新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1019 販売店・拡張員の言動に抗議したいのですが、どこにするのがいいのでしょうか


投稿者 Tさん 神奈川県在住  投稿日時 2011.5.16 PM 5:57 


ゲン様 ハカセ様

突然メールで失礼致します。神奈川に住んでいるTです(匿名でもよいのでしょうか?)。ネットで検索してこちらのサイトを見つけ、興味深く拝見させて頂きました。

現在、購読契約に関する新聞販売店・拡張員の対応に業を煮やしており、今後どうするのが最も適切か、ご相談させて頂きたくメール致しました。

長くなりますがご一読頂き、対応についてご指南頂ければ幸いです。

私はマンションに居住しており、これまで数年間同じA新聞を継続して購読しています。

購読契約について、当家では私のみが対応しており(家族は不可、相手にも伝えてあります)、販売店側も担当者を固定し、不特定多数の営業が訪問しないようにすることを強く希望し、これまで担当者(以後Bとします)はこちらの希望に沿って対応してくれていました。(もちろん契約更新のみの話で、集金や古紙回収時は別です)

今年の2月まで契約があり、当然切れるまでにBが更新に来るものと思っていたところ、拡張員と思しき人(Cとします)が来訪、その際「Bは辞めたため、自分が代わりに来た」と告げました。

そこでCに対しBとの契約時の経緯と現状(他の営業に非常識な言動があったため以後窓口をBに固定しており、他の営業が無闇に来ないようにしてくれている)を説明、その上で「担当者が変わるのはやむを得ないが、これまで同様きちんと対応してくれるなら継続する」と話すと、Cはこれまでの不手際を謝罪し、とりあえずこちらの希望を持ち帰ることになりました(契約更新はしていません)。

※ちなみにこの時、Cより「3月分は無料でサービスする」との申し出があり、こちらも継続するつもりでいたので特に異は唱えませんでした。

この後契約更新の話は私まで来ることがないままでした。

※私の不在時にCを含む営業が当家に来たことはあるようですが、私のいる日や時間帯を伝えてもその時は来ず連絡もなし。一方で契約を更新していないのに配達は継続され、集金には来ません。

そんな中4月末、同じマンションの別の階に住む母親から、A新聞の別の営業(Dとします)が「現在当家と契約が結べておらず、集金もできていない」さらに「当家と親世帯の契約が特殊で(割引等)、非常に手を焼いている」と話したと聞かされました。

契約に関することを許可なく当事者以外に漏らしただけでなく、内容に虚偽もあって抗議を考えていたところ、5月になってCが来訪しました(しばらく来なかったことの説明は曖昧)。

Dの件で抗議すると、CはDの行為は非常に問題ありとして明確に謝罪、こちらが「誰に抗議したらよいか」と尋ねたところ、「この地域の担当」と販売店員Eの名前を挙げました。

Cが「(その日のうちに)必ずEに報告する」と言ったので、こちらは「抗議すべき相手に直接話すことがこちらの希望であり、(当日の)夜でもよいので連絡がほしい」としたところ、Cは「必ず伝える」と約束して帰りました。

連絡を待ちましたが当日以降一度もなく、そのまま2週間が経過しました。

ある日私の不在時にEが来訪、家族が私の戻る時間(夜の7時半)を伝えると「ではその時間に伺う」と言いながらその時間には来ず(連絡もなし。来た時に確認すると「時間は聞いたがその時間に行くとは言っていない」とする。対応した家族は「来ると言った」とのこと)、翌日は予告なしにやって来ました(出した名刺は「区域担当」という肩書き)。

EはこちらがCに話した内容は報告を受けておらず全く把握していないと言い、「では何しに来たのか」と聞くと「契約が結べていないのでお願いに来た」と話すのみ。

それではと再度経緯を説明しても「自分は営業ではないので(営業がしたことは)答えようがない」「私に言われても困る」と責任逃れに終始、店を代表して対応する気は全くない様子。

