新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1098 このままで平気なのでしょうか?


投稿者 N・Wさん  投稿日時 2012.1.24 PM 7:15


Y新聞を取っているものです。

現在大学生で、一人暮らしの為引っ越してきました。

新聞は元からとるつもりでした。なのである日、新聞を取ってくれという訪問があったので、特に用心無く出ました。

するとその人(ここではAさんとします)は一方的に話を始めました。

Aさん「自分はお金のない学生からはお金はとれない。だからその代金は代わりに私が払うようにしている。実際このアパートに他にも4人程そうしている人がいる。心配はしなくていい。新聞を取ってくれないか?」ということでした。

私は元から取るつもりでしたが、急にこう言われたので聞き返してみました。

なんで代わりに払ったりするのかと。するとAさんは「営業の関係で私が払ってもとってもらいたい。私の給料からしたら新聞代なんて安いものだ。それよりもお客をとりたい。」
とのことでした。

これは以前からなんとなく知っていました。つまり一人客を取れば新聞代を払っても黒字ということですよね?

私はそういうことならと3ヶ月契約をしました。

そしてそのまま3ヶ月、また3ヶ月と契約をしていました。

しかしこの関係にやっと不安を覚えた私はとある掲示板に相談し、払ったほうがいいということで「親に言われたので次回からしっかり払います。しかし引越しの関係で取るとしても来年の2月までとなります。」と言い、今月から払うことになりました。

長くなってしまい申し訳ありませんが、本題はここからです。

その電話の時に気になることを言っていました。

Aさん「本当に払ってくれるの?いいのに・・・私は学生からお金をもらうなんて出来ませんよ。そこまで言うなら払ってもらいますよ。あなた偉いです。代わりにサービスをたくさんしますね。いらない? いえいえ、サービスは当たり前じゃないですかと、」こんな感じで言われました。実際にたくさんの景品を貰いました。

なんでここまでしてくれるのでしょうか?

そんなに客の契約が解除されるのが怖いのでしょうか? 逆にこっちが怖くなります。

こちらはしっかりと、来年の〜までしかとれません。と言いましたが、そんなに長く払ってくれなくてもいいんだよ!と言われました。よく分かりません。

これって来年になって急に、今まで払ってやってたやつを払えとか、俺がお前に金を払ってやってたんだ、利子もついてるぞ。などと言われないか不安です。

契約書には「代済み」と書いてあります。しかしそのやりとりの録音などはまったくしていません。

この状況で何か対策する必要があるのであればアドバイスお願いします。


回答者 ゲン


話を聞く限り、あんたの方の問題は何もなさそうや。

『この状況で何か対策する必要があるのであればアドバイスお願いします』というのも特にないな。あんたの方で、特に何かをする必要はない。

『引越しの関係で取るとしても来年の2月までとなります』ということなら、それまで、あんたの思うようにして、引っ越せばそれで問題なく終わるはずや。

『これって来年になって急に、今まで払ってやってたやつを払えとか、俺がお前に金を払ってやってたんだ、利子もついてるぞ。などと言われないか不安です』というのも、まずないやろうと思う。

そんなことをすれば、困るのは、その勧誘員の方やさかいな。自ら墓穴を掘ることになる。

『その代金は代わりに私が払うようにしている』、『実際にたくさんの景品を貰いました』という条件で、あんたとその勧誘員が合意の上で契約したことなら、それは商法上、正当な契約が結ばれたと解される。

『タダであげましょう』、『貰いましょう』というのは、一般社会にもありがちなことで、それが何かの法律に触れたら世の中は大変なことになる。

迂闊に人に物を譲渡することができんようになるさかいな。

但し、その勧誘行為は違法と認定される確率が高い。あんたとのその契約では問題がなくても、その新聞の営業を請け負っている新聞販売店との間では、その勧誘員の背任行為が成立する可能性もある。

新聞は、タダで売ったらあかんという法律があるさかいな。『景品表示法』もそうやし、『新聞業における特定の不公平な取引方法(新聞特殊指定)違反』というのも、そうや。

新聞をタダで売ると罰せられる。しかし、それらの法律は業者にしか適用されんから、その勧誘員個人への法的罰則はない。適用されるのは、その勧誘員が関係している販売店だけや。

もちろん、その勧誘員が個人的には法律で罰せられないとしても、その行為で販売店が法律違反に問われるわけやから、その勧誘員も無事では済まんわな。

その販売店からは、背任行為として訴えられ、損害賠償請求される可能性もある。その勧誘員が、その販売店の従業員なら、それを理由に解雇されるかも知れん。事実、そういうケースは業界ではいくらでもある。

また、その法律以前に、『お金のない学生からはお金はとれない。だからその代金は代わりに私が払うようにしている』てなことを言うて、新聞をタダで売っとるということが新聞社に分かれば黙ってないわな。大変なことになる。

当たり前やが、新聞自体は無料の商品やない。有料やというのは誰でも知っとることや。それをタダで売られて容認する販売元である新聞社など存在せん。

さらに、新聞社は先の『新聞業における特定の不公平な取引方法(新聞特殊指定)違反』の第1項に、

日刊新聞の発行業者は、直接、間接を問わず、地域、相手により異なる定価や定価を割り引いて販売すること。

というのが違反行為として禁じられていることを良う知っとる。これの意味するところは、「僅かな値引きでも法律違反に問いますよ」ということやさかいな。

これに違反すると、新聞特殊指定を外されるということになり、新聞社自体が死活問題になる。業界が倒壊する恐れすらある。新聞各社はそう考えとる。

実際、今から6年前、新聞社はその寸前まで追い詰められたことがあったさかいな。

その詳しいことは、旧メルマガ『第85回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞特殊指定について』で話しとるので、興味があれば見ておいて欲しい。

もっとも、この時は問題が先送りになって新聞業界としては事なきを得たが、いつそれが再燃せんとも限らん。

せやから、新聞社とすれば是が非でも、その行為を阻止したいわけや。問題とされんように。

つまり、そんなことを販売店全体でやっていると分かれば、全力で止めさせようとするし、場合によれば「改廃」といって、その販売店を強制廃業に追い込むことも十分考えられるということや。

当然、その元凶になった勧誘員がそのままということはあり得んわな。ワシが、墓穴を掘ると言うた裏には、それがある。

『つまり一人客を取れば新聞代を払っても黒字ということですよね?』というのは、誰からそんなアホな話を聞いたのかは知らんが、そんなことがあるはずがない。

以前からネットでアホなことを言う人間がおるのは知っとったけど、そこまで勘違いさせるようなことを平気で言うとるバカがおるのなら、これは大問題やな。

普通に考えたら分かることやが、有料の商品をタダで売って、どこから利益が出ると言うんや。そんな商品は、新聞に限らずどこにもないで。

当たり前やが、新聞を作って個人宅に配達するまでには、いろんな経費がかかる。

新聞記者が取材し、それを新聞記事にするまでには数多くの新聞社の人間を介さなあかん。その彼らの給料は一般的に高給やとされとる。平均年収1千万円近くあると。

もちろん、新聞社によっても、その社員それぞれによっても違うが、少なくともあんたの購読しとるY新聞の社員は、そうや。公表されとるデータを見る限りはな。それらは新聞を売ることで得られる利益の内から支払われる。

新聞を印刷するには、新聞専門の紙を数社の製紙会社に作らせ、それを買う必要がある。

これには結構難しい注文が多く、世界一と言われる新聞紙を作る製紙会社の技術があって初めてできることや。

この新聞紙用の紙を一般が仕入れることは、まずできん。意外に思われるかもしれんがな。もし、仕入れが可能やとしても、相当に高いものにつくやろうと思う。

インクにしても特殊なものを使っているし、コンピーターおよび印刷機械の維持費なども合わせると、バカにならん金額になる。もちろん、それらの機器が壊れれば買わなあかんから、その分の経費も予め見積もっておいてストックしておく必要がある。

当然やが、新聞社の工場で働かれている方々の給料も必要や。工場から各地の新聞販売店に新聞を運ぶにはトラック業者、運転手も必要になる。それらの経費も新聞を売り上げた利益の内から支払われる。

そして、新聞販売店。配達員や集金人も新聞を売り上げた利益の中からでしか支払いは不可能や。新聞販売店の勧誘員、出入りの拡張員も、基本的には新聞を売り上げた利益の中からでしか支払われることはない。

ただ、ごく一部の新聞販売店の中には、拡張員に新聞代金以上の報奨金を支払うとるケースがあるのは事実やが、そういう所は遅かれ早かれ、皆つぶれとる。

それに関しては、このサイトを8年近く続けとって嫌というほど報告されとるし、ワシ自身も実際にそういう販売店を数多く見てきた。

裏を返せば、つぶれそうやから、そんな無理をしとるとも言えるわけやがな。もっとも、それで生き延びとる店は、あんたのような客が少ないということもあるのやろうがな。

当然やが、全部の客にそんなことをしてて儲かるわけがないわな。新聞社は成績の悪い販売店を廃業に追い込む傾向にあるので、それを逃れるために無理をする。

また、勧誘員も成績が悪いとクビになったり、きつい叱責を受けたりするから、それを逃れるために、あんたにしたようなことをしとるのやと考えたら納得できるのやないかな。

『そんなに客の契約が解除されるのが怖いのでしょうか?』という答えが、まさにそれになる。

もっとも、そんな勧誘員は、最後にはこの業界を追われて辞めていくしか道は残されてないがな。ワシの知る限り例外はない。無理なこと、道理に合わんことは続かんということやな。

今回のケースで、唯一、あんたに何らかの被害が及ぶケースがあるとすれば、その勧誘員が辞めた場合やろうと思う。

後から来る者は、辞めた勧誘員とあんたとのやり取りは知らんわけやさかいな。その場合は、正規の請求をされる可能性もある。

ただ、あんたは『契約書には「代済み」と書いてあります』と言うておられるから、その万が一のことがあっても、新聞代金の請求は免れると思う。余分に貰った景品で、とやかく言われることもないはずや。

『私はとある掲示板に相談し、払ったほうがいい』というのは、どういう質問のされ方をして、どういったシチュエーションでの回答やったのが分からんから、はっきりしたことは言えんが、「タダにする」と言うたものについては、法律的には支払う必要なんかなかったと言うとく。

ただ、あんたのケースは、あくまでも特殊なことで、他でもそれが通用する、当たり前やと思われたら、あんたのためにならんと判断されて『払ったほうがいい』と、その掲示板の回答者が言うてるのやったら、ワシもその意見には賛成する。

人は一度、その経験をすると、それがすべてと思いやすい。どこかで、誰かにそれは違うと言われない限り、なかなか気がつかんものやからな。

話が長くなったが、結論として、今回のケースは、おそらく何事もなく終わるさかい、そのまま、あんたの思うようにされたらええと思う。


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