新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1077 このような悪質な場合のクーリングオフも20日以内なら大丈夫なのではないのでしょうか?
投稿者 ミーコさん 横浜市在住 投稿日時 2011.12. 3 PM 10:12
Y新聞社の支店で契約していたものが11月で切れ、今まで印象が悪かったので二度とここからは取らないと決めていました。
88才の義理の母にも契約せまられたら私を呼ぶよう伝えてあり契約しないように言ってありました。
また、Y新聞の集金の者にも母は分からないので私を通すように再三伝えてありました。
しかし、契約の切れるギリギリ15日に、私の留守中に母から契約を取った事が分かり19日に母から解約の電話を入れさせたところ、受けた者が「伝えておきます」とのことでしたので安心していました。
ところが、今月に入り毎日投函されているので電話しましたら、「ノートに記載されていない」とか「電話だけで書面がない」とかのらりくらりと躱わされるだけでした。
書面が必要なことも契約解除の手続きがあることも告げられていません。
また最後の集金の際集金に来た者に「今月で最後ですね」と確認をとったところ「はい」と答えました。
「更新をお願いしたいので」と言われたのできっぱり断りましたが、其の時点で新聞社のリストにも解約が通っていることになるはずですが、12月に入ってから投函されるので連絡をしましてもとぼけてしまっています。
解約の手続きを教えず手続きを取らなかった新聞社の落ち度だとおもうのですが、このような悪質な場合のクーリングオフも20日以内なら大丈夫なのではないのでしょうか?
長くなってしまい分かりづらい文面で申し訳ございませんが、回答宜しくお願いいたします。
回答者 ゲン
あんたは『Y新聞社の支店で契約していた』と言われとるが、個人の購読契約には新聞社は一切関係ない、タッチしていないと初めに言うとく。また、それが公の新聞社のスタンスやと。
未だに、一般の人の中には、新聞販売店は新聞社と同一、または組織の一つと勘違いされておられる方がいるようやが、それは違う。
新聞社と新聞販売店との関係は、メーカーと小売店の関係と言えば分かりやすいと思う。業務委託契約書一枚でつながっているだけで、それぞれが独立した企業体や。
あんたが『Y新聞社の支店』と言われているのは、Y新聞社と業務提携をしている単なる一企業としての新聞販売店ということになる。
新聞の購読契約というのは、その新聞販売店と個人契約者との間でのみ有効な契約や。
そのため、事、契約事に関しては『新聞社の落ち度』というようなものは存在しない。なぜなら、新聞社は顧客との購読契約には関われない仕組みになっているからや。関われないものに落ち度も責任もないという理屈やな。
そのため、契約事の苦情を新聞社に言い立てても「契約に関しては販売店とお話ください」、「販売店にその旨、伝えておきます」と、やんわり躱されるのが関の山やと思う。まともに取り合うことはまずない。
当然、『其の時点で新聞社のリストにも解約が通っていることになるはずです』ということもあり得ないということになる。そんな報告をする販売店もないし、受け付ける新聞社もない。
単に契約した、あるいは解除したということなら、部数の増減の申告をするという意味で、そうするがな。そういう意味では、あんたとの契約が成ったとして、その販売店が新聞社にそう報告している可能性は高い。
ただ、そこに至るまでの経緯を一々報告することはないということや。まず、そのことを認識して貰いたい。
『悪質な場合のクーリングオフも20日以内なら大丈夫なのではないのでしょうか?』ということやが、そう思いたい気持ちは分からんではないが、残念ながら、それは違うとしか言えん。
新聞勧誘は訪問販売に属する業種のため、クーリング・オフの可能期間は8日間と、特定商取引法の第9条で定められている。
クーリング・オフの可能期間が20日間とされているのは、連鎖販売取引(マルチ商法)を規制した特定商取引法の第40条、業務提供誘引販売取引(内職・モニター商法)の同法の第58条のみやから、新聞勧誘はそれには該当しない。
したがって『契約の切れるギリギリ15日に、私の留守中に母から契約を取った事が分かり』ということであれば、その契約のクーリング・オフの可能期日は11月22日ということになる。
