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NO.1143 新聞の世論調査の信憑性について教えて下さい
投稿者 I.Hさん 投稿日時 2012.6.29 PM 11:51
いつも拝見させていただいています。
新聞の世論調査の信憑性について疑問を感じている者ですが、実際のところどうなのか教えていただけないでしょうか?
昨日、消費税増税についてM新聞に世論調査の記事がありました。
▼本社世論調査:消費増税 今国会成立「望まぬ」63%
http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000m010098000c.html
▼本社世論調査:「新党の動き不支持」71%
http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000m010075000c.html
ここに書かれているような報道の数字は私にはとても信じられません。
私の知る限りの人たち(といっても30人ほどですが)に聞いても、ほぼすべての人が消費増税については反対だと言っていました。
中には語気を荒げて「ふざけるな。こんな法案を可決させた民主党や自民党、公明党には今後絶対に選挙では投票しない」と言っておられる方もいます。私も同感です。
私は今まで小沢一郎という人物は好きではありませんでしたが、今回、小沢さんたちの行動は筋が通っていると思っています。見直しました。
現在の民主党は3年前に国民と約束したマニュフェストをことごとく破っています。
小沢さんたちは、それでは国民に背くことになると言って消費税増税法案に反対しました。
これは当たり前のことだと思います。実は私も3年前に自民党の政治に嫌気がさして民主党に票を入れたのですが、今はとても裏切られたという気持ちになっています。これでは自民党時代と同じか、もっとひどい状態ではないでしょうか。
私は誰が何と言おうと、この小沢さんたちの姿勢は支持します。小沢さんたちは民主党を離党して新党を結成するということですが、そうなれば及ばずながら一票を投じたいと思っています。
私だけではなく消費税増税を防げるのなら、小沢さんたちが立ち上げる新党に一票を入れるという人がほとんどではないかと考えます。
なぜなら、小沢さんたちを否定することは、そのまま消費税増税を認めることになると思うからです。多くの人は消費税増税を認めるはずなどないと思います。
実際の世論は、この新聞記事とは大きく違うと思うのですが、ゲンさんは、それについてどう思われますか。
回答者 ゲン
新聞の世論調査については、2年前の2010年2月5日の当メルマガ『第87回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞世論調査の仕組みとその信頼度について』で詳しく話したから、それを読まれたら大凡のことは分かるやろうと思う。
これはハカセに実際にかかってきた新聞の世論調査の電話をもとに調べて話したものや。
ここで、簡単に一般的な新聞の世論調査のやり方を説明する。
「RDD」というのがある。
RDDとは「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略で、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて調査する方法のことやという。
この方式だと、電話帳に番号を掲載していない人にも調査依頼ができるため、電話帳から番号を調べる方式より偏(かたよ)りが少なくて済み、調査の対象が選びやすいということらしい。
この新聞社では重要な世論調査は、その方式ですると言われている。
以前は面接方式と言うて、直接、各家庭に押しかけて調査するケースが多かったが、最近は電話での聞き取り調査が主流やという。
固定電話の番号は、「市外局番」−「市内局番」−「家庭用番号」の計10桁の数字になっている。
その新聞社では地域を特定できる「市外局番」−「市内局番」の番号をリストにして保存している。
調査に使う電話番号を実際に作る場合、そのリストの中から、調査対象地域や電話帳への掲載度合いなどに偏(かたよ)りが出ないように工夫した上で、上8桁までの番号を無作為に選び出す。
さらに、残りの下2桁、00〜99の数字をランダムに選び10桁の番号を作る。
ただ、こうして作った電話番号の中には、使われていない番号も含まれるため、自動判別コールシステムというもので篩(ふるい)にかけ、残った番号を調査用に使うのやという。
それで、その都度必要な番号が選び出される確率は数万分の1程度になる。
日本は世界でも類を見ないほどの世論調査大国と言われている。
内閣府の調べによると全国で実施された対象者が500人以上の世論調査は、毎年1200回前後もあるという。月平均100回になる。
