新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1086 新聞を解約したいのですが損害金について教えて下さい
投稿者 Kさん 投稿日時 2011.12.27 AM 0:26
19歳の大学生です。
今年三月、独り暮らしを始めたばかりのころだったのですが、新聞の勧誘が来ました。
田舎から都会に出てきたばかりで、こういうことの対応に慣れていなかったこと、また、自分は人から強く頼まれると断れないという面もあり、契約を結んでしまいました。
バイトが見つかるまでは親から仕送りをしてもらう予定なので、新聞をとるということを自分一人で決めることはできない、と一応言ってみたのですが、それなら来年から配達することにすると言われ、当時の自分としては契約を断るための言い訳を断ち切られてしまったような感じがしました。
それで、24年1月から26年12月までということで契約しました。
勧誘の方は、DSi(よくよく考えてみると今更な気もする景品ですが)をくれるというし、まあそれなら悪くないかなと当時は思ったのです。
しかしその景品(7月には送ると言われていた)は全く届かないし、最近実際に新聞が届いたのですが、読む時間がないというか読む気が起きないというか……。
そんな感じなので解約したいと思うのですが、契約書を見てみると損害金なるものが発生すると書かれていました。
この損害金とは一体どれくらいになるんでしょうか?
あまりに高いようなら解約をやめて頑張って新聞読もうかなと思うのですが。
あと、自分は来年からというのを、「年度」のこととして捉えていて、新聞が来始めるのは4月からだと思っていました。
それゆえ最近新聞が投函されてた時「あれっ?」と思い、販売店の方が「1月からということでよろしかったでしょうか?」と確認に来た時、「4月からだったと思うんですが」と答えてしまい、配達を4月からに変更してしまいました(あとで契約書を確認して、1月からの契約だと気付いた)。
このことは、解約をする場合、こちらが不利になることはありますか?
回答者 ゲン
契約の条件である任天堂のゲーム機ニンテンドーDSiを貰っていないということなら、その販売店に、それを言うてみて、それでも持って来ないようなら契約不履行を主張して、その契約を無効にすることができる。
『7月には送ると言われていた』ということなら、おそらくその勧誘員が契約ほしさに、ええ加減なことを言うたのやないかと思う。何せ普通に買えば1万5千円ほどもする物やしな。今時の景品にすれば高すぎる。
ただ、いくら高い商品とはいえ持ってくると言うた以上は持って来なあかん。契約というのは約束事で、それが守られていなければ正当な解約事由になる。
ただ、新聞を解約したいのなら、あんたの場合は『19歳の大学生』ということを理由に民法第4条の、
未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができる。
というのを根拠にした方が話がすんなりといきそうや。
もっとも、その販売店が、あんたの「親の同意を得ていない」、あるいはあんたがその勧誘員に「未成年ではない」と言うていないということが前提にはなるがな。
その場合、あんたからそう言うのやなく、親御さんから、その販売店に「うちの子供はまだ未成年で、その契約は親として認められないから、民法第4条の規定により解除する」といった内容を通告して貰うことや。
これは、法律で定められとることやから、いくらその販売店が異を唱えようと関係なく契約解除できる。
未成年者に対して保護者の同意を得ていない販売店が悪いだけのことやさかいな。
親御さんが、そうしてくれると言うのなら、それで問題なく解約できる。約束の『DSi』以外に何か貰っている物があれば、それを返せばええ。なければ、それで終わる。
法律上は、その主張するのは保護者だけとは規定されていないということで、未成年である契約者本人でも可能という見方をする人もいとるようやが、それやと揉める可能性があると言うとく。
「何で今更、そんなことを言い出すんや。それは契約時に分かっていたはずやないか」と言われれば『自分は人から強く頼まれると断れないという面もあり』という気の弱さのあるあんたには押し切れんのやないかと思うしな。
民法第4条の規定について、未成年は契約ができない、業者は契約を取ってはいけないと良く勘違い人がいとるが、それは違う。契約ができないというのではなく、未成年の契約には親の同意が必要になるというや。