今となっては、そのクーリング・オフでの解約は手遅れやとしか言いようがない。
その販売店が『電話だけで書面がない』というのは、クーリング・オフでの契約解除は文書でするものと法律で決められとるから、そう言うてることやと思う。
それに関しては、そのとおりで、その販売店に『解約の電話を入れさせた』というだけでは解約は成立しない。
例えそれで解約が成ったとしても、それはクーリング・オフでの契約解除ではなく、単に話し合いによる「合意解除」が成立しただけのことになる。
あんたは、その電話を『受けた者が「伝えておきます」とのことでしたので安心していました』ということで、「解約を了承した」と受け取られたのかも知れんが、第三者から見ると、それだけのやり取りで契約解除が成立したとは判断されにくい。
この場合の第三者とは裁判所などの法律機関、および行政機関を指す。当たり前やが『伝えておきます』というのと『分かりました。解約しておきます』というのとは違うさかいな。
法律的な契約解除が、そんな口頭だけの不確かなやり取りで認められるケースは、ほとんどないと言うとく。どんな形であれ、一旦、契約書が交わされ、それに署名捺印した以上は、ちゃんとした手続きを経てからでないと契約解除はできないことに法律ではなっている。
契約書を書いた時点で、契約者としての責任が発生するわけやから、その解除をするにも、それなりの責任を果たさなあかんということや。
『88才の義理の母にも契約せまられたら私を呼ぶよう伝えてあり契約しないように言ってありました』ということであったにも関わらず、義理のお母さんが契約したというのは、あんたの方では許されないことかも知れんが、客観的に見れば、別に間違ったことではない。
その義理のお母さんのご意志、または事情で契約されたというのは一般社会人として至極、当たり前の行為やさかいな。
但し、三つほどの例外を除いてはな。
三つの例外とは、その契約書の名義人が誰であるかという点が、その一つ。
その契約書の名義人が、あんた、もしくはあんたのご主人名義であれば、義理のお母さんの行為は「代理契約」ということになり、その契約者が、「その契約をした覚えはない」と言えば無効にすることができる。
義理のお母さんには、あんた、もしくはあんたのご主人の代理権は有していないからな。
代理契約の場合は、契約名義人に対して確認する義務が業者側にあるとされとる。その確認のない場合は、契約そのものが無効になると考えられる。
『また、Y新聞の集金の者にも母は分からないので私を通すように再三伝えてありました』ということなら、よけい、そうしなかった販売店の落ち度を問える。
しかし、あんたは『契約せまられたら私を呼ぶよう伝えてあり』と言われておられるところからすると、その義理のお母さんとは離れて暮らしておられるようや。
だとすると、その契約は義理のお母さん名義の可能性が高い。その場合は、『88才』のご高齢というだけでは、『母は分からない』と決めつけて、その契約行為を違法とすることまではできないというのが一般的な法解釈ということになる。
また、あんたには義理のお母さんの法律行為を制限する資格はない。もちろん、お二人で納得されてそう決められていたのなら、それは自由やが、その場合は、あくまでもそちら側の都合ということになる。
当たり前やが、その義理のお母さんにも、れっきとした基本的人権があるわけやから、何よりもその意志が尊重されなあかんということになる。
つまり、義理のお母さん名義での契約であれば、その契約が成立したとみるのが一般的な解釈になるということや。
ただ、その義理のお母さんが認知症などの病気を患っていて、その契約時にそれと実証されれば、話はまた違ってくる。
さらに、誰か身内の方が、その義理のお母さんの法定後見人、保佐人、補助人になっておられるのなら、その人の判断で、その契約を無効にすることができる。それが二つめの例外ということになる。
義理のお母さんに、その症状もなく、法定後見人などの手続きも取っておられない場合は、やはり、その義理のお母さんの意志が尊重されるし、ご高齢とはいえ、契約者としての責任は免れないということになる。
法律は、契約する者の年齢制限は未成年者だけに限られていて、高齢者への制限は今のところないさかいな。
最後の三点めは、その勧誘の方法にある。