新聞、テレビなどのマスメディアはもちろん、政府や自治体などの公的機関、大学などの学術機関、企業や民間調査機関といった具合に多種多様な組織がその調査をする。
そのいずれもサンプル調査といって、地域や年齢、性別などの偏向をなくすために、それぞれの代表と言える比率の調査対象人を選び出す。
その結果が概(おおむ)ね一般世論の意見を反映していると広く一般にも認知され、考えられている。
極端に数字信仰の強い日本では、特にその数字が重要視され、政治ですらその動向で左右されることが多い。
それほど日本において世論調査の結果には絶大な影響力があるということや。
全国世論調査の場合、その数、2000〜3000人程度が一般的やから、それに当たる確率が数万分の1程度になると言うたわけや。
それが月100回あったとしても数百分の1、年にしても数十分の1の確率にしかならん。
多くの人がその対象になっていないため、世論調査の実態というのはあまり知られる事もなく、その信憑性に疑いを挟む人も多い。
特に、新聞、テレビなどのマスメディアはその世論操作をしていると。
その可能性があるともないともワシには何とも言えん。あんたが、そう思われたのやとしたら信用できんということになっても仕方がない。
新聞はその世論調査というのを発表するだけで、その過程は誰にも分からんのやさかいな。最終的には信用するか、しないかということに尽きる。
あんたが『新聞の世論調査の信憑性について疑問を感じている』というのも、ご自身が直接確かめられた『私の知る限りの人たち(といっても30人ほどですが)に聞いても、ほぼすべての人が消費増税については反対だと言っていました』という事実があれば、よけいそうなるやろうと思う。
それに新聞の世論調査というのは、その設問次第で答は大きく違うてくるということもあるしな。
あんたが示された記事にしても、それは同じやと思う。
本社世論調査:消費増税 今国会成立「望まぬ」63%
http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000m010098000c.html より引用
M新聞の緊急全国世論調査で、税と社会保障の一体改革に関し、消費増税法案の今国会での成立を「望まない」と答えた人は63%に上り、「望む」は35%にとどまった。
消費増税法案など一体改革関連法案は5月の大型連休明けから衆院特別委員会で120時間を超える審議を行い、26日に衆院で可決、参院に送付された。しかし、増税に対する国民の理解はまだ広がっていない。
消費増税法案は税率を14年4月に8%、15年10月に10%にまで段階的に引き上げる。今国会成立を「望む」と答えた人は民主支持層で63%、自民支持層で54%とそれぞれ過半数を占めた。一方、公明支持層は35%にとどまったほか、支持政党はないと答えた無党派層の「望む」は29%と低く、「望まない」が69%を占めている。
新聞記事にある『税と社会保障の一体改革に関し、消費増税法案の今国会での成立を「望まない」と答えた人は63%、「望む」は35%にとどまった』という回答を得られるケースはいくつか考えられる。
この設問に至るまでに、いくつかの質問を重ねている場合などが、そうや。
例えば、
「税と社会保障の一体改革は必要だと思いますか」
「年金制度や社会保障はこのままでは行き詰まります。そのための増税は認めますか、認めませんか」
という種類の設問が続けば、消費増税が嫌でも上げるのは仕方ないかと、考える人も現れる。完全に「望む」やなくても「どちらかと言えば増税も止む得ない」という回答でも、それが『「望む」は35%』という数字に含まれているのやないかと考える。
そのあたりの絡繰りについても『第87回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞世論調査の仕組みとその信頼度について』
の中で話しとるので見て頂ければと思う。
ちなみに『「望まない」と答えた人は63%』というのは、どんな理由であれ消費税増税は嫌だという強い意志を持った人たちやと思う。何を言われても消費税増税には反対すると。
これが最初に、
「税と社会保障の一体改革に関し、消費増税法案の今国会で提出されていますが、増税に賛成ですか、反対ですか」
とストレートに質問すれば、大半の人は「反対する」と即答するはずや。
基本的に新聞の世論調査では企業などに電話がかかった場合は避けて、一般市民だけを対象にするという原則がある。
そして、消費増税法案に賛成する者は、『NO.1139 新聞が何故自動車利権ムラの実態を取り上げないのか不思議でなりません』 の中で、
自動車には過去、物品税というものがあり普通乗用車で23%もかけられていたが、消費税の登場で、それがなくなった。その消費税の導入に積極的やったのが自動車業界やと言われとる。
