女川原発施設であります。
今回の東日本大震災の津波にも耐えた実績は、大変評価に値すると思います。
想定外のことが起こった今回の震災でも耐えた、女川原発の施設敷地内に核燃料保管施設の拡充をすることは、可及的速やかに行うことにより、今回の全電源喪失によるメルトダウンから、更にはメルトコアスルーのリスクを低減する、最善の策だと思います。
原発から燃料棒を抜かずに、原発リスクの矛先をそらすような対応より、余程マシなのではないでしょうか。
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