新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1138 私の考えは理想論でしょうか?


投稿者 Nさん  投稿日時 2012.6.15 PM7:50


6月からA新聞のパッケージセールスのテレマをしています40代の主婦です。

営業経験がないため、何か参考になるような情報はないかと検索しゲンさん、ハカセさんにたどり着きました。

大変興味深く読まさせて頂きました。新聞拡張についても知識がありませんでしたので、こちらも興味深く読ませて頂きました。ありがとうございました。

ところで、新聞拡張に商品説明は不要とありますが、不要なのでしょうか。お客様は本当に不要と思っているのでしょうか。

気を悪くされましたらお許しください。

新聞を読んでいらっしゃる方は多いと思います。

読み応えのある新聞を自信持ってお勧めし、お客様のご決心を固めるためにサービス等が活かされるのではないでしょうか。

ゲンさんは雑談が得意とのこと。その雑談に今日お勧めしたい新聞の内容など盛り込まれているのでしょうか。

商品紹介を交えた雑談でカードが上がらなかった経験等があれば教えて頂けませんか?

勿論、電話での説明と対面での違いは理解しております。

私はどの新聞も好きです。新聞そのものが好きです。話題に偏りがなく、色んな人の意見や生活も読めて楽しいです。記者の顔が垣間見れるような記事・コラムも好きです。

デジタル化に伴いテレビ欄のみの需要も影を潜めると思います。

またインターネットの普及に伴い新聞本来の役割より解説・娯楽と、カラーが変わりつつあるのではと思います。

従来のように、家庭に新聞があるのが当たり前という無意識から意味がある購読になるのではと思います。

つまり、はっきりとした購読目的があるに変わるのでは? と思います。

拡材よりも新聞の質が選択されるのではと思います。

私の考えは理想論でしょうか?

やはり、人の欲に付け込むセールスの方が成績は上がりますか?

実は、悩んでいます。理想か? 明日の飯か? でございます。


回答者 ゲン


『パッケージセールスのテレマ』というのは電話による勧誘、および試読客を探すコールセンタースタッフをされておられるということかな。

一般的にテレマ(テレマーケティング)をされている所は、電話勧誘専門会社と電話勧誘を取り入れている新聞拡張団とに二分される。

『パッケージセールス(試読セールス)』をされているということやから、後者の方やと思う。

そういう会社では、外部販売部隊と呼ばれる現場勧誘員、つまり拡張員と内部販売部隊と呼ばれるセールスアシスタントとしてのテレマーケターと呼ばれる仕事に分かれとるのが普通やから、そのつもりで答えさせて頂く。

『ところで、新聞拡張に商品説明は不要とありますが、不要なのでしょうか』というのは、一般の商品のように「当社の○○は……」てな説明をせんでも「○○新聞です」と言えば、どんなものかは、たいていの人には分かる。

その地域で名の知られていない新聞など、まず存在せんさかいな。すべての新聞にブランドがあると言うてもええ。

例えば、A新聞がどんなものであるかくらいは、その名前を伝えるだけで誰でも分かるということや。読んだことがなくても殆どの人が知っている。

その意味での説明は不要やと言うてるわけや。

但し、その新聞のアピールできるところは、しっかりとアピールすればええ。「新聞とは……」というようなことは今更説明する必要はないが、『記者の顔が垣間見れるような記事・コラムも好きです』ということなら、その部分を客に分かって貰えるようなトークをするのは悪くはない。

あんたの言う商品説明が、その新聞の良さをアピールできるもので、相手がその事を知らなければ、それなりに効果的やと思うしな。電話勧誘の場合、話を引っ張ることが基本やろうから、それで自分のペースに持ち込める可能性がある。

『お客様は本当に不要と思っているのでしょうか』というのは、人により捉え方が違うと思う。

商品説明をして新聞の良さをアピールすることが営業だから、ちゃんと説明するのが当然だと考えている人もいれば、分かりきった説明など聞きたくないという人もおられる。

『新聞を読んでいらっしゃる方は多いと思います』というのは20年近く現場で営業しとる者から言わせて貰えば、新聞を毎日、ちゃんと読んでいると言える人の方が少ない。ええとこ1割から2割程度のものやと思う。

