新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1091 訴えたいのですが、出来ますか


投稿者 Yさん 都内某新聞販売店専業員 投稿日時 2012.1. 3 AM 1:11  


ゲンさん、新年明けましておめでとうございます。

都内のYですが、給与体系なんですが、専業の基本給 13万、集金手当て、拡張手当ては出来高です。

だいたい給与総額が 20万 にしかなりません。

店番は朝7時から 10時半、夜店番は夕刊後から21時まであります。店番がある日は稼働がしずらくなり、折り込みもパートのおばさんを雇ってない為、夕刊後に皆で作業します。

店中の付帯業務が多いので、営業、集金などやりにくい上、ノルマも達成しにくいので、給与が20万程度になります。また、早朝、業務、時間外手当てがありません。

さて、ここからが本題です。この店は家賃光熱費を5万程度引きます。住宅手当てもないので大打撃です。

また、不着罰金が一軒 1000円、配布物不着ー軒5000円、さらに朝1時50まで出勤してタイムカードが押されてないと、これも罰金です。

紙は2時5分にきます。2時に出勤、紙受けしても罰金です。遅刻罰金は回数制です。なんだかんだで、専業全員の給与手取りが2万から5万です。賄い食事もついてないので、正直刑務所です。

仕事がしずらい上、罰金が厳しく、日本一、給与が安い新聞販売店です。

当店はM新聞やS新聞より、待遇や罰金がやばいくらいです。こんな店ありません。

ゲンさん、泣きたいです。違法すぎくないですか?

訴えたいのですが、出来ますか!!

乱文で申し訳ありません。宜しくお願いします。


回答者 ゲン


『訴えたいのですが、出来ますか!!』というのは、どこに訴えるかにもよるが、通常は最寄りの労働基準局ということになると思う。

あんたの言う『時間外手当てがありません』というのは、就業関係のトラブルとして最も多いパターンで、その証拠さえあれば認められる可能性は高い。

ただ、『早朝』というのが、通常の仕事の深夜手当に該当するかどうかとなると難しいのやないかとは思う。新聞販売店の仕事のメインは、その早朝の配達やさかいな。

その早朝の配達込みの給料が『基本給 13万』の中に入っていると言われれば、そうなる。

ただ、『集金手当て、拡張手当ては出来高です』というのは、問題がありそうや。

当サイトの法律顧問をして頂いている法律家の今村英治先生から寄せられた見解に、


法律的にシロクロはっきりさせるためには、 そもそも集金業務が請負なのか労働なのか最初に明確に定義する必要がありそうですね。

労働である場合
労災保険が適用になる。時間外割増賃金が発生する。「集金してこい」は業務命令。労働契約の一部。サボったら当然懲戒の対象となる。

請負である場合
労災未適用。賃金ではなく請負代金。店と集金人の請負契約。集金を拒んだことで給料を下げられた・解雇されたとなると、これは不当な理由による不利益処分となる。


というのがある。

つまり『集金手当て、拡張手当ては出来高』というのは、どう考えても、通常業務と請負の両方のええとこ取りだけをしとるようにしか見えん。

集金も拡張も短時間で結果の出せる仕事とは限らんから、満足な成果を上げるには、それなりの時間がかかるというのは新聞販売店の経営者なら誰でも分かっとることや。

その仕事に残業手当を支払ってやらしてたんでは店の経営が成り立たんというのが、経営者の言い分になるが、それは労働基準局には通用せん。過去の事例から言うても「時間外労働」と認定されることが多い。

ただ、『不着罰金が一軒 1000円、配布物不着ー軒5000円、さらに朝1時50まで出勤してタイムカードが押されてないと、これも罰金です』というのは、その罰金徴収が現金回収されている場合は損害賠償を請求しているということで、その金額程度であれば問題はなさそうに思う。

程度の差こそあれ、どの業界のどの業種であっても、そういった罰金制度というのはあるさかいな。もちろん、法律的にも認められとることでもある。

しかし、それが給料から天引きされているとなると、減給の制裁に該当する可能性があり、その場合は上限額が設けられている。

労働基準法第91条(制裁規定の制限)に、

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

という規定が、それや。それを超えていると違法性が問える。

『店中の付帯業務が多いので、営業、集金などやりにくい上、ノルマも達成しにくいので、給与が20万程度になります』というのは、業界人のワシには、そう言いたい気持ちはよく分かるが、訴えることになる労働基準局の係官には分かりにくいことやろうと思う。

『仕事がしずらい上、罰金が厳しく、日本一、給与が安い新聞販売店です』というだけでは、具体的な違法性を指摘できん場合、労働基準局といえどもその販売店に是正勧告することはできんさかいな。

『当店はM新聞やS新聞より、待遇や罰金がやばいくらいです』というのも他と比べても意味がない。ワシに向けて、そうぼやく分には構わんが。

『この店は家賃光熱費を5万程度引きます』というのも、住んでいる地域の相場があるから、一概にそれだけでは違法性を問うのは難しいと思う。

『住宅手当てもない』というのは一般の会社でもあることやし、法律でその支払いが義務づけられとるわけやないから、それも訴えるネタとしては弱いわな。

訴える場合は、その行為が法律に触れているかどうかが問題になる。つまり、違法性を指摘することでしか訴えても効果はないということや。

あんたの場合、訴えるのなら、『時間外手当ての未払い』、『労働基準法第91条(制裁規定の制限)に抵触』しているという証拠を提示するしかないやろうと思う。

それを労働基準局が認めて、その販売店に是正勧告をして、あんたにその分が支払われればええが、これも過去の事例から、素直に応じる販売店は少ない。

最終的に、裁判でそれを勝ち取るという以外、あんたの望むような結果が得られないのが現実やと考えといた方がええ。

多くの場合、労働基準局に訴えた時点で、何かと理由をつけ「解雇」されることになると思う。もちろん、その内容次第では、それについても不当解雇の主張はできるがな。

あんたが本気で、その販売店を訴えるつもりなら、次の勤め先を決めて居場所を確保してから、そうすることやと言うとく。

あんたの話からは、その販売店は、従業員のことを考えとるとは、とても言えんさかい、争うつもりなら、あんたもそれなりの心構えで、ちゃんとした準備をしてから事に及ぶ方が無難や。

もしくは、そんな面倒なことになるのが嫌なら、さっさとそんな販売店は見限って他の販売店を見つけるかやな。


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