新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1021 メルマガの論調で、ちょっと疑問に感じることがあります
投稿者 NONさん 千葉県在住 投稿日時 2011.5.30 AM 0:53
NONです。
投稿はご無沙汰ですが、いつも欠かさずチェックしています。
ゲンさんのメルマガの論調で、ちょっと疑問に感じることがあります。
「第63回 新聞トラブルあれこれ その1 それは債務不履行になる?」で、販売店の味方をするような論調についてです。
「第9回 営業の雑談に使えるUSJの話」では、USJを訪れたゲンさんとハカセさんは、再入場するつもりで一度退場したものの、ハンドスタンプを押していなかったために、当初は再入場を認められず、抗議の末、再入場したという一件がありました。
この時、パーク側は「再入場の際はハンドスタンプを押してください」と看板を出していましたし、一度退場する時には、係員が「年間パスですか?」と聞いており、一定の注意はしていました。
このケースでゲンさんは、
客やからと偉そうに言うわけやないが、お互いに勘違いということになれば、一般的には業者側に落ち度があるとされる場合が多い。
客は交通標識を良う見なあかん運転手やないねんから、注意を喚起する責任は業者、この場合はパーク側にあるという理屈や。
実際、出口の係員もそのつもりで声をかけたはずや。そこに勘違いがあった。
もし、あのまま入場拒否されていたら、ハカセもワシも、その事務所に乗り込んで談判してたはずや。大人しく引き下がることはまずない。
と、業者側の非を認めました。
ちなみに、パークのハンドスタンプ制度についてゲンさんは「その意図がよう分からん」との事でしたが、これは不正入場防止のためだと思います。
チケットだけで出入り自由なら、まずAが入場して遊び、退場。外にいる仲間のBにチケットを手渡し、Bが再入場のふりをして入場する…など、不正入場が可能になってしまうので、本当に再入場なのかを確認するためのハンドスタンプなのだと思います。
話を戻して、一方、第63回の新聞販売店と客のケースです。
これも客であるミヤシタが業界の仕組みを知らず、貰える前提で1万円(景品の商品券)を使ってしまいました。
販売店側は、注意、説明は一切しておらず、それどころか逆に、契約書の「お引っ越しの際には、当販売店にお知らせください。新しいお引っ越し先の販売店へ連絡します」という一文により、客の誤認を誘いました。
そもそも、訪問営業の場合、待ちの営業より説明責任は大きいでしょうから、パークのケースより業者の非が大きいのは明らかだと思います。
しかし、このケースでゲンさんは、
敢えて言えば、ミヤシタが「契約は新聞社としている」と誤解していた事に気づいてなかったという点やが、それは不親切やないかという誹(そし)りを受けることはあっても、違法行為やというほどではない。
どんな業界でも、そこで常識とされている事柄を客とはいえ、一々事細かに説明するようなことはまずないさかいな。
知らん者が悪いとまでは言わんが、それを説明してないからといって販売店に非があるとまでは言えんと思う。
非のない者へは、どんな法律を持ってしても損害賠償をせなあかん責任もなければ、それを請求されるいわれもない。
と、業者側の非を否定されました。
契約が守られると信じて景品(1万円分の商品券)を渡したという販売店の前提はわかりますが、ミヤシタも、契約が守られ、浮いた1万円になるという前提があって、その1万円(商品券)を使ったわけです。
もし、この1万円が貴重な生活費から捻出されたものという認識なら、別の使い方もあったはずですが、その機会を奪われています。
通常、ゲンさん達の場合は、手持ちのチケットを終了させてしまった以上、再入場するなら再び代金を支払う義務があり、ミヤシタの場合は、契約が解除になった以上、すでに使った景品の代金は支払う義務があります。
しかし、ゲンさん達の場合、パーク側の非によって誤認した中での消費だったので、再入場分の代金はパーク側が負担となりました。
同じく、ミヤシタの場合も、販売店側の非によって誤認した中での消費ですから、景品代は販売店側の負担とするべきではないでしょうか。
ところが販売店は、ミヤシタから減額を求められても、
「何もワシは返さないといっているんやない。そっちにいる妻に返却するようにと言うてある。しかし、全額を返す必要はないのやないかと思うんやけど……」と言ってきた。
「どういうことです?」
「そっちにも、その条件で契約した落ち度もあるわけやから、ナンボかまけてくれたら手を打ってもええということや……」
それが、ミヤシタの本音やった。
「お断りします」
タロウは、毅然としてそう拒否した。
と応じず、結局、一方的に請求額を支払わせています。
ゲンさんは全体的にこの販売店の味方をするような論調ですが、矛盾するのではないでしょうか?
