新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1189 食い止めが難しいです
投稿者 Sさん 投稿日時 2012.12. 8 AM 6:51
S市北部のY新聞で働いています。オンリーワンを目指して頑張っています。
でも食い止めが難しいです。今は、なかなか新聞を読みません。
だから、近くのY新聞の販売店ではあらゆるサービス、シルバーサポートなどをやられています。
うちのY新聞店は給料はいいのですが、部数を伸ばそうというサービス発想がありません…。
自分達でもとれるような顧客を拡張員セールスに頼るばかりのような気が…。
回答者 ゲン
『食い止めが難しいです』というのは「止め押し」、つまり継続契約依頼が難しいということやと思うが、購読を継続しないという顧客にも、それぞれ理由があるはずやから、まずそれを聞き出すことや。
その中には、あんたが『今は、なかなか新聞を読みません』と言われるように、新聞は読まないから必要ないという理由もあるやろうと思う。
もっとも、購読していても新聞を読まないというのは、何も今に始まったことでもないがな。
このサイトを開設した当初から散々言うてきていることやが、新聞を宅配で購読していても「新聞を必ず読んでいる」と答えられる人は少ない。
それについては、当メルマガ『第235回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞テレビメディア対ネットメディア、どちらの影響力の方が勝るのか?』 の中でも言うてるので、その部分を抜粋する。
たいていは朝取り込んで、そのまま新聞収納ケース行きになっている場合が圧倒的に多い。時がくれば結束して古紙回収に出されるか、ゴミと一緒に捨てられる。
新聞を読んでいると言えるのは、ええとこ2割くらいなものやと思う。
読む箇所は「ラ・テ欄(テレビ番組表)」が最も多く、次に折り込みチラシ、三面記事、4コマ漫画、スポーツ、芸能、地域情報、コラム、小説、政治、経済、社説と続く。
地域や顧客層によって若干の違いはあるが、大体そんな感じや。
それはワシの長年の勧誘経験から言えることで、ほぼ間違いないという自信がある。客との雑談のネタも、特別な出来事でもない限り、それを念頭に入れて考えるようにしとるさかいな。
新聞を購読していても読んでいないという具体的な状況証拠なら他にもある。
ワシの昔からの友人で古紙回収業をしているテツからも、それを証明するに十分な話を聞いたことがある。
新聞を一度でも広げて読んで折り畳むと、幾分膨らみができる。ところが一度も広げられていない新聞にはその膨らみがない。
そのため、同じ日数分の同じ新聞であっても読んでない新聞と読んでいる新聞とでは厚みが相当に違ってくる。
古紙回収をしていると明らかに一度も開いて読んでいないと思われるような新聞が8割方を占めるという。2割程度が読まれた跡を窺わせるにすぎないと。
営業は、本来ならその商品の良さ、つまり新聞ならその内容の良さをアピールして売り込むものやが、肝心の読者が新聞を読んでいない、読む気がないのでは、その良さを売り込んでも、あまり意味がない。
「○○新聞には、こういった記事が売りです」と訴えても、「ああ、そう」というニベもない答が返ってくるのが普通で、興味を持って貰えることの方が少ない。
ワシが、普段から新聞の良さを売り込んでも、あまり効果がないと言うてるのは、そのためや。
それよりも勧誘員個人の人間性を売り込んで気に入って貰う方がよほど効果的やと。
普通に考えれば、読みもしない新聞を購読しているというのは勿体ない話やが、それが日本での一般的な傾向やと思う。
普段、読む時間が少ないからというのが、その理由としては一番多い。
一般的な日刊紙の情報量は、朝刊の場合、単純計算で400字詰め原稿用紙に換算して約500枚程度あると言われている。
B6版の書籍にして300ページ分ほどになる。当然やけど、これを全部読み切ろうと思うたらかなり時間がかかる。
ただ、新聞には読み方というものがある。
新聞記事には、すべて見出しがついている。朝刊で、およそ200前後の見出しがある。一つの見出しは10字以内とされとるから、すべての見出しを読んでも原稿用紙5,6枚分程度の文書量やから10分〜15分ほどで済む。
新聞記事は、重要な内容から先に書いている。最初の数行(リード)で事実関係と結論があり、後はそれを補足する内容が続く。こういう書き方を逆ピラミッド型と言う。
つまり、記事のすべてを読まんでも、見出しと最初の数行を読めば内容が把握できるように書いとるわけや。
しかし、それを知っている人は少ない。たいていの人は、いきなり大量の文字が目に飛び込んでくるだけで拒否反応を起こす。それらを全部読むのは面倒やと考える。
それが、そのまま古紙回収行きになる理由のトップや。如何にも勿体ない話ではある。
それにもかかわらず、多くの人がなぜ新聞を購読しているのか。
今まで読んでいたから惰性で購読しているというのが最も多く、地域の折り込みチラシが欲しいからというのが、それに続く。
新聞販売店との付き合いがある、近所に同じ新聞を購読している知り合いが多いからというのも結構多い。
