新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1024 暴力団風の拡張員から逃れる方法について


投稿者 S さん  投稿日時 2011.6. 2 AM 1:26


はじめまして。

つい最近の話なんですが、私の家に某大手新聞の拡張員らしき人がきました。

見るからに暴力団風で威圧感がすごくありました。

最初、その人は「今町内会では地域の人たちがみんなで協力し合って○○新聞を取るように呼びかけているところだから、町内会に協力するつもりで新聞とってくれないかな?」といってきました。

私は当然嘘だろうと思い、とにかく断り続けていました。

しかし、ずっと断り続けていると「なに、新聞をとることに何か不満でもあるのか!?」と言った感じで威圧的な態度をとり、私をにらみつけてきました。

身の危険を感じたため、私はしぶしぶ契約し、後からクーリング・オフを使いました。

今までも何度か拡張員は来たのですが、そのときはごく普通のおじさんだったり、わりと若いお兄さんだったため、特に恐怖感もなく断り続けてこられました。しかし今回は初めて怖い思いをしました。

もちろん一番良いのはドアを開けないことかもしれませんが、もしドアを開けてしまった場合や、ちょうど外出先から戻ってきたところをこういった暴力団風の拡張員に捕まってしまった場合、うまく相手を帰らせる良い方法はあるのでしょうか?

デジカメを相手に向けたり、もしくは「警察に連絡します」といって通報しようとするのも良い方法だと最初は思ったのですが、そうすることによってむしろ相手が逆上し、必死で阻止しようと暴力を振るってくるのではないかという心配もあります。

最近はドアを開けないようにしているのですが、2週間に1回ペースでドアをノックする音が聞こえてくるため正直怖いです。

同じアパートに住んでいるほかの知り合い何人かにも聞いてみたのですが、今のところそういった拡張員は来ていないということなので、もしかしたら一度契約してしまったため、私だけ標的になってしまったのではないかと心配になりました。

どうか、こういった拡張員に対する対処法を教えていただけないでしょうか?

よろしくお願いいたします。


回答者 ゲン


『こういった拡張員に対する対処法を教えていただけないでしょうか?』ということやが、あんたは、『後からクーリング・オフを使いました』と言うておられるから、結果的には『暴力団風の拡張員』に対して、最も有効な方法を採ったことになる。

念のために尋ねるが、そのクーリング・オフは、内容証明郵便などの文書で出したのやろうな。

販売店に「クーリング・オフをしたい」と伝えて、それでめでたく契約解除になったから、クーリング・オフが成立したと考えておられるのなら、それは違うと言うておく。

それでの契約解除は、法的には「合意解除」ということになるだけで、クーリング・オフでの解約ということにはならん。クーリング・オフは「文書で通達すること」と法律で決められとるさかいな。

どちらでも、契約解除になったのやから同じやないかと思われておられる人がいとるかも知れんが、その差は考えているより大きい。

どういうことかと言うと、クーリング・オフ後の再勧誘というのが法律で禁じられとるからや。

特定商取引に関する法律の第6条第3項に、

販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

というのがある。

分かりやすく言うと、契約した客がクーリング・オフを申し出ているのに、それを防ぐため脅したり威圧して困らせるような行為の禁止ということや。

クーリング・オフ後の来訪、勧誘は、それに抵触する可能性が高い。

これには2年以下の懲役、300万以下の罰金という罰則規定がある。

実際、この法律の規定で新聞販売店の従業員が逮捕されたという事件があった。

このQ&Aの『NO.108 近所で販売店員が逮捕されました』というのが、それや。

これは、テレビのニュースでも流れ、その犯人は実名報道された。もちろん、新聞各紙でも報道されていた。たいていの新聞関係者なら知っとる有名な事件でもある。

万が一、その『暴力団風の拡張員』が、そのクーリング・オフ後、やって来て文句を言う、いちゃもんをつけるというようなことがあったら、それだけで立派な犯罪行為になるから、堂々と警察に通報することができる。

あるいは、新聞社の苦情係、新聞公正協議会といった、拡張団や新聞販売店の管理組織に苦情を言うこともできる。そうなれば、その人間はタダでは済まんはずや。

まあ、その程度のことは業界の常識やから、文書でのクーリング・オフさえしてしまえば、何も言うてくるようなことはなくなるはずや。

ところが、それが文書ではなく、販売店に口頭で伝えただけの「合意解除」の場合は、その法律が適用されんから、再度の勧誘をするために、その『暴力団風の拡張員』がやって来る可能性がある。

その差が大きいというのは、そういうことや。

『暴力団風の拡張員に捕まってしまった場合、うまく相手を帰らせる良い方法はあるのでしょうか?』というのは、あるにはあるが、それには多分にあんた次第という側面がある。