もし的外れでしたら、申し訳ありません。
回答者 ゲン
『投稿はご無沙汰ですが、いつも欠かさずチェックしています』というのは本当に有り難いことやと感謝しとる。
また、今まで寄せて頂いた情報や鋭い指摘、質問の数々も有り難いことやと思うとる。
そして、今回のワシらの行動に疑問を呈した質問というのも、大変有意義なことやと受け取っている。
当たり前やが、ワシらは自分たちの言動が常に正しいやなんてアホなことは考えてないし、これだけ途方もない文書量の記述を繰り返していれば、中には間違いや勘違いもあるやろうなというのも承知している。矛盾していると感じられることもあって不思議ではないと。
そうは言うても、こういったサイト、メルマガを発行している身としては、それで済ますわけにはいかんがな。ネットという公の場で言うてることには、それなりの責任が生じるさかいな。
その矛盾や間違いがあれば訂正して読者に謝罪せなあかん。実際、数は少ないが、そうしとることでもあるしな。
せやから、反論という形にはなっても、黒を白と言いくるめるつもりがないということだけは分かって貰いたい。
それでは回答を始めさせて頂く。
あんたは『ゲンさんは全体的にこの販売店の味方をするような論調ですが』と言うておられるが、必ずしもそうやないと言うておく。
サイトのQ&Aやメルマガには、タチの悪い販売店の対処法を数多く言うてきとる。あんたも、それは分かっておられるはずや。
ワシらの立ち位置は一つ。
購読者であれ、業界関係者であれ、行いに問題がなく、その相手に非や間違いが明らかであり、それによって困っているという相談があれば、その対処法を積極的にアドバイスするということや。
まあ、そうは言うてもワシは業界人やから、あんたから見ればそう見えるのかも知れんが、それは違うとはっきり言うとく。
それに、もしワシがそうやとしても、ハカセがそれを黙認することはないわな。ハカセはこの業界とは関係のない一般人やしな。
すべてを公平に判断しとるとまでは断言できんかも知れんが、少なくとも一方的な見方だけはしてないつもりや。それが、このサイトの方針でもありワシらのポリシーでもある。
『矛盾するのではないでしょうか?』というのは自分のことは棚に上げて、と言いたいのやと思う。
再度、それらの記事を読み直し、当時の記憶を辿って検証してみたが、それらのメルマガで言及したことには何の矛盾もしてないという結論に達した。
その理由を今から説明する。
あんたはUSJと新聞販売店を単に「業者」という括りで言うておられるが、両者の商品販売、それに関わる法律には決定的な違いがあるから、同じ土俵で考えるには無理がありすぎると思う。
USJのチケットは前売りが原則で、新聞代金は後払いが原則や。双方の契約は、USJのチケットは現金と引き換えに完了するが、新聞購読契約の場合は、その契約が期間内ずっと継続され、その期間が満了して初めて終了する。
こういう種類の契約を、「継続的役務契約」という。これと同じようなものには、携帯電話の契約、塾やスポーツジム、エステなどの月謝払いの契約などがある。
これに対してUSJのチケットのようなものは、一般の商品売買と同じような扱いになる。
USJのチケットの場合は、そのすべての料金を前払いで払うとるわけやから、購入者である客は、金銭的にはマイナスの時点からスタートしていることになる。
対して、新聞購読契約は、今後の予約であり、実際の支払いはその売買が生じた後の1ヶ月単位ということになっている。得た商品に対する支払いやから、マイナスということにはならん。
某かの景品、サービスを先に受け取っとるのが一般的やから、むしろ、プラスからスタートしとると言える。
こういった継続的役務契約の場合、契約期間があるのが普通で、その間、双方ともにずっと同じ状況が続くという保証は何もない。
その違いを認識しといて貰う必要がある。
まず、このUSJのチケットについてやが、その商品(チケット)の種類に、その係員すら混同しやすい物があったということが、そのトラブルの最大の原因として挙げられる。
問題になったのは、出入りする際の『ハンドスタンプ』が必要であったかどうかという点やが、そうすることがすべてのチケットに必要であったというのなら、あんたの言うように、ワシらにも落ち度があったとは思う。
しかし、そのチケットには例外があった。
『年間パスポート』を持っている客には、その『ハンドスタンプ』は必要やなかったということがある。そして、ハカセが購入した『2デイパスポート』は、外見的にその『年間パスポート』と非常に酷似していた。