挙句に「(こちらの)発言内容が途中で変わる」と言い出し、こちらを非難する始末。

話にならないため「ちゃんと話ができる相手」の名前(「店長」と「統括者」とのこと)を聞き出しましたが、それ以上話しても無駄と思われたのでやめました。

Eが帰った後Cに確認しようと所属先に電話しましたが、休みを取っていて今のところ連絡がつきません。

Eの出した「店長」と「統括者」には時間が合わず、まだ話していません(当日は「日曜で既に不在」と言い、翌日はこちらが仕事で電話できないため)。

元々は「契約について安心できるきちんとした対応」を求めただけですが、全く対応されないどころか新たに法律違反の言動はあるわ、まともに話のできない者を寄越す対応を見ても誠意があるとは到底思えません。

またEの言うことはとても信用できず、こちらが律儀にEの挙げた相手と話そうとしてもまた不快な思いをさせられそうだし、だったら最初からそれなりのところに抗議した方がいいように思います。

このような状況では、どこに話すのが一番効果的なのでしょう?

30年以上読んできた新聞であり、本当は継続したいですがこの販売店が相手では最早する気になれません。だからと言ってこのまま契約を切るだけで済ませるのも不愉快なので、抗議しようと思います。

アドバイスをお願いします。


回答者 ゲン


『匿名でもよいのでしょうか?』というのは、それでええ。基本的には投稿者の自由意志ということにしとるから、それを気にされる必要はないと言うとく。投稿の大半は匿名、ハンドル・ネームでというのが多いことでもあるしな。

『私のいる日や時間帯を伝えてもその時は来ず連絡もなし』というのは、あかんな。一般常識に照らしても褒められたことやない。

客の意向は最大限汲み取り、それに沿うよう努力するというのが営業に携わる者の基本でもあるさかいな。客の都合に合わせるという姿勢がなかったらあかん。

ただ、その拡張員を擁護するというわけやないが、その拡張員には、それなりの事情と理由、都合があってのことやとは思う。

どういうことかと言うと、一般的な拡張員は1ヶ月の間に20店舗前後の販売店に行って勧誘営業するのが普通や。その日程も新聞営業会社(新聞拡張団) によって、それぞれ違う。毎月の日程もバラバラで、決まった日に決まった場所に行けるとは限らん仕事でもある。

したがって客と約束をしたとしても、それを守り辛い環境にあると言える。

それなら、他の者に頼んで客の希望の日時に代わりに行って貰えばええやないかと思われるかも知れんが、それではその拡張員としては具合が悪い。

これも一般では考え辛いことやろうが、拡張員には「新聞社のため」、「拡張団のため」、「新聞販売店のため」などといった組織優先という考え方にならんということがある。

それは、そうしたところで、どんなに新聞社や拡張団、販売店が利益を上げようが、儲かろうが肝心のその拡張員には何の実入りもないからや。

拡張員にとって、例え同じ会社で働いる同僚拡張員であっても、限られたパイの取り合いをする、単なるライバル(競争相手)にしかならんわけや。

この業界のシステムは、契約を上げた者だけが、その利益、報酬を得られるようになっていて、アシストしただけでは何の評価の対象にもならんし、金にもならんということがある。契約はあくまでも自分で上げてナンボという世界やさかいな。

そのため誰かに頼んで代わりに行って貰う、連絡して貰うという発想が湧きにくい。むしろ、その約束があったこと自体を他の者に隠そうとする心理が働くのが普通や。

誰かに、それを知られると、その契約を取られかねんと考えてな。

それでも客に連絡くらいはできるはずやと考えられるやろうが、いつ行けるか分からずに連絡を取っても約束できんのでは、それをしても無駄、し辛いということになる。

特に、あんたのように几帳面に日時まで指定来られる人に合わせるのは至難の業やと。

もちろん、前任者のBのように、あんたの意向に合わせて日程を調整して約束を守るという律儀な拡張員もいとるが、後任のCは、そこまでできる人間やなかったということやと思う。

『一方で契約を更新していないのに配達は継続され、集金には来ません』については、二通りのことが考えられる。

一つは、すでにその販売店では契約更新扱いになっていて、そのCが『ちなみにこの時、Cより「3月分は無料でサービスする」との申し出があり、こちらも継続するつもりでいたので特に異は唱えませんでした』という、あんたとのやり取りで、現在、その『3ヶ月無料サービス期間中』ということなら、配達をしても集金に来ないというのは、納得できる。

