新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1031 これは不当解雇にはならないのでしょうか?


投稿者 やすくん  投稿日時 2011.6.13 PM 6:04 


質問させて頂きます。

自分の弟が新聞配達の仕事を、現在もしておりますが、以前は違う販売店で働いていました。

そこの販売店は本店と支店1箇所の、小さな販売店ですが、弟の成績は常に上位で、カードを取るのもトップの成績でした。

ここでは朝夕刊の配達に、集金に拡張と一人でこなしている状況でした。

集金に関する事ですから、誰にでも起こりうる可能性がありますし、何か良い方法はないものかと悩みます。

それは集金に訪問した際に、後からお金を受け取っていないとか、受け取ったお金が足りないと、販売店へ苦情の電話が寄せられた事です。

一度は高校生位の女性で、親から新聞代を預かっているという事で、5千円札を受け取り、先に千円札を手渡し、その後に小銭を手渡したとの事です。

ところが販売店へ親から苦情の電話が寄せられ、千円を貰っていないと言い出したのです。この時は自腹を切ったと聞かされましたが、その時点で既に納得が行きません。

しかし客の前では確かに渡したとは言えず、悔しい思いをしたようです。販売店の店長と一緒に謝罪をして、自腹で千円を置いて帰ったようです。

そして二度目の問題が起こりました。酒に酔った客だったそうですが、つり銭の細かいものがなく、お客さんに細かいものはないでしょうかと訪ね、客は玄関の下駄箱の上に財布と領収書を置いて、奥へと探しに行ったとの事です。

そしてその時は何事もなく、次のところへ集金に向かっていたときに、販売店の店長から財布の中から、お金が消えていると連絡がありました。財布の中からお金が無くなったという苦情でした。取っていないので最終的に、警察行って白黒をつけようという話になりました。

その間は弟から逐一連絡を、自分に入れさせていたのですが、財布からは指紋は取れず、証拠がないとして双方は戻りました。

本店の統括店長と支店の店長と3人で謝罪に行き、弟はお客様が無いと言うのであれば、置いていかないといけないでしょうと、2人が見ている前で無いと言う、15000円を置いたそうです。

二人の店長はそれを黙って見ていたという事です。

それを聞かされた時は、いくら客の前だからとは言え、置いたという事は自分で認めたも同然だと、激怒しました。

しかし弟は客の家から離れた時に、二人の店長に自分が取った訳では無いのだから、15000円は返して欲しいと訴えたそうです。その時に統括の答えは「考えておく」だったそうです。

そして本店に呼び出しを受けて、結果は解雇だと連絡を受けて、本当に新聞販売店へ怒鳴り込みをかけようかと、それくらいに腹が立ちました。

ようは販売店の責任者は、弟を疑っているという事ではないでしょうか。そんな事を起こされたら信用問題に関わるし、勤務させることは駄目だと解雇させられました。

警察でも指紋は取れなかったし、証拠もなにもでなかったし、弟が犯人だという証拠は何もありません。弟は悔しいと泣いてたくらいで、その悔しい気持ちがよくわかります。

確たる証拠もないのに、一方的に解雇はおかしいのでは。

本店の責任者からはよく頑張ってくれてたのは、誰もが認めるところであり、少ない賞与と客のところへ置いて帰った15000円を返すという事でした。

そんな事は自分からして、賞与は貰っても当然だろうし、返して貰って当たり前だと思うのです。これは不当解雇にはならないのでしょか?

従業員も信用してやれない、そんなところで働いていても、本人が辛い思いをするだけだろうし、結果的には辞めてよかったのかなという思いもしています。

しかし証拠もなく一方的に解雇は、あまりにも馬鹿にした話で、どうにも納得がいかないのですが、源さんはこの状況をどう思われますか?

今後の事も含め、同じ事が起こらない為にも、何か良い手立てはないでしょうか。宜しくご指導の程お願い申し上げます。


回答者 ゲン                                


お兄さんとしての、あんたの気持ちはよく分かる。そして、弟さんの「店のため」と考え、泣く泣く我慢したという心情も理解できんでもない。

しかし、していない犯罪やそれに準じる行為は、どんなことがあろうと絶対に認めたらあかん。その責任を自ら取るなど以ての外や。無実の罪でも、それを認めてしまえば犯罪として立件されてしまう可能性が高くなる。

弟さんの場合、何の証拠もないとのことやが、裁判でも「自白」および「自白行為」をしたと認定されれば、それ自体が立派な証拠になってしまう。今回の弟さんの行為は、それに当たると思われる。

一旦認めてしまい、後からそれをひっくり返すことは限りなく難しくなると考えておくことや。えん罪を晴らすために数十年もの長きに渡り法廷で闘い続けたというのは、ざらにあることやさかいな。

その多くが「自白」したためやという。それほど、認めるという行為は重いわけや。

自分さえ我慢すれば事が丸く収まるという状況は世間ではありがちなことやが、犯罪行為を被ってまでそうする限りは、その犯罪自体を背負うくらいの覚悟がなかったら、絶対にするべきやない。

あんたと弟さんには酷な話やが、今回のケースを客観的に見れば、「客の金を盗った」から返したという風に受け取られてしまう。もしくは、「客の金がなくなった責任」を認めたからこそ、その損害分の金を渡したのやと。

しかし、『本店の統括店長と支店の店長と3人で謝罪』に行く前に、その二人の上司が、「丸く収めるために認めてしまえ」といったニュアンスのことを弟さんに言う、または「損害分の金を客に渡せ」と指示してたら、事は違うてくる。

その場合は、その上司二人にもそう指示した責任があるから、それを理由に解雇を通告するのは、不当解雇になるやろうと思う。

そうではなく『弟はお客様が無いと言うのであれば、置いていかないといけないでしょうと、2人が見ている前で無いと言う、15000円を置いたそうです』というのが、弟さんの独断だった場合は、「客の言うことを全面的に認めた」ということになってしまう。

その状況で『二人の店長はそれを黙って見ていたという事です』というのは、個人的には感心せんが、致し方なかったという見方もできる。本人の自主的意志で、それを認めた上で取った行動やさかい止められなかったと。

それには、あんたの言うように『ようは販売店の責任者は、弟を疑っているという事ではないでしょうか』というのも十分考えられる。

それには以前、払ったはずの釣り銭『千円を貰っていない』という苦情に対して、弟さんが自腹を切って支払った件が影響しとるのかも知れん。

弟さんには、そういう性癖があると疑っていたのやないかと。

一般的には、犯罪行為を認めたから解雇したというのであれば、これは正当な解雇事由になる。

あんたも『それを聞かされた時は、いくら客の前だからとは言え、置いたという事は自分で認めたも同然だと、激怒しました』と言われとるくらいやから、その程度のことは分かっておられたと思う。

何度も言うが、身に覚えのない犯罪行為は絶対に認めたらあかん。それから招く結果が、ええ方に転がることはまずないさかいな。

ただ、そうは言うても、『集金に関する事ですから、誰にでも起こりうる可能性があります』と、あんたが言うとおりで、ありがちなことやから事前に対処するのは難しいやろうとは思う。

弟さんの話から、『高校生位の女性』が釣り銭の千円を貰ってないと言うのはウソの可能性が高いし、『玄関の下駄箱の上に置いた財布の中から15000円が消えていた』というのも信じ難いことや。

特に後者の場合、酔っぱらっていたということなら、その酒を飲む道中で、何かに使ったということを忘れて勘違いして、そう思い込んだためと言えんこともないが、その金額が「15000円」と特定しとるというのは、どうも恣意的なものを感じる。

一般的には、新聞トラブルが起きた場合、客が被害者で、勧誘員や販売店の人間が加害者やと考えておられる人が多いかも知れんが、客の中には、それはそれはえげつない者がナンボでもいとる。

そんな人間は嫌っちゅうほど見てきた。

せやさかい、この程度の言いがかりをつけられても、ワシは別段、不思議なことやとは思わん。

無法な勧誘員、販売店員と、えげつない客を比較した場合、その絶対数の多さの違いで、むしろ、えげつない、ええ加減な客の方が数が多いくらいやと考えとるさかいな。

断定はできんが、今回の場合、『高校生位の女性』はそのウソで千円を、酔っぱらった客は15000円を、それぞれ、意図的に弟さんからせしめ取った可能性が高いと思われる。

もし、そうならこの手の人間は、あらゆる場面で同じようなことを繰り返しとるはずや。

ワシの経験では、他紙でも同じような苦情言うてるのやないかという気がする。そのときも弟さんのケースと同じで上手くいって味をしめため、その手を繰り返したのやないかと。

