新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1117 強引な勧誘での逮捕者が出た事件について
投稿者 Y.Tさん 投稿日時 2012. 3.17 AM 6:45
いつも楽しく拝見しております。
強引な勧誘での逮捕者がとうとう出ましたね。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120220/crm12022020080019-n1.htm より引用
新聞販売店代表ら逮捕 特商法違反容疑で 京都府警
2012.2.20 20:08
大学生に対する新聞購読の契約に際してクーリングオフ(契約解除)に関する書類を渡さなかったり、強引な勧誘をしたりしたとして、京都府警は20日、特定商取引法違反(不備書面の交付など)の疑いで、京都市北区のY新聞K販売店経営、T容疑者(52)=同市上京区=と従業員の男ら3人の計4人を逮捕した。T容疑者は容疑を認めている。
Y新聞大阪本社広報宣伝部は「当社と取引関係にある販売店の代表と従業員らが逮捕されたことを重く受け止めます。販売店に対しては、より一層の法令遵守と従業員教育の徹底を求めていきます」とコメントした。
ゲンさん、ハカセさんの意見をお聞かせ願えればと思います。
よろしくお願いします。
回答者 ゲン
いつかは、再びこういう事件が報道されるようなことがあるやろうとは予測しとった。
ただ、全体としてはサイトのQ&Aにも悪質な勧誘に対しての相談軒数が減っていたから、今それがあったというのは意外やったという感は否めんけどな。
その反面、依然として学生さんは「脅して取らせるに限る」というバカの一つ覚えに固執しとる新聞販売店の人間が存在するというのは知っていたから、こういう報道も驚くほどのことでもないがな。
業界とすれば大きな痛手になる報道ではあるが、それにより、こういった行為の抑止力になるのなら、それはそれで意味のあるものになると考えられる。
もうかれこれ7年前になるが、2005年6月1日、サイトのQ&A『NO.108 近所で販売店員が逮捕されました』 で、今回と似たような事件が寄せられたことがあった。
その記事の内容や。
「購読しろ」押し売り2時間=A新聞販売店員を逮捕
新聞購読契約を2時間以上しつこく迫ったとして、千葉県警は30日、特定商取引法違反(禁止行為)容疑で、千葉県内のA新聞販売店員S容疑者(32)を逮捕した。容疑を認めているという。
調べによると、S容疑者は5月3日午後8時50分から11時ごろまで、男性(35)の住むアパートの玄関先で、同新聞を購読するよう強引に契約を迫った疑い。
男性が「新聞はいいです(要らないです)」と断ると、「ありがとうございます」と応じて揚げ足を取り、「ごみになる」と言うと「ごみとは何だ」と怒鳴っていた。
契約しなかったのに翌朝、新聞が配達され、男性が交番に相談した。
というものや。
このときはテレビ報道され、その後、テレビニュースの映像がYouTubeでも長期間流され続けた。もっとも、YouTubeの映像は明らかにアップした人間により恣意的に加工されたものやと思われるので、ここではその紹介は控えるが。
この事件後、サイトのQ&Aでも何度なく、あこぎな勧誘をすると、そうなるという教訓として紹介してきた。今回の事件も、おそらくそうなると思う。
『NO.108 近所で販売店員が逮捕されました』では、その販売店の近所に住む読者からの投稿ということもあり、割に詳しい情報を知ることができたが、今回に関しては今のところ、その新聞記事以外の情報は入手できていない。
ただ、ワシが初めて拡張員になったのは、この事件の舞台となった京都やったから、ワシなりの解説を加えてみたいと思う。とはいえ、もう18年も前の話になるので、どこまで参考になるかは分からんがな。
『新聞購読の契約に際してクーリングオフ(契約解除)に関する書類を渡さなかった』というのは、三通りのケースが考えられる。
一つは、契約書そのものを渡さずに契約したというケース。これはサイトのQ&Aでもありがちで、契約書を渡すとクーリング・オフをされるからというのが、その理由のようや。
二つめは、契約書に契約日の日付が記載されていない場合。契約日が特定できんということでクーリング・オフをさせないための妨害行為と見なされた可能性がある。
三つめは、本当に『クーリングオフ(契約解除)に関する書類を渡さなかった』、ということが考えられる。
通常の新聞購読契約書の裏面には『クーリング・オフのお知らせ』という赤字で目立つように印字されていて、それがあれば法律的にはクーリング・オフの告知をしたことになる。
その契約書とは別に『クーリングオフ(契約解除)に関する書類』を渡す必要はない。法律的には、『クーリング・オフのお知らせ』の記述で事足りる。
しかし、ワシが18年前に京都で拡張しとったときには、裏面に『クーリング・オフのお知らせ』というのがない契約書が実際にあった。
その当時でも新聞のクーリング・オフは特定商法第9条に規定されていた。
ただ、新聞の場合、そのクーリング・オフが適用されたのが、1988年からで、ワシが拡張を始めた頃はまだ5、6年しか経ってないということもあり、新聞の購読契約においてクーリング・オフができること自体知っている人が少なく、世間に浸透してなかったと思う。
京都という土地柄は、良くも悪くも昔の伝統を重んじる地域で、新しいことを嫌う傾向にある。法律に関しても一般に浸透するまで時間がかかるものと個人的には解している。
さすがに今の時代に『クーリング・オフのお知らせ』が裏面にない契約書などないと思うていたが、それが京都であった言われると、ワシは別に不思議とは思わん。あり得ることや。
もっとも、それは伝統を重んじての事というより、昔からその記述がなかったということを理由にすれば、それで通るという浅はかすぎる考えからやとは思うがな。
『強引な勧誘をしたりした』というのが、どの程度のものかは分からんが、警察さえその気になれば、逮捕理由はいくらでもあると考えられる。
例えば、サイトのQ&Aでもよく言うてることやが、「帰ってくれ」と言ったにも関わらず居座わり続ければ、不退去罪で逮捕するのは可能や。もちろん、勧誘時の言動次第では脅迫罪も適用される。
このQ&Aでは関東方面の悪質な勧誘が数多く届けられるが、ワシ自身の経験では京都も相当にひどい状態やったと認識しとる。
もっとも、ワシが初めて飛び込んだ拡張団は業界でも最悪な団として有名やったから、一般的とは言えんかも知れんが。
7年前の『NO.108 近所で販売店員が逮捕されました』で逮捕された従業員は、その後も系列の販売店で仕事していたという話やが、さすがに今の時代では、そんな穏便に済むようなことはないやろうと思う。
普通は、経営者がそうなら「改廃」と言うて廃業に追い込まれるし、逮捕された3人の従業員の氏名も業界情報に回されることが予想されるから、新聞業界での再雇用は難しいものと思われる。
新聞社は、相変わらず『当社と取引関係にある販売店の代表と従業員らが逮捕されたことを重く受け止めます。販売店に対しては、より一層の法令遵守と従業員教育の徹底を求めていきます』という謝罪コメントを出すだけで終わるやろうがな。
よくネットでは新聞社への使用者責任を問う声、書き込みを見かけるが、法律上はそこまで責任を問うのは難しい。形式上は委託先業者の不始末にしかならんさかいな。
ただ個人的には、上記に掲げた1〜3までの事を新聞社の担当員が知らんというのは考えにくいから、少なからず新聞社にも責任があるとは思う。
このニュースがどこまでの拡がりを見せるかにもよるが、Y新聞の京都での普及率18%弱とそれほど高くはないということを考えれば、少なからず影響が出るものと考える。
京都府警では、一度こういうことがあった以上、今後も同類のことがあれば同じように摘発するということは十分考えられる。
そして、それが全国規模で拡がりを見せるということも。何度も言うが、もうすでに昔ながらのやり方では通用しなくなったと知るべきや。それが分からん者は逮捕され世間に悪名を晒すだけやと。
もっとも、同じようなことをしている新聞販売店は戦々兢々とするやろうが、そんな勧誘とは無縁であれば関係のない話やろうとは思うがな。
以上がワシらの意見、感想や。
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