新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1154 明らかに違反してる販売店が無数にあると思われます


投稿者 Nさん 新聞販売店専業員  投稿日時 2012.7.27 AM 7:08


前回の『NO.151 アルバイトの新聞配達の深夜割り増しについて』は、軽い感じで質問したのじゃなかったのですが。

僕は新聞販売店は千葉と群馬の2店舗しか経験ないのですが、配達は1時集合5時終わり、大体4時間くらいでしたね。

平均をとれば4時間という意味で、やはり新聞の厚さや天候、パンク等のトラブルを含めてということですが、配達だけのアルバイトの人が配達部数が少ないということはありませんでした。

1区も5区も大体同じそれでいて労働時間は3.5〜4時間です。そうすると1300円は時間が倍になるので650円に下がり、労働基準法の最低賃金の25%アップに著しく届かない現象が出てくるのです。

このことは軽い問題ではありません。

【法律に違反】してます 

現在働いてる販売店では確かにアルバイトの方が配る部数が少ないところもありますが、専業と同じ部数配達しているアルバイトの方もいます。

ちなみにこちらは1時50分集合5時終わり。  

こちらのアルバイトの方は部数に対して給料が変わるので定数上1部増える減るが厳密に給料に計算されます。 

それも時間に対して最低賃金法×1.25を下回らなければOKだと思います。

これを全国規模で考えるなら明らかに違反してる販売店が無数にあると思われます。

労働者に対して規定の賃金を払わない払ってない大犯罪。これも新聞社様が隠してる事実の1つだと思ってます。

ちなみに新聞販売店は休刊日以外休みなし。休みは年に10日のみって販売店も存在します。

こういうのは論外ですが 新聞業は特別だからって奢りでしょうか?


回答者 ゲン


『前回は、回答にあったような軽い感じで質問したのじゃなかったのですが』ということやが、相談では『アルバイトで配達だけしている人の給料は深夜なので25%アップくらいになってるはずなんですが、そういう販売店は聞いたことがないです』ということやったので、一般論として、ああいった回答になったわけや。

個別のケースの場合は、その状況次第で違った回答になる。それは分かって欲しい。

そして、今回は個別のケースでの相談やったので、それに対して答えさせて頂く。

『1区も5区も大体同じそれでいて労働時間は3.5〜4時間です。そうすると1300円は時間が倍になるので650円に下がり、労働基準法の最低賃金の25%アップに著しく届かない現象が出てくるのです』ということなら、ワシの前回での回答は当て嵌まらんことになる。

あんたの言うケースやと、『労働者に対して規定の賃金を払わない払ってない大犯罪』と言われる気持ちは良く分かる。

ワシもあんたの言われるような状況にある配達アルバイトの人には改善されるべきやと思う。

しかし、残念ながら、配達アルバイトの大半には『最低賃金法』が適用されんと信じている新聞販売店が多い。

法的に最低賃金が適用されないケースに、管理職、専門職、家事手伝、歩合給などの職種、形態がある。

この中の『歩合給』に新聞の配達員は該当する。新聞配達員は配達部数1部について、幾らの請負業務になっとるさかいな。

そのため、請負業務には『最低賃金法』は適用されないと、そう信じて疑わない新聞販売店経営者が多いわけや。

正直、ワシも以前は、そう思うていた。

しかし、いつの頃からかは定かやないが、新聞配達員は、裁判所や行政解釈によって労働基準法上の労働者であると認定されている。

労働基準法の適用労働者』 というページにそれがある。

つまり、新聞配達員には労働基準法が適用されるということや。

契約の形や名称にかかわらず、実態として民法623条の雇傭契約が締結されていると認められるという規定もあるさかいな。

新聞配達員は、いくら名目上「請負契約」で、賃金が配達部数による歩合制になっていても、販売店との間に使用従属関係が存在する労働者ということになる。

あんたの言う区域の配達時間の平均が4時間で、時給が650円と証明され、『労働基準法の最低賃金の25%アップに著しく届かない』ということであれば、その報酬額は違法と判断される可能性がある。

ただ、そのことを、そのまま労働基準局に訴え出たとしても、どこまでその意を汲んで貰えるかは、はなはだ疑問やろうとは思うがな。

そちらの地域での最低賃金時給は、748円。その深夜割り増し25%ということになると、時給935円以上はないとあかんことになる。4時間仕事をすると3740円以上にならなあかんと。

あんたの言うとおりやと、時給650円で4時間の場合、2600円にしかならない。

ただ、こういうケースでの新聞販売店側の言い分として、「そのコースはもっと短時間で配達できる」と言うことが多い。

配達料が2600円でも、2.8時間以内に配達できれば、時給935円を超え、ぎりぎりセーフになる。

口頭で「慣れた者なら3時間以内で配達できる」と言えば、そのデータのない労働基準局には、それ以上、強く言えないケースが多い。数字上、問題がないということでな。

平均が4時間というのは、アバウトな数字やと受け取られやすい。早い者なら3時間で配達できると言われれば、実際は難しくても、その実態を知らない労働基準局の担当者にはそれが分からんから納得するしかない。