あんたは『一度退場する時には、係員が「年間パスですか?」と聞いており、一定の注意はしていました』と断定しておられるが、その回のメルマガを、もう一度みられたら分かると思うが、
出口で若い女性の係員が、ワシらが首からぶら下げとるチケットホルダーを見て「……パスですか」と聞く。
ハカセが「ええ」と言うと、「どうぞ」と言う。
と記述している。
このとき、ワシらには『……パスですか』という部分しか聞こえんかった。
『2デイパスポート』というのはUSJでも特殊なチケットで、パークに入場する際、他の客のように入り口で並ぶ必要もなく簡単に中に入れるというものや。
これは『年間パスポート』の他には『季節パスポート』にしかない特典や。そのために、外見上、同じようなチケットになっていたわけやがな。
『年間パスポート』は1年間出入り自由、『季節パスポート』は、その期間出入り自由、『2デイパスポート』は2日間出入り自由、言えば電車やバスの乗り放題の特別キップと同じようなもんやと考えるのが普通やと思う。
その期間内なら何度でも使えるものやと。
そういった性質のものが、『ゲンさん達の場合は、手持ちのチケットを終了させてしまった』ということにはならんのと違うかな。少なくとも、ワシらはそういう認識やった。
ワシらも、一般のチケットよりも高く購入しているということもあり、特別なものという認識があったし、また、それを隠すでもなく堂々と首からぶら下げて、その係員の目の前をハカセの家族4人とワシの計5人もの人間が通過しとるわけや。
そのトラブルがあった後に、外見上、間違いやすいチケットやったと知っただけで、そのときは、まさか係員が見間違えるとは考えもせんかった。
このとき、『年間パスですか?』と、はっきり聞こえていれば、ワシらのことやから、『違う、2デイパスポートやで』と間違いなくそう言うてたはずや。
ワシもハカセも、普段から、そんなごまかしをするような人間ではないし、そういうことをしようと考えたこともないさかい、本当にその確認があってそれと承知していれば、間違いなくその再入場のスタンプを押して貰っていたはずや。
それを拒否する理由が、ワシらには何もないさかいな。
あんたの言うとおり、『パーク側は「再入場の際はハンドスタンプを押してください」と看板を出していました』というのはその後で気がついた事実やが、事前に目にしていても同じやったかも知れん。
それはあくまでも一般のチケットで入場している人に対してのものやと。そう考えて抗議したわけやからな。
また、係員にその『2デイパスポート』と『年間パスポート』の違いを厳格に見極めるよう指示してなかった可能性もある。ひょっとすると、その違いすら知らんかったということすら考えられる。
もし、その指示があれば、5人もの人間が、その係員の目の前を堂々と通過しとるわけやから、「ちょっと失礼します」と言うて、そのチケットの確認さえすれば、いくら酷似したチケットでも、よく見れば『2デイパスポート』と印字されとるから、それと分かったはずや。
その係員が、『年間パスポート』と勘違いしてハンドスタンプの必要がないと判断したことには疑いの余地はないと思う。
そうであるのなら、それはその係員の落ち度ということになるのやないかな。もしくは、パーク側の指示の徹底不足があったと。
それでも、ワシらの落ち度が皆無とは言えんかも知れんという思いで、
客やからと偉そうに言うわけやないが、お互いに勘違いということになれば、一般的には業者側に落ち度があるとされる場合が多い。
と、少し控えめに記述したわけや。
実際、そういうケースの場合、一般的な業者なら客からその事情を聞けば折れるのが普通やさかいな。事実、USJ側も簡単に折れたことでもあるしな。
あの件(くだり)だけ見れば、何かごり押しをしたような印象を与えたかも知れんが、今振り返っても当然の抗議をしたと考えとる。
しかし、再入場する際の入り口の若い女性係員には、それを看過することができんかった。
それは、出るときには必要でなかった「顔認識システム」というのがあったために、容易にそのチケットの違いが分かったと考えられる。
『年間パスポート』の場合、そのチケットと本人の顔が一致せんかったら中には入れんようになっている。
その『年間パスポート』を買う際には、事前に本人の写真を添えて申し込むようになっとるということや。それでその専用チケットを作って購入者に送り返す。
そのチケットを専用の機械に通し、その前を通過する際、モニターに顔を近づけることで自動的に顔が認識される仕組みになっとる。それで開閉バーが作動する。