もっとも、大きな出来事、事件など話題性の高い記事が報じられていれば、その期間に限っていえば、読んでいる確率はもっと上がるやろうがな。

新聞購読者で一番多いのが、長年取っているから惰性で購読しとるという人たちや。中高年から年配者に多い。

普通に考えれば無駄なことに思えるが、その人たちにとって新聞というのは、そこにあるだけで安心するものなんや。なければ淋しい、不安に思う人すらおられる。

新聞があるのが当たり前と思って生きてきたさかいな。いえば新聞が毎日配達されること自体が生活習慣になっとるわけや。それがないと一日が始まらないという人も多い。

これについては現代の若い人たちには理解できないことやろうがな。何で読みもしないものに金を払ってまで購読するのかと。無駄ではないかと。

そのためか、その方たちの親御さんが購読している新聞を止めさせようとする人も多く、それによる親子間のトラブルに発展するケースすらある。俗に言うジェネーション・ギャップというやつや。お互い相手の価値観が理解できんのやろうな。

余談やが、アメリカでは「ジェネレーションX」と呼ばれるネット信望者の人たちにそういうケースが多いと言われている。日本でも同じような考えの若い人たちが増えているということなのやろうと思う。

次に多いのが、あんたのような主婦層で、折り込みチラシを活用されているという方たちや。

あんたに説明する必要はないとは思うが、折り込みチラシには安売り情報だけやなく、折り込みチラシそのものにスーパーや家電量販店、ファーストフード店などの特典や割引券がついているケースが多い。

折り込みチラシを上手く活用すれば新聞代程度は簡単に浮かせられると豪語する主婦もおられるくらいや。

その後に、その新聞販売店と懇意にしているからとか、勧誘員と親しいからといった付き合い、人間関係で購読している人たちが続く。それには、そうすることで他の人よりサービスしてくれるということもあるようやがな。

地域で、その新聞を購読している人が多いからという理由もある。日本人特有の仲間はずれになりたくない、他の人と同じ行動を取りたいという心理が働くのやろうな。

その人たちも新聞を読む目的で購読しているとは言い難い。

その後にやっと、新聞を読んで活用しているというビジネスマンや知識人などのインテリと呼ばれる人たち、あるいはそう思われたい人たちが続くわけや。

さらに、その新聞の根っからの熱烈なファン、新聞に掲載されている小説や四コマ漫画、コラム記事のファン、地域の情報などが知りたいという人たちが、それに続く。新聞への投稿マニアというのもいる。趣味で新聞記事の切り抜きをしているという人も結構多い。

『読み応えのある新聞を自信持ってお勧めし、お客様のご決心を固めるためにサービス等が活かされるのではないでしょうか』というのは、それで効果のある人もおられるという捉え方をしといた方がええな。それも一つの方法やという程度に。

人はそれぞれ価値観が違うから、何をもってベストかというのは決めにくい。特に営業するのなら、相手の価値観について理解するよう努める必要がある。営業では売る側ではなく、買う側の都合や気持ちを優先せなあかんさかいな。

当たり前やが買う側の気持ちが分かってないと物を売ることはできんわな。買う側には様々な考え、タイプの人がいるということを理解して、その人たちに合った営業をするのが営業員や。

その方法は数限りなく存在する。一つの営業方法では、それに合う人しか確保することはできん。「客とはこんなものや」という固定概念は捨てた方がええ。いろんな人がいるということを熟知した上で、その時々に合わせたベストな方法を選択することが営業の本質やとワシは考える。

『雑談に今日お勧めしたい新聞の内容など盛り込まれているのでしょうか』というのは、当然、そうすることもある。時事ネタもあれば地域ネタ、またコラムやベタ記事からネタを探すこともある。