実際問題として、その労働基準局の担当者を納得させられるデータを示せん限り、新聞販売店の言い分に押し切られてしまいやすいということや。

つまり、法律で決められていることでも、それを適用させるためには、その実態を正確に提示せなあかんという高いハードルが要求されるわけや。

新聞販売店には、一つ大きな問題、制約がある。それは、全国どの地域であろうと新聞代は同一でなければならないという点や。

それに加えて、新聞の宅配料金は配達料込みやから、配達に時間のかかる地域であろうと、短時間で済む地域であろうと、配達経費には大きな差がつけられないという事情がある。

せやないと、同じ新聞販売店でありながら、配達に時間のかかる地域は利益率が悪く、短時間に済む地域は利益率が良くなり不公平になるさかいな。

新聞の再販制度は、その不公平がないことを前提にして適用されている。同じ新聞であれば日本全国、どこでも同一の価格設定にしかできんわけや。

そのため、1部についての配達料は各新聞販売店で多少の差はあっても、全国的には、それほど違わない。こちらは新聞販売店の利益率に差をつけない、つけられないという配慮がある。

その結果、あんたの店のような状況が生まれ、『これを全国規模で考えるなら明らかに違反してる販売店が無数にある』ということになっとるわけや。

新聞販売店の中には、あんたの店のように配達に時間のかかる場合は、顧客から配達代金を別途徴収しているケースもあったが、今はそれがネットで違法と曝露されたせいもあり、そうしている販売店は少ないと聞く。

これを改善するには、新聞社が配達に時間のかかると思われる地域には、その配達時間を考慮した新聞の卸値にするか、配達補助金といった名目で新聞販売店援助するという方法を採る必要があると考える。

しかし、これは今までのところ、新聞販売店からの要望がないということもあり、考慮の対象にすらなっていないのが現状や。

また、例えあったとしても新聞社が個別にそれに応じることは考えにくいと思う。そうすれば収拾がつかんようになるということでな。

配達アルバイトの人たちが団結して、その配達料の値上げを所属の新聞販売店の経営者に要求するという方法が、現時点では最も現実的や。

ただ、その新聞販売店の経営状況次第では、そうすることが難しいというケースがあるのも、また確かやろうと思う。そうしたくてもできない事情があると。

そういう新聞販売店の中には、その要求をはねつけることも十分考えられる。気に入らないのなら辞めろと。他の配達員を雇うからと。

その配達料で配達する人がいる限り、いつまで経っても、その価格に変動はないやろうと思う。誰もいなければ配達料を上げざるを得ないがな。

『これも新聞社様が隠してる事実の1つだと思ってます』というのは新聞社が隠すというより、それは各新聞販売店が別個に考えることで、新聞社は預かり知らんというのが正しい見方やろうと思う。

形の上では、新聞社と新聞販売店は協力関係にある別企業ということになっとるさかいな。その経営にまで口出しすることはできんという建前もある。

それは新聞販売店の問題であり、新聞社には関係がないと。その善悪の実態は別にして、例え、その違反が公になっても法律的には新聞社には何のお咎めもないやろうと思う。

その責めを負うのは新聞販売店だけということになる。

『新聞業は特別だからって奢りでしょうか?』というのは奢りと言うよりも、旧態依然とした雇用実態から抜け出せんために、今では他業種と比べて、極端におかしなことになっとるのやろうと思う。

例えば、専業という正社員であっても「集金」と「勧誘」は歩合給という特殊な報酬形態が存在する。集金や勧誘にいくら時間がかかろうと、それにかかった時間外手当が支給されることは殆どない業種やさかいな。

これも厳密に言えば違法やが、それが問題にされたケースは殆どない。たいていの人は、新聞販売店の仕事は、そんなものやと考えとるわけや。

最後に、そこで仕事をする人の待遇改善は、その場の労働者が立ち上がらんことには解決することのできん問題やと言うとく。

具体的には、その新聞販売店で労働組合などを作ることや。多くの労働者はそうして待遇改善を勝ち取って来たという歴史がある。

新聞販売店だけが、それができていない。もっとも、新聞販売店の中には大企業並の雇用条件を取り入れとる所もあるがな。まだ数は少ないようやが。

ちなみに、新聞社の社員が、新聞販売店の従業員と比べて比較的高給なのは、労働組合がしっかりしとるからやと言うとく。

もっとも、その高給を支えるために、新聞社は新聞販売店から搾取に近いこともしとるわけやけどな。

そのために心ある新聞販売店の経営者も従業員の待遇を良くしたくてもできんという事情が一方であるわけや。

確かにあんたの言われるように『このことは軽い問題ではありません』と、ワシも思う。

ただ、それを具体的にどう改善することができるのかというのは難しい問題や。


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