物品税を撤廃させてヨーロッパ型の付加価値税を導入するのが自動車業界の悲願やった。というか、それでないと外国との競争に勝てんと考えたわけや。せめて外国並みにして欲しいということで。
当時の政府は自動車業界の陳情を受け入れて付加価値税と同種の消費税導入に前向きになり、紆余曲折の末、導入したという経緯がある。
業界が消費税に拘った裏にはさまざまな思惑があると言われとる。
単に税金分を安くして、購買欲を高めようという狙いの他に、輸出の際の還付金狙いの側面もあったという。
自動車を輸出した場合、外国が相手やとその外国から消費税が取れんということで、自動車メーカーには仕入れや下請けに払った消費税分が還付されることになっている。物品税には還付金がないさかい、業界は消費税導入を積極的に働きかけたと。
T社で年間約2000億円の還付金があると言われとる。
現在、野田総理によって消費税が10%に跳ね上がろうとしとるが、そうなれば還付金も倍の約4000億円になるという計算になる。
もっとも、これは輸出企業のすべてが等しく同じ恩恵を受けるわけやから、自動車業界が特別というわけでもないがな。
それに関して利権があると言えば、輸出企業全般という広範囲なものになる。そのため経団連を中心に大企業が消費税に賛成して与党民主党が、それに向かって突き進もうとしとるわけや。もちろん、大企業寄りの自民党が手を貸して。
で言うたように「輸出企業全般という広範囲」な企業を主とする経団連か、それに追随する「連合(日本労働組合総連合会)」、消費税増税を押し進めている官僚、または高額所得者といった極一部の人間しかいないと思う。
「連合(日本労働組合総連合会)」にしても、その組織のトップクラスの人間が賛成しているだけで、消費税増税により生活が苦しくなる一般労働者たちが賛同するとはとても思えない。
消費税が増税されれば、確実に消費は落ち込み景気が悪くなるのは、ほぼ間違いない。そうなれば中小企業などの倒産が今よりも確実に増える。リストラも当たり前のように行われるやろうと思う。
そのしわ寄せは、すべて一般労働者に跳ね返ってくる。ちょっと考えれば、その程度のことは誰にでも分かることやさかいな。
それに加えて、新聞、テレビの大手メディアも、自動車産業を初めとする「輸出企業全般という広範囲」な企業から多額の広告費を貰って成り立っとるわけやから、大ぴらに消費税増税に反対できんということがある。
それよりも「輸出企業全般という広範囲」な企業に喜んで貰うためにも、その意向に沿った報道をしていると考えた方が自然かも知れん。スポンサーを怒らせるわけにはいかんやろうからな。
その視点で見れば、あんたのように『新聞の世論調査の信憑性について疑問を感じている』
と言われても仕方ないやろうと思う。
消費増税で得をする一般市民は、ほとんどおらんさかい、普通の聞き方をすれば大半が反対となるが、設問の内容と順序を変えて違った回答を得られるという姑息な手段を使っていると。
『新党結成の構えを示している民主党の小沢一郎元代表の行動について』の記事についても同じようなことが言える。
本社世論調査:「新党の動き不支持」71%
http://mainichi.jp/select/news/20120629k0000m010075000c.html より引用
M新聞は27、28日、税と社会保障の一体改革関連8法案が衆院で可決され、参院に送付されたことを受け、緊急の全国世論調査を実施した。
採決で反対し、新党結成の構えを示している民主党の小沢一郎元代表の行動について「支持しない」が71%に達し、「支持する」(24%)を大きく上回った。
元代表ら採決で造反した民主党所属議員に対し、党執行部が除名など厳しい処分をすべきかどうかについても「処分すべきだ」が57%を占めた。
内閣支持率は28%で、今月2、3日の前回調査より3ポイント上昇した。不支持率は同1ポイント増の53%だった。
民主党の造反議員に対し、「処分する必要はない」は34%にとどまり、民主支持層でも62%が厳しい処分を求めている。元代表の新党結成について、民主支持層の「支持しない」は82%に上り、「支持する」は16%。「支持政党はない」と回答した無党派層でも「支持しない」68%、「支持する」27%だった。
この場合も『民主党の小沢一郎元代表の行動について「支持しない」が71%に達し、「支持する」(24%)を大きく上回った』という答えを導き出す前に、
「あなたは民主党の小沢一郎元代表が好きですか」
「今回の民主党のお家騒動、混乱振りについて、どう考えますか」
「あなたは組織の一員が反対票を投じることについて、どう考えますか」
といった質問を続けた後、
『民主党の小沢一郎元代表の行動について支持しますか』と問えば、その流れで「支持しない」と答えるケースは十分考えられる。
しかし、それでも「支持する」が24%もあるということに注目したいと思う。