その女性係員にすれば、入り口で当然のように『年間パスポート』ではないというのが分かるから、ハンドスタンプがなければ入場を拒否するというのは、間違った行為やなかったと言える。
それが、規則、決まりやからな。その女性係員は単に仕事をしただけにすぎん。
せやからと言うて、あんたの言う『再入場するなら再び代金を支払う義務があり』というのは、このケースの場合、法的にも間違うとると言うしかないし、ワシらとしても、とうてい納得できることやない。
これが、『2デイパスポート』以外のチケットなら、映画や演劇などと同じやから、あきらめてたやろうがな。もっとも、そうと知ってたら、そんな不細工なことにはならんかったとは思うがな。出口の係員も間違えてなかったはずや。
出るときは係員の勘違い、誤解でしたということで済まされ、入場は機械的に拒否されたんでは堪らんわな。
こちらの事情を言えば、文句なく入れると信じたからこそ、ハカセもあそこまで強気に言えたわけや。
ただ、そこまでの融通を、その若い女性係員に期待するのは無理やとすぐに分かったから、「あんたの立場では話は無理やろうから、誰かこのパークの責任者の人を呼んでくれんか」と言うしかなかった。
管理者にその事情を説明すれば分かって貰えるはずやとの思いでな。ただ、大声で喚いたのはまずかった。その点は、ハカセも大いに反省しとったがな。
結果として、その女性係員が本部らしき所へ連絡をして、それでワシらが中にいたという証拠のレシートを見せたことで難なく入れたということや。
当然の帰結ということで一件落着した。
余談やが、そのメルマガを発表したのは2008年の8月8日やったが、その翌年の2009年の1月7日からは、そのハンドスタンプによる再入場というのが廃止された。
今は、どんな理由があれ『年間パスポート』以外での再入場はできんということらしい。また、『2デイパスポート』も一目で、それと分かるものに変わったとのことや。
そして、その当時はなかった、「再入場はできません」という一文もチケットに書かれていて、場内アナウンスでも、しばらくの間、それが流されていたという。今もそうかも知れんが。
これは、やはりその手のトラブルが他にも多かったためか、そのメルマガの記事をUSJの関係者が見たからやとワシらは考えとる。
後者の場合、ヤフーやグーグルで『USJの話』というキーワードで検索すれば、いずれも330万件中第1位で、そのメルマガのバックナンバーの記事が表示されとるさかい、その可能性は十分考えられる。
もっとも、当時のニュースでは、再入場を許すと、中の店舗での食事する客が減るからという理由が報道されとったがな。業者の反対で止めたと。
一見してその可能性の方が高そうで、説得力もあるような気もするが、ワシらはその記事には懐疑的や。
もし、そうなら、2001年3月31日に開演して以来、ずっとそのシステムのままやったのに、何で7年以上も経った頃になって、今更のようにそうせなあかんのかという疑問が湧くしな。
業者の反対など、その当初からあったはずや。
見当外れかも知れんが、ワシらの記事が何らかの影響を与えたと考えた方が、タイミング的にも合うとるような気がする。もし、そうのなら、少し複雑な気持ちにはなるな。よけいな記述をしたのやないかと。
ただ、そのトラブルの根を断ちたいのなら、誤解を招くような紛らわしいことはするべきやないということで、そう決断したというのも分からんではない。その一助になったのなら、それはそれで意味があったと言える。
いずれにしても、その非、リスクをUSJが認めたからこそ、ハンドスタンプ制度の廃止をしたのだけは間違いのないところやと思う。
そもそも、そのシステム自体が間違いのもとやったのやと。
それを、あんたは『第63回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞トラブルあれこれ その1 それは契約不履行になる?』の内容と同列に考えとるようやが、それは違うのやないかと思う。
この話に出てくるミヤシタという男の言い分は、『契約不履行なら貰うた物は返す必要はないはずや』というものや。
それが大きな間違いやと言うしかない。
あんたの言うとおり、『これも客であるミヤシタが業界の仕組みを知らず、貰える前提で1万円(景品の商品券)を使ってしまいました』というのは、そうかも知れん。
しかし、貰った物をどう使おうが、それは本人の自由や。勘違いも含めてその人間の責任で使うしかない。
『ゲンさん達の場合、パーク側の非によって誤認した中での消費だったので、再入場分の代金はパーク側が負担となりました』というのには異議がある。
これは何度も言うように、パーク側がその非を認めた結果やと認識しとる。また、パーク側にとって、新に入場券を発行したわけでもないから、余分な経費が発生して何らかのマイナスが生じたとは言えんと思う。
単に口頭で言うて、口頭でそのチケットの有効性が確認されたにすぎんことやさかいな。少なくとも、この件が経理を通って帳簿に記載されたとは、とても思えん。
そこに金銭関係が発生した事実は何もないということや。したがって、『代金はパーク側が負担となりました』とは絶対になってないと断言してもええ。
それに対して『同じく、ミヤシタの場合も、販売店側の非によって誤認した中での消費ですから、景品代は販売店側の負担とするべきではないでしょうか』というのは、そうなれば販売店には実質的なマイナスが生じる。
何度も言うが、ミヤシタがどんな理由であれ、自らの意志で「浪費」したものは、自らが責任を負うべきやと思う。
あんたは『販売店側の非』と言われとるが、そもそもこの問題が起きたのはミヤシタが引っ越しをすることになったからや。
それはあくまでもミヤシタの側の一方的な都合であり、販売店に非のあることやないのは明白や。
もちろん、ミヤシタにもそれなりの理由があっての引っ越しやから、ミヤシタの側の一方的な都合と言うても責任のあることやない。
言えば双方とも不可抗力やったということになる。
引っ越しの場合、ミヤシタもしくは継続を受け入れる先の販売店が拒否すれば、その契約は自動的に解除ということになる。
当たり前やが、契約とは双方の合意があって初めて成立するもので、その一方が拒否すれば、それは成立せんさかいな。
それにも関わらず、ミヤシタは継続できないのは、販売店の責任やと言うてるわけやが、サイトやメルマガで過去何度も言うてるように、新聞購読契約というのは、販売店と個人間のみの間でしか有効とはならんもので、引っ越しとなれば、その時点で「契約不履行になり契約は自動的に解除になる」という前提がある。
普通は継続されるが、ミヤシタのように、タロウの販売店が独自にサービスしていた場合は、その受け入れ先に拒否されることもあるということや。
もっとも、それがレアなケースやということもあって、メルマガの題材として採用したわけやがな。
あんたはそれも含めて、『販売店側は、注意、説明は一切しておらず』と、その説明責任を問題にされておられるが、新聞販売店に限らず、業界の仕組みをそこまで徹底して客に説明する義務は法的にもないものと考える。
実際問題として、そんなことをする業界も皆無やと思うしな。
そのメルマガは、主人公、タロウがサイトの『NO.757 転宅する読者の契約に関して』に投稿してきた際、ワシがアドバイスした内容をもとに、その客と交渉した結果の話や。
その結末を広く知らせる意図があった。
その中に、
例えば、関西のA電気店でXというエアコンを10万円の約束でM氏が買う契約を結んだとする。ところが、その商品が納入間近になってM氏が急に東京へ引っ越しをせなあかんようになった。
エアコンは、住む場所に業者に設置して貰う必要があるから、そのA電気店は好意で同じメーカーのXを販売している東京のB電気店を紹介する。
ところが、そのB電気店は、Xというエアコンを10万円で売ることを拒否した。それでは損をするというものや。
その場合でも、そのM氏は、「約束やから10万円で売れ」と言うのかとなる。たいていの人間は、買う店が違えば、そこまでのことは言わんと思う。仕方ないとなるのが普通や。
とあるが、それと同じことやと思う。電気店も独立した小売店なら、新聞販売店も独立した小売店なわけや。それぞれサービスも対応も違う。
それを知っている人もいれば知らん人もいとる。それは分かるが、せやからと言うて、それを一々説明する責任が業者にあるのか、説明不足ということになるのかと問われれば、ワシには「それはない」としか言えん。
それでも、タロウは律儀に、その説明をミヤシタにしとる。それには、ワシのアドバイスもあってのことやがな。
説明責任や義務はなくとも、そうしといた方がええのは確かやさかいな。
その経緯を、そのメルマガで、
当初、ミヤシタは同じ条件ならと、その引っ越し先で継続して購読することには何の異論もなかった。
その同じ条件というのは、朝夕セット版地域での朝刊のみの購読料が3000円。付属サービスとして1万円分の商品券プラス洗剤5ケースを付けるというものやった。
その条件が記されている契約カードのコピーを添付して、受け入れ先の販売店へ送った。
