新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1168 違法契約の解約について


投稿者 匿名希望さん  投稿日時 2012.9.19 PM 9:31


○○新聞と契約しました。

営業にきた人の一言目は「月○○○円でいいので」でした。以前までは無料購読期間があっても、月の割引はできなかったので話を聞きました。

すると、集金日までに、その人が新聞代との差額を持って来るとのことでした。

もちろん、疑わしいし騙されそうな気はしたので、その人にはお金を振り込む額、期間、会社を辞めた際には解約を責任を持ってするという内容の念書を書かせ、拇印もしてもらいました。

8月までは、きちんと振り込みがされていたのですが、9月は振り込みがなく連絡先は全くつながらず、営業をされてした会社も潰れたようでした。

すぐに、販売店に話をして解約を申し入れましたが、うちは関係ないのでできないと言われました。

「解約するなら、違約金を払って景品を返せ」と言われました。

被害届をだしたり、裁判ざたにしないと解約できませんか?

このまま、無償解約できるなら大事にはしたくないですが、それは甘い考えでしょうか?


回答者 ゲン


『被害届をだしたり、裁判ざたにしないと解約できませんか?』ということやけど、このケースは、あんたの方から警察に被害届けを出したり、裁判を提起したりすることはできんと思う。しても無駄や。

いずれをするにしても、その根拠に乏しいさかいな。

警察に被害届けを出すには、当たり前やが実際に被害がなかったらあかんが、今のところ被害と呼べそうなものは何もなさそうや。

被害のない状態で無理矢理、民事裁判を起こしたとしても、あんたの望むような結果を得ることは不可能に近いと思う。

あんたの騙されたという気持ちは良く分かるが、現時点で、その販売店の責任を追及することはできんと考える。法廷の場では、ほぼ間違いなく、あんたの言い分は却下されるはずや。

あんたの話からすると、『集金日までに、その人が差額を持って来る』という拡張員の話を信じて契約されたということになる。

そして、おそらくその時に、その拡張員は「店にはこのことを内緒にして欲しい」と言うたはずや。それをあんたは了解されたと考えられる。

これは何もあんたを責めているのやなく、このQ&Aには、そういう相談が枚挙に暇がないほど多いから、ワシらには手に取るように分かるわけや。

『8月までは、きちんと振り込みがされていた』ということやから、個人的にその拡張員から新聞代の差額分を受け取って、それを新聞代の一部に充てていたわけやな。

問題は、その事を、その販売店が知っていたか、どうかということになる。

まあ、その事をその販売店が承知していれば、そんなややこしいことをせずとも「月○○○円」で配達すれば済むから、販売店は本当に何も知らんかったのは間違いないものと思われる。

そうであれば、その販売店には責任はないということになる。

たいていの新聞販売店は、契約後、契約者に契約の確認をするのが普通で、あんたの場合もその確認の電話が入ったと思う。

その時に、例え拡張員に言い含められていたとしても、その事実を販売店に伝えてなければ、あんたはウソをついたとみなされる。

新聞の購読契約は、新聞販売店と契約者との間だけに効力のあるもので、その契約書に書かれたお互いの合意事項がすべてになる。

つまり、契約元の新聞販売店が、あんたとその拡張員との経緯を知らなければ、当然のように『うちは関係ない』として、あんたの解約希望には応じられないと返答しても無理はないと思う。

形としては、あんたは新聞販売店にではなく、その拡張員に騙されたということになる。

法律的には、あんたは今までどおり支払っていた新聞代をその販売店に支払い、本来貰えるはずやった差額分については、その拡張員個人に請求するしかないと思う。

その拡張員についてなら、警察への被害届けを出したり、損害賠償請求したりすることは可能になるかも知れん。

しかし、あんたが、その拡張員との約束事を、その新聞販売店に伝えていない状態であれば、その販売店に責任を取らせることはできん。

『会社を辞めた際には解約を責任を持ってするという内容の念書を書かせ、拇印もしてもらいました』ということなら、尚のこと、その拡張員に請求するのが筋やわな。万が一の時には、あんたもそうするはずやったと考えられるさかいな。

新聞の購読契約を途中解除するということは、新聞販売店にとっては、それ以降の契約で得られるはずの利益を失うことになるから、具体的な被害が発生する。

あんたにしたら、約束が違うから解約を要求したのやと思うが、その販売店にすれば、「こちらに内緒でした事で一方的に責任を負わされても困る。お客の判断でしたことのツケを何でうちが払う必要があるのか」ということになる。