終始、その契約を義理のお母さんが嫌がっておられ、強引かつ違法な手段で契約したものであれば、その契約を無効にできる可能性がある。
それらのことに該当するのであれば、その契約の無効性を主張して争うことはできる。
そのあたりは、どうなのやろうか。それについての記載がないから何とも言えんが。
あんたとしても、その販売店のことを『今まで印象が悪かったので二度とここからは取らないと決めていました』と信用してなかったようやから、尚更、用心に用心を重ねとくべきやったと思う。
もっとも、『伝えておきます』と言うておきながら、その後、その販売店からあんたの方に何の連絡も寄越さなかったというのはどうかとは思うがな。
しかし、その一事だけを以て、違法、不法とまでは言い切れんさかい、それを契約の解除理由にはできんやろうと思う。
その義理のお母さんが契約したときに、何らかのサービス品を受け取っていたはずで、それを返していれば、あんたの方の解約の意志も相手に伝わり、その販売店がそれを受け取ることで、それを了承したと認められる可能性は高かったかも知れん。
逆に、そのサービス品を受け取ったままであれば、その契約を認めたということにされてしまいやすい。
『書面が必要なことも契約解除の手続きがあることも告げられていません』というのは、たいていの新聞購読契約書の裏面には赤字で『クーリング・オフのお知らせ』というのがあるはずや。
それには、その『書面が必要なことも契約解除の手続きがあること』についても記載されとる。口頭でそれがなかったと言われるかも知れんが、法律上は文書で示されていれば、その告知を行ったものと判断される。
もっとも、『NO.1076 契約期間が満了しない場合、自己事由による解約になるのでしょうか?』 のケースのように、『裏面は真っ白で販売店のはんこが押されているだけ』というのもあるようやから、その場合は告知義務違反ということになり、まだクーリング・オフができる可能性は高いと思われるがな。
その記載があれば、告知したものとされ、知らなかったという抗弁はできないと考えられる。
契約書に記載された内容を細かく説明しなければならないとまでは法律で規定しておらず、それをしてないという理由だけで、その契約を無効とは判断できんわけや。
あんたから寄せられた相談の文面を拝見する限りでは、その販売店の違法性より、その契約をされた義理のお母さんの方に責任があるように思われる。
何より、あんた方の方は、クーリング・オフ期間中に、その契約を解除したいという意志がありながら、その法的手続きを放棄してしまっている点が大きい。
あんたは『このような悪質な場合のクーリングオフも20日以内なら大丈夫なのではないのでしょうか?』ということまで言っておられるくらいやから、クーリング・オフの存在そのものは知っておられたものと考える。
それならば、その手続き方法くらいは知っておくべきやった。知らないのであれば調べておられるべきやったと思う。ネットで調べれば、その程度のことは即座に分かるはずやしな。
あんたは、それを教えて貰わなかったからやと言うておられるが、クーリング・オフというのは法律行為に属することで、その告知さえしていれば業者が、その法律行為について詳しく説明する義務はないものとされとる。
法律は知らなかった、聞いてないからといって許されたり免除されたりすることはなく、知らない者が悪いとされる。世の中には、知らなかった法律で罪を犯すということはいくらでもあることやさかいな。
契約書に書かれていることは目を通しておくべきで、それを見逃したというのは、やはり契約者の落ち度ということになる。
それに新聞購読契約書は、せいぜいハガキ大程度の大きさのものやから、読んでおくくらいは大した手間はかからんと思うがな。
結論として、あんたの話を聞く限りにおいては相手方の違法行為、不備を突いて解約に持ち込むのは難しいと考える。
どうしても解約したいのなら、その販売店と話合ってということになる。それについては、相手の販売店の出方次第で違うてくるから、それが分かった時点で、また相談して頂けたらと思う。
あんたにとっては、ええ回答とは言えんかも知れんが、ワシとすれば、こう答えるしかないということや。
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