新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1063 臨配の人材派遣会社を立ち上げたい


投稿者 起業家さん 某新聞販売店店長  投稿日時 2011.10. 5 AM 7:20


いつも楽しいお話ありがとうございす。

わたしは、新聞販売店歴10年で、現在は某系統の店長をしています。

将来の独立を視野にいれていますが、できれば、新聞販売店ではなく、関連の会社を立ち上げたいと思っています。

ゲンさんは何度か拡張団を新規に作るのは難しいと言っていましたが、臨配の会社、今風に言うと人材派遣会社をやりたいと思っています。

新聞店の配達だけではなく、事務や販促(ポスティングやサンプル紙配布)までやる総合派遣会社です。

当然のなんらかの形で社との交渉は必要でしょうが、拡張団や拡材屋さんよりは、参入障壁は低く、需要があると踏んでいます。

げんさんの良きアドバイスをおきかせください。


回答者 ゲン


『臨配の会社、今風に言うと人材派遣会社をやりたいと思っています』ということやが、これも、それほど簡単なことやないと考えるがな。

そのための準備とか、条件などについて、あんたがどの程度知っておられるのか分からんが簡単に説明しとく。

まず、人材派遣会社を立ち上げるには厚生労働省の許可が必要になる。

人材派遣業の許可申請には「派遣元責任者講習」を受けていることが絶対の条件や。

現在、人材派遣業の許可申請の申し込みが多く、講習の予約がなかなか取れないということや。地域にもよるが数ヶ月待ちという所もザラにあると聞く。

この講習を受ければ3年間は許可申請ができる。その3年の間に他の条件を満たせばええ。

その他の人材派遣業の許可申請に必要とされている主な条件を列記する。

1.資産があること。一事業所について資産の総額から負債の総額を差し引いた額が2千万円以上あることと決められている。

そのうち負債額は資産の総額の7分の1以下と決められている。また、現金および預貯金が1500万円以上あることとされている。

これは派遣社員への安定した賃金の支払いができるよう、一定の財産基盤が要求されるためや。派遣先から得た収益で派遣社員に給料を払ったらええと考えとるようでは許可は下りんということやな。

当たり前やが、人材派遣会社は、派遣先からその代金を貰えんからと言うて、派遣社員に賃金を払わんというわけにはいかんさかいな。この理屈は、一般の会社でも同じで、得意先から集金できんから社員に給料を払えんでは通らんということや。

それをなくすための最低限の資産が必要やということやな。ちなみに、複数箇所で人材派遣業務をする場合は、その数に応じて資産額が、同じ割合で必要になる。

2.人材派遣会社の事務所は最低、20平方メートル以上と決められている。また、面接をする際の占有スペースがあることとされている。

3.開設する事業所の近辺に、風俗営業法の規制の対象となる風俗営業がないこと。

具体的には検査官の判断次第ということのようやが、同じ町内にそういったものがあるか、どうかは、実際に事務所を探すときには注意しとかなあかんということやな。

4.派遣社員の教育や研修について、施設、設備、体制が整っていること。義務づけた研修などで料金を取らないこと。

人材派遣事業の許可は、派遣社員の教育や研修を重要視しとるというから、そのための計画を十分錬って書面化しておく必要がある。

5.労働保険、社会保険の加入など派遣労働者の福利厚生が充実していること。

6.申請者の住所及び居所が一定し生活根拠が安定していること。

7.申請者が成年に達した後、3年以上雇用管理の経験がある。

これは、現在、あんたは店長をされておられるということやから、その経験が3年以上あれば許可の対象になるものと思う。

8.その他、法で適正と認められること。

未成年ではないこと。禁錮以上の刑に処せられたことがないこと。労働者派遣法、労働基準法、職業安定法、最低賃金法等に違反して罰金刑に処せられ、その執行を受けることがなくなって5年を経過しない者。成年被後見人、被補佐人、被補助者又は破産者。一般労働者派遣事業の許可を取り消されて5年を経過しない者などが、それになる。

この他にも細かな決まりはあるが、大体、これらがクリアできたら許可が得られて開業できるのやないかと思う。

『当然のなんらかの形で社との交渉は必要でしょうが』というのは、どうなんやろう。

一つの新聞社系列の販売店のみに、臨配(臨時配達員)を派遣するというのなら、その必要があるかも知れんが、それでは仕事の範囲を狭めるだけやないかな。

同じするのなら、すべての販売店を対象にした方が良さそうに思うがな。そうであるなら新聞販売店との交渉は不可欠やろうが、すべての新聞社に話を通すことまでは必要ないのやないかなという気がするけどな。新聞社は、もともと配達業務にはノータッチやさかいな。

『拡張団や拡材屋さんよりは、参入障壁は低く』と考えておられるようやが、地域にもよるが臨配の登録派遣会社というのも結構多いから、競争は厳しいのやないかと思う。

当然やが、臨配の必要な販売店というのは常にその確保をしとく必要があるから、常時使っている臨配派遣会社とは強固な付き合い、取引関係が出来上がっとるのが普通や。そういうところに割り込む難しさがある。

まあ、どんな事業でも起業するには、それなりの難しさがあり、覚悟が必要やさかい、楽なものはないがな。

以上のことを踏まえた上で、尚、それを志すと言われるのなら、陰ながらワシらにできる限りの応援はするので頑張ってほしいと思う。


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