そのM新聞の記事には、『「支持しない」が71%に達し、「支持する」(24%)を大きく上回った』として、小沢氏には大した支持が集まっていないかのような論調になっているが、その数字は、民主党や自民党の支持率をかなり上回っとるわけや。
ワシも民主党の小沢一郎元代表に人気がないのは認める。評判が悪いのも確かやと思う。
それでいて、その数字があるというのは、如何に今回の行動を支持しとる人が多いか、消費税増税法案に反対している人が多いかという証拠になるやろうと思う。
民主党の小沢一郎元代表が、新聞各社から嫌われているという話を、当メルマガの『第209回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像 その6 新聞第3のタブー、記者クラブ問題について』で話した。
1991年当時、自民党の幹事長だった小沢氏が、それまで政見記者会見には記者クラブに属している記者しか出席できないことに疑問を呈し、記者クラブに所属していない雑誌記者を含めたその他の記者たちをオープンに参加させたということがあった。
この頃から、大手新聞各社は記者クラブに批判的な小沢氏に対して執拗とも思えるダーティなイメージを植え付けるかのよう報道を繰り返してきたと、元ジャーナリスト上杉隆氏が語っている。
そのメルマガの中で、
小沢一郎氏が記者クラブ制度を撤廃したのは事実である。
上杉氏の言われるように、本当にそれを恨みに思って新聞各社が小沢氏を「悪の権化、金の亡者」に仕立てるような報道を続けてきたのか。
もちろん、そんなことを問うても新聞各社が「そうや」と認めるはずはないがな。
ただ、それが小沢氏を攻撃し続けている理由やと仮定すれば、少なくとも『政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑』での一連の異常とも思える報道についての疑問は解ける。
その容疑の根底にあったのは「水谷建設からの収賄容疑」やったわけで、それについてはテレビで散々報じられたように徹底的に小沢氏を調べ上げたにもかかわらず何の証拠も得られなかった。出てこなかった。
検察による完全な見込み捜査やった。本来なら、新聞はその強引な見込み捜査のあり方を批判せなあかんはずや。
しかし、当時の新聞各社の関連記事には、そういう類の報道は見当たらん。
現在と一緒で無罪になっても「まだグレー」という論調がまかり通っていた。
新聞は過去、無罪判決が下された被告には、ほぼすべてのケースで同情的な論調に終始してきた。捜査機関のやり方に疑問を呈してきた。
その姿勢が小沢氏に限っては微塵もない。
無罪になって尚、まだグレーやとか怪しいという論調を繰り返しとるのは、今回の小沢氏のケースくらいなものやろうと思う。
それに、小沢氏の問題はちょっと調べるだけで、おかしな言いがかりやというのは誰にでも分かることや。
小沢氏がグレーとか怪しいと言うてる人たちは、ほぼ100%の確率で新聞やテレビ報道の論調を鵜呑みにしとるからやと思う。
ただ何となくという感じで小沢氏が「悪の権化、金の亡者」だと信じ込まされているにすぎないと。
そのためやと思うが、ならばどういう理由で小沢氏が「悪の権化、金の亡者」なのかと質問されて具体的な根拠を挙げて「だから悪の権化、金の亡者だ」と答えられる人は、ほとんどいない。
と言うた。
その新聞やテレビなどの大手メディア、官僚や敵対する政治家たちが、小沢氏個人を恐れるあまり、徹底した排除に乗り出した結果が、今回の消費税増税問題を小沢氏の反乱、造反という報道に終始しとるのやろうと思う。
小沢氏一人を悪役に仕立て上げれば、それで済むと。
なぜそんなことをする必要があるのか。それは新聞やテレビなどの大手メディア、官僚や敵対する政治家たちに「正義」 がないからや。物事の正当性を考えれば、誰でもあんたの言うように小沢氏の方に分があると考えるのが普通や。
それを打ち消すには小沢氏個人への攻撃をするしかない。そのイメージをとことん下げるために、今回の世論調査があったと言われれば、ワシもそうかも知れんなと思う。その可能性はあると。
本来なら、新聞の世論調査というのは厳格に行われていると信じたいが、事、小沢氏に関する報道ということになると残念ながら、そうは思えんことがあまりにも多いさかいな。
ワシもこれから一週間ほどかけて勧誘時の雑談がてら、この件について街の声を聞いてみたいと考えとる。実際のところはどうなのかと。
最後に、その世論調査に対抗してというわけでもないが、この場を借りて、これを見ておられる方たちへ、今回の件に関してご意見を寄せて頂ければと思う。賛否いずれのご意見でも結構や。
それらの結果が集まり次第、メルマガでこの問題をもっと掘り下げて話してみたいと考えとるさかい。
あんたのお知り合いの方々のご意見も具体的に教えて頂ければ有り難いが。
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