せやから、あんたが契約をしたこと自体には問題はない。ただ、その事実を知った親御さんが反対すれば、その契約は無効になるという法律の規定があるだけのことや。
それを行使するかしないかは親御さん次第ということになる。その意味でも、親御さんから、その販売店にそう通告して貰う方がええと言うてるわけや。
それ以外では、冒頭に言うたように約束の物を持って来ないという理由での契約不履行を主張できる。ただ、これは言えば、それを本当に持って来るか、もしくは「それは勧誘員が勝手に約束したことで店とは関係ない」と言われるかのいずれかやと思う。
前者の場合は、あんたも『まあそれなら悪くないかなと当時は思った』というのなら、その契約どおりにするしかなくなる。後者なら、契約不履行を主張できるが、その場合は、その契約書に『任天堂のゲーム機ニンテンドーDSiを7月に送る』とでも書いていなければ揉める可能性が高くなる。
揉めても、それが事実なわけやから、強行にそう主張すればあんたに負けはないが、果たしてあんたがそれに対してどこまで立ち向かえるのかという問題がある。当たり前やが、それと認めん相手にそう主張するわけやから、相応の揉め事になることを覚悟する必要があるさかいな。
『読む時間がないというか読む気が起きないというか……』というのは、当たり前やが正当な解約理由としては認められない。自己事由での解約希望ということになる。
『契約書を見てみると損害金なるものが発生すると書かれていました』というのは、正当な理由なく解約を希望する人への警告の意味で書いているものや。
それについては、あんたも承知しておられるから『この損害金とは一体どれくらいになるんでしょうか?』と質問されておられるのやろうがな。
しかし、悪いが、その確かな答はないというのが正しい回答になる。解約については双方で話し合う事と法律に定められているだけで、その損害金に対しては何も規定されていない。
あくまでも当事者同士の話し合いによるものということになっとる。
せやから、ワシがこのQ&Aで回答する場合は、まずその販売店に解約の意志を伝えて、その解約違約金が必要なら、その額を確認するように言うてる。その額次第で、それが業界として正当なものかどうかという判断ができるし、アドバイスもできるからと。
『配達を4月からに変更してしまいました』、『このことは、解約をする場合、こちらが不利になることはありますか?』というのは、普通は不利になる。
当たり前やが、延長依頼というのは、その契約を遂行する意志があって、そうするものやさかいな。言えば、その延長をしたこと自体で、あんたはその契約を容認したことになるわけや。
そうなると、『DSi』を貰って来ないと言うのも弱くなるかも知れん。契約書にその記載がなく、その場で、それを言うていないというのであれば、よけいや。
但し、あんたの場合は、親御さんから『民法第4条』の規定で話して貰えれば、それらの問題もなくなる。
その時のポイントは、親御さんが、その契約について知ったのが、今やと言うことや。契約時に知っていたとなれば黙認したとも受け取れるさかいな。
まあ、あんたは親御さんには、それを言うてなさそうやから、冬休みで帰省されるのなら、ワシのこの回答を持って、親御さんと良く話し合い結論を出せばええのやないかな。
最後に、一言。
ワシの息子も大学時代に新聞を購読していたことがある。ワシが拡張の仕事をしとるからということもあるかも知れんが、新聞を読むようにと勧めとった。
結果、大学の教授や講師の中には新聞記事を利用した授業をするケースも多く、論文などの提出資料として「新聞記事の切り抜きを添付すること」というのも良くあったということで役に立ったと言うてたがな。
それに、今は新聞を読んでいない大学生の方が多いということやが、裏を返せば新聞を読むことで他の者との差をつけられるということもあるわけや。その差が結構大きい。
現在は、就職難から「就活」も早めに初めなあかんようやし、その際、面接の担当者というのは意外なほど「新聞を読んでいるか、どうか」というのを採用基準にしとる企業が多いと聞く。
せやから、そのときになって新聞を読んでいて良かったと感じられこともあるのやないかと思う。
もちろん、それは毎月の出費もあることやから、親御さんとその事も踏まえて良く相談されることや。それで判断されたらええのないかな。
ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート1
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中