新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1164 ウソの解約理由と分かった場合、どうすれば良いのでしょうか?
投稿者 Rさん 投稿日時 2012. 9. 2 PM 0:39
いつも勉強させてもらっています。
私は、関西方面でM新聞の専業で働いている者です。
ハカセさん、ゲンさんに相談があってメールさせていただきました。
現読のお客さまが途中解約を言い出されて、事情を伺ったら、「自営の仕事を止めるため、借地に建てた建物があり解体した後地主に返すため、お金が必要で、生活も苦しくなる」と言う事なので、事務所に事情を説明したところ、渋々承諾を得てサービスのビール券代を回収し、解約に応じました。
ところが、翌月に入ってすぐA 新聞が入っています。
ゲンさん、ハカセさん、この場合、お客の所に行って「正当な理由ではないので以前の契約を続けてもらいます」ということができるでしょうか?
お客さまが拒否された場合はどうしたらいいでしょうか?
事務所には、まだA 新聞が入っていることは報告していません。
よろしくお願いいたします。
回答者 ゲン
『この場合、お客の所に行って「正当な理由ではないので以前の契約を続けてもらいます」ということができるでしょうか?』というのは、その相手次第やが、あんたの話を聞く限り、法律的には解約が成立した後やから、言うてもどうにもならんやろうと思う。
それにしても手の込んだ言い訳やな。タカがと言えば語弊があるが、新聞の購読契約を解除するのに、そこまで言う者がいとるというのに驚く。
『ところが、翌月に入ってすぐA 新聞が入っています』という事実からすると、その客の言うてることは大ウソやった可能性が高い。
ウソをつかれてした契約は法律上解除できるが、ウソをつかれたことで解除した契約を元に戻すことは残念ながらできん。
あんたにとっては納得できんことやとは思うが、民法上の契約の不法行為については、不法行為を受けた側から「契約解除することができる」と規定されとるだけや。契約を元に戻せという決まりはない。
契約とは相互信頼のもとで為されるものという原則があるさかい、その信頼が崩れたら契約解除するしかないという理屈やな。
『お客さまが拒否された場合はどうしたらいいでしょうか?』というのは、そんな手の込んだ解約理由を平気で言う人間はタチが悪いと相場が決まっとるから、間違いなく拒否するものと思う。法律上は拒否されたら、それまでになる。
例えその客を問い質したとしても、「あの後、すぐに自営の仕事を止めなくても済むようになった。あんたの所とは解約したので頼み辛いから他の新聞販売店から新聞を入れて貰うてんねや」と、いけしゃあしゃあと言われるのがオチやないかな。
あるいは、『サービスのビール券代を回収し、解約に応じました』ということなら、「解約済みやから、その後、どうしようとこっちの勝手や」と開き直ることも考えられる。
現状であれば、そんな客は相手にせん方がええと思う。どう転んでもトラブルにしかならんさかいな。
おそらく、その相手もバレたら揉めるということくらいは先刻承知のはずや。そうなった時はそうなった時のことやというくらいにしか考えてないのと違うかな。タチの悪い人間の思考とは、そうしたもんや。
もっとも、そのトラブルを覚悟で、あんたの腹の虫が収まらん、あるいは販売店が一言でも言わな気が済まんというのなら、止めはせんがな。
法律上云々は別にして、道義上、騙されたことへの抗議はできる。文句も言える。
しかし、できるのは、そこまでや。
今後のこともあるから覚えておいた方がええが、解約に応じてしもうたら、その契約はそこで終わるということや。逆に言えば、解約に応じる前なら、その契約は契約書どおり継続できるということにもなるわけや。
今回の場合、どうすれば良かったのか。
『自営の仕事を止めるため、借地に建てた建物があり解体した後地主に返す』と言うてたのなら、「それでは建物が解体されるまで配達させて頂き、解体された時点で解約ということにさせて貰います」と言うておけば良かった。
相手もそんな理由を口にするくらいやから、まさか建物を解体する前に解約しないと困るとも言い出しにくいと思う。
『お金が必要で、生活も苦しくなる』という事情を汲むのなら、「それでしたら私も、そちらの要望を店に伝えて了解を取りますので、建物が解体されるまでは休止扱いということにして頂きます」とでも言うておくことや。
その客の真の狙いがA新聞を購読することにあったのなら、そう言えば必ず難癖をつけてくるはずや。
当然やが、譲歩している相手に難癖をつけてくる者はおらん。もし、難癖をつけてくれば裏に何かあると考えてまず間違いない。
あんたの販売店では『サービスのビール券代を回収』しただけで良心的に解約に応じたのやろうが、法律的には、自己事由でも解約依頼については、別途「解約違約金」を取ることもできる。
おそらく、その客はそのA新聞の勧誘員に「サービスしまっせ」てなことを言われてその気になったのやとは思うが、「法律的には、そちらは解約違約金を支払わないとダメですよ」とでも言えば簡単に解約は取り止めると言うてたのやなかったかと思う。
これについては引っ越しでの解約依頼の場合にも同じことが言える。
引っ越しの場合、その客が引っ越し先での継続依頼を断った場合、契約を解除するしかないが、その場合でも「それでは引っ越しされるまでは新聞を配達させて頂きます」と言うとくことで、万が一、それがウソの理由やった場合、それで阻止することができる。
何度も言うが、一旦、解約に応じて、その手続きが済んでしもうた後は、どうにもならんが、その前になら、いくらでも対処のしようがあるということや。
今回の場合は、教訓と考えるしかないやろうと思う。争うても得られるものは何もないと考えるしな。まあ、それについては、そちらでどうされるか決められたらええことやけどな。
ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート1
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中