もちろん、そのネタをどう使うかは相手次第、その時の状況次第で臨機応変に変えるがな。その意味では雑談ネタは数多く持っていた方がええと思う。

『商品紹介を交えた雑談でカードが上がらなかった経験等があれば教えて頂けませんか?』ということやが、そんなことはいくらでもある。

どんなに優れた商品紹介をしようが上手く雑談をしようが、それで簡単に契約して貰えるほど、この仕事は甘くはない。断られて不発に終わることの方が圧倒的に多いさかいな。

『勿論、電話での説明と対面での違いは理解しております』ということやが、その差は考えておられるより大きいと思うよ。

対面営業の場合は、相手と直接、接するわけやから見た目の雰囲気、またその相手の生活状況がある程度分かる。極端なことを言えば、相手と少し会話を交わすだけ、玄関口を見ただけ、干してある洗濯物を見るだけで、相手の嗜好や性格、性質などの大まかなことは分かる。

目で知り得る情報というのはかなり多いさかいな。その点、電話で得られる情報は対面に比べて極端に少ないから、相手を知るという点では難しいと思う。

『私はどの新聞も好きです。新聞そのものが好きです。話題に偏りがなく、色んな人の意見や生活も読めて楽しいです。記者の顔が垣間見れるような記事・コラムも好きです』という気持ちはええ。それは大事にされることや。

営業の本質は自分の信じているものを自信をもって売り込むことやさかいな。自分自身でええと思えないものを売り込んでも相手には何も響かんしな。

ただ、それも程度もので、あまり押しつけになりすぎると却ってマイナスになり、引かれてしまう。ここでも、それが効果的な相手と、そうでもない相手がいると知っておくべきや。

『デジタル化に伴いテレビ欄のみの需要も影を潜めると思います』というのは比較的若い人には当て嵌まることかも知れんが、デジタル機器の扱いに疎い、中高年や年配者にとっては必ずしもそうとは言えんと思う。

今以て、新聞でテレビ欄を見ている中高年や年配者の人たちの方が多い。

新聞さえそこにあればテレビ欄は一瞬で見ることができ、何の操作も必要とせんさかいな。どんなに優秀なデジタル機器でも、それ以上に早く便利なものは作れんと思う。

しかも新聞を見るのにデジタル機器や電源を必要とせんから見ることができんという事態に陥ることもない。アナログにはアナログの良さと利便性があるということや。

『またインターネットの普及に伴い新聞本来の役割より解説・娯楽と、カラーが変わりつつあるのではと思います』というのは、あんたの感想やろうから、それについてのコメントは差し控えさせて貰う。それも一つの感じ方やさかいな。

『従来のように、家庭に新聞があるのが当たり前という無意識から意味がある購読になるのではと思います』というのは、あまり変わらんやろうと思う。人が今までの価値観、生活習慣を変えるというのは並大抵のことやないさかいな。

先にも言うたように惰性で新聞を購読しとる人たちは、そこに新聞があること自体で安心感を得て、それに価値を見出しとるわけや。中身の問題やない。それが理解できん人には分かりにくいことかも知れんがな。

もし、あんたの言うように変わることがあるとすれば、それはそういう人たちが死滅した後のことやと思う。現在の中高年、年配者の人たちの価値観や生活習慣を変えることなど不可能に近いと考えるさかい、急に変わるようなことはまずない。

せやから、『つまり、はっきりとした購読目的があるに変わるのでは? と思います』というのは現時点では考えにくいというのがワシの見方や。将来的にはそうなるかも知れんがな。

特に現在の若者たちのように読みもしない新聞を購読するのは意味がないと考えている世代が多くなればな。

『拡材よりも新聞の質が選択されるのではと思います』というのも、人によりそれぞれや。今までのように拡材のサービスがなければ新聞を購読しないという人もいれば、拡材など関係なく新聞を読むと言われる人もいる。

何もこれは今に始まったことやなく昔から、そうや。

ただ、現在のように拡材サービスがしにくい、減少傾向にある時には、『拡材よりも新聞の質が選択される」ような営業に持っていくしかないが、昔ながらの購読者が『新聞の質で選択する』と期待するのは少し甘いと思う。

何しろ60数年以上にも渡り、新聞を購読すれば拡材サービスがついているのが当たり前やったわけで、それが急になくなって「新聞の中身で勝負しています」というようなことを言い出しても誰も「そうか」とは思わんわな。

