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NO.1047 自筆でない契約書について


投稿者 Mさん  新聞販売店経営  投稿日時 2011.8. 4 PM 2:58 


ゲンさん、ハカセさんはじめまして、新聞販売店を経営しているMと申します。

自筆でない契約書について思うことがあったのでメールさせて頂きました。

私が契約を頂く時に老眼鏡を取りに行くのがめんどくさい、字が汚い等の理由から『書いといて』と言われることがあります。

それが契約書においてダメなことは分かっています。しかしそういったお客様がいることも確かです。

メルマガ読者さんから相談を受けた場合にそういった可能性があることも付け加えて欲しいのです。

ただ、ゲンさん、ハカセさんにその事例を書いてもらうと、頼んで書いてもらった可能性があるなら泣き寝入りしとこうかというお客様が出てくるもしれません。

そしてそれはてんぷらの助長になるかもしれませんし、そうなると私も本意ではありません。

このことについて一度お考え頂けたらと思います。よろしくお願いします。


回答者 ゲン


『自筆でない契約書について思うことがあったのでメールさせて頂きました』というのは、『NO.1046 詐欺師よばわりされました』を見られてのことやと思うので、そのつもりで回答させて頂く。

『私が契約を頂く時に老眼鏡を取りに行くのがめんどくさい、字が汚い等の理由から『書いといて』と言われることがあります』というのは、ワシもたまにある。

それについては、その『NO.1046』の中でも『自署の筆跡が違う場合は、その契約者本人がその契約が間違いないと認めたときくらいなものや』と言うてるが、契約者がそれと認めれば何の問題もない。

あんたの言うように『老眼鏡を取りに行くのがめんどくさい、字が汚い等の理由』で代筆を依頼した契約者が、「自分の筆跡とは違うから、その契約は認められん」と言うようなことは、まずないはずや。

たいていの場合、その契約はそのまま何の問題もなく履行される。

ただ、この『NO.1046』のケースは、その契約者が亡くなられとるさかい、それを確かめる術がないという点が問題やったわけや。

新聞の購読契約というのは基本的には、契約者と販売店との間で交わされて成立するものや。

それからすると、本来なら契約者の死亡をもって、その契約は終了せなあかんと考えられる。

もちろん、その家族から異論が出なければ、そのまま契約を続行しても構わんがな。

しかし、家族が拒否すれば、ワシらの方、少なくともワシの所属する販売店では、その契約はあきらめるようにしとる。もしくは、残った家族を説得して、契約を続行、または新たな契約を結ぶ努力をする。

また、その契約が残り少ないようやと、「ご主人(お父さん)が、当方の新聞を好きだったのでご供養のためにも、その残りの契約期間は購読して頂けませんか」とお願いしてみる。

それでもダメだと拒否されれば、それ以上は何も言わず、あきらめる。

無理をして契約を続行させても、その相手には悪い印象だけしか残らず、世間体も悪く、評判を落とすだけで結果的にはマイナスになる場合が多いと判断するさかいな。

今回のように、高齢者に対して平成15年に平成26年からの契約という11年も先の契約を結ぶというのは、その頃には亡くなられているかも知れんというリスクを承知していたはずや。またしてなあかんわな。

そんな契約に固執し、その契約者の筆跡でもない契約書を示して『じゃあ、担当者とあなたの、おじいちゃんとお婆ちゃんがぐるになって、詐欺をしたってことで被害届をだしますね』と残った遺族にその契約を押しつけようとしたことに対して、ワシは無性に腹が立ったわけや。

その契約は、あくまでも、その販売店がリスクを背負うべきもので、遺族には何ら責任のあることやないさかいな。

それが、その回答の冒頭で『「盗っ人猛々しい」とは、まさにその販売店の事やな』という物言いにつながったわけや。

そんな輩には、「自筆の署名のない契約は法律上は無効やから、あきらめろ」という気になる。また、そういうことをする愚を他の新聞販売店の人にも悟ってほしいと考えた故の回答やった。

ただ、新聞販売店の中には、新聞は家に配達しているという意識が強いためか、例えその契約者が死んでも、その家族が残っていたら契約は履行されるべきものやと考える者がいるというのはよく聞く話や。

しかし、その考えは間違っている。法律上の契約行為は、あくまでも契約者と事業者、もしくは当事者間のみで有効なものやさかいな。家やその家族には、まったく関わり合いのないものや。

それでも、その契約者の自筆のサインがあれば、その奥さんが健在な場合なら、民法第761条の「夫婦の日常の家事に関する債務の連帯責任」というのに該当する可能性があり、その奥さんはその契約は守らなあかんと考えられる。

このケースは、それとは違い、契約自体が無効と考えるしかない事案なわけや。

『メルマガ読者さんから相談を受けた場合にそういった可能性があることも付け加えて欲しいのです』というのは、その契約が有効な場合には、そうしたいと思う。

ただ、その契約者が亡くなられてしまった状態では『代筆を依頼した契約者』が、本当にそうやったのかどうかが分からん以上、そう記述するのは難しいと言うしかない。

何度も言うが、ワシは契約者が死亡して、その家族が、その契約を引き継ぐのを拒否した場合は、その契約はあきらめるべきやという考えの人間やさかいな。

根本的なことやが、新聞は契約した人が読むもので、家が読むものでも嫌がる他の家族が読むものでもないと思うしな。

また、あんたの懸念する『頼んで書いてもらった可能性があるなら泣き寝入りしとこうかというお客様が出てくるもしれません』というのも、あんた同様、ワシも本意とするところやない。読者にそういう誤解をされても困る。

『そしてそれはてんぷらの助長になるかもしれません』というのは、基本的には、経営者である、あんた、もしくは信頼できる従業員が取ってきた契約以外は、「契約者の自筆の契約以外は認められない」という風にすれば解決できるのやないかな。

ワシらの方の販売店では、たいてい皆、そうしとるがな。それがあるから、拡張員も、そういう契約者に対しては「名前だけでも書いてください」とか、印鑑を押す場所に「名前のサインをください」と言うように義務づけとるわけや。それでないと、その契約は認められないと。

さらに、監査の電話をかけた際、その契約が怪しげやと感じたら『代筆を依頼されましたか』と確認するようにしとる販売店も多い。

それくらい徹底すれば、てんぷらの心配はせんでもええのやないかと思う。

最後に、このQ&Aは、その相談、質問毎に最もベターと思える回答をするように心掛けとるさかい、その時々の回答で判断してほしいと言うとく。

同じような回答をしていたとしても、質問者の状況が違えば、その受け取り方は大きく違うてくるさかいな。

ただ、こういった質問、問題提起をして頂くことは本当に有り難いと考えとるので、また何かあれば遠慮なく言うてほしいと思う。


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