新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1142 この新聞社の不祥事をどう思いますか?
投稿者 Sさん 投稿日時 2012.6.29 PM 8:23
今晩は。いつも楽しく拝見しています。
本日、A新聞に、
C新聞2億8千万円申告漏れ 社員の飲食で所得隠しも
http://digital.asahi.com/articles/NGY201206290004.html?ref=comkiji_txt_end より引用
C新聞社(本社・名古屋市)が名古屋国税局から2011年3月期までの6年間で約2億8600万円の申告漏れを指摘されたことがわかった。うち社員の飲食を取材相手らとの飲食に装うなど一部に所得隠しがあったと認定された。国税局は重加算税を含め約5300万円を追徴課税した。同社は29日、納税する。
同社や関係者によると、本社や支局の記者らが飲食店で飲食したにもかかわらず、取材相手や会議で飲食したと偽って取材費や会議費として計上していた。 中には記者が白地の領収書をもらって勝手に金額を書き込んだり、請求する際に人数を水増ししたり、実在する公務員と一字違いの架空の人物を記すなどの行為があったとされる。
という記事がありました。
こういう事件があると他紙の拡張員さんは有利になるのでしょうか?
また、こういうことはC新聞に限らず、他でも行われていることなのでしょうか?
以前のメルマガ『第201回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞がおかしい その1 危険な新聞社同士の関係』で言われていたことが何か関係があるのでしょうか。
よろしくお願いします。
回答者 ゲン
税金の申告漏れというのは故意であれミスであれ、殆どの新聞社では起きとることで、それ自体は珍しいことやないが、新聞社にそれがあるというのは法律的な問題が解消されたとしても道義的な面では拙いわな。
「常日頃から、他業者のそういった税金の申告漏れ、脱税行為に関しては厳しく追及しとるくせに、自分の事は棚に上げて何やっとんねん」と言われても返す言葉はないやろうと思う。
『こういう事件があると他紙の拡張員さんは有利になるのでしょうか?』というのは、確かにイメージとしては悪いさかい、その事実を勧誘する際、C新聞の読者に告げれば、中には「そんな新聞社やったら止めようか」 という人もおられ、効果がある場合も考えられる。
しかし、同時に、そういう相手方の落ち度を吹聴する者の姿勢を問われたり、「あんたところの新聞社も同じようなものやないのか」と言われたりして、却って逆効果になるということもある。
それに、その記事は当のC新聞には事件の詳細はおろか、謝罪文の掲載すらされていない。他紙においても今のところA新聞くらいしか報道していないようやさかい、そんな事実があったと言うてもC新聞の読者の方には俄には信じて貰えんかも知れん。
また、「税金の申告漏れ」程度ということなら、その記事にもあるとおり『国税局は重加算税を含め約5300万円を追徴課税した。同社は29日、納税』すれば、それで終いと考える購読者が大半やないかと思う。
もっとも、今回の報道には『同社や関係者によると、本社や支局の記者らが飲食店で飲食したにもかかわらず、取材相手や会議で飲食したと偽って取材費や会議費として計上していた。 中には記者が白地の領収書をもらって勝手に金額を書き込んだり、請求する際に人数を水増ししたり、実在する公務員と一字違いの架空の人物を記すなどの行為があったとされる』とあり、それが事実やとするとかなり悪質ではあるがな。
ただ、その記事には『本社や支局の記者らが飲食店で飲食したにもかかわらず、取材相手や会議で飲食したと偽って取材費や会議費として計上していた』と断定しとるのやから、事実やなかったら大変なことやが、その記事を書いた記者は、どこからその情報を入手したのやろうかという疑問が湧く。
『同社や関係者によると』ということやが、普通に考えてC新聞の現役新聞記者が、その記事を書いたライバル紙でもあるA新聞の記者にそんな事実を語るというのは考えにくい。
それが事実やと言われたら、ワシにはそれを否定するだけの証拠がないからどうしようもないが、そのソース(情報源)に辿って確認しても、その記事の内容を否定するのは、ほぼ間違いないものと思う。
もしC新聞の現役新聞記者が、その記事を書いたライバル紙でもあるA新聞の記者に、そんなことを語っていたとしてら、普段、よほど仲が良く、お互いが同じような不満を持っていたか、同じような事実があってその事を憂いていた場合くらいなものやないかと想像する。
それ以外は考えにくい。そして、それが事実とすればA新聞にも同じようなことがある、あったと推察されるということにもなる。
そうなると事はC新聞社1社だけに止まらず、業界全体の体質のようにも受けられかねん。
事実、今年の3月A新聞にも同じような事件『2億5千万円申告漏れ 4800万円は悪質な所得隠し』 で摘発されとることでもあるしな。
その折りにお互いの新聞記者が「同病相憐れむ」の心境で愚痴を言い合った可能性なら考えられる。それを記事にしたと。
しかし、その事を記事にすればその情報源が誰かというのは、すぐ分かるから、その後の関係が拙くなるということくらいは誰にでも想像できることや。
当メルマガの『第209回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像 その6 新聞第3のタブー、記者クラブ問題について』で、新聞社間で形成されている記者クラブの特殊性について触れたように、果たしてその強固な関係を崩すような記事を書くものやろうかという気がする。
それからすると『同社関係者』からの情報という線は考えにくいのやないかと思う。絶対にないとまでは言い切れんがな。
それ以外で考えられるのは『関係者によると』というのが、その事件を担当した国税局の査察官によるリークやが、リークするのならA新聞1社だけやなく、その他の新聞にもしとるはずや。
しかし、他紙には、今のところこの事件は報道されていない。それからすると、その線からのリークというのも怪しくなる。
もっとも、その情報を聞き出すことに成功したA新聞の記者の「特ダネスクープ」やったのかも知れんがな。その線なら十分考えられる。
それには、今年の3月のA新聞の所得隠し事件の折りに、他紙から相当手厳しく記事にされたから、それらの他紙に同じようなことが起きれば、手を緩めず報復的な記事を載せろということもあったのやないかと思う。それなら分かる。
少なくとも、その記事を書いたA新聞の記者は社内的には、かなり評価されとるはずや。
『また、こういうことはC新聞に限らず、他でも行われていることなのでしょうか?』というのは、その可能性は高いと思う。前例がないと、できんことばかりやさかいな。
過去のメルマガ『第201回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞がおかしい その1 危険な新聞社同士の関係』 の中で、『良きにつけ悪しきにつけ、新聞業界はお互いの醜聞は、なるべく暴かないという姿勢に終始していたはずや』が『それもここに来て怪しくなったと言うしかない状況にある』と言うたが、それが現実になりつつあるのやないかという気がする。
新聞社同士の「仁義なき戦い」が、これから本格的に勃発していくのやないかと。
もっとも、不正や不法行為は例え同業者の新聞社同士であっても暴くというのは、公明正大さをアピールできるから、むしろ推奨したいくらいなものやとは思う。
しかし、このことをネタに勧誘するのは、一般からは「所詮、同じ穴のムジナ」程度にしか思われん可能性もあるから、あまり勧める気にはなれんがな。
ヘタをすると、新聞そのものを止めると言われかねん。そうなったらヤブ蛇になると考える。新聞全体の評判を落とすだけのことになると。
ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート1
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