新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1141 夕刊はいらないと思います
投稿者 Tさん 投稿日時 2012.6.22 PM 4:42
こんにちは。今、朝刊夕刊を読ませていただいています。夕刊は、殆んど読んでいません。
朝刊には番組表が乗っているので。でも、夕刊には新しいニュースが載っているのではと思いますが、番組表はいらないと思います。
宜しくお願いいたします。
回答者 ゲン
件名に『夕刊はいらないと思います』とあり、『夕刊は、殆んど読んでいません』ということなら、その新聞販売店に言えば夕刊を止めることは可能やと思う。実際、そうしとる人も多いさかいな。
但し、朝夕刊セット版地域での夕刊のみを止めた場合の新聞代金には決まりというものが設けられていないため、夕刊を止めた場合の新聞代金はその販売店次第で違うということがある。
安くなることもあれば、それほど値引きされないというケースもあると。その幅は、朝刊のみの統合版価格並の3007円から3700円程度までと広い。
全国的な傾向で言うと、夕刊なしの場合の新聞代金は、その高い方の3700円程度に設定されとるというのが最も多い価格帯のようやがな。
一般紙の大半の定価が朝刊で130円、夕刊50円と設定されて駅やコンビニなどで売られとるさかい、本当ならその割合で値引きされなあかんが、そうはなっていないということや。
ちなみに、駅やコンビニ売りの定価は朝夕刊で180円で1ヶ月30日計算で5400円になる。それが月極めの宅配に限り月3925円になっとるわけや。
約27%もの大幅な値引きで、それが特別割引価格やと新聞各社が口を揃えて言う。それには配達サービス、景品サービスがついた上である。そんな商品は他にはない。
もっとも、駅やコンビニ売りでの新聞の販売部数は全体の5、6%程度のものやから、それを定価とするというのには無理があるわけやけどな。
まあ、それはおいといて、その値引き割合から計算すると、夕刊50円×30日×73%=1095円が夕刊がない場合の値引きで朝刊のみやと2830円にならなあかんということになるが、実際にはその価格にしている販売店は皆無と言うてもええ。
それどころか、朝刊のみで3700円という価格の設定が平然と行われている。これについては今のところ公正取引委員会や消費者庁でも問題にはなっていない。
なぜそんなことになるのか。
それは、朝夕刊セット版での新聞自体が一つの商品ということになっとるからや。
それについては、雑誌の付録、商品のオマケが夕刊やと考えたら分かりやすいやろうと思う。
雑誌を買う場合、その付録が必要ないから雑誌本紙だけにしてくれと言っても、その付録分を値引きして売る書店など、殆どない。
一般的な商品についているオマケもそれと同じで、いらんからと言うて、その分値引きしてくれることはまずない。たいていは「ああ、そうですか」で終わるし、それで通る。
なぜなら、その付録やオマケには値段が設定されとらんからや。新聞の場合は夕刊にも定価が設定されとるわけやけど、朝夕刊セットで一つの商品ということで付録、オマケ扱いになっとるということや。
その理屈を押し通して、それが公にも認められとる。
本来なら、夕刊がいらんと言うても、そのままの新聞代を法律上は請求できるわけやけど、それでは読者が納得せんということで、夕刊の配達経費に当たる数百円程度を値引きしとるというわけや。その販売店独自の配慮、好意として。
それが、朝夕刊セット版地域において朝刊のみでの3700円程度という割高とも言える価格設定が可能になっている理由でもある。
せやから、夕刊が必要ないから止めると言うた場合、期待するほど安くはならんということは覚悟しといた方がええと思う。納得はできんかも知れんがな。
ここで、なぜ全国紙の場合、同じ新聞であっても、朝夕刊セット版地域と朝刊のみ統合版地域とに別れとるかを簡単に説明する。
一般的に朝夕刊セット版は都市部周辺や人口の多い地域に多く、統合版は地方に多い傾向にある。そして地域的には統合版の方が広く、そのため全国版と称されることもある。
朝夕刊セット版だとニュースの速報性が高いという利点がある。
事件や事故というのは、いつ起きるか分からない。朝夕セット版の場合、大きな事件事故などが発生すると、朝刊でその第一報、夕刊でその補足。逆に夕刊で第一報、朝刊でその詳細というケースが一般的や。
それを朝刊のみにすると、第一報の続報は翌日の朝刊で分かるとしても、第一報の補足記事については分からんということになる。
翌日の朝刊には、前日の夕刊に載せたのとまったく同じ記事が掲載されることはまずない。読者は、すでに夕刊の記事は読んだものとして、新聞社はその継続紙面を作るからや。
つまり、新聞社としては、朝夕セット版地域では、朝刊と夕刊の二つを購読して貰わな意味がない、またそうするもんやと考える。それが一つの商品という所以でもある。
そのために、朝刊のみの価格、夕刊のみの価格というのが特に設定されていないということになるわけや。
統合版地域になると、前日に起きたニュースが主に掲載される。深夜遅くに起きた事件、事故は掲載されない場合がある。
一般的に「降版」といって新聞紙面の組み上げや校閲といった製作関連の作業がすべて完了し、刷版・印刷部門に版を引き渡す、つまり工場で印刷するまでの時間が、地域の交通事情などの関係で早くせなあかん傾向にあるためにそうなるわけや。
前日の夕刊と翌日の朝刊が合体したものが統合版やと考えれば分かりやすいやろうと思う。
もっとも、前日の夕刊と翌日の朝刊が合体したとは言うても、その分、情報量が多いということでもないがな。ただ、統合版の場合は、ほぼ完成された紙面になるから、あまり記事の変動はないということがある。
そこにいくと朝夕セット版の場合は、同じ地域内であっても「降版」時間が違うということもあって時間によっては紙面の内容が違うということがまま起きる。
「降版」時間が遅い地域、新聞が工場から運ばれてくるのが遅い地域ほど、より新しい情報の記事が掲載可能になるから、そういうケースが起きるわけや。
つまり、同じ新聞であってもその日の紙面が違うということが朝夕セット版では起きやすいということやな。ニュースの速報性や流れ、動きを知るには朝夕刊の記事の両方をこまめに見ておいた方がええということになる。
夕刊が必要ないと言われる人には、そこまで説明して納得して貰う必要があると思うのやが、残念ながら、そこまでのことを説明する販売店もないし、その義務も負わされていない。
そのため殆どの新聞読者は、そういった事情を知らん人の方が圧倒的に多い。朝刊と夕刊は同じような記事やと錯覚して単に読む時間がないからとか、邪魔になるからといった理由で必要ないと思われとるようや。あんたもその口やないのかなと思う。
あんたの言われる『夕刊はいらないと思います』というのが、夕刊などあっても意味がない、不必要やと言われることについては、それなりに意味があって存在しとるものやと言うとく。
そのつもりで、もう一度、ゆっくりと夕刊を読まれたら、また違った見方もできるのやないかと思う。
もっとも、あんたの考えや意見を否定するつもりはないから、あんたが個人的に夕刊が必要ないと思われる分には、それで構わんがな。
夕刊に『番組表はいらないと思います』というのはワシもそのとおりやと思う。朝刊に載っとれば十分やと。
あんたの疑問、意見についてのワシの答えということなら、そうや。分かって貰えたやろうか。
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