新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1180 新聞社が未だに販売店に対しノルマを背負わせている事について
投稿者 Yさん 投稿日時 2012.10.30 PM 9:36
いつも勉強を兼ねて楽しく拝見しています。
さて私はY新聞販売店の専業をやっている者です。
新聞離れといえばまだ理屈が成り立つと言えますが、新聞を生活する上で必要とする世代が自然の摂理として減っていく現状、新聞社が未だに販売店に対しノルマを背負わせている事について意見を伺いたくお邪魔します。
これは私が思うに大事件だと思うのですが、ニュースで取り上げられもしません。なぜでしょうか。
このふざけたピラミッドの構図に疑問を抱かざるを得ません。何が○○○○万部か。純粋に読みたい、必要だと言える読者がもしもザルにかけてシャカシャカしたとしたら一体何部が残ると思っているのか。
その多くは販売店に対する過酷なノルマ。掘り下げれば従業員が無理をし身銭を切っている。
ザクっと言いたい事を述べましたが、この現状を新聞社が把握していないとは思えませんが、結局のところ社は方向性を変えようとしないのは何故か。
ゲンさん、博士さんの意見を伺いたいです。
因みに私自身毎月無理を強いられている身です。最後に入院、死亡は止められない。
回答者 ゲン
『ニュースで取り上げられもしません。なぜでしょうか』という質問の答なら簡単や。
新聞社は本音ところではどうかは分からんが、『新聞離れ』になっていることなど公には認めていない。
また、あんたの『新聞を生活する上で必要とする世代』と言われとるのは高齢者のことやと思うが、新聞はすべての人にとって必要であると新聞社は考えとるさかい、高齢者が新聞を購読している上客やとは大ぴらに言えんわな。
『自然の摂理として減っていく現状』、つまり、その高齢者たちが死んでいくから新聞の部数が減少しているといった不謹慎な事も口が裂けても書けん。
『新聞社が未だに販売店に対しノルマを背負わせている事』に至っては、業務委託契約を受諾している立場の販売店であれば、ノルマがあって当然としか考えてないさかい、新聞社にとっては、おかしなことでも何でもないわけや。
あんたの言われておられる事は正しい。ワシらも同感や。ワシら自身がサイトやメルマガで言及しとることでもあるしな。
しかし、そういった事実を新聞社は認めていない、またおかしなことやとは考えとらんから、当然『大事件』やという認識など持っているはずもない。その認識がなければ、新聞はもとより、その新聞の支配下にあるテレビ局でもニュースとして扱うことなどないわな。
問題意識が、まるでないわけやさかいな。おそらく、新聞販売店の方々のそうした苦労を知っている新聞社の連中は少ないと思うよ。
本音のところでは、新聞販売店などいつでも切り捨てられるとしか考えとらんさかいな。せやからこそ、毎年数多くの改廃を無慈悲に断行しとるわけや。いろいろと理由をつけてな。
『このふざけたピラミッドの構図に疑問を抱かざるを得ません』と言いたい、あんたの気持ちは痛いほどよく分かるが、新聞業界はそういった構造、構図の組織になっていて、その仕組みが法律的に違法というのでなければ、そこで仕事をする以上、それに従うしかないやろうと思う。
そんな業界なのやと割り切って。それができなければ辞めるしかない。あるいは、そういう業界のシステムを変えるための運動、機運を盛り上げる努力をするかのいずれかやな。
『ザクっと言いたい事を述べましたが、この現状を新聞社が把握していないとは思えませんが、結局のところ社は方向性を変えようとしないのは何故か』というのは、新聞社には現状維持でええとか、マイナスになっても仕方ないという発想が欠落しとるからやとしか言えん。
常に業績を伸ばす、部数を獲得する事しか眼中にない。これは何も新聞社に限らず、日本の多くの企業が、そう考え実行していることでもある。
確かに新聞業界全体としての部数は減少傾向にあるし、これからもそうなるのは確実やろうが、それでも新聞各社は、まだ部数を伸ばせる余地が残されているものと考えとる。
それは、他紙の部数を獲得する、奪うことで可能になるからや。
新聞離れが進行していて、押し紙や積み紙などの余剰紙で部数が水増ししているとはいえ、それでもまだ実売部数は公表部数の7割以上はあると目されとる。
現在、日本ABC協会調べでの新聞の公表部数は5千万部ほどやから、少なくとも3千5百万部程度の実売部数があると見込まれている。そこに活路があると考えている新聞社は多い。けっして少ないパイの奪い合いではないと。
もともと新聞各社には共に繁栄しようという気など皆無といっても良い。表向きは共に繁栄しようみたいな話をしている業界のトップはおられるようやがな。
そんなのは、ワシからすれば嘘くさいとしか言いようがない。自社の成績さえ伸びれば、それでええ。本音はそこにある。それ故に長年、熾烈な部数獲得競争、勧誘合戦が繰り広げられてきたわけやさかいな。
『販売店に対する過酷なノルマ』というのも、それがある故に生まれた。『何が○○○○万部か』と、あんたが憤る新聞社の目標もそのためや。
日本の企業の多くで目標の数字を掲げると、傘下の企業や下請け会社にそれを押しつけるというのは普通にあることや。もっとも、その中でも新聞社のやり方は飛び抜けて、えげつないとは思うが、押しつける側には、そんな意識なんか微塵もない。
新聞社あっての新聞販売店やないのかと。仕事がしたいのなら黙って従えと。あるのは、その思い、考えだけやと思う。傘下の企業や下請け会社へ配慮する企業の方が今は珍しいくらいやと。
『結局のところ社は方向性を変えようとしないのは何故か』というのは、どんなに状況が悪化しても自分たちだけは生き残れる、生き残ると考えとるからに外ならんからやと思う。
例え同業他社を食いつぶしてでも。そうすることが自らにとっての正義と考えているようなフシさえある。
そう考えている限りは、いつかは共倒れになる日がくると思うのやが、新聞社にはそれが理解できんのやろうな。
『掘り下げれば従業員が無理をし身銭を切っている』という現状は、個人の意志次第で止めることは可能やと考えるがな。
それができずに『因みに私自身毎月無理を強いられている身です。最後に入院、死亡は止められない』と悲観的な事を考えて何の希望も持てないのなら、希望の持てる仕事を探した方がええのやないかと言うとく。
愚痴や不満をワシらにぶつけて、それで気が済むのなら、いくらでもそうされたらええが、本気で望みがないと考えとるようやと、いつか行き詰まる時が必ずくるさかい、その前に方向転換した方がええのやないかな。
もっとも、どうされるかは、あんたの判断次第でええがな。
ワシとハカセの意見ということなら、そういうことや。
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