新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1172 どうしても相手が慰謝料を受け取ることに納得ができない


投稿者 Bさん  投稿日時 2012.9.30 AM 3:08 


夜分遅くすみません。悔しくてさ眠れません。

新聞集金の方とトラブってます。

夜に集金に来るときは電話してから来てください〓とお願いしているのにもかかわらず 突然インターホンを押してやってきた。20:30頃に。

たまたま4歳の姪っ子が泊まりに来ていて、やっと寝付いた矢先にインターホンが鳴って驚いて大泣き。

集金の方に再度注意をしていたら、びっくりした愛犬が噛んでしまった。

慌てて病院に連れていき1週間も付き添って病院通いしました。

原因は向こうにあるが、痛い思いをさせてしまったことは事実なので治療費全額と一万のお見舞金と菓子オリを出しました。

ペット保険から示談書が送られ、上記の金額(治療費全額と一万のお見舞金)で相手にサインをと思ったが納得しない。

保険会社に相談したら、あと6万くらいは慰謝料として出せますとの事。

んっ〓 なぜこちらが慰謝料をだすのだ〓 原因は向こうで治療費とお見舞金と菓子オリはこちらで負担しようと言っているのに。

新聞店の店長に話をきいてもらったが、保険会社の金額でよろしいのでは言ってくる。

支払いは保険会社が負担するから、こちらの支払いはゼロだが、なぜ向こうが慰謝料を受け取るのか〓 納得いかない。

原因を作った従業員も店長からも謝罪はない。

支払うべきですか。


回答者 ゲン


『支払うべきですか』ということやが、結論から言うと、そうするしかないやろうと思う。

『夜に集金に来るときは電話してから来てください〓とお願いしているのにもかかわらず 突然インターホンを押してやってきた。20:30頃に』というのは、その販売店、および集金人が悪い。

『たまたま4歳の姪っ子が泊まりに来ていて、やっと寝付いた矢先にインターホンが鳴って驚いて大泣き』となったことで、怒ったあんたが『集金の方に再度注意をしていた』というのも当然で良く分かる。

ここまでは、まったくあんたには非はない。

しかし、『びっくりした愛犬が噛んでしまった』というのは、それだから仕方ないとは言えん。それに関しては、あんたの落ち度が大きいと言うしかない。

犬猫などのペットは法律上、「物」として扱われる。どんなに飼い主が愛情を注いでいようが、家族同然やと思っていようが、日本の法律は生き物としての独自性や権利を認めていない。

したがって、飼っているペットが他人に噛みついてケガをさせたというのは、その飼主が自分の所有物によって他人にケガをさせたのと同じと解される。そのため飼主は被害者に対して損害賠償の責任を負うものと法律で決められている。

しかも、その場合、理由の如何を問わず無条件にである。

民法718条(動物の占有者等の責任)というのがある。

動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。

というのが、それや。

今回の場合、どのような状況で、どんな犬種が噛みついたのかが良う分からんが、結果として、ペットの犬が噛んだことで『1週間の病院通い』をするほどのケガをさせたということからすると、除外条文の『動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をした』とはとても言えないと判断される可能性が高いと思う。

つまり、あんたは、ペットを飼った段階で、そのペットを制御する義務があったわけやが、それができずに相手にケガをさせれば、それだけであんたの不法行為が無条件で成立してしまうということや。

きついようやが、『原因は向こうにある』と言われる前に、そういった状態で愛犬を飼っておられた、あんたにこそ、もともとの原因があると法律は言うてるわけやな。

一般的な不法行為を定めた民法第709条では、不法行為の成立要件として加害者に故意または過失があったことを被害者が証明しなければならないとされている。

しかし、動物の場合は特則として民法718条(動物の占有者等の責任)で、故意または過失のあるなしにかかわらず、単純に、占有者は動物が他人に与えた損害を賠償する責任を負うものとなっているわけや。

そもそもペット保険がなぜ存在するのかというのも、そこに理由がある。

ペットが「物」である限り、その「物」が勝手にしたことやとは所有者には言えず、ほぼ無条件に相手への損害賠償をせなあかんことになるから、そのために保険が必要になるという考え方やな。

