新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1052 将来的に新聞のセールスとしての仕事の需要はあるのでしょうか


投稿者 &nbs p;さん  投稿日時 2011.8.17 PM 11:43


大学生で新聞の継続のお願いをするアルバイトをしているものです。

2年ほど前にこちらで営業の仕方などを相談させて頂き、お世話になりました。

今回は就職活動について助言を頂きたく思い、メールをしました。

私は2年半ほど営業のアルバイトを続けてきまして、新聞の営業に魅力を感じ今後も仕事として続けていきたいと感じるようになりました。

魅力は主に以下の理由です。

・契約を取れたときの高揚感、ライバルに勝ったときの満足感など仕事の遣り甲斐がある。

・癖のある人も多いですが、ゲンさんも含め人として魅力的な人が多く、自分もそうなりたいという思いがある。

・アルバイトからY新聞本社の傘下にある子会社への正社員(セールス)としてすぐに雇用してもらえる。そこそこの給料と本社と同様の福利厚生があり、ある程度充実している。

しかし、不安もあります。

これからの新聞業界のパイは確実に少なくなっていくと思いますし、そうすると将来セールスの行き場もなくなるのではないかと考えてしまいます。

そこで質問ですが

・私が定年を迎える40年ほどの間に、新聞のセールスとしての仕事の需要は残っているのでしょうか。

・また需要がなかった場合、他業界への転職など潰しのきく職業でしょうか。(以前ゲンさんは不動産関係の営業をされていたというのを何処かで見た事があるので、不動産関係などどうでしょうか。)

あくまで推測でかまいません。

宜しくお願い致します。


回答者 ゲン


『私は2年半ほど営業のアルバイトを続けてきまして、新聞の営業に魅力を感じ今後も仕事として続けていきたいと感じるようになりました』という意志は尊重したい。

新聞の拡張を良う知った上で、そう言われておられるのやさかいな。この業界にとっては得難い貴重な人材やと思う。

この業界のためには、そういう人材は是非ともほしいが、将来に希望が持てる仕事かどうかということになると、残念ながら、今の状態のままでは厳しいと言わざるを得ない。

甘い見通しを言うのは、あんたのためにもならんと考えるので、多少、あんたの気持ちが削がれるかも知れんが、正直なところを伝えたいと思う。

但し、それには多分にワシの想像、推測が含まれてのことやさかい、『あくまで推測でかまいません』ということで良ければ聞いてほしい。

あんたが、『これからの新聞業界のパイは確実に少なくなっていくと思いますし、そうすると将来セールスの行き場もなくなるのではないかと考えてしまいます』と言われているとおりになりかねんと、ワシも思う。

『私が定年を迎える40年ほどの間』という先の話になると、あらゆる事が想定される。それもかなり実現性の高いことが。

現在の状況を冷静に分析すれば、少子化で確実に日本の人口は減っていってるし、最も新聞購読率の高いと言われている高齢者の方々が、毎年100万人近くも亡くなられているという現実がある。

また、インターネットに情報の依存をする「無読」と呼ばれる新聞を購読しないという人々が確実に増えつつある。

さらに、企業の新聞紙面にかけていた広告費が極端に減少しているというのも各新聞社にとっては大きな問題で、現在、どこの新聞社も軒並み赤字経営を強いられている。

その分、営業に裂く経費も減り、それが拡張団や販売店への拡張報奨金の減少につながっとると聞く。それ故、勧誘員の極端な減少を招いていると。

「新聞は売り込まな売れん」というワシの持論からすれば、その分の痛手は大きいと言うしかない。

すべての事柄が新聞業界にとってマイナスの方向に向かっとると。

このままの状態が推移するとしても、新聞の購読者数は40年後には確実に半減以下になるのやないかと思う。その分、確実にパイは減るし、小さくなる。

加えて、これが一番大きなことかも知れんが、日本の新聞には世界でも類を見ない「再販制度」というものがあり、法律で守られているが、時代がいつまでもそれに味方するとは限らん。

このままの状態が推移すれば、遅かれ早かれ、新聞の「再販制度」の撤廃というのは十分考えられることや。そうなれば必然的に新聞の「宅配制度」というのも崩壊する。

日本では新聞に「宅配制度」が存在するのは当たり前のことやとされとるが、良う考えれば、一つの商品について一つの商店だけでしか特別に安く、しかも宅配サービス付きの物が買えんというのは、新聞にしかないことや。

それは「独占禁止法」の理念に反することになる。「すべての商品は公平に売買されるべき」ということからすれば、それは本来あってはならんことやさかいな。

その矛盾があるために、特例として新聞が「再販制度」に指定されとるわけやが、矛盾はどこまでいっても矛盾で、それを存続させるべき正当な理由となると正直分かりにくいとしか言いようがない部分があまりにも多い。

多分に新聞社の都合のみが優先され、その巨大化した力によって政治が影響を受けた結果、今以て新聞が「再販制度」に指定され続けとると言える。

2006年に「新聞特殊指定の見直し」問題というのが起きたが、そのときには新聞社側の政治家に対する働きかけが功を奏して、結局、「結論は先送り」という形になったと言われている。

それには、新聞社にはまだ純然たる力があったからで、先にも言うたように、現在、日々その部数減と共にその力が弱まりつつある新聞社に、その「再販制度」を維持できるほどの力がいつまで持続するのかとなると、何とも言えん。

数年のうちに新聞の「再販制度」が撤廃されてもおかしくはないし、10年後にも存続しとるかも知れん。

ただ、そう長くは続かんやろうというのは予想できるがな。

「再販制度」が撤廃されれば、宅配制度もなくなる。そうなれば新聞社の存続自体が危うくなる。つぶれないまでも、その規模は確実に縮小されるのは間違いないと思う。

しかし、それでも新聞がなくなることはないというのは断言できる。新聞という媒体はなくてはならんものや。

政治の腐敗や企業の犯罪などの暴露をするのは新聞以外には考えにくいし、新聞があるからこそ、そういった腐敗や犯罪も抑制されとると思う。

現在、もし新聞に取って代わるものがあるとすれば、インターネットということになるが、残念ながら、インターネット上の記述は、新聞ほどの成熟度がない。その文章からして稚拙なものが多すぎる。

その形態は変わることになるかも知れんが、いつの時代になっても新聞は必要な情報媒体であり続けると思う。また、そうでなければ人類にとっても未来はない。それくらい重要な存在やと確信する。

40年後の未来ということになると、そこまで考えなあかんが、今のあんたには、そこまでの未来を考えて憂う必要はないと思う。

所詮、未来は未来で予想してもそのとおりになるとは限らんものやさかいな。

それよりも人にとって大切なことは、今できることをしっかりやるということやないかと思う。

未来を憂うあまり、今何もできんと躊躇したり、あきらめたりする者には、その未来すらないと考えるさかいな。

これは何も、その『Y新聞本社の傘下にある子会社への正社員(セールス)』を、そのままやれという話やない。どうするかは、あんたが判断すればええことやさかいな。

何事も決断するには勇気がいる。しかし、男が一旦、決断したら、その道を信じて突き進むことや。

そうすれば、必ず道は開けてくる。例え、新聞業界がなくなることになっても、その道で頑張った者は、それなりに自信が得られとるはずや。

『他業界への転職など潰しのきく職業でしょうか』ということやが、営業の仕事自体は人類が滅ぶまでは絶対になくならんと断言できるさかい、そのノウハウは他業種でも必ず活かせると思う。

但し、新聞営業特有の不法行為にどっぷりと浸かっとる者では救いがないがな。

あんたのように純粋に営業の神髄を探し求めたいという人なら、どんな営業に就いても大成すると保証する。大成せんわけがない。

『以前ゲンさんは不動産関係の営業をされていたというのを何処かで見た事がある』というのは、正確には建築会社の営業や。まあ、営業という面から捉えたら、どちらでも大差ないかも知れんがな。

その建築の営業で25年やった経験を、この新聞の拡張営業にも活かせることができたと自負しとる。もちろん、それぞれの分野で異なるところは多々あるが、基本的に「お客に買って頂くための営業」という点では同じや。

何事も、その道のエキスパートになれば、必ずその経験は役立つ。それは、そのエキスパートになるのは簡単なことやなく、それなりに苦労した結果やからや。

その気持ちさえあれば何をしても必ず成功する。そう信じることや。

確かに、この業界は厳しい。しかし、どんなに厳しいところでも生き抜く術は必ずある。人間の世界とは、そんなものや。あまり深刻に考える必要はないと思う。

あんたの信じる道を突き進めばええ。ワシみたいな者でも何かの足しになるようなことがあれば、いつでも相談してくれたらええさかいな。ほな、頑張って。


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