新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1082 抱き合わせ販売法違反ではないのでしょうか?


投稿者 イシマツさん  投稿日時 2011.12.10 PM 2:23


私は学生で引越ししたばかりの18歳です。

新聞契約を今年の5月ごろに締結したのですが、その内容が新聞購読1年間してもらえるのであれば、1万円分の商品券を差し上げるとのことでした。

契約した時点ではアタフタしており、未成年が契約を結ぶことはできないという法律は知りませんでした。

そして、ある日新聞を読まないし、いらないなと思い解約したいなと思い、電話してみると、解約は基本的には、お亡くなりになったか、実家から通学するようになったとかの理由でないとできないと言われました。

そして、前々から未成年の契約は無効だということを親と相談していたため、言うと、んじゃぁ解除認めるので、投函していた月の購読料と、商品券の3000円分を返してくれと言われました。

商品券3000円分の計算方法は、商品券10000円-購読月の料金=3000円です。

商品券は全部使ってしまってないという場合、払わないといけないのでしょうか?

また、投函されていた月の購読料も支払わないといけないのでしょうか?

また、新聞購読契約と、商品券を抱き合わせて販売している、すなわち、抱き合わせ販売法違反ではないのでしょうか?

駄文で申し訳ありません。


回答者 ゲン


『未成年が契約を結ぶことはできないという法律は知りませんでした』というのは、少し誤解がある。

あんたの言うておられるのは、民法第4条に、

未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができる。

とあるだけで、未成年者が契約すること自体は違法でも何でもない。

ただ、業者側は法定代理人(親権者)の同意を得ていない場合、親御さんから、その契約を取り消されても文句が言えないというだけのことや。

『前々から未成年の契約は無効だということを親と相談していたため、言うと、んじゃぁ解除認めるので』ということで、販売店側は、その契約解除には応じるということのようやから、その揉め事はないようや。

ただ、『商品券は全部使ってしまってないという場合、払わないといけないのでしょうか?』というのは、払うという感覚でなく返すということになる。

『新聞購読1年間してもらえるのであれば、1万円分の商品券を差し上げるとのことでした』というのは、明らかに『新聞購読1年間してもらえるのであれば』という条件付きの『1万円分の商品券を差し上げる』というサービスになる。

こういうのを法律用語で「景品付与」と言う。

あんたは、民法第4条を使って解約したいということやから、この件は契約解除になる。

すべての契約に共通して言えることやが、契約を途中解除したいのならば、その契約を全うすることを条件として受け取った物は返還する義務を負うというのが、民法第545条の原状回復義務というのにある。

これに関して言えば、例え相手方が違法行為をしていたとしても、その返還の義務を逃れることはできないとされとる。違法行為がある場合は、それに該当する法律で裁かれるだけの話やさかいな。

あんたが受け取った物を返さんでもええということは法律上、絶対にないと断言できる。

それに、法律云々は別にしても、契約という約束を守るつもりがないわけやから、その約束を果たすことを条件に貰った物は返すのが、人として当たり前やと思うがな。違うかな。

その『1万円分の商品券』を返さないとすれば、あんたにとっては丸儲けということになる。

もし、そんなことが可能なら、あんたは片っ端から契約して、実は未成年やからと言うて民法第4条を盾にとって契約を破棄し、サービス品だけをタダ貰いにすることができるということになる。

そんなバカなことが認められるほど世の中は甘くはない。そんな心得違いは即刻捨てた方が、これからのあんたのためやと言うとく。

『また、投函されていた月の購読料も支払わないといけないのでしょうか?』というのも、当然の話や。あんたの方が民法第4条を使って解約するというのは、そういう法律の規定がある以上、それはそれで問題はない。

しかし、当たり前やが、いくら未成年といえども受け取った商品の代金は払う義務が生じる。それを払わんというのは許されない。

あんたは新聞という商品を何か特別な物のように感じとるのかも知れんが、漫画本やCDと同じで受け取った物は、その代金を支払う義務が生じるということや。そのことに疑問を持つことの方が、おかしいと思うがな。

民法第4条を使って解約する権利が得られるのは、それが成立した後に限られる。

今回で言えば、その販売店が『解除認めるので』と言った後に投函された新聞の代金なら支払い義務はないと言える。それ以外で受け取った新聞の代金については払う必要があると理解してほしい。

本来なら、あんたには『1万円分の商品券』の返還と『受け取った新聞』の代金を支払う義務が法律上、生じるということになる。

あんたがそれを拒否すれば、その販売店は、あんたの親御さんに、その返済と代金の支払いを求めることができる。もちろん、その販売店が、そうするかどうかは、その販売店次第ではあるがな。ただ、法律上では、そうなるということや。

それを『投函していた月の購読料と、商品券の3000円分を返してくれと言われました』ということで済むのなら、あんたにとっては御の字、最高の条件やと思うがな。

そこまで譲歩するという販売店をワシは知らん。良心的というのを超えて、あまりに気前が良すぎる。

ただ、『商品券3000円分の計算方法は、商品券10000円-購読月の料金=3000円です』というのは意味不明の計算やな。ワシには理解できん。

そもそも何で、受け取った商品券1万円分から購読月の料金を差し引くという計算が成り立つというのやろうか。本来なら、両方共プラスされてしかるべきものやと考えるがな。

まあ、それはそちらで話し合って合意すればええだけのことやから、ワシが理解できんでも関係のない話ではあるがな。

『また、新聞購読契約と、商品券を抱き合わせて販売している、すなわち、抱き合わせ販売法違反ではないのでしょうか?』というのは、どこから、そんな発想が出てきたのか分からんが、あんたの件は、そういうことには絶対にならんと断言する。

先にも言うたが、『1万円分の商品券』はあくまでも『1年間の新聞購読』をすることが条件の「景品付与」としてのサービス品なわけや。それ以外の何物でもない。

『抱き合わせて販売』が成立するためには、それぞれ別個に商品販売しているものを一緒に販売したという条件が必要になる。

今回の場合で言えば、新聞を売って、ついでに商品券を売ったというのなら、『抱き合わせ販売』ということに該当するかも知れんが、契約時、あんたは、おそらく『1万円分の商品券』に対して一銭も金銭は支払ってないはずや。

そうであるなら、あんたのケースでは、『抱き合わせ販売』は成立しない。

それに『抱き合わせて販売』を違法としているのは独占禁止法で、この法律は業者を取り締まるためのもので、業者と個人間の契約に介入することはない。またできない。

『抱き合わせて販売』が違法と判断されるケースについて話す。

あるメーカーがヒット商品を小売店に卸す場合、メーカーに残っている売れ残りの商品を、ヒット商品を卸すことの条件として一緒に強制的に買わせる行為があると認められた場合、違法になる可能性が高くなる。

その売れ残りの商品を一緒に買わん限り、ヒット商品は売らんと言うてな。

これをすると、独占禁止法第2条の「私的独占」、「不当な取引制限」に該当すると判断され違法となるわけや。

そんな法律が、新聞購読契約でサービス品として渡すためが目的の商品券に適用されるはずがない。当たり前やが、新聞販売店は商品券を売る店とは違うさかいな。お門違いというやつや。

どこで聞きかじってきたことかは知らんが、この際やから、それは違うとはっきり言うとく。

あんたにとっては、すべてが否定されたと感じられたかも知れんが、質問の答えとすれば、ワシにはこうとしか答えられんということや。別に何の悪意もない。

この回答でどうされるかは、あんたが判断されることで、ワシはどうこうしろと言うつもりはない。ただ、間違った選択だけはしてほしくないと願うだけや。


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