あんたは『治療費全額と一万のお見舞金と菓子オリを出しました』として、その損害賠償としては十分やと考えておられるのかも知れんが、それは少し違う。

そのケガが完治するまで、そのゲガにより仕事や生活に支障をきたすであろう点、またいきなり犬に襲われたことによる恐怖を感じた事などについての精神的な慰謝料も、その損害賠償の範疇であると法律で決められているさかいな。

『なぜこちらが慰謝料をだすのだ』という、あんたの疑問の答えなら、そういうことや。

今回の場合、『あと6万くらいは慰謝料として出せますとの事』というのが最も妥当な線と保険会社が判断したと言える。

『保険会社の金額でよろしいのでは』と、販売店の店長が言うたのは、それ以上、話を大きくしたくないということで、その集金人にも、それで我慢させるという意図も見えるさかい、それで手を打てるのなら打っておいた方がええと思うがな。

『原因を作った従業員も店長からも謝罪はない』という気持ちは分かるが、それは今言うべきことやない。

確かに感心した話やないが、一般的にはケガをさせた相手が悪いと考えるのが普通やさかい、そういう態度に出られるのも、ある程度、仕方ないと理解しておくことやと思う。

心の中で「常識のない販売店の人間や」と、あんたが考えられるのは自由やがな。

あんたが、変に『 原因は向こうで』ということに固執しすぎると、肝心のケガをした集金人を硬化させることになるかも知れん。

『夜に集金に来るときは電話してから来てください〓とお願いしているのにもかかわらず 突然インターホンを押してやってきた。20:30頃に』というのはその集金人に非があると言えるが、それが『1週間の病院通い』をするほどのケガをさせられてまで、我慢せなあんことなのかとなるさかいな。

おそらく、『相手にサインをと思ったが納得しない』というのは、そういう気持ちがあるからやないのかな。あんたがそれに拘る限りは、この先、とことん揉めるやろうと思う。

ワシらは、ペット愛好家で組織された市民団体の代表の方とも懇意にさせて頂いとるが、その方の話に、あんたと同じようなケースがあったというのを思い出した。

あるペット愛好家の愛犬が人に噛みついてケガをさせ、そのペット愛好家が被害者にも責任があると言って揉めた末、被害者が保健所に通報したことがあった。

その際、その犬に噛み癖があったということが分かり、結局、その犬を処分せなあかんようになったという話を聞いたことがある。

それが、あんたの愛犬の場合に当て嵌まるかどうかは分からんが、『支払いは保険会社が負担するから、こちらの支払いはゼロ』ということなら、この場は穏便にしておいた方が、その愛犬のためにもええと言うとく。

確かに集金人にも非があるが、あんたの愛犬が噛みついてケガを負わせたという事実は、それ以上に大きな過ちやったと自覚されることや。

ペットを飼うということは、そういうことやと。

この場合、どうすることが一番良かったのか。

それは、『集金の方に再度注意』する前に、犬が近くにいるのなら、その犬を遠ざける。または「犬がいるから近寄らないでください」といった警告を発しておくべきやった。

実質的に、その集金人に愛犬が噛みつけない状態で対応していれば、今回のようなことにはならんかったはずや。それをしていなかったことが、ペットを飼っていたあんたの落ち度と理解して欲しい。

そう冷静に考えれば、原因は向こうとばかりは言えんと思う。

噛みつけない状態にしておけば、愛犬も集金人に噛みつくこともなかったわけやさかいな。

そして、あんたは相手が夜に集金に来たことを責めて、次回からは、そんなことのないようにと強く言うことができたはずや。

また、夜の時間に集金に来られるのが嫌なら、銀行の自動引き落とし、あるいはコンビニ払いにするという手もあるので、それを検討されたらどうかと思う。

結果論と言えば言えるかも知れんが、事前に打てる手は打っておく方が賢いと言うとく。同じ事が二度起きないためにも。

『悔しくてさ眠れません』というのは、その直後で興奮されていたからやと思うが、今は少し落ち着かれておられるはずなので、ワシの言うことは分かって頂けるのやないかと思う。


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