すると、すぐに、その条件では断るという知らせが返ってきた。
その受け入れ先の販売店では、通常、朝夕セット版地域での朝刊のみの購読料は3700円と決められていて、商品券などの金券による景品サービスも一切禁止されていた。
タロウは、その旨をミヤシタに伝えた。
しかし、ミヤシタは「その条件で契約をしたんやから、今更それができんというのは契約不履行やないか!!」と怒り出し話に応じようとしない。
「それは新聞社の勝手やないか」と。
「いえそれは、うちの販売店とミヤシタさんとの間だけのことでして……」
「どういうことや? 新聞社は関係ないと言うのか?」
「ええ、こういった値引きは当店だけのサービスでして、他ではやっていないんです。新聞社にも内緒で、ミヤシタさんだけ特別にサービスしていたことですので」
「そんなアホな話はないやろ? 分かった、ワシの方から直接、新聞社に聞いてみる」
タロウもその場はそれで引き上げた。
2日後、そのミヤシタから電話がかかってきた。
「引っ越し先で別の新聞を取るさかい、もうええわ。解約する」と、ミヤシタは不機嫌そうな口調で、そう吐き捨てた。
しかし、タロウは「そこを何とかお願いしますよ」と、食い下がる。
「24ヶ月の契約期間を12ヶ月間契約に短縮して、引っ越し先の販売店の価格で読んで頂くというのではどうでしょうか?」と。
「本来でしたら、その後の2年契約に対してお渡しした『1万円分の商品券プラス洗剤5ケース』はお返して貰わなくてはいけませんが、その条件でご承諾頂ければ、それはそのままで結構ですので」と付け加えた。
これについては、タロウの販売店では最大の譲歩やった。
ミヤシタにとっても損な話やないはずや。
そう思うた。
ところが、ミヤシタから返ってきた言葉に、タロウは耳を疑った。
「何でやねん。今回の事はそっちの責任やろ。こっちから契約解除やて言うてるわけやないで。契約不履行なら貰うた物は返す必要はないはずや」と言う。
「そうはいきません。これは法律で決まっていることでして……」
民法545条の原状回復義務の第1項に、
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。
と、ある。
これは、契約が解除になった場合の双方の義務とされとるものや。
その考え方の背景には、契約を解除するには、「お互い何もなかった元の状態に戻しましょう」というのがあるためや。
どちらか一方が損も得もしないようにとの配慮がある。
その法律に照らせば、受け取った拡材は返す必要があるということになる。
実際、その契約は成立せんわけやから、ミヤシタがその拡材を返さず貰い続けるというのは、その法律云々を別にして考えても、何の正当性もないことやと言える。
ただのゴネ得を狙うとるだけやと。
と言うてる。
『その条件で契約をしたんやから、今更それができんというのは契約不履行やないか!!』というのは、確かにそのとおりやが、契約不履行というのは、それが認められたとしても、契約者が得られる権利は、その契約の解除権だけなわけや。
景品の返還に関しては、別途『民法545条の原状回復義務』というものがあり、販売店から契約時に、その契約が遂行されることを条件に受け取ったものは返す必要、義務が生じる。
もっと言えば、この原状回復義務に関しては、どんなに違法で無法な勧誘が行われていようと契約解除ということになった時点で発生するとされとるものや。
違法で無法な勧誘については、それぞれに該当する法律で裁かれることになるだけの話で、それにより貰った物を返さんでもええということにはならんということやな。
それを誤解されておられる人が多い。
あんたは、それも含めて説明不足やと言われるかも知れんが、それは法律を知っているかどうかの違いで、説明するものとは違う。
世の中には知らずのうちに法を犯すということはいくらでもあるし、それを誰も教えてくれなかった、知らなかったからといって、その罪が免除されることはない。まして、それで得をすることなどあるはずもない。
知らん者が悪いとされて終いや。きっちり、その罪は償わされる。
結論として、USJでの抗議した内容と、その販売店の対応についてのワシのアドバイスには、何ら矛盾した部分はないと考えるのやが、どうやろか。
何か、反対意見ばかりに終始したようやが、何度も言うが、こういった質問は本当に有り難いので、また何かあったら遠慮なく言うてきてほしいと思う。
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