契約はお互いの合意の上で行われるという原則からすれば、その販売店から合意を得ていない契約者である、あんたに『無償解約』を要求できる権利はないものと考える。

契約として有効になるのは、あくまでもその契約書に記された内容だけやさかいな。

法律的な判断も、その販売店の言うとおり、『解約するなら、違約金を払って景品を返せ』という言い分を支持する可能性が高いと思う。

こんな場合、どうすることがベストなのか。

その際、考えられる方法は二つ。

1.残りの契約期間にもよるが、解約要求を撤回して新聞の購読を続け、契約期間までの間の差額分をその拡張員に要求する。

そうなると、最悪の場合、その拡張員からの回収はできんかも知れんが、「残りの契約期間との差額分」と「違約金と景品」の返還にかかる費用との兼ね合いで、どちらがが得になるのかを考えなあかん。

参考までに言うとくが、『無償解約できるなら大事にはしたくない』というのが、販売店の要求をすべて蹴るということなら、それは法律上、できんと言うとく。

『それは甘い考えでしょうか?』ということなら、そうなる。

どういう形であっても契約者から解約を要求した場合は最低、景品の返還を求められる。

これは民法545条の原状回復義務にその規定があり、解約が成立した場合は、その契約が行われる前の状態に戻すという規定があるからや。

つまり、解約すると言った側が得をすることを法律は認めてない。貰った景品を返さないというのは、その分、得をしたことになるさかいな。

法律では、これを「利益供与」と呼ぶ。解約を要求する側が利益を得るのは、おかしいと法律は言うてるわけや。

普通に考えても、解約を希望するということは契約が全うできんと言うてるわけやから、その契約を全うすることを条件として貰った物は返さなあかんわな。

これは例え相手側の不法行為による解約要求であっても同じことで、その民法545条の原状回復義務から逃れることはできんとされとる。契約事において相手側の不法行為が認められても、契約者に得られるのは「解約できる権利」だけやさかいな。

その際、必要ないのは「解約違約金」だけや。これは解約希望者に落ち度がある場合にのみ支払いが認められるもので、不法行為が起こした側が要求することはできんという理屈やな。

せやから解約を希望する場合は、どういう状況であれ、貰った景品は返さなあかんと考えおいて方がええということや。

2.販売店側の使用者責任を全面に出して、「こちらは、そちらの会社の販売員さんとの約束ですから、私は毎月○○○円しか払いません。それを受け取って貰えないというのでしたら、裁判でも何でも起こしてください」と言うてみる。

このケースでの裁判は普通、新聞販売店側からしか起こせない。あんたが○○○円しか払えないと言えば、本来の新聞代との差額分はその販売店の損害になるわけや。

民事裁判は損害賠償請求が基本やから、その損害が確定して初めて起こせる。その権利を有するのは、このケースでは、その販売店しかない。

あんたの場合は、現時点では何の損害も受けていないし、先に言うたように景品も貰っているわけで、得をした側が、これから損をするであろう相手に損害賠償を請求することなどできんわな。

実際に裁判になれば、あんたがその販売店に内緒にして拡張員個人から差額分を受け取っていたという事実から、その販売店には責任はないと判断され負ける可能性は高いやろうと思う。

ただ、その販売店次第では、揉めるのが嫌で一銭も取れないよりは○○○円だけでも貰った方が良いということで、その要求に応じるケースもある。あくまでも、その販売店次第やがな。

最後にもう一度。

契約違反やと言えるのは、それを約束した相手だけで、その約束の存在を知らん者に、その責任を押しつけることはできんということや。法律はそれを認めていない。

今回のことは、騙した拡張員が一番悪いのは確かやが、その契約の事実を契約元である新聞販売店に通知していない、あんたも悪いと言える。そして、その事実を知らんかった販売店には責任は殆どなく、ある意味、被害者ということになる。

使用者責任を問えるやないかと言われるかも知れんが、販売店に内緒にしていると契約者が知っていた場合は、その使用者責任を問うのは難しいと言うとく。言い方は悪いが、その拡張員とあんたは「共犯関係」にあったと見なされるさかいな。

あんたにとっては、あまりええ回答やなかったかも知れんが、ワシとすれば、こう言うしかないわけや。

次からは「上手い話」とか「内緒にして欲しい」というような話を持ちかけられて契約するのは避けられた方がええと言うとく。


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