新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1046 詐欺師よばわりされました


投稿者 qq さん  投稿日時 2011.8. 1 PM 11:44


新聞契約の事で相談です。

先週自宅に新聞販売店の営業マンが祖父が書いたと言う契約書を持って来て「3年後に新聞を持ってきますから」といわれました。

契約書を見てみると祖父の字ではありませんでしたが、印鑑が当家の名前になってました。

祖父は亡くなっており、家に住んでいる祖母は目も悪く、新聞はもういらないと言っています。祖母は断ることができないので、私(孫)が新聞販売店に電話しました。

「契約のキャンセルはできないのですか?」と聞くと、「今、自宅で別の新聞とっているじゃないですか?なんでキャンセルするのですか?」といわれました。

私は、「契約者の祖父もなくなっているし、書いているのは、祖父じゃありません。だから、キャンセルさせてください」といいました。

すると「じゃあ、担当者とあなたの、おじいちゃんとお婆ちゃんがぐるになって、詐欺をしたってことで被害届をだしますね」と、私のおじいちゃんとお婆ちゃんを詐欺師よばわりされました。

祖母がもう家に来てほしくないと言っているのですが、どうしても契約破棄できないのでしょうか?

平成15年に契約書を書いていて、3年後の平成26年から配達するそうです。


回答者 ゲン


『私のおじいちゃんとお婆ちゃんを詐欺師よばわりされました』ということやが、「盗っ人猛々しい」とは、まさにその販売店の事やな。

『契約書を見てみると祖父の字ではありませんでした』というのは、そもそもが偽造契約書の可能性が高く、業界では俗に「てんぷら(架空契約)」と呼ばれとるものや。

契約書には「自署(自筆)」でサインするというのが絶対の条件で、その自署の筆跡が違う場合は、その契約者本人がその契約が間違いないと認めたときくらいなものやが、現在その契約者が亡くなられているわけやから、今となってはその意志を確かめ、証明する術はない。

はっきり分かっているのは、契約者の筆跡が違うという事実だけや。

つまり、その契約書とやらは法的には契約書の体をなしてないということになる。

『じゃあ、担当者とあなたの、おじいちゃんとお婆ちゃんがぐるになって、詐欺をしたってことで被害届をだしますね』というのは、何の根拠もない言いががりにすぎん。そんなもの相手にする必要はない。

万が一、その『被害届』を出した場合、墓穴を掘ることになるのは、間違いなくその販売店の方や。

その販売店の言う『担当者』というのは、その販売店の社員、もしくはその依頼を受けた勧誘員なわけや。対外的には、その販売店を代表して訪れた営業員で身内の人間ということになる。

当然やが法律上も、その営業員である『担当者』の行為は、その販売店が行ったものとして扱われる。

もっとも、業界では、その営業員である『担当者』は、営業専門会社、俗に言う「拡張団」の拡張員ということで、販売店とは別会社の人間という意識が強いから、そう言うのやろうが、法律でそれが認められることは絶対にない。同じとみなされる。

その販売店が訴えることのできる相手は、不法行為をしたと考えられる、その『担当者』だけや。責めるのなら、まずその人間を責めるのが筋や。

それもせず、その当事者であり、責任者でもある販売店が、詐欺罪で契約者を告訴することなどできるはずがない。そうすることは自らが『詐欺師です』と広言するようなもんやさかいな。

これを一般に置き換えれば、自社の社員の行った不法行為による契約を相手方に認めろと迫っているのと同じことになる。そんなバカな話が世の中で通用するわけがない。

まあ、これは、あくまでもポーズで、そうすることは、ほとんどない。というか、そういう話は聞いたこともない。そう言えば、そちらが仕方ないと折れると考えて言うたことやろうと思う。言うて、それが通れば儲けモノという程度の感覚でな。

そんな戯言(たわごと)など気にせず、「どうぞ、お好きなようにしてください。それでしたら、こちらは刑法第159条の私文書偽造等の罪でそちらを告訴しますから」と切り返せばええ。

今回のケースでは、その刑法第159条の私文書偽造等に該当する可能性が高いさかい、それが適用されると、3ヶ月以上5年以下の懲役に処するという規定がある。軽い罪やない。

そもそも、その販売店自身、その契約には自信がなかったのやないかと思われる。

今回のような先付け契約の配達開始予告というのは、その1ヶ月前くらいに契約者に通知するのが普通や。それを『3年後に新聞を持ってきますから』と、わざわざそんな先のことを言いに来たというのは理解に苦しむ。

そんな話は初めて聞いた。

当たり前やが、その販売店がその契約に自信を持っているのなら、その契約開始間近になって通知すればええことや。

そうできん何かがあったと考えるべきやろうな。その何かは分からんが、その販売店にとって不利なことには間違いない。せやからこそ、その契約が心配になって連絡してきた。そんなところやと思う。

『どうしても契約破棄できないのでしょうか?』というのは、もう分かったと思うが、契約自体が無効なものやから、契約破棄は簡単にできる。そう通告するだけでええ。

ただ、それではすっきりせん、心配やと言われるのなら、多少費用はかかるが、その販売店に内容証明郵便で、


通知書

平成15年○月○日に故○○(祖父名)が、貴社営業員と交わしたと言われる新聞購読契約書は、故○○(祖父名)の筆跡とは明らかに違い、刑法第159条の私文書偽造等に該当する違法行為のもとに為された契約書であるため、当方としては認められませんので、ここにその契約の無効を通知致します。


といった内容の文面を、祖母名で出しておくのも手や。

こうしておけば、その意志を伝えたものとして、万が一、その販売店が詐欺で訴えたとしても勝てる可能性が高く、また実際に3年後の平成26年から新聞を配達することになっても、その契約を拒否したという法的な証拠にもなる。

まあ、そこまでするのが面倒やったら、電話でそのことを伝えてもええがな。そのときには、その電話の会話の内容を忘れずに録音しときや。後で、それが役に立つさかい。

もちろん、内容証明郵便なら、郵便局という第三者機関にその内容が証拠として残るから、まずあり得んことやけど万が一、その販売店が訴訟行為を起こしたときには、それが有利に働くと思う。

どちらを選ぶかは、そちらの判断でええ。いずれにしても、その契約が法的に認められることはまずないから、あまり心配せんでもええ。

それと、こういうことで、その販売店に『契約のキャンセルはできないのですか?』と聞けば、相手は必ず『できない』と答えるさかい、そんな押し問答はするだけ無駄やと言うとく。

無効な契約は無効と伝えるだけでええ。それ以上は相手をする必要はない。


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