それがタチの悪い人間の特徴でもある。

そのことも踏まえて、『今後の事も含め、同じ事が起こらない為にも、何か良い手立てはないでしょうか』ということなら、その方法はいくつかあるので、それを言うとく。


1.客の言うことを鵜呑みにしない。疑ってかかる。

『高校生位の女性』のケースで言えば、「私は絶対に釣り銭を渡しましたよ」と断言し、「もし、釣り銭が足らないのでしたら、なぜその場で、そう言わなかったのですか?」、「5千円で釣り銭に千円が1枚あったかどうかくらい、その場で簡単に分かったはずでしょう?」、「領収証を渡しているのですから、代金の受け渡しはそれで成立しているのですよ」と言えばええ。

それで筋が通る。実際、『高校生位の女性』であれば、千円足らんくらいのことはすぐ分かるはずや。分からんと言う方が、どうかしとる。

もっともそうかと言うて断定するわけにはいかんがな。本当に気がつかんという信じられんほど抜けた人間も、まれにおるしな。

『高校生位の女性』がウソをついて、あわよくば千円をせしめようとしているのならば、揉めることにより、その行為を後悔させることになるかも知れん。

結果として、揉めることにより、弟さんのみならず、今後、他の集金人さんも助かる可能性があるとも考えられる。何も揉めるのは悪いことばかりやないということやな。

それで、その客が気を悪くして、その後の新聞を止めると言うても、それはそれで仕方ないと割り切ることや。むしろ、そういう程度の悪い危険な客が他紙に流れてくれたことで良かったと考えることやな。

確かに、新聞販売店にとって客は大事や。しかし、言いがかりや難癖つけて金をせしめようという輩は百害あって一利なしやから、そういうのまで客と考える必要はないと言うとく。

但し、どんな場合でも言葉使いは、あくまでも丁寧にな。自分が正しいと考えるあまり、つい激しい口調になる者がいとるが、事の善悪よりも、それを問題にされる場合があるから気をつけとくことや。


2.常にボイスレコーダーのような小型の録音機を持ち歩く。

『玄関口に財布を放置』したまま、客がその場を離れ、後からその中の金がなくなったという言いがかりに対処するのは、弟さんがしたように『取っていないので最終的に、警察行って白黒をつけようという話になりました』という手段しかないのが普通や。

常にボイスレコーダーのような小型の録音機を持ち歩いていれば、『玄関口に財布を放置』したままというのを見かけた場合、「ご主人(奥さん)、財布を置いたままですよ」と、一言言うておくことで、今回のようなケースは回避できる。

その会話を録音しとけばええことやさかいな。

そうすることで、潔白を証明できる可能性が高くなるし、何よりその一言を言うとくことで、嵌めようと考えとったとしても、それを思い止まらせることができる。こいつはあかんなと。


3.釣り銭を事前に払いやすいように用意しておく。

財布の置き忘れの際、問題になったのは『つり銭の細かいものがなく、お客さんに細かいものはないでしょうか』と尋ねたから、その客がその場を離れたわけや。

もっとも、その客はそれを狙って1万円札、ないし5千円札を見せる、あるいは大きな札しかないと言うたのかも知れんがな。

そうやとしたら、そういう隙を与えんようにすればええということになる。

旧メルマガに『第189回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞販売店員奮闘記 その1 集金秘話』 というのがある。

その中に集金時の心得の一つとして、


集金は、時間との勝負やから、釣り銭を渡すにしても素早く取り出せるようにしとかなあかん。きっちりとした額をくれる客はええが、たいていは釣り銭が必要になる。

ジローの販売店では朝夕セットで3925円やから、ビニールの小袋などに75円の小銭を集金予定分だけ入れとけば、その分、早く済む。

1万円札を出された場合は、5千円札+千円札+小袋の75円の計6075円の釣り銭。5千円札なら、千円札+小袋の75円の計1075円の釣り銭。4千円なら、小袋の75円の釣り銭という具合や。


と言うてた部分がある。

これを実行するには、事前に5千円札や千円札、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨などを相当数用意しとかなあかんが、それを準備する手間と実際の集金時間とを比べたら、文句なく事前に釣り銭を用意しとく方が圧倒的に早いという。

また、こうしておけば釣り銭がないために集金ができんということもなくなるさかいな。

これは実際にそうしていたという販売店の人からの情報で掲載した話やが、今回のようなケースにも役に立つやり方やと思う。

この中で一番面倒なのは硬貨やが、これは普段から集めておくか、直前に銀行に行って両替しとけばええ。

5千円札や千円札を用意しきれん場合は、最初の5、6軒分だけ用意しといて、例えその5、6軒すべての客が1万円札を出してきたとしても、その分は近所の心やすい商店で両替するか、午後3時までなら銀行の窓口、午後5時までなら郵便局、それ以降なら銀行やコンビニ、スーパーなどのATMで一旦、自分の口座にその集金した金を入れて、9千円ずつ引き出すという手もある。

土日はたいていのATMでは、引き出す毎に手数料を取られるさかい気をつけなあかんがな。

ただ、そういうことを心掛けておけば、常日頃からでも5千円札や千円札、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨といったものは自然と残すようになるとのことやがな。

聞けば、弟さんは仕事のできる人のようやから、そう言うてあげるだけで、後はそれなりに工夫されるのと違うかな。

これは、仕事のスピードアップと今回のような間違いをなくすという二重の効果が見込める方法やと思う。


4.トラブルについての対処は上司からの指示を受けてから行動する。

今回のような場合には絶対に必要なことで、自分で勝手に判断せんことや。

絶対に正しい、間違ってないという自信のある場合は、徹底して、上司にそう主張する。それが一番ええ。

『高校生位の女性』の場合、弟さんは自腹を切って支払ったということやが、そんなアホなことは絶対にしたらあかん。そんなことをしても上司は「よくやった」とは思わん。それどころか、疚(やま)しいから支払ったと見ること方が多い。

そう考えとくことや。

『玄関口に財布を放置』したままの客の場合は、警察沙汰にまでして指紋も採取されたということなら、尚更や。

こういう場合は、弟さんはご自身の尊厳のためにも「お客には絶対謝って貰います」というくらいの強い姿勢で上司に言うても構わん。

その客に弟さんは「窃盗犯」として警察に通報されたのも一緒やさかいな。それで証拠が出なければ、疑った相手側に謝罪を要求するのが普通やと思う。

ただ、そうは言うても、その販売店の方針もあるやろうから、「私とすれば、ぜひそうしたいのですが、この場合どうすればいいのでしょうか?」と、そのトラブルの現場に行く前に上司の判断を仰ぐことや。

その上司が「お客と揉めるのは止めて、その分の代金を払え」と言うのなら、その金を上司から貰って払うという選択肢もあったやろうと思う。

それにそうしておけば、後で解雇を宣告されることもなかったはずや。もし、それでも解雇ということなら不当解雇で十分闘えるしな。

ワシも現在は、その販売店の「本店の統括店長」と似たような立場やから、弟さんのケースやと、弟さんの立場で、その客とは相対するがな。

普通に考えて、もし弟さんの犯行やった場合、その客が「釣り銭を取りにその場を離れた僅かな時間」に、それを行ったということになる。

指紋がないということは手袋を使って、その財布の中身の15000円だけを引き抜いたと考えるしかないが、新聞販売店の従業員が手袋を持ち歩くというのは冬の寒い日くらいしかなく、その場合、その手袋は相当に分厚いはずや。

いくら『玄関口に財布を放置』したままやからというても、瞬時にそうしようと判断して、指紋をつけないようにと考えた上で、その分厚い手袋を急いではめてバレない程度の金を引き抜こうとするようなことは、まずないと見る。

これは、その人間を信用してというより、物理的にそうすることの方が難しく、不自然やからや。

本当にその中の金を引き抜いたのなら、やはり指紋はついていたはずやと思う。

その引き抜くという行為自体、気づかれないという確信のもとにするもんやさかい、わざわざ手袋をして、外すという面倒な真似をするというのは考えにくい。

しかも、客が離れている僅かな時間の中で、そんな時間をかけるようなことをすれば、その現場を見つかる可能性が大きくなるわけやさかいな。その程度のことは誰にでも分かる。

したがって、やるのなら、素手以外には考えにくいと思う。

さらに言えば、それはその手袋を持っていたとしての話で手袋を持ってなかったら、その仮説すら成立せんことでもあるしな。

それらのことを考え併せれば、たいていの人なら弟さんの言うことの方を信じるものと思う。

結論として、言いがかりをつけられるようなトラブルについては避けられん場合があるのは確かが、そういうケースがあれば、その判断はなるべく上司に持っていくということを勧める。

もちろん、言い分、正当性は十分主張した上でな。言うて悪いが、一般従業員の立場で「店のために泣く」というようなことをしても、店側がそれと承知してなかったら、その行為は疑われこそすれ、褒められることなんかまずないさかいな。

責任は、その立場にあって取るもんやと思う。そう弟さんに話してあげたらええ。

今回のことで弟さんもいろいろと勉強になったはずやから、少しの忠告ですべてを理解されるものと思うがな。


ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート 
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
 

書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム