新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1058 何がだめなのか分かりません
投稿者 yoss さん 投降日時 2011.9.12 PM 10:28
はじめまして僕も拡張員でいつもこのサイトを見てます。
「3ヶ月以上で一ヶ月分無料でサービスしてます」とか「年末サービスで今年いっぱいまでY読んでもらってます」とか「文科省の新聞教育でY新聞すすめているんですけど今A新聞でお決まりですか?」でやってるんですけどカードは全く伸びなくて一ヶ月で七枚です。
先輩にも色々教えてもらってるし、この職場は好きなんですけど成績が悪すぎて辞めようか迷ってます。
1日300から400叩いてて6時頃から走ってます。正直叩いてる数は拡張員で一番です。
何がだめなのかホントに分からなくて会社でナンバーワンの人にも相談したし、あまりにも揚がらなくて泣きながら叩いたこともあります。
僕は会社で一番の人間じゃないし、口も上手くないので頭下げるかサービスでとってもらうしかないんです。
これだけやっても揚がらないからセールスに向いてないのかもしれません。
先輩も口に出さないですけど僕の前の仕事の話とか聞いてくるんでたぶんそう思ってます。
長くなってしまったんですがゲンさんのアドバイスをください。
今はどうしたら揚がるのか自分の事しか考えられないです。
先輩と後輩にも気を使わせてるのも分かってるんですがどうしようもないんです。
よろしくお願いします。
回答者 ゲン
あんたは相談文から、かなり必死になって取り組んでおられるというのは良う伝わってくるが、この拡張の仕事は頑張ったからといって必ず報われるというもんでもない。
必死になればなるほど、却ってその姿勢に引く客も多い。
「マッチ売りの少女」という話がある。
小さな少女が一人、年末の寒空の下でマッチを売っていた。マッチが売れなければ父親に叱られるので、すべて売り切るまでは家には帰れない。
しかし、道行く人々は、少女の必死の売り込みには目もくれず通り過ぎる。
夜も更け、マッチがまったく売れない少女は帰るに帰れず、少しでも暖まろうとしてマッチに火を点けた。
夜空を見上げて流れ星が流れるのを見た少女は、可愛がってくれた今は亡き祖母が「流れ星は誰かの命が消えようとしているのよ」と言った言葉を思い出した。
次のマッチをすると、その祖母の幻影が現れた。マッチの炎が消えると、祖母も消えてしまうことを恐れた少女は慌てて持っていたマッチを次から次へと点けた。
結局、すべてのマッチを燃やしてしまった。その後、寒さに耐えきれなくなった少女はその場に倒れる。
少女はその祖母の幻影に優しく抱きしめながら天国へと昇っていった。
翌朝、人々が見つけたのは、マッチの燃えカスを抱えて幸せそうに微笑む、少女の小さな屍(しかばね)であった。
というものや。
哀しい童話として後世に残っている。
もちろん、この話は作者の創作で事実やない。多くの人を感動させた話に水を差すようで少し気が引けるが、営業、つまり物を売るということに対して、まったくの素人やったために、こういう話を作ることができたのやろうと思う。
この物語が作られた1848年当時は、マッチというのは結構、生活必需品としても重宝されていて、けっして売れない物やなかったという。
作者のアンデルセンには営業の心得がなかったから、ある意味、仕方なかったんやが、こんなに切羽詰まった悲壮感を漂わせていては売れる物も売れんわな。
きついようやが、物売りとしては失格や。
この場合、少女はどうしたら良かったか。
ワシなら、「満面の笑みを浮かべながら売りなさい」と言う。
道行く人に笑顔で「このマッチで火を灯せば、いいことがありますよ」、あるいは「あなたに幸せをお届けするマッチですよ」と言うのも効果があると。
現在、子役タレントの芦田愛菜ちゃんがなぜ多くの人から「可愛い」と言われ人気を博しているかと言えば、それは彼女の愛くるしい笑顔があるためやと思う。
おそらくその芦田愛菜ちゃんが、その当時、あの可愛らしい笑顔をふりまいてマッチを売っていたら必ず売れたと確信する。
辛いときに笑うというのは確かに難しい。しかし、営業員ならそれができんようではあかん。
