新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1140 誰が悪いと思いますか


投稿者 y.o さん  投稿日時 2012.6.21 PM 5:26  


こんにちは、誰が悪いと思うか聞きたくてメールしました。

配達部数を余分に給料日に申告、六年で70万円ほどになります。

その分は社長さんから払って貰っていました。うちの店では給料日に自己申告で貰うようになっています。朝刊ナンブ、夕刊ナンブといった感じです。

元々朝刊を200部配ってましたが、朝起きるのが遅いので50部ほど減らしたんですが給料の時には200部と言ってました。

そこまで気がつかない店を、どう思いますか?


回答者 ゲン


『誰が悪いと思うか聞きたくてメールしました』ということやが、あんたの話を聞く限り、店側がそのことに気がつかなかったという落ち度は多少あるものの、どちらかと言えば、あんたの方に非があると言える。

『元々朝刊を200配ってましたが、朝起きるのが遅いので50部ほど減らした』ということなら『給料日に自己申告』する際、正直に正規の部数を申告しておくべきやったと思う。

それが人として当然のことやないかな。当たり前のことをしてへんかった者が悪いというのが人の世の常識や。

それを『給料の時には200部と言ってました』と、ウソの申告をしてたわけやから、きついようやが、あんたの方に正当性は何もないということになる。

まあ、あんたはそれまで朝刊を200部配っていたから、そのまま言うとけば分からない、例え分かってもその時に訂正すればええと考えたのかも知れんが、どんな理屈をつけようとウソの申告をしたことを正当化することはできんということや。

そうは言うても一端貰ったものを返すというのは抵抗があるかも知れんが、人の道を外したくなければ返済した方がええと言うとく。故意にしろ間違いにしろそれは「不当利益」ということになり、法律的にも返還の義務を負うことになるさかいな。

ところで、現在その差額分の70万円ほどについては、どうなっとるのかな。その社長さんが「返金してくれ」とでも言うてるのやろうか。

もし、返還してくれと言うてる場合は、民法第703条に「不当利益返還請求権」というのがあるさかい、その支払いには応じる必要がある。

「不当利益返還請求権」とは、正当な理由なく他人の損失によって財産的利益を得た者に対し、その利得分の返還を請求できる権利のことや。

相手方に明らかな手違いがあろうと、あんたに落ち度がなかろうと、本来得られるはずのない利益を得ていれば、すべて「不当利益」ということになる。

つまり、この法律に関しては誰が悪かろうと良かろうとそんなことには関係なく、正当性のない過払い金があれば、それを支払った側に、その返還要求をする権利があると認めとるわけや。

ちなみに、「不当利益返還請求権」の民法上の消滅時効(民法167条)は10年やから、『六年で70万円ほど』というのは、支払い義務の範疇にあると考えられるから、返還要求をされた場合は逃れることは難しいやろうと思う。

しかし、その返還方法については交渉の余地はあると思う。もちろん、どうせ返さなあかんものやったら一括して返すと言うのであれば、それもアリやけどな。

まあ、普通はそんな大金を従業員に返せというのは酷な話やから、毎月の給料から一定額の天引きという形で払うことになるものと思う。

労働基準法第17条および第24条に、「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」とあるさかい、形式上は一端給料の全額を貰った上で、その中から返済金を支払うということになる。

ただ、同じ労働基準法第24条の補足には、

「法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる」

とある。

つまり、その販売店に、

「労働組合があればそれで、ない場合は従業員の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる」

ということや。

ちょっとややこしいかも知れんが、例えば店長あたりが経営者の意向に同意すれば、一般的には給与の総額の2割程度までが天引きの限度額とされとるから、その範囲内の天引きであれば給料の支払い時にそうするのは特に違法にはならんということや。そういう前例なら、いくらでもあるしな。

それを念頭に入れて、あんたが返せる程度の額を交渉して返済するようにすればええのやないかと思う。

これはワシの勝手な言い分かも知れんが、6年間で積もり積もった間違いなら、6年かけて返済するというのでもええのやないかと考えるがな。もちろん、交渉次第でそれ以上の期間で返済するというのもある。

そうすれば毎月の返済が楽になるから、あんたも気楽にはなるやろうしな。販売店にしても、最終的には返済して貰えるから、それで問題はあまりないはずやしな。

そうなるかならんかは何とも言えんが、そのくらいの交渉をしても損やないと考える。

社長から、その過払い金の返還請求されていない場合はどうか。

その場合は、まず『50部ほど減らした』という事実を正直に社長さんに告げることや。今更言えんという気になるかも知れんが、このままズルズルといって発覚すれば今以上の負担になるのは目に見えとるさかい、それは避けた方がええと思う。

あんたも悩んでいるからこそ、こういう質問をされたのやと思うしな。その思いを引きずるよりは、すっきりした方がええのと違うかな。

それに正直に言うた場合、その過払い金を返せと言うとは限らんしな。「もう過去のことやから返さなくても良い」と大目に見る経営者もいとる。

その社長さんが、そうなのかどうかは保証できんが。

ただ、何も言わない、分からないということをええことに、このまま黙っていて、それが発覚した場合、いくら人のええ社長さんでも、あんたに対して良くは思わんやろうから、今までの過払い金を返せと言われる可能性の方が高いと思う。

その際、あんたが「気がつかない、そちらが悪い」と言ってしまったら、すべてが終わる。争いに発展したら、あんたに勝機はないと言うとく。辛いことになりかねんと。

『そこまで気がつかない店を、どう思いますか?』と、ワシに聞くこと自体、あんたはその店の方が悪い、気がつかない方が間抜けやという風に考えとるのやろうから、知らずにいたらそうなるかも知れんさかい、老婆心ながら忠告しとく。

事の善悪で言えば、その販売店は単にあんたの言うことを信じて気がつかなかっただけやから、結果的に騙したことになるあんたの方が悪いと言える。

ワシの意見ということなら、そうとしか言えんが、どうされるかは、あんた次第や。良う考えて決められたらええ。


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