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NO.1148 新聞販売店もいじめじゃないでしょうか?


投稿者 Nさん 新聞販売店専業員  投稿日時 2012.7.10 AM 5:53


メルマガ『第213回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■子供がいじめにあって困っていますが、どうすればいいのでしょうか?』のいじめに関して私見を。

子供のいじめは確かにかわいそう。通う学校を自分で決めることができないから。

でも新聞販売店もいじめじゃないでしょうか?

性格の悪い店長が従業員をいじめることより、本社が販売店をいじめていると思います。

押し紙はもとより本社から送ってくるものはティッシュ1個さえお金を払わないといけません。

本社のどんな命令でもこなす所長集団はまるでプロレスラーのそれです(どんな技でも受けきるってやつです)。

先日、地域の連合会長?が「試読を専業一人につき毎月30件すること」と言い出したとかで従業員一同大変な思いをしました。

試読は7%成約できるとのことでこの地域全体の専業は200人程度いて、それを3ヶ月するとなると1260本の契約を上げなければいけない計算になります。 

呆れてものが言えません。 


回答者 ゲン


『性格の悪い店長が従業員をいじめる』という構図は確かにありがちやが、中にはえぐい従業員に難癖つけられて逆にいじめられていると感じている店長さんや販売店経営者の話も最近になって数多く届くようになった。

いつも言うてることやが、悪いのは立場の上の人間ばかりとは限らんということなんやろうな。もちろん立場の弱い人間の方が圧倒的に「いじめ」に遭う確率は高いわけやが。

『本社が販売店をいじめていると思います』と感じておられる方が多いのは確かや。しかも、この構図は根が深いから、これからもそう簡単にはなくなりそうもないがな。

『押し紙はもとより本社から送ってくるものはティッシュ1個さえお金を払わないといけません』というのは、押し紙は、いじめの類になると言えるが、『ティッシュ1個さえお金を払わないといけない』というのは、ちょっと違うのやないかな。

業界のシステム上、購読者の獲得は新聞販売店の仕事と決められとるから、それに必要なティシュなどの拡材は販売店が負担しているという実態が必要になる。

新聞社は、その費用を軽減するためにメーカーから安く仕入れ、各新聞販売店に安く卸すことで、その負担を軽減しているという理屈になる。新聞社からすると、便宜を図っていると。

もっとも、新聞社は新聞販売店から搾取ばかりしとるという風に見えるあんたにすれば、そのティシュ1個からでも新聞社は利益を得ているとなるのかも知れんがな。

それをいじめと見れば、そういう見方になるのも分からんではない。

ワシも、心情的には、新聞社は儲けていて社員の給料も新聞販売店の従業員とは比較にならないくらい高いのやから、その程度はサービスしてもバチが当たらんのやないかと考えとるがな。

『本社のどんな命令でもこなす所長集団はまるでプロレスラーのそれです(どんな技でも受けきるってやつです)』というのは、なかなか面白い表現やな。

『所長集団』の部分を言い換えれば、何にでも使えそうや。頂き。メモしとこ。

もっとも、あんたは別に茶化しているわけやなく、本気で新聞本社からのいじめに近い行為を憂いておられるからこそ、出た言葉なのかも知れんがな。

『先日、地域の連合会長?が「試読を専業一人につき毎月30件すること」と言い出したとかで従業員一同大変な思いをしました』というのも、新聞社が地域の連合、その地域の販売店協力会のことやと思うが、そんなことをその会長が言う裏には、新聞社の圧力があってのことやと考えておられるのやろうと思う。

まあ、ワシもその線が強いかなとは思うが、その地域の連合会長さんが、何かの理由で新聞社にええ格好したいだけなのかも知れんというのも考えられんことではない。

『試読は7%成約できるとのこと』というのは、どんなデータをもとに誰が言い出した戯言なんや。ワシは、そんな話、初めて聞いたで。

そのとおりにできるのなら、片っ端から「新聞はサービスですから読んでください」と言って各家庭に投げ入れさえすれば、あんたの言われる架空の計算どおり勝手に契約が増えることになる。

それが本当にできるのなら、こんな楽な話はない。あんたが『呆れてものが言えません』と言われるのもよく分かる。

当たり前やが、ある新聞販売店の購読者が増えれば、ライバル紙の新聞販売店の顧客はその分だけ減るわけや。そのライバル紙の新聞販売店も、そのことを知っていれば同じように試読紙を投函して購読者を増やせることになる。

人口が毎年増加傾向にある地域なら、それも当て嵌まるかも知れんが、そうでない地域では、もともとベースとなる購読者が限られとるわけやから、長いスパンで見て微増になってさえいれば、良しとせなあかんはずや。

1個のパンは2個にはならんわけやさかいな。生き抜くためには相手より、1個のパンをどれだけ多く食えるかということになるだけや。

そんな現場の厳しい状況を知ってか知らずか、上は勝手な数字を並べてハッパをかける。

とはいえ、新聞本社から何を言われても新聞販売店は黙ってそれに従わなあかん立場やから、公然とそれに対して文句も言えんがな。我慢するしかない。

今の日本の社会構造では「いじめ」の本質はなくならんやろうと思う。立場の強い者は弱い者に対して好き放題に命令できる。弱い者はそれに従うしか生きる術がない。

せめて、子供の世界くらいは、そんなことのないようにしてやりたいが、大人を見て育つ彼らは敏感に大人の世界の構造を感じ取っているのやないかという気がする。

単に子供の「いじめ」とは言うても、難しい問題が数多く内包しとるように思う。一朝一夕に解決できる問題ではないと。


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