新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1173 ジョウカイに内定しましたが、仕事内容は拡張員さんと同じですか?


投稿者 匿名希望さん  投稿日時 2012.10. 1 PM 2:12


Y新聞のジョウカイに内定しましたが、仕事内容は拡張員さんと同じですか?


回答者 ゲン


『仕事内容は拡張員さんと同じですか?』ということやが、業界で通称「ジョウカイ」と呼ばれている会社には、『保険事業』、『販売事業』、『セールス』の三部門があり、そのいずれの部署で内定を貰ったのかによっても違うてくる。

保険事業は保険会社の代理店としての仕事が主で、販売店や従業員に関するものを扱っている。従業員の傷害や病気の団体保険から、店舗の火災保険、バイクの車両保険なとがあるという。

Y新聞の販売店は全国に約7,800店舗あり、そこで働く社員(専業員)、事務員、アルバイトなどのほぼすべての従業員が加入している。

ジョウカイの社員、および他のY新聞の拡張団(新聞専門営業会社)もその対象になる。セールス・スタッフ(拡張員)として「新聞セールス・インフォメーションセンター(旧新聞セールス近代化センター)」に登録されると自動的にジョウカイの保険に加入することになっている。

販売事業では、販売店が顧客用に使う景品類の他に、店で使用するバイク、オリコミの機械、雨ビ(雨の日のビニール袋)の機械などを扱っている。

要するに販売店や社で必要とされるものを全般的にやっている調達部門ということやな。

Y新聞の販売店の殆どが、このジョウカイの販売事業部に、拡材のビールや米、ギフトカタログ、ノベルティーグッズなどを発注するという。

これは、そうするよう新聞社から命令されているということやなく、ジョウカイの販売事業部を通すことで発注金額の25%が助成金として貰える仕組みになっているからや。

あんたの場合は、『仕事内容は拡張員さんと同じですか?』と質問してくるくらいやから、『セールス部門』で内定を貰うたのやろうと思う。

せやから、ここからは、そのつもりで話す。

セールス部門の仕事は、一般へ新聞を売り込む営業が主やから、ワシらの言うところの『拡張員』ということになる。ただ、仕事内容となると、一般に知られている新聞拡張団とは少し違う。

あんたは『拡張員』をどのように捉えられておられるのか分からんが、一般的にタチの悪いと言われているような営業員はジョウカイには殆どいない。

客に対しても店に対しても不法行為というのは堅く禁じられている。それが発覚すれば、それだけで解雇される可能性があるさかいな。

現在、拡張員は業界ではセールス・スタッフと呼ばれている。販売店などでは、単にスタッフというケースも多い。

それをジョウカイではSP(セールスプロモーション)スタッフと呼んでいる。彼らの名刺にはY新聞本部SP(セールスプロモーション)と書かれていて、一見するだけやと新聞社の社員と錯覚する人も多い。

また、ジョウカイは新聞社の完全子会社で待遇面も新聞社の社員に準じるということで、それなりに誇りを持って仕事をされておられる方が多いと聞く。

ただ、ジョウカイは新聞社の資本が100%で規模も売り上げも大きいのやが、なぜか本社グループには入っていない。

まあ、これについては、新聞社は一般個人客とは直接契約しない、できないというのが公の立場やからとは思うがな。実質と名目が違うというのは世間ではありがちなことやから、取り立ててどうということもないが。

その仕事ぶりについては、一般の拡張員とは異なる点が多いということもあり、当メルマガの『第191回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞販売店物語 その7 駅伝大作戦、その舞台裏とは』 、『第222回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■AKB48東京ドームコンサートの裏側で暗躍した、ある新聞拡張団の話』 で話しているので参考がてらに見て貰えたらと思う。

ここで話した以外にも、研修は徹底していて、勧誘とは直接の関係はなくとも、2週間は新聞販売店で配達の仕事などをさせると聞く。そうすることで新聞販売店の苦労を分からせて勧誘に活かそうという事と、販売店の従業員とのコミュニケーションを良くしようという狙いがあってのことのようや。

また、一般の拡張員は監査といって上げてきた契約は必ず調べるのやが、ジョウカイの勧誘員が取ってきた契約はフリーパスで認めているという。それだけジョウカイのセールスは不正はしないという信用があることになる。

徹底した研修と、独特のやり方で一人当たりの獲得契約数も一般の拡張員よりも多く、総体的に高収入の者が多いようや。

ジョウカイのSP(セールスプロモーション)社員は500名前後で、年間約40万本前後の契約を上げるということやから、単純計算で一人当たり年間800本、月にして67本が平均ということになる。

これくらい上げられれば、この業界としては良い方の部類になる。しかも、ジョウカイではそれが平均的な数字ということになるわけやから、高収入の者が多いという裏付けにもなる。