もう一つは契約が切れた場合、客から「止めてほしい」という要請がなければ入れ続けるというのは普通にあることで、単にそうしとるだけというケースが考えられる。こういうのを自動継続契約という。

これは、何も新聞購読契約に限らず、携帯電話の契約にもあることで、その他の継続的役務契約においても、この自動継続契約というのは結構、頻繁に行われとることではある。

ただ、この自動継続契約には何の拘束力もないから、嫌なら即座に打ち切ることはできるがな。

『A新聞の別の営業(Dとします)が「現在当家と契約が結べておらず、集金もできていない」』と言うてるところから判断すると、あんたの場合は後者のケースやと思う。

もっとも、その契約が更新されれば、現在、無料で配達されとる新聞は、その『3ヶ月無料サービス期間中』の分として組み込まれるやろうがな。

それにしても『そんな中4月末、同じマンションの別の階に住む母親から、A新聞の別の営業(Dとします)が「現在当家と契約が結べておらず、集金もできていない」さらに「当家と親世帯の契約が特殊で(割引等)、非常に手を焼いている」と話したと聞かされました』というのは頂けんな。

『契約に関することを許可なく当事者以外に漏らしただけでなく、内容に虚偽もあって抗議を考えていた』という、あんたの怒りはよく分かる。けしからんとも思う。

まあ、そのDとやらも、あんたのお母さんやからという気安さで、そんなことを言うたのやとは思うが、思慮が足らんと言われても仕方ない。また、いくら悪気がなかったとしても、そうは受け取られん内容でもあるしな。抗議したくなって当然や。

そのCが、『Dの行為は非常に問題ありとして明確に謝罪』したのは当たり前やが、その後の地域の担当やという販売店員Eの対応も相当に悪いな。

『Cが「(その日のうちに)必ずEに報告する」』と言うたにも関わらず、Eは『EはこちらがCに話した内容は報告を受けておらず全く把握していない』と言うのは、どちらが正しいのかは定かやないが、あんたの話とその経緯から察すると、Eの方がええ加減なことを言うてる可能性が高いと思う。

『「自分は営業ではないので(営業がしたことは)答えようがない」「私に言われても困る」と責任逃れに終始』するというのは、まさしくそのとおりで、Eにすれば自分には何の責任もないことで責められるのは心外やと考えとるフシがある。

『店を代表して対応する気は全くない様子』というのも、そのとおりで、そのEにしたら、店よりも自分の立場を悪くしたくないという考えの方が強いのやと思う。大事なのは自分で、店ではないと。

普通の感覚からすると考えられんような話やが、残念ながら、そういう自分本位にしか物事を考えることのできん者もおるということや。

『挙句に「(こちらの)発言内容が途中で変わる」と言い出し、こちらを非難する始末』というのも、そういう人間やからこそ、そういう発言ができるのやと考えたら納得いくやろうと思う。

そのEにとっては、店に対しての自分の立場、正当性さえ保てれば、あんたという客を失っても構わんというくらいの気持ちがあると考えられる。

せやからこそ、客を怒らせることも平気で言えるわけや。どうなっても自分には関係ないということでな。

『話にならないため「ちゃんと話ができる相手」の名前(「店長」と「統括者」とのこと)を聞き出しました』というのは、この場合、一番賢明やったと思う。

トップに言えば、また違った対応も考えられるさかいな。当然やが、トップは自分よりも店のことを優先して返答するのが普通やからな。

そのトップに対して『まともに話のできない者を寄越す対応を見ても誠意があるとは到底思えません』という気持ちを抱くのは分からんわけやないが、まずは言うてみられることや。

案外、物分かりのええトップやったということも考えられるしな。人は置かれた立場が違えば、また別の対応をするものやさかいな。

それに、そう思い込んだままやと、あんたの中では本当にそういうイメージになり、「程度の悪い販売店」ということになってしまいかねんしな。

せめてチャンスを与える意味でも、そのトップにあんたの希望を伝えたらどうかと思う。その結果で判断しても遅くはないのやないかな。

あんたの言うておられることで、一つ気になることがあるのやが、『法律違反の言動』と言うのは、誰のどんな言動についてのことなのやろうか。

あんたの話からは、『同じマンションの別の階に住む』お母さんに、『A新聞の別の営業(Dとします)が「現在当家と契約が結べておらず、集金もできていない」さらに「当家と親世帯の契約が特殊で(割引等)、非常に手を焼いている」と話した』というのが、個人情報保護法に抵触したという風に受け取れるが、もしそうなら、それは少し違うと思う。