実は、ワシもこの仕事を始めた頃は、それまで建築屋で20年ほどの営業経験がありながら、あんたと同じように必死になりすぎたあまり、まったく売れず、そのままではメシも食えず行き倒れを覚悟したことすらあった。
その話は、『新聞勧誘・拡張ショート・ショート・短編集 第3話 命の笑い』 にあるさかい、まだなら読んでみられるとええ。
それを救ってくれたのが、善さんという人やった。
その人の教えは単純明快。ただ笑えということだけやった。大勢の人が見ている公園のど真ん中で大笑いしろと。
やけくそになったワシは、そのとおりにして何かが吹っ切れた。それで変われた。
天性のアホやない限り、誰でも羞恥心はある。しかし、それを気にしとったら、営業はできん。「身を捨てる覚悟」大袈裟に言えば、そんな心構えが必要やと思う。
もう分かったと思うが、あんたの姿はそのまま相手に伝わるということや。
「マッチ売りの少女」の悲壮感では相手の購買意欲を掻き立てるのは難しい。
『あまりにも揚がらなくて泣きながら叩いたこともあります』という気持ちは分からんでもないが、そういう悲壮感は営業員なら他人には絶対見せたらあかん。
どんなときにも笑顔で客と接する。それでしか物は売れんと知ってほしい。
『口も上手くないので頭下げるかサービスでとってもらうしかないんです』という思い込みも良うない。もっと視野を広げてほしい。そうすれば今まで見えんかったものも見えてくるはずや。
そのための参考なら『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』 にあるから一読してみてほしいと思う。
『先輩も口に出さないですけど僕の前の仕事の話とか聞いてくるんでたぶんそう思ってます』というのは、その先輩のことを誤解されとるのやないかなという気がする。
あんたの前職、つまり経験によってできる営業法というのが人それぞれにある。
例えば、つい最近の相談に『NO.1056 何かいいアドバイス教えて下さい』 というのがあるが、その相談者は前職が、パチンコ店に勤めておられると言うてた。
そこで、ワシは、
あんたは『以前はパチンコ屋で働いてました』と言われとるが、それを営業トークとして使われたらどうかと思う。
あんたのその知識とターゲット次第では効果があるのやないかと考える。
拡張員が毎日パチンコをしていてプロ並の腕があると言うても、疑われたり否定されたりされることはまずない。さもありなん、というのが世間一般の反応であり認識や。
ましてやあんたは、『以前はパチンコ屋で働いてました』ということやから、その内幕も良う知っておられるはずや。
それを利用して営業トークに活かすことを考える。
言えば、「マル秘テクニック教えます」という感じやな。パチンコ好きな人間なら食いついてくる可能性は高い。
その方面では、あんたもプロやったんやから、どういう人間がパチンコ屋に良う来ていたかくらいは分かっていると思う。つまり、ターゲットを絞りやすいということやな。
そういう人間を見つけたら、まず軽く雑談する。それで脈がありそうやなと思うたら、新聞を売り込む前に、その話をするわけや。そして、それに乗ってきそうやったら、そのテクニックを教えるからと持ちかければ、客を確保できる可能性も高くなるかも知れん。
実際、そういうのを専門にやっとる者もいとるさかいな。
と言うた。
人は誰でもそれまでの人生というのがある。当然、それぞれの経験も知識も違う。営業では、使い方によればそれらを有効に活かせることができる。
その意味で、その先輩はそう聞いたのやないかと思う。
『今はどうしたら揚がるのか自分の事しか考えられないです』というのも直した方がええな。
当たり前やが、営業は相手があって始めて成立する仕事や。自分のことしか考えられん人間、相手のことが考えられん人間に何かを売るというのは無理な話や。
営業員であるからには、相手の気持ちを思いやることができなあかん。
ワシはそう考えるがな。
「マッチ売りの少女」なら、まだ多少の悲壮感があっても絵になるが「マッチ売りのおっさん」では救いがないで。ホンマ。
『これだけやっても揚がらないからセールスに向いてないのかもしれません』とあきらめるのはいつでもできる。騙されたと思って一度やってみられることを勧める。
もちろん、どうされるかはあんた次第やけどな。
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