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NO.1028 でたらめな借金返済請求の保証人になって困っています


投稿者 NO さん  投稿日時 2011.6. 3 PM 11:39


はじめまして。ご相談がありまして、メールをさせていただきました。

第78回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞トラブルあれこれ その3 裁判、その長い闘いの果てに』を拝読いたしました。

私は東京在住で、このタケシさんの弟さんと同じ保証人の立場の者です。知人(A)が団に入る際に連帯保証人になってしまいました。

Aは一年強その団で働いていましたが、突然やめてしまいました。(逃げ出した感じです)

その後、まもなくその団は解散手続きを取り(一年程前)、清算人は元社長になっています。清算結了はまだのようです。(登記簿確認)

先方は当初から顧問弁護士がいて、その弁護士が訴訟代理人になっています。

4月半ばにAと私に支払い督促が届き、二人共に異議申し立てをしました。私の所にはまだ訴状は来ていません。

Aのところには訴状が届き、6月の後半に一回めの審理が東京地裁であります。

拡張団で働いていた知人に対して、当初の借金130万円が370万円になっているという無茶苦茶な請求で、訴訟を起こされました。

Aは借金は認めていますが、金額はでたらめだと言っております。

訴状は見てませんが、Aの支払い明細を見ても意味不明というか、理解できません。おそらく不良カードのペナルティが加算されていると思われます。

保証人契約書はもらっていないので、どのような文言があったが覚えていませんが、先方に有利な契約になっていると思います。

先方の弁護士が私の名前の漢字を間違えていたので、それを指摘し、異議を出しました。

本来なら通常訴訟に移行するはずですが、間違った漢字のまま4月27日に取下書が私あてに届いております。

地裁に確認しました。漢字が違っていたからというようなことを言ってましたが、現時点では私に対しての訴訟は新たに起こしていないのではないかと思います。

保証人の契約書はもらっていません。

私の手元にあるのは、Aが会社からもらった支払明細書のコピー(別紙資料参照)だけです。Aは業務委託契約で働いていたらしいです。(手元には契約書はありません)

月によっては、不良カードの枚数が入っていたり、カード料の単価が全て3,000円で計算されている月もあります。

この団は社長名義の社宅に団員を住まわせて、賃貸契約書を交わしていました。

報酬から家賃、光熱費を引くとなっていますが、支払い明細書にはその記載が全くありません。

5月分からは控除明細部分が源泉、積立だけの記載になり、控除額合計に(前借含む)として控除合計が計算されるようになりました。

貸付金の金額も平成22年1月の明細の金額と違って大幅に増えています。ちなみに会社を辞めた(逃げた)のは平成22年の2月末頃です。

Aとは連絡を取れる状況ではあります。Aは求職中のため、弁護士を付けて裁判に挑むかはわかりません。

私に対して訴訟が起こされた場合も、出来る事なら個人で対抗したいと思っておりますが、証拠としては、意味不明な支払い明細しかなく、もしもの場合に備えて、焦って弁護士を探すようなことにならないように、ご相談させて頂いたしだいです。


回答者 ゲン


どういった理由であれ、あんたが友人A氏の連帯保証人になっているのなら、その友人A氏が返済不能になった場合は、その責任を負わなあかんようになる。それは、分かっておられると思う。

但し、その友人A氏が『借金は認めていますが、金額はでたらめだと言っております』というのなら、その裁判でとことんそう主張して争い、正当かつ納得のいく返済額を導き出す必要がある。

その際、あんたも、その友人A氏のために、今回の裁判では精一杯の助言なり助力した方がええ。裁判で認められた返済額を、その友人A氏が支払えないということになったら、連帯保証人であるあんたに、その支払い義務が生じるさかいな。

『私に対して訴訟が起こされた場合も、出来る事なら個人で対抗したいと思っております』ということで、そのときになっても遅くないと考えておられるのなら、それは甘いと言うとく。

その友人A氏の返済額が決まってしまったら、その後のあんたの裁判でそれをひっくり返す、あるいは減額に持っていくのは、限りなく難しいやろうと思うさかいな。

今回の裁判は、『その団は解散手続きを取り(一年程前)、清算人は元社長になっています』ということからすると、任意整理する団の債権回収が目的のすべてということになる。

その請求額は、ちゃんとした裏付けがあってというより、その元社長の一方的な主張を、管財人である弁護士が、そのまま聞いて請求、訴訟したものと思う。

そこにつけいるチャンスは十分あると考えられる。

その友人A氏が法律上支払わなあかんと思われるのは、「金銭賃借款契約書」に記載された金額と、友人A氏が借金と認めたものだけや。

ところで、『Aは借金は認めています』ということやが、その認めとる額はどの程度なのやろうか。あんたから見せて貰った資料から判断すれば、場合によっては、その額すら減額できる可能性がありそうや。

普通、こういった裁判の場合、友人A氏の借金の証明は、訴えた側が立証せなあかんさかい、「金銭賃借款契約書」および、それに準じる友人Aの直筆のサインによる覚え書き以外の額が、それと認められることは、まずないやろうと思う。

基本的に借金は、それが増えた場合にも、その一つ一つに「金銭賃借款契約書」、もしくは借り主がそれと認めた証拠が必要やさかいな。裁判の場では、相手方には必ず、その請求の根拠となるすべての書類提出を要求することや。

実際に、それがあったのかどうかを、まず友人A氏に確認されることや。それがないものは認める必要はないと言うとく。

『Aの支払い明細を見ても意味不明というか、理解できません』ということやが、あんたから示された『別紙資料』の一部を見ても、そのでたらめさが良う分かる。

『Aは業務委託契約で働いていたらしいです』ということは、個人事業者として、その拡張団と契約していたということになるが、その業務委託契約書はあるのかな。

普通、入団する際には、これを書かせるケースが多い。それをもって、「新聞セールス・インフォメーション・センター」への拡張員登録が義務付けられとるさかいな。

その業務委託契約書があれば、相手方から送られた資料には、その友人A氏にとって、かなり有利に働くものと思われる記述事項が多い。まあ、なくても社員契約やなくフルコミ契約というのは、その資料からでも分かるがな。

例えば、平成20年11月の支払い明細書のコピーに、『源泉分、79060円』として収入から差し引かれとるが、これなんかは明らかにおかしい。

「源泉」とは、源泉徴収のことで、一般的には企業が、主にそこの社員に給与、賞与報酬などを支払う際に、それから所得税などを差し引いて国などに納付する制度や。

個人事業者としての拡張員の経験がワシにもあるが、その場合、税金の申告はあくまで、その個人の責任ですることになっていて、個人で税金を払うのが普通やった。当然、源泉徴収などされたことはない。

まあ、その拡張団が本当に、その友人A氏に代わって源泉徴収した分を、そのまま税務署に申告して支払っていたというのなら別やが、そんなええ加減な『支払い明細書』しか書けん拡張団が、そうしとるとは、とても思えんがな。

それが、本当に行われとったかどうかは、「還付申告」すれば分かる。還付申告は課税対象期間の翌年から5年後まで申告が可能やさかい、まだ十分できる期間内やと思う。

これについては、管轄の税務署に本人が行けば、教えてくれるはずや。

それにより、本当に源泉徴収されていても、相当分の返還が期待できるし、源泉徴収分が税務署に支払われていなければ、当然やが、不法徴収分として、逆に友人A氏が、相手方に返還請求できると考えられる。この場合は、その分の減額やな。

後の『労災保険』代にしても、そもそも個人事業者としての拡張員には、その資格すらないのが普通やから、その費用が発生すること自体考えにくい。

その説明は、サイトの『ゲンさんのお役立ち情報 その1 労災についての情報』を見て貰うたら分かると思うので、ここでの説明は割愛させて頂く。

それからすると『共済保険』代も本当に加入しとるのか、どうかが怪しくなる。この場合も、その証拠となる書類の提出を主張すればええ。

『報酬から家賃、光熱費を引くとなっていますが、支払い明細書にはその記載が全くありません』というのも、同じで別途、その書類の請求をすればええ。おそらく、それも借金の内に組み込まれとると思うしな。

『貸付金の金額も平成22年1月の明細の金額と違って大幅に増えています。ちなみに会社を辞めた(逃げた)のは平成22年の2月末頃です』というのも、胡散臭いと言うしかない。

あんたから見せて貰った、先方の支払い督促には、「主たる債務の平成22年5月末日における残高同日までの貸付総額 金4,204,443円」とあるが、これなんかも、その請求理由を問い質せば、必ずボロが出るはずや。

3月から5月末までの友人A氏がおらんかった間に、ええ加減な名目で膨れあがった借金が必ずあるやろうからな。

『月によっては、不良カードの枚数が入っていたり』というのは、実際に不良カードがあるというケースも否定できんから何とも言えんが、友人A氏がそれに納得できんかったら、そう主張すればええ。

『カード料の単価が全て3,000円で計算されている月もあります』というのは、その月だけ特別というのなら、その理由付けをするは難しいやろうな。それも追及すればええ。

『おそらく不良カードのペナルティが加算されていると思われます』というのも、当然そのペナルティが正当なものかどうかという判断が必要になる。

このペナルティというのは、見せしめ的要素の強いものやから、拡張団の中には、かなり高額に設定されとる場合があるということや。

普通、それらは一括請求という形になっていて、その不良カード一枚一枚の請求理由というのは添付されとらんはずやから、その添付を要請すればええ。

当たり前やが、それがなかったら、その請求が正しいかどうかの判断すらできんさかいな。

他にも良う調べれば、今まで差し引かれていた金額の内、かなりの部分が返ってくる可能性がいくらでもあると考えられるということや。

そして、客観的に見て、その団のええ加減さが露見する確率はかなり高いと思う。

裁判とは証拠の吟味と共に、どちらの言い分に正当性と信用性があるかを争うものやさかい、そのあたりを突っ込めば、かなり有利に闘えるはずや。

ただ、それには、友人A氏にはやはり弁護士さんがついていた方がええやろうなと思う。

『Aは求職中のため、弁護士を付けて裁判に挑むかはわかりません』ということやが、金がなくて弁護士を雇えないと言うのなら、「法テラス」を使う手がある。

ここなら費用も格安やし、支払いも相談次第ということがある。相談されて損はない。

住まいが東京なら、「法テラス東京所在地」というのがあるから、友人A氏にそれを勧めてあげたらどうかな。

もちろん、民事で訴えられた場合、個人で対応するのでも構わんが、普通は管財人になるほどの弁護士相手では、素人やとちょっときついやろうと考えるさかいな。

その友人A氏の場合、『第78回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞トラブルあれこれ その3 裁判、その長い闘いの果てに』で話した、160万円の請求が結果的に80万円に減額になったケースより、はるかに多い減額が期待できるのやないかとワシは見る。

何度も言うが、その友人A氏を支援することが、結果的には、あんた自身を守ることになると考えるから、その「法テラス」での費用の一時立て替えも含めて、なるべく力を貸してあげた方がええのやないかと思う。

もっとも、どうされるかは、そちらで良う考えたらええことやがな。


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