もうかれこれ5年前になるが、個人情報保護法が施行された1年後、『週間ダイヤモンド誌』から、それに関して取材を受け、その特集記事にコメントさせて貰った経緯もあるので、それなりにその法律については調べて熟知もしとるつもりや。

ちなみに、その折りの話は旧メルマガ『第83回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■『週間ダイヤモンド』誌への掲載で思うこと』 にあるので、興味があれば見て頂けたらと思う。

つまり、そういった一応の知識があると承知して頂いた上で聞いて貰いたいということや。

この個人情報保護法の法律違反に問われるには、それなりの条件が必要になる。

『5000件を超える個人情報を個人情報データベースとして所持し事業に用いている事業者』が個人情報取扱事業者やとされとる。

そのA新聞の販売店の取り扱い部数が5000部以内やったら、その個人情報取扱事業者から外れる。それ以上であれば適用されるということになる。

一般的に、新聞販売店の規模は取り扱い部数3000部以下というのが圧倒的に多いということもあり、販売店全体からすると、それに該当する個人情報取扱事業者数は少ないと考える。

よく新聞社と新聞販売店は同一視されやすく、そのため個人情報保護法対象業者やと一般には信じられとるが、各新聞販売店は、それだけで独立した企業やさかい、それぞれで対象になるかどうかが違うということや。

当然、それはそのA新聞の販売店についても言える。

さらに、漏らしたのが『個人情報データ』として取得されたもので守られるべきものか否かというのも問題になる。

今回のケースは、氏名、住所、勤め先、契約内容といったデータ化された一般的な個人情報が漏洩したものではなく、会話の中で出たもので、『内容に虚偽もあって』ということなら、尚更の事、個人情報の漏洩には当たらんのやないかと考える。

単なるそのDという人間の思い違い、ええ加減な噂話の域を出ないものと言えんでもないさかいな。

正式に訴え出た場合、そう言い逃れられる可能性が高く、また間違った情報の漏洩というのでは、その罪に問いにくい事案やと思う。

これを法律違反に問えるとしたら、刑法230条に規定されている名誉毀損罪くらいやが、それにしたところで、その情報を漏らしたのが身内である、あんたのお母さんだけで、不特定多数に漏らしたわけでもないとなれば、その罪に問うのも難しいのやないかな。

誰が見ても法律違反に問えるような事案であれば、『このような状況では、どこに話すのが一番効果的なのでしょう?』という質問の答えとしては、新聞社の苦情係、または新聞公正取引協議会、消費者センターなどへの通報が考えられるが、あんたのケースでは、そのいずれに訴えても大した効果は得られんのやないかと思う。

新聞社の苦情係の場合やと、たいていは「その旨を当該の販売店に伝えておきます」という程度で終わりや。

他の新聞公正取引協議会、消費者センターにしたところで、あんたに実質的な被害が何もなく、法律違反に問えそうもない事案やと、その販売店に注意することはおろか、あんたの意向を伝えることすらできんと思う。

もちろん、法律違反には問えんでも、こういうのはあってはならんことやし、褒められたことやないのは確かやから苦情として言う分には構わん。そうするのを止めるつもりはない。言うて気が済むのなら、そうされたらええ。

しかし、そうしても、このケースでは、あんたの思うような結果にならん可能性の方が高いというのは言うておく。少なくとも、その販売店に何らかの打撃を加えるのは難しいやろうと。

唯一、望みがあるとすれば、その販売店のトップに、あんたの思いをぶつけて謝罪が得られることくらいやと思う。

現在、あんたのようなケースも含めて、5月20日発行予定の当メルマガ『第154回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞を作る人、買う人、売る人、そしてその新聞を批判する人(仮題)』 で、こういった問題を掘り下げて話そうと考えとる。

こんなことで、あんたのように『30年以上読んできた新聞であり、本当は継続したいです』という人を失うことになるのは、業界としていかにも勿体ないさかいな。

それを話すことで、あんたのような不愉快な思いをする人が、一人でも減ってくれればええのやけどな。


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