そして、万が一の大事件、大事故があった場合、または話題の出来事、特別な出来事があった時に、手元に新聞があれば便利やからというのも理由として大きい。
と。
これから言えることは『新聞を読まないから契約しない』というのは、単なる断り文句やということや。こう言えば契約を迫られることはないやろうと考えてな。
加えて、新聞の継続をしない理由としては、新聞代を払えない、勧誘員に騙された、集金人と揉めた、新聞の不配が多いというのが定番や。
稀に新聞記事の内容が気に入らんというのもある。特に去年の東日本大震災後、もっと言えば福島第一原発事故以降、新聞は正しい報道をしていないという批判に晒されることが多くなった。
それが「新聞はウソばかり書く」とか「正しい報道をしていない」という苦情となって表れたのやないかと思われる相談が、サイトのQ&A『NO.1188 ここ1年ほどの間に異常なほど解約が増えて困っています』 にある。
その対処法として、販売店レベルで解決できんような苦情を受けた場合、ストレートに客の意向を受け止めるのはまずい。反論もせん方がええと言うとる。
そういった場合、「新聞はウソばかり書く」とか「正しい報道をしていない」という理由を、まず聞き出し、同調することから始めることや。苦情があれば、すべて吐き出させることに徹し、ただ聞き続けることが得策やと考えて。
人というのは、何か気に入らないことがあって苦情を言うた際、相手が親身になって聞いてくれていると思えば、それだけで気が済む場合が多いさかいな。
すべての苦情がそれで回避できるとは限らんが、まともに受け止めるよりかはいくらかマシなはずや。
ただ、それであっても実際には8割近くの人が新聞を読んでいなくても新聞の購読契約はしているわけや。
そこに、あんたの相談に対する答があると考える。
あんたは『オンリーワンを目指して頑張っています』と言われておられるところをからすると、『第109回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■新聞営業でオンリーワンと言われるための心得』 を見ておられるからやろうと思う。
その中に『新聞勧誘が嫌われる主な理由』を挙げ、具体的な『新聞営業で客にオンリーワンと言われるための心得』も示している。もし、まだなら読まれることを勧める。
ここでは、それを読んでおられるものとして話を進める。
ワシがいつも口を酸っぱくして言うてるのは、どんなに厳しい状況になろうと、その顧客との間に良好な人間関係を築ければ必ず契約につながるということや。それが、客にとってのオンリーワンになる目的でもある。
『だから、近くのY新聞の販売店ではあらゆるサービス、シルバーサポートなどをやられています』というのも確かに効果は高い。
ワシらも、それについては3年前の2009年9月4日発行の『第65回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■ある新聞販売店の取り組み その1 哀しき孤独死をなくせ』で紹介したが、その後、『シルバーサポート』をされる新聞販売店が相当数に上るようになったということやさかいな。
それは効果があればこそやと思う。もちろん効果が上がる以上に、新聞販売店が地域社会の役に立つ存在でありたいという願いもあってのことやと考える。
ただ、いくら良い方法でも『うちのY新聞店は給料はいいのですが、部数を伸ばそうというサービス発想がありません…』や『自分達でもとれるような顧客を拡張員セールスに頼るばかりのような気が…』というのは、その販売店の経営者の考え方やから、現在のあんたの立場でそれを変えるのは難しいと思うさかい、ヘタに意見や口出しはせん方が無難や。
それは、それとして割り切り、あんたが本当に『オンリーワンを目指して頑張っています』というのなら、そうなれるように努力されることや。その方法ならいくらでもある。
景品サービスにしても単に多く物を渡せばええというものでもない。それについても『第84回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その2 拡材について』 の中に『金をかけずに済む拡材サービス方法のあれこれ』というのがあるので参考にされたらええと思う。
まずは、ご自分の営業力を磨き、自信と信用、実力をつけることや。あんたが押しも押されもしない営業力を身につけた一流の勧誘員になれば、個人としての収入が増えるだけやなく、発言力も高まる。
つまり、その状態になってはじめて『うちのY新聞店は給料はいいのですが、部数を伸ばそうというサービス発想がありません…』や『自分達でもとれるような顧客を拡張員セールスに頼るばかりのような気が…』といったことを経営者に意見すれば聞き入れて貰える可能性が高いということや。
何でもそうやが、懸命に頑張って勉強をして損をするということはない。必ず身につくし、そうして良かったと思える日が来るはずや。
ワシで良ければ、そのためのアドバイスはいくらでもするさかい、いつでも気軽に相談してくれたらええ。ほな頑張って。
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