ちょうど、6月3日発行の当メルマガ『第156回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■臆病者の闘い方とは』で、その参考になる話を数多くしとるので時間のあるときにでも、ゆっくり見ておいてほしいと思う。

『デジカメを相手に向けたり』というのは、比較的大人しい拡張員であっても逆なでして起こらせることもあるので、そういうことはせん方がええと思う。

あんたも、どこかで誰かに同じことをされたら、あまりええ気がせんはずや。それだけでトラブルになるということも十分考えられる。

『もしくは「警察に連絡します」といって通報しようとする』というのも感心せんな。その理由は、あんたの言う『そうすることによってむしろ相手が逆上し、必死で阻止しようと暴力を振るってくる』というのとは違うがな。

どんなに怖そうな『暴力団風の拡張員』であっても、実際に暴力を振るうような真似をするアホは少ないと思う。

先に紹介したメルマガの中で、それについて、


何をされるか分からんという不安な気持ちになるのは分からんでもないが、どんなに脅してきたとしても口で言うてる過激なことや暴力を振るうようなことは、絶対と言うてええほどできるわけがないから真に受けん方がええ。

少なくともワシが、そう言うてアドバイスしたケースで、何かされたというのは皆無やさかいな。

万が一、そんな真似をして、事が大きくなれば、困るのはその販売店と新聞社の方や。

特に新聞社は、その対面を重要視するさかい、大きな問題、他紙の餌食になるような事件を引き起こす販売店は、いとも簡単に切り捨てる。

改廃(強制廃業)に追い込んで終いや。

当然、その原因を作った販売店の従業員も無事では済まんわな。どうなるかまでは言えんが。

たった1本の契約のために、そこまで体を張る人間は少ない。もし、いてたら、それはアホとしか言いようがない。

そのアホは、気の弱い客と「チキンレース」に持ち込めば勝てると踏んどるからこそ、そうするわけや。

裏を返せば、断固断る姿勢を見せ続ければ撃退できる可能性が高いということや。


と、説明しとるように、その心配はあまりせんでもええ。

それよりも、警察に通報することのデメリットについて、同じそのメルマガの中で、


よく勧誘員と揉めたからといって、闇雲に警察に通報する人がいとるが、よほどの犯罪行為、例えば暴力を振るわれてケガをしたといったようなことが、その場で立証されん限り、そうしても無駄に終わることの方が多い。

勧誘員と口論して揉めたという程度では、「契約事のもつれ」と受け取られ、民事扱いにされやすい。

そうなると、警察の基本姿勢である「民事不介入の原則」を持ち出し、さっさと引き上げる可能性が高くなる。

まあ、わざわざ出張(でば)って来たということで、体裁として、その勧誘員をその場から引き上げさせる程度のことはあるがな。

しかし、その場合、一旦引き上げて、すぐに舞い戻ってくる確率が高い。

そして、「警察に言うても無駄やで」と凄まれれば、気の弱い人なら、ほとんどが言いなりになってしまうという。


と言うてるような状況に陥りやすいということがあるので、気をつけといた方がええと言うとく。

今までの相談者の多くも、「警察に通報したことで失敗した」と言う人が多いというのが、それを裏付けとることでもあるしな。

つまり、実際に暴力を振るわれてケガでもせん限りは警察に通報しても、あまり意味がないということや。警察という所は、基本的には「事後処理」が主な仕事やさかいな。

事件が起きてからでないと動かん、動けん組織なのやと認識しとくことや。これから起こるかも知れんという事の予防にはあまり向かんと考えといた方がええ。

そう逃げたい気持ちは分からんではないがな。

『もしかしたら一度契約してしまったため、私だけ標的になってしまったのではないかと心配になりました』というのは、十分、考えられることや。

少なくとも、その販売店に出入りする拡張員の間では、あんたに会えれば契約できるということが、一つの情報となって周知されとるものと思う。

救いのない言い方かも知れんが、これから先、そういう人間が訪れ続ける可能性は、かなり高いやろうな。

『どうか、こういった拡張員に対する対処法を教えていただけないでしょうか?』ということでの最良の方法としては、強い意志を持って、『嫌なものは嫌とはっきり断る』くらいしかないやろうと思う。

タチの悪い拡張員というのは、どんな断り方をしようと、それを逆手に取ることに長けとるから、ヘタな断り方をすると却って追い詰められる可能性の方が高い。

タチが悪いというのは、そういうことやさかいな。

断りが通じなければ、あんたのしたように、契約してからクーリング・オフするのが、一番確実な方法やと思う。

その後の心配は、先に言うたメルマガの記事を見て貰えれば払拭できるはずや。


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