新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1040 解決策はないのでしょうか?
投稿者 北海道順子 さん 投稿日時 2011.7. 5 PM 11:20
こんばんわ。
M新聞を昨年7月から12月迄、私が契約し、購読しておりました。集金は母にお金を預け支払いしていたのですが、12月7日付(後に契約書で確認)で、母の名前で今年の7月から12月迄の購読契約をした事になっていたのです。
6月29日からM新聞が入り、翌日、おかしいと母が朝に配達の人を待って返した事で、契約が発覚しました。
母は、いつもの集金の人が『もう終わりだから、こことここにサインして』と言われて書いたと言います。
集金の人を呼んで話し合いをしましたが、「きちんと契約書である事を言い、サインして貰った」と集金の人は言い、母は、「そんな事一言も言ってない」と言って水掛け論になりました。
仕方ないのでその場は帰ってもらい、翌日、母に市役所(居住している市内には消費者センターがないので)に行かせ相談させたのですが、販売店の社長は「6カ月の契約なので、3カ月は購読してもらわないと困る。支払いをしない場合は訴える」とこっちには契約書があるからとかなり強気なようなのです。
居住が北海道なので、長年H新聞を取っていたのですが、値段が安いからとM新聞を取ってみたものの、なかなか見慣れず、北海道の記事も少ない、近所のスーパーのちらしが少ないとの事から、もうM新聞は止めようと母と話していたので、契約書にサインしたのも契約書だとは判らず、多分、母が話す通り偽りを言われて書いたものだと思うのです。
こんな場合はどうしようもないのでしょうか?
母は77才です。市役所に持たせた紙には、特定商取引違反なのではないかと言う事も書いたのですが、市役所でもどうしたら良いのか、あと2-3日時間がほしいと言ってるようです。
たとえば、M新聞の北海道支社に電話するとか、新聞公正取引協議会に電話するとかで、解決できるものなのでしょうか?
どうぞ、解答を宜しくお願い致します。
回答者 ゲン
このケースは、そちらの主張を聞く限り、あんたの言われるとおり『特定商取引に関する法律』に抵触する可能性がかなり高いと思われる。
『市役所に持たせた紙には、特定商取引違反なのではないかと言う事も書いた』というのは、具体的にはどのような文書を書かれたのやろうか。
ワシが、これから『特定商取引に関する法律』に抵触する可能性が高いと思われる内容について説明するので、それと比べてほしい。
2009年12月1日。『特定商取引に関する法律』の改正法が施行された。
この改正法の第3条ノ2第1項「勧誘の意志の確認」で、
販売事業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その相手側に対し、勧誘を受ける意志があることを確認するよう努めなければならない。
と規定された。
これにより、これからは、「新聞の勧誘をさせて頂きますけど、よろしいでしょうか」と確認してからでないと勧誘したらあかんということになったわけや。
それからすると、お母さんは『いつもの集金の人が『もう終わりだから、こことここにサインして』と言われて書いたというのが、新聞販売店の主張が『6カ月の契約なので』ということなら、契約書やったということになる。
これは、あんたの言われるとおり、『契約書にサインしたのも契約書だとは判らず、多分、母が話す通り偽りを言われて書いたもの』だとしたら、この法律の『第3条ノ2第1項「勧誘の意志の確認」』をしていないということになる。
また、あんたのケースはこの法律の「不実の告知」の禁止および、消費者契約法の「不実の告知」にも抵触するものと考えられる。
『虚偽や事実と異なる説明をすることで、告げている内容が客観的に事実と異なっていればすべて違反となる』というのが、それや。
この法律が施行される以前までなら、『集金の人を呼んで話し合いをしましたが、「きちんと契約書である事を言い、サインして貰った」と集金の人は言い、母は、「そんな事一言も言ってない」』という水掛け論になった場合、どちらかと言うと契約者側が、その事実を立証せなあかんということで不利やった。
しかし、今は違う。お母さんが、あくまでも『契約書とは知らなかった。契約書とは一言も言ってない』と主張すれば、その意見の方が取り上げられる可能性が高い。
『特定商取引に関する法律』の改正法が国会で可決された直後、新聞セールスインフォメーションセンター(旧・新聞セールス近代化センター)が『新聞協会が特商法改正ふまえ自浄努力の具体策』というのをを発表している。
それ以降、一般購読者からの苦情を取り上げる際、その主張を重視するケースが多くなったということがある。つまり、水掛け論になったら、一般購読者の主張を優先するという方向になったということや。
それに加えて、あんたの場合、『居住が北海道なので、長年H新聞を取っていたのですが、値段が安いからとM新聞を取ってみたものの、なかなか見慣れず、北海道の記事も少ない、近所のスーパーのちらしが少ないとの事から、もうM新聞は止めようと母と話していた』というのは、その契約を継続する意志がなかったという裏付けになる。
『M新聞を昨年7月から12月迄、私が契約し、購読』していたにも関わらず、その契約が切れた直後の12月7日付(後に契約書で確認)で、母の名前で今年の7月から12月迄の購読契約をした事になっていた』というのは、不自然極まりないことやと思う。
普通は、その家の家人が契約している場合、「止め押し」というて、その契約者に継続依頼をするのが普通や。その場合は、当然、その契約開始は昨年の12月ということになる。
それをあんたに拒否された、あるいはその販売店が勝手に拒否されると考えたのかのいずれかは良う知らんが、あんたへの契約はあきらめざるを得なかったと考えられる。
そこでお母さんに『もう終わりだから、こことここにサインして』と言うて、契約書と知られずその契約書に、契約者の名前を変更してあたかも新規に契約したかのような偽装工作をした。
おそらく、そのときには、本来契約書なら渡すべき控えも受け取ってないのやろうと思う。もっとも、その販売店にすれば、「その控えも渡したし、契約者がなくしただけやないか」と主張するつもりなのかも知れんがな。
そういった稚拙な言い訳に終始する連中は多い。
そう考えた方が、この業界に長く携わり、こういったQ&Aを長年続けているワシにすれば、よほど納得できることやと言える。実際、それに似たケースの相談事例はいくつもあるさかいな。
一般的に、新聞販売店は「家」に配達するという意識が強く、その家人からの名義変更依頼でもない限り、その名前を変えてまで契約書を新に作るということはせんもんや。
しかも、それが、その家の世帯主でもなさそうな77歳のご高齢のお母さんというのでは、あまりにも不自然やし、その契約が、7ヶ月後の『今年の7月から12月迄の購読契約』をしたというのは、あんたの方の状況を考えれば、あり得んことやと言うしかない。
そうする必然性があまりにもに乏しい。あるとすれば、勧誘員が「てんぷら(架空契約)」で使うくらいなものや。このケースも、当初はその集金人が契約ほしさに、そうしただけなのかも知れんという気がする。
これは、その直後なら、それがバレやすいが、先の契約にすれば何とかごまかせるやろうというのが透けて見えることやさかいな。事実、そのごましに頼っとるのが今やと考えられる。
以上の点から客観的に考えて、その販売店の集金人が、お母さんに『もう終わりだから、こことここにサインして』とええ加減なことを言うて騙して契約書にサインさせた確率は限りなく高いと思われる。
客観的に事実と異なっていると判断されれば、「不実の告知」の成立要件を満たすことになる。今回のケースは、まさにそれやと言える。
『支払いをしない場合は訴える』と、その販売店は強気なようやが、民事裁判において、水掛け論に終始した場合、この客観的事実というのは、その判決に大きく左右するさかい、絶対とは言い切れんまでも、あんたの側にかなり有利な裁定が下されるやろうとは思う。
民事裁判に持ち込めば勝てる可能性、つまり、その販売店が「不実の告知」をしたとされる確率が高くなるはずや。
あんたとお母さん次第やが、その強気な販売店に対して「受けて立つ」ということでもええのやないかな。
こういった、あんたの側に非がなく、相手がウソを言うてるのが明白やという自信のある場合は一歩も引かんという強気の姿勢で臨んだ方が好結果を生む場合が多い。
何事も真実に勝るものはない。そう固く信じることや。それが一番の武器になる。
『市役所でもどうしたら良いのか、あと2-3日時間がほしいと言ってるようです』というのは、おそらく、その地域を管轄する国民生活センターあたりに、あんたの事例について判断を仰いでいるのやないかと思う。
せやから、あんたが『市役所に持たせた紙には、特定商取引違反なのではないか』と言うたことと、ワシの説明を見比べて、何か補足することがあれば、それを再度、その役所に知らせるのでもええ。
また、その地域を管轄する国民生活センターの所在を調べて電話で相談するのでもええと思う。
『M新聞の北海道支社に電話する』というのは、「契約事のもつれ」として受け取られるさかい、どうかなという気がする。新聞社は、基本的には購読者との契約事にはタッチせんという建前があるさかいな。
「その件は、その販売店と良く話し合ってください」と茶を濁されるのが関の山やないかと思う。もっとも、中には親身に相談に乗ってくれる担当者もいとるが、あまりそういった過度な期待はせん方がええと言うとく。
それでも、苦情を言うという程度でも、その販売店にとってはプレッシャーになることもあるさかい、それなりに効果が望めるかも知れんがな。
あんたの場合は連絡するのなら、『新聞公正取引協議会』、もしくは先に挙げた『新聞セールスインフォメーションセンター』の方がええのやないかと思う。
そのときに「不実の告知」を訴えれば、過去の事案からも有利に事が運ぶ可能性が高いと考えるさかいな。
最後に、訴訟も辞さずということであれば、「その契約は不実の告知によりなされたもので認められない。よって新聞を配達されても受け取りは拒否するし、その代金の支払いには応じない」と、契約名義人である、お母さんの名前で内容証明郵便を出し、その意志をちゃんと伝えといた方がええ。
まあ、この業界で、購読者相手に訴訟を起こしたというケースは、今のところ皆無やさかい、それは脅し程度に言うてるだけのことで、まず訴訟に持ち込むケースはないと思う。
もっとも、実際にそういう手段に出てきたとしても、そのときにはそれなりの対処がいくらでもあるさかい、その危惧が生じたときにでも、また別途、知らせてくれたらええがな。
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