拡材サービスが欲しい人は拡材のあるなしを重要視する。

実際、各地の新聞販売店、新聞拡張団関係者の人からもそういう話が届いとるさかいな。そのためやむを得ず、禁止されている拡材分を渡してでも客を繋ぎ止めとるケースもあるという。

ワシが言いたいのは拡材に拘る人は、いつまでもそれに拘るということや。そういう人を顧客にするにはサービスすることが最も有効な策になるわけや。

例えて言えば、主婦のあんたが、いつも買い物をするスーパーで貰えていたポイントが、ある日突然「廃止」になり、「当店は中身で勝負することにしました」と言われた場合、そのスーパーで続けて買い物をする気になれるかという事と似ている。

スーパーで売っている商品など、どこも似たようなものやというのはたいていの消費者の意識にある。それならば少しでも安い所、サービスのええ所を選びたいというのが人情やろうと思う。

ただ、人により、そのスーパーに行き慣れていて変えたくない、懇意にしている店主、店員さんがいてるからという理由で、サービスのあるなしに関係なく通うという人もいる。

新聞の場合も、それと同じようなもんやと考えたら分かりやすいのやないかと思う。

『私の考えは理想論でしょうか?』というのは、個人として考える分には問題はない。

ただ、営業をする者としては、自身の理想論に拘りすぎるのはどうかと思う。理想に拘れば、それに外れた人に対してどうしても批判的に見てしまいがちになるさかいな。

理想を持つのも新聞が好きなのも悪い事やない。ただ、その考えに囚われすぎたらあかんということや。

世の中には、いろいろな考えの人がいるのが普通やと考え、その人たちを理解できないと、営業するのは難しいさかいな。

営業とは人相手にするものやから、その人それぞれに合わす必要がある。極端に言えば、どんな人にも迎合できるような懐の深さが必要になるということや。

少なくとも、営業時に自分の主義主張、考えを表に出すようなことをするのはまずい。そうなると、どうしても自分とは違う考えの人に対しては、「こうした方が良いですよ」と言いたくなるさかいな。

営業でそれをするのは避けなあかん。ちょっと考えれば分かるが、自分の考えを否定されて喜ぶ人間は少ないさかいな。まして相手が営業員ともなれば尚更で、自分の意見や考えにケチをつけるような相手から物を買いたくないと考えるのが普通や。

営業では新聞の良さをアピールはしても相手の考えを否定したらあかんということや。それよりも「何でも、ごもっとも」と太鼓持ちに徹する方がまだええ。お世辞やヨイショなどを駆使するのもアリや。営業しとる時は、自分の理想とか主義主張は忘た方がええと言うとく。

『やはり、人の欲に付け込むセールスの方が成績は上がりますか?』というのも相手次第やと言うしかない。拡材次第で釣られやすい人ばかりを狙うのであれば、それなりに効果の上がるやり方やさかいな。

いくらいろいろな人が世の中にいるとは言うても初心者では、その相手を見極めることは難しいし、その上で相手に合わせろというのも酷な話やしな。

そこへいくと、「サービスしますよ」と言えば「どんなサービスがあるの」と興味を惹く人が必ずいとるから、そういう人だけを相手にする方が、最初のうちは上手くいくケースが多いということもある。

慣れてくれば、いろいろなタイプの人と遭遇するようになるので、それから徐々にそれぞれの人に合わせた勧誘をするように心がければ、自然に会得できるようになるのやないかと思う。

『実は、悩んでいます。理想か? 明日の飯か? でございます』というのは、事、営業することに関してだけで言えば、理想は捨てといた方がええとワシは考えるがな。

どんな考え方、どんな欲求を持った人とも合わせられる懐の深さが営業では要求されるさかいな。それができるようになれば相手に好かれやすくなるから有利になるということや。そう理解して欲しい。

あんたの質問の答えなら、そういうことになるが、もう少し突っ込んだことが知りたいのなら、普段、どのようなトークをされておられるのか、またそれでどういった結果を得られているのかを教えて頂ければ、それに即した回答もできるやろうと思う。


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