新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.108 近所で販売店員が逮捕されました


投稿者 NONさん 23歳 男性 千葉県在住 投稿日時 2005.6. 1 AM4:35


ハカセさん、ゲンさん。
Q&A NO.102でお世話になりましたNONです。回答、有難うございました。大変、勉強になりました。

ゲンさんのご推察どおり、私は、勧誘員にあまり良い印象がありません。拡張員とは会ったことがないので、すべて店の従業員です。もちろん、ちゃんとした、というか、普通の勧誘員も、いるのでしょうが、私とは縁がないようです。

じつは、うちの近所で、新聞販売店員が逮捕される事件が発生し、それに関連して、また知りたい事が見つかりました。

次が記事の内容です。


「購読しろ」押し売り2時間=A新聞販売店員を逮捕

新聞購読契約を2時間以上しつこく迫ったとして、千葉県警は30日、特定商取引法違反(禁止行為)容疑で、千葉県内のA新聞販売店員S容疑者(32)を逮捕した。容疑を認めているという。

調べによると、S容疑者は5月3日午後8時50分から11時ごろまで、男性(35)の住むアパートの玄関先で、同新聞を購読するよう強引に契約を迫った疑い。

男性が「新聞はいいです(要らないです)」と断ると、「ありがとうございます」と応じて揚げ足を取り、「ごみになる」と言うと「ごみとは何だ」と怒鳴っていた。
契約しなかったのに翌朝、新聞が配達され、男性が交番に相談した。 


やはり…という思いもありますが、驚きました。「販売店員」という表記からすると、店の従業員でしょうか。確認したわけではありませんが、この地域からすると、あの販売店かな。

私は、新聞業界に疑問を感じて以来、無読なので分からないのですが、こういうニュースを、新聞はちゃんと報じるのでしょうか?

「ゲンさんの勧誘・拡張営業講座-法律・規則編」によると、この男の行為は、不退去罪、脅迫罪が考えられますね。いや、脅迫罪は微妙でしょうか。また、強要罪というのもありますね。でも、これも微妙かな。

しかし、この男の逮捕容疑は、それらの罪ではなく、特定商取引法違反(禁止行為)との事です。

これが今回、一番知りたい部分なのですが、この特定商取引法の禁止行為とは何ですか?
宜しくお願いします。


回答者 ゲン


この記事に関しては、Yahoo Japan のトップぺージでリンク報道されとったから、かなりの人が目にしとると考えられる。

ワシも正直、これには驚いた。事件にやない。逮捕されたという報道にや。この程度というと、語弊があって、お叱りの向きもあるかと思うが、これで、逮捕かというのが正直な感想や。

もちろん、この記事の内容がすべてやとしてやけどな。この程度で逮捕ということなら、今はともかく、ちょっと昔なら、こういうのを全部逮捕してたら、拘置所や刑務所は勧誘員で溢れかえるのやないかな。

おそらく、他にも理由があるのかも知れん。この報道だけでは分からんが、当局が重要事件を追っかけとって微罪で引っ張ることも考えられるしな。

それとも、もっと他にもワシらの預かり知らんことがあるのかも分からん。5月3日に起きた事件が報道されたのが5月30日というのも、事件の程度を考えたら、何か不自然な感じがする。もちろん、それは何の根拠もないワシ個人の感想やけどな。

『こういうニュースを、新聞はちゃんと報じるのでしょうか?』ということやけど、ワシらの方の新聞には報道されとらんかった。

もっとも、こういう三面記事は、その地方中心にするのが普通やから、関東方面ではどうなのかは分からんがな。せやけど、普通はこういう記事は新聞ネタにはなりにくい。その理由は言うまでもないやろ。

『この特定商取引法の禁止行為とは何ですか?』ということは、ワシから説明するよりも、当サイトの法律顧問、今村英治先生から説明して貰うことにする。その方が確かや。


特定商取法 第6条第3項なんじゃないでしょうかね・・

3 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。

これが適用されると罰則規定は2年以下の懲役・300万以下の罰金です。

本件だけの初犯なら量刑なんて大したことじゃないはずです。不起訴処分かせいぜい執行猶予付じゃないですか?実刑で懲役くらうなんてないでしょう。

法律は一般法より特別法が優先します。あいまいな刑法を適用するより具体的に訪問販売の禁止行為を定めた特定商取法を適用するのは当局としてはもっともなことです。根拠がハッキリしないと逮捕状も出づらいです。


特定商取法 第6条第3項というのを簡単に言うと、契約した客がクーリングオフを申し出ているのに、それを防ぐため脅したり威圧して困らせるような行為の禁止ということや。

その他の禁止行為も、もっと詳しく知りたいということなら『特定商取引に関する法律 第2章 訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売 第2節 訪問販売(禁止行為)第6条 』を参考にして欲しい。もっとも、原文やから読みにくいかも知れんがな。

実はこの事件に関して、あんたより前にある読者から、意見を貰うてた。


このような事件がマスコミ沙汰になるのは、極めて珍しいと思いました。どれくらいの人がこの記事を目にするのかはわかりませんが、A紙はもちろん、それ以外の新聞店や拡張員へも、”さらなる”イメージダウンは避けられないでしょう。

ただし、どんな事件も公平に明るみに出るべきで、その意味では、意義深いことだと思います。


確かに、ワシらにとったら、歓迎されることやないわな。勧誘員というだけで、真面目に仕事しとる者まで同列に見られる。世間は、個人個人別やとは思わんからな。特にワシらのような新聞勧誘員に対してはな。

これが、警察官辺りやと、犯罪に手を染めた者がいてようと、世間はその警察官だけが特別やという見方で、警察そのものが悪いと考える者は少ないと思う。ワシらからすると、理不尽なことやが、それが現実やからしゃあない。

もっとも、この事件は、勧誘員にとって一時的なイメージダウンになるかも知れんが、長い目で見れば、業界全体が良うなる可能性もあるから、あながち悪い報道とは思うとらん。

冒頭でも言うた通り、この程度でというのが、ワシら勧誘員の正直な気持ちや。つまり、この程度では大した問題にはならんやろと、ワシを含めてほとんどの新聞関係者がそう考えてたはずや。

逮捕された者かて、それは同じやったと思う。しかし、現実に逮捕された。この事実は大きい。これが広く、認知されれば、結果的にこういうトラブルは減るやろうと思うからな。

今回、あんたからの質問の依頼がなかっても、何かの形でこの問題を取り上げようと、ハカセとも相談してたからな。

ワシらが、このサイトで勧誘員の悪行を暴くようなことを指摘しとるのは、単なる業界の暴露話とは違う。それを知らせることで、この業界が良うなることが出来たらという気持ちからや。

何事も自分の立場を主張しようと思うたら、マイナスの部分に目を背けたらあかん。悪いことは悪いと承知した上で、そう訴えんと誰も耳を貸すことはないと思うからな。


追記

新聞記事にはなっとらんと言うたが、今回のこの事件に関してはA紙は自社のWEB上で報道をしとった。

広報部の話として『取引先である販売所の従業員が新聞営業をめぐって逮捕されたことは大変遺憾です。当社としましては改めて販売所に対し、法令順守と従業員教育の徹底を強く求めていきます』とある。

この姿勢は評価したいと思う。必ずしも大事件というほどのことやないようなことにでも新聞社がこの姿勢を打ち出せば、勧誘員は自ずと自制し、必ずええ方向に行くはずや。

自らの襟を正す。当たり前のことなんやが、今までは、それが欠けとったように思う。時代は確実に変わりつつある。そう信じたい。

URL http://www.asahi.com/national/update/0530/TKY200505300311.html


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