ただ、いくら業界で恵まれている職場であっても一般客からすれば、新聞の勧誘に来るのは一緒やから、他の拡張員と何も変わるところはないと考えるのが普通や。特に拡張員を快く思わない客からは、他の悪質な連中と同じような目で見られることも多いという。

また、所詮は訪問販売の仕事ということもあり、単にそれだけで嫌われることもある。それは覚悟しとかなあかんと言うとく。

誇りを持って仕事をされておられる方が多いとは言うたが、中には自虐的に「所詮は拡張員だ」と言う者もいれば、ジョウカイではマイカーで現場出勤するケースがあるため、その車を『拡張カー』と言って卑下する人間もいるようや。

まあ、どんな職場であっても不満分子は必ずおるもんやがな。

あんたは内定と言うておられるから、来年大学を卒業され4月から勤められることになるのやと思う。現在、ジョウカイは大学新卒者中心に募集しとるというから、そのあたりも新聞社と良く似ている。

昔は、大学の新卒者が拡張の世界に飛び込んでくることは、とても考えられんかった。実際、ジョウカイも設立当初は、一般社会人の転職者を専門に募集していたという。今もそれはあるが、どちらかというと大学の新卒者の募集にウェートを置いているようや。

ワシは、この仕事に飛び込んだ18年前から、拡張員の悪評を何とかせなあかんと考えてきた。8年前、ハカセとこのサイトを立ち上げる際にも、その思いが強かった。

それもあり、Q&Aでは悪質な拡張員への対処法を示し続けてきたわけや。何とかそんな連中を駆逐、排除したいと考えて。そして、新聞勧誘を普通の営業職という風に世間から認めて貰いたいと。

しかし、現実はなかなか厳しいものがあった。昔ながらの悪質な営業は、そう簡単には、おいそれとはなくならんかった。まあ、それまで50年以上も、それでやってきてたわけやら無理もないがな。

ただ、この10数年の間、ネットの普及が著しくなった影響で、そういった悪質な拡張員たちの実態が暴かれるにつれて、新聞社もその撲滅、自浄に本気になりだした。

ワシらがサイトを開設した頃は、ネット上には、ほぼ100%に近い確率で拡張員の悪評しかなかったさかいな。

ワシらのように、中には真面目なええ拡張員もいてまっせてなことを言うサイトは異端中の異端やった。今もそうかも知れんが。

ただ、新聞社が本気になったというても当初は、それまでの「拡張員」という言い方を「セールス・スタッフ」と呼び換えさせて、形だけ変えようとしてただけやったがな。

それがジョウカイのような会社の登場で少しずつ業界が変わっていった。

そのジョウカイも最初のうちは、新聞本社の販売局長経験者が主に社長になるポストといった具合で、天下り先の会社という程度の位置づけでしかなかったという。

しかし、現在の社長のN氏は、一度ジョウカイの社長をすると本社グループの役員にはなれないという定説を覆したお人やと聞く。

ワシらはN氏を直接知らんが、氏を知っておられる人の話では、相当のやり手で業界の自浄に本気で取り組んでおられる人物のようや。

もちろんジョウカイ1社でそうできるわけでもないが、現在Y新聞全体の拡張員が2800名ほどいとる中で、ジョウカイのセールスは、その20%近くを占めるというから、その影響力は少なくないと思う。

結果として、サイトを開設した当初は、あれほど多かった悪質な拡張員への苦情や相談が、ここ最近、めっきり減ってきたさかいな。

ワシらのサイトは自慢するわけやないが、新聞勧誘の苦情や揉め事の最も集まるサイトとして、それなりに世間、業界内共に認知されとるから、悪質な拡張員への苦情や相談が減ってきているという事実は、以前に比べて業界全体が良くなったと言うても過言やないやろうと思う。

その一端にジョウカイの存在があると。

ワシが常に言うてることやけど、そのトップ次第でその企業はいくらでも変われるし、良くなるということやな。その点から言えば、今後も期待できる会社ではあると思う。

ただ、新聞の勧誘は同じ営業職の中でも厳しい部類の仕事やというのは覚悟しておいた方がええ。先人たちが築いてきた『新聞拡張員』というイメージは、そう簡単に一般の人からは払拭されんということもな。

いくらジョウカイの会社自体が不正をしない真面目な集団であっても、一般客は誰もその事実を知らん。またその勧誘員が、どうであろうと一般客にとっては興味すらないのが普通や。すべてが新聞を売り込みに来た勧誘員としてしか見んさかいな。

さらに言えば、営業、特に新聞勧誘の仕事には向き不向きということもある。適正というやつや。どんな仕事でもそうやが、向いてない者には、きついと言うとく。

あんたが、もし内定を貰ったことで悩んでおられるのなら、実際に仕事に就かれるまで時間があるので、じっくり考えられたらええと思う。


ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート 
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
 

書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム