新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1179 甘い話に乗った代償として諦めるべきですか?


投稿者 匿名希望さん  投稿日時 2012.10.25 PM 8:51


NO.1168で相談させていただいたものです。前回は丁寧なお答えありがとうございました。

その後、販売店の方に家に来てもらい、営業マンの書いた実際の念書を見てもらい契約の無効を伝え解約してほしいと伝えました。

違約金は請求されませんでしたが、景品代として10万円みたいなことを言われました。

それ以上の話はせず、帰ってもらいました。翌日、公正取引協議会に連絡し、景品代の額を相談し、6,8ルールに違反していることもあり金額は減額できるということで、販売店に連絡しますねと言ってくれました。

最終的に4万円位を現在請求されています。

あまり、もめ事が長引くのも嫌なのですが、念書まで書かせたのに、結局うちがお金を払うことが腹が立ちます。

4万円を払い、それを被害として営業マンに対して被害届を出そうかと考えています。会社事体潰れているし、連絡もつかないので探し出すことは難しいでしょうね。

でも、腹立たしい気持ちを抑えることもできません。個人的なご意見でいいです。げんさんはどう思われます?

甘い話に乗った代償として諦めるべきですか?


回答者 ゲン


『最終的に4万円位を現在請求されています』ということで済むのやったら、あんたのケースでは好結果やったと言える。それ以上の事を望むのは難しいやろうと思う。

あんたがそれで納得されるのなら、ワシは何も言うつもりはなかったが、『4万円を払い、それを被害として営業マンに対して被害届を出そうかと考えています』というのは、ちょっと違うのやないかと思うので、『げんさんはどう思われます?』と質問されていることでもあるさかい、言わせて頂く。

その結果による最大の被害者は、その販売店ということになる。今頃、その販売店の人間は理不尽この上ない目に遭わされたと考えとるやろうというのが良う分かる。ワシも気の毒やと思う。

『公正取引協議会に連絡し、景品代の額を相談し、6,8ルールに違反していることもあり金額は減額できるということで、販売店に連絡しますね』と、本当に公正取引協議会の担当者がそう言うたのやとしたら、その人間は法律、事の善悪、正誤についての認識がまるでなっていないと言うしかない。

単に、「公正取引協議会」という権威をふりかざして、新聞販売店いじめをしているとしかワシには思えん。まあ、このQ&Aにも時折、公正取引協議会を名乗る関係者が傍若無人な横槍を入れてくるという話もあるさかい珍しいケースでもないがな。

現在、新聞社や公正取引協議会では、購読者からの苦情を重視する傾向にあるのは確かやが、今回のような処置を当たり前として行うというのは行き過ぎやと考える。

『6,8ルールに違反している』ということやが、これは独占禁止法の補完法ということで制定された景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)のことで、この法律を運用する機関は公正取引委員会、および消費者庁や。いずれも国の行政機関になる。

この法律は警察や裁判所などが扱える法律ではない。個人で相手が景品表示法に違反しているからという理由で警察に訴えることもできんし、民事裁判に持ち込んで損害賠償を請求することも、裁判を有利にすることも無理や。

この法律を運用して摘発できるのは公正取引委員会、および消費者庁のみと決まっている。とはいえ、現在、この法律は事、新聞販売業界に関して言えば形骸化していると言える。

現実には平成14年以降、現在に至るまでの10年間、ただの一度も新聞販売店が、景品表示法の景品付与違反で摘発されていないということがある。

『6,8ルールに違反』している新聞販売店は山ほどある。あんたのようなケースは他でも結構多い。その事は全国に900名もいる消費者監視モニターからの報告で公正取引委員会、および消費者庁は百も承知のはずや。

それにもかかわらず摘発していないという事実は、公正取引委員会、および消費者庁には、その法律で新聞販売店を摘発する意思がないものとワシらは考えとる。その程度は許容範囲内やと。

そうでも考えんと、通報がありながら摘発されていないことの説明がつかんわな。

法律違反というのは厳格に言えば、摘発されて初めて違反になる。この場合、正確には、その公正取引協議会の担当者は「6,8ルールに違反している可能性がある」と言わなあかん。もしくは、その疑いがあると。

また、この法律は個人の利益を守るためのものではない。その法律に違反しているからという理由で、契約時に貰った物を返さなくても良いというようなことは絶対に言えない。景品表示法にそうした条文は一切ないさかいな。

当たり前やが、法律にない事を、さもそれが決まり事のように言うのはあかんわな。そんなことは小学生でも分かることや。

よく相手に落ち度があれば罰則、ペナルティを科しても構わないと考える人がおられるが、それは私的制裁になる。法律は私的制裁を認めていない。個人に制裁を科す場合は必ず裁判という過程を踏まなあかんと決められている。それが法治国家の常識でもある。

しかし、この景品表示法自体が通常の民事裁判で扱われる法律やないから、そうするのは無理や。

せやから、その公正取引協議会の担当者が『10万円の請求を4万円にさせる』などというのは公の立場では絶対に言うてはあかんわけや。

それからすると、『6,8ルールに違反していることもあり金額は減額できる』とする公正取引協議会の担当者の言い分は、大きな問題発言になる。

ワシが『その人間は法律も事の善悪、正誤についても認識できていないと言うしかない。
単に、「公正取引協議会」の権威をふりかざして、新聞販売店いじめをしているとしか思えない』という所以や。

もっとも、その公正取引協議会の担当者の言う事をその販売店が聞き入れて、そのように譲歩したのなら、ワシがとやかく言う事でもないがな。法律以上に物を言うのは当事者間の合意やさかいな。当事者が納得すれば問題はない。

そういう意味でも、あんたさえ納得していれば、ワシは「良かったな」で済ませていたと思う。

ただ、それはその販売店が公正取引協議会という上部組織に無理矢理押さえつけられ、やむを得ず下した判断の上で為されたことなわけや。それを当然の事として受け取られては困る。

あんたはご自分が騙された事ばかりに意識がいっているが、その販売店は一体、あんたに何をしたのやろうか。何か悪いことでもしたのやろうか。

ワシには、とてもそうは思えんのやがな。落ち度のない者が罰やペナルティーを受けるというのは、どうしても心情的に納得できん。

あんたから、その販売店が契約解除を迫られたり、渡した景品の減額を要求されたりといった罰、ペナルティを受けなあかんほどの理由は、どこを探しても見当たらんさかいな。

そもそも事の発端は、結果として騙されたにせよ、あんたがその拡張員の口車に乗ったからとや思う。しかもその事を、契約相手である、その販売店に隠して。

普通の人なら、『月○○○円でいいので』と言われれば、本当にそうなのかということを、その販売店に確かめていたはずや。

また、その拡張員が『集金日までに、その人が新聞代との差額を持って来る』と言うた時点でおかしいと考えて相手にしない人の方が多いと思う。

一般的な新聞販売店では拡張員が契約を取った場合は、当日、もしくは翌日には、その契約を確認するために電話連絡するのが通例になっとる。それを業界では監査と呼んでいる。

そういった、おかしげで不正な契約を阻止、見つけるために、そうするわけや。その販売店が監査の電話をしていれば、その努力をしていたことになる。

あんたにも、その販売店から契約の確認があったはずや。おそらくは、その事を黙っていて欲しいと言われていたため、販売店にはその拡張員との取り決めを話してないものと思う。話していたら、当然やがこんなことにはなってないわな。

その販売店にすれば、あんたとその拡張員に騙されたということになるわけや。その騙された相手から、公正取引協議会に訴えられ、その正誤も良う判断できん担当者に景品の返還分を削るよう指示された。

踏んだり蹴ったりというのは、まさしくそういう状況に置かれた新聞販売店の方やろうと思う。

もっとも、そんな拡張員を使った販売店側にも落ち度があったと言えなくもないが、怪しげな誘いと承知で、法律上の契約相手である販売店にその事実を隠して黙っていたあんたの方が、より落ち度が高いとワシは思うがな。

あんたも怪しげやと思うからこそ、念書を書かせたはずから、その責任がないとは言えんと思う。そのあたりのことを自覚して欲しい。

今回の結果で一番得することになるのは、あんたのはずやというのも間違いない。

もっとも、嫌な思いをしたという精神的な部分をマイナス面と捉えるのなら、そうなるかも知れんが、少なくとも物理的な被害はないものと考えられる。

こんなことを言うと不満に思われるかも知れんが、正しく物事を認識して頂きたいから、嫌われるのを承知で敢えて言うてるわけや。

あんたは『前回は丁寧なお答えありがとうございました』と言われておられる割には、ワシの話をあまり理解されておられないようや。

前回の回答で、ワシは、


参考までに言うとくが、『無償解約できるなら大事にはしたくない』というのが、販売店の要求をすべて蹴るということなら、それは法律上、できんと言うとく。

『それは甘い考えでしょうか?』ということなら、そうなる。

どういう形であっても契約者から解約を要求した場合は最低、景品の返還を求められる。

これは民法545条の原状回復義務にその規定があり、解約が成立した場合は、その契約が行われる前の状態に戻すという規定があるからや。

つまり、解約すると言った側が得をすることを法律は認めてない。貰った景品を返さないというのは、その分、得をしたことになるさかいな。

法律では、これを「利益供与」と呼ぶ。解約を要求する側が利益を得るのは、おかしいと法律は言うてるわけや。

普通に考えても、解約を希望するということは契約が全うできんと言うてるわけやから、その契約を全うすることを条件として貰った物は返さなあかんわな。

これは例え相手側の不法行為による解約要求であっても同じことで、その民法545条の原状回復義務から逃れることはできんとされとる。契約事において相手側の不法行為が認められても、契約者に得られるのは「解約できる権利」だけやさかいな。

その際、必要ないのは「解約違約金」だけや。「解約違約金」というのは解約希望者に落ち度がある場合にのみ支払いが認められるもので、不法行為を起こした側が要求することはできんという理屈やな。

せやから解約を希望する場合は、どういう状況であれ、貰った景品は返さなあかんと考えおいて方がええということや。


と言うたはずや。

それからすると、『違約金は請求されませんでしたが、景品代として10万円みたいなことを言われました』というのは、あんたが受け取った景品の内容からしても実際の商品価格は分からんものの、一般的には、それほど無茶な請求とは思えんがな。物によれば、そのくらいはするのやないかと思う。

まあ、多少高めにふっかけたと考えらんでもないが、その商品のメーカーや内容、および新品での販売価格が分からん以上、どちらとも言えん。

その商品については個人が特定されるおそれがあるとして、具体的な景品名は載せないで欲しいということやったので、今回も掲載は控えるが、あんたはその景品を4万円で購入することが可能やと本当に考えておられるのやろうか。

もし、それが可能なら、あんたが得をしたとは言えんやろうが、ワシにはよほどの安物でもない限り、その値段で、その商品を買うのは難しいやろうと思う。

『最終的に4万円位を現在請求されています』ということに対して、あんたは不満なようやが、ワシからすれば冒頭で言うたように『最高に良い結果を得られた』のやないかと考えるがな。

『あまり、もめ事が長引くのも嫌なのですが、念書まで書かせたのに、結局うちがお金を払うことが腹が立ちます』というのは分からんでもない。騙されたという気持ちも理解できる。それに対して怒るのは構わん。

しかし、『4万円を払い、それを被害として営業マンに対して被害届を出そうかと考えています』というのは無理があるとしか言えん。

何度も言うが4万円の支払いは被害ではなく、ただの返還分や。その返還をすることで却って、あんたが得をしたことになると考えられる。得をした分に対して被害を請求することなど、できるわけがないというのが、ワシの意見や。

その拡張員に被害を請求できるケースは一つしかない。

それは、その契約を解約せず期間満了まで新聞を購読し、その上で、9月以降に支払った新聞代から、その拡張員と約束した月○○○円を差し引いた額ということなら、被害として認められる可能性は高いと思う。

しかし、解約すると、法律的には、あんたは被害を回避できたとして、その拡張員の損害賠償責任は消える。被害のないものに賠償責任は生じないという理屈になるわけや。

どうも、あんたはそのことに気づかれておられないようやがな。

ワシも、その拡張員のやったことは悪いと思う。新聞勧誘員としては絶対にしたらあかんことや。何らかの罰を受けてしかるべきやとも考える。

しかし、具体的な被害が何もない状態では、どうしようもない。少なくとも法律的な裁きによる罰を加えるのは、あんたが解約した時点で無理になったということや。

『個人的なご意見でいいです。げんさんはどう思われます?』ということなら、ワシとしては、そうとしか言えん。

あんたが、その新聞購読契約を解約した瞬間から、好むと好まざるにかかわらず、景品返還分の金銭は、あんたの責任として当然支払うべきものになったわけや。被害などではなく、あんたがするべき同然の義務、責任として。

『甘い話に乗った代償として諦めるべきですか?』というのは、少し意味合いが違うが、それであんたの教訓になるのなら、そう考えられたらええと言うとく。怪しげな話は、どんなに美味しそうに思えても必ず落とし穴があるものやと。


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