新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1191 先行きが心配です


投稿者 Tさん  投稿日時 2012.12.25 AM 4:51


現在、拡張員ではなく、販売店専属の営業スタッフとして働いて1ヶ月のものです。

最初は給料の保証がありますが、この先は完全歩合制になる予定です。

今まで一ヶ月に数件くらいしかカードが取れず、歩合制になったときに、生活できるものか? と不安になることが1つと営業の仕事に関してなかなか、契約までに至らず困ってます。

1日、150件以上は回るのですがA新聞、Y新聞以外の定着率の低い新聞社なので、確率的にも当たりが少なくなってしまうと思うんです。

あと、会話に関しては即断りが相手から来る場合は、こちらもいさぎよく立ち退きますし、柔らかな人には、こちらから話す隙が伺えるので、何とか宣伝までは、言葉にすることができます。

ただ、やはり、営業初心者なのと、会話の引き出しが少ない、どもる、おぼつかない、などと、全国的に定着率の低い新聞なので、自分の会話の未熟さや押しの弱さ、必然的な獲得率の低さなどで、現在、悩んでます。

店長からは、一応、そのままでいい、とか、誉められることもあり、その事だけが今の自分を動かしています。

まだ、若い、働き盛りの年齢なので、今後の生活の事や、将来性など考えることがたくさんあり、悩んでます。

ただ、この仕事が嫌ではありません。何とかして乗り越えたいものとして、アドバイスお願いします。


回答者 ゲン


『現在、拡張員ではなく、販売店専属の営業スタッフとして働いて』というのは、新聞販売店直属の勧誘員をされておられるのやと思う。それも業界では「専拡(専属拡張員)」と呼ばれ、広義の意味で言えば拡張員の範疇に入る。

もっとも、専拡に関しては拡張団に所属する拡張員と区別する向きは多いがな。

現在、拡張団、および拡張員が激減している事と、新聞社が以前に比べて拡張員の入店に積極的でなくなった事とが相俟って、新聞販売店独自で専属の勧誘員を雇う所が増えとる。

何を隠そう、ワシもその専拡の一人や。もっとも、ワシの場合は肩書きが営業部長やさかい、傍目には専拡というイメージは薄いようやがな。ただ、ワシの中では常に専拡としてやっているという思いが強い。

『最初は給料の保証がありますが、この先は完全歩合制になる予定です』というのは、それぞれの新聞販売店のシステムやからワシが口出しすることやないかも知れんが、一般的な専拡は基本給プラス歩合給というのが圧倒的に多い。

完全歩合制というのは、従業員、社員契約ではなく、業務委託請負契約ということになる。分かりやすく言えば、あんたは自営業者になるということを意味するわけや。

その場合、普通の社員が加入している福利厚生は適用されない。税金は自主申告で払わなあかんし、年金や健康保険も自分で入る必要がある。労災保険や雇用保険への加入も難しい。

それについては、サイトの『ゲンさんのお役立ち情報 その1 労災についての情報』に当サイトの法律顧問をして頂いている今村英治先生の詳しい説明があるので見て貰えれば分かると思う。

完全歩合制の請負契約は契約を数多く上げて稼げる者には有利やが、そうでない者には厳しい契約になる。そうやな、契約単価にもよるが、新規の1年契約の報酬額が8000円の場合で月50本程度以上の契約を獲得できんことには難しいのやないかな。

完全歩合制の請負契約は5、6年前まではまだ比較的多く残っていたが、現在は拡張員も大半が基本給プラス歩合給の社員契約になっている。それでないと、やっていけない者が多いからや。業界もそれでは人員を獲得できんということで、そうしとるわけや。

『今まで一ヶ月に数件くらいしかカードが取れず、歩合制になったときに、生活できるものか? と不安になる』というのは、本当にそのままでは、そうなる可能性は高いやろうな。

それを逃れる道は一つ。契約数を飛躍的に伸ばすしかない。

そのためには、『1日、150件以上は回るのです』というのはそんなもんでええが、『A新聞、Y新聞以外の定着率の低い新聞社なので、確率的にも当たりが少なくなってしまうと思うんです』という思い込みはなくした方がええ。

そう思っている限り、契約数が伸びることはない。自分で自分に「できない言い訳」を探して足枷をしているのと同じやさかいな。初めからあきらめの気持ちが入っているようでは契約など上げられるわけがない。きついようやが、それが営業や。甘い考えでやれるものやない。

あんたは新聞のブランド力、ネームバリューというのを気にされておられるのかも知れんが、新聞にそんなものは「ない」というのが、ワシの持論や。

なぜなら、その地域で無名の新聞など存在せんからや。新聞の銘柄くらいは誰でも知っている。A新聞やY新聞で拡張しているから契約を多く上げられ、その他の新聞では上げられんというのは、ただの思い込みにすぎん。

A新聞やY新聞が数多くの契約を上げて人気が高いように見えるのは、単に両社の販売店数が多く、それに比例する勧誘員の数が多いためや。その勧誘により購読者も多い。それ以外に理由はない。

ワシは過去、そのA新聞やY新聞の拡張団に所属していたことがあるが、一番契約を多く上げて稼げたのは全国紙としては最下位に位置していると見られているS新聞の拡張をしていた時や。

全国的にみれば、A新聞やY新聞は顧客も多くシェアも高い。しかし、裏を返せば、その分、営業できる顧客が少ないということも意味する。そこへ行くとS新聞の場合は、顧客の多いA新聞やY新聞を狙えるさかい、営業できる顧客の範囲が増えて有利やとも言える。

何でも物は考えようで、不利に見える事が、却って有利に働く事などナンボでもある。悪いように捉えれば、いくらでも悪く、良いように考えれば際限なく良く思えるものなんや。どうせなら、良いように考えな損やわな。

新聞営業は気持ちの持ち方が結果に大きく影響する。そして、新聞のブランド力、ネームバリュー以上に、勧誘員個人の力量がモノを言う世界でもある。その事を理解して頂きたい。

あんたは『ただ、この仕事が嫌ではありません。何とかして乗り越えたいものとして、アドバイスお願いします』と言うておられるので、そのつもりで話す。

『会話の引き出しが少ない、どもる、おぼつかない』、『自分の会話の未熟さや押しの弱さ、必然的な獲得率の低さ』というのは勧誘の基本的な部分が分からず悩んでおられるようや。

おそらく、本格的な新聞営業の勉強をされたことなどないのやろうと思う。

サイトの『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座』という営業初心者向けのものがあるので、まずそれから参考にされたらええ。

『会話の引き出しが少ない』というのは、ある程度の経験を積んで貰わな仕方ないが、『どもる、おぼつかない』を治したいということであれば、『第186回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの話し方教室 その1 悩める初心者のために』の中に「話し下手を克服したい人が営業するための話し方」というのがあるので、それがあんたの参考になるのやないかと思う。

これから、その部分だけ抜粋する。


話し下手を克服したい人が営業するための話し方


話し下手にもいろいろなタイプがある。

元来、良く喋るのやが、人前に出ると緊張して上がるタイプ。相手を意識すると話せないタイプ。声の小さなタイプ。初対面の人間となかなか話せないタイプ。そもそも営業での話し方の分からないタイプなどが挙げられる。

話し下手やと悩む初心者は、この中のどれかに属するのやないかと思う。

これから、そのタイプ別の克服法について話す。


@元来、良く喋るのやが、人前に出ると緊張して上がるタイプ。

この手のタイプは結構多い。ただ、これは慣れれば比較的簡単に克服できると思う。

それにはそれなりのトレーニングが必要になる。

そのトレーニングとして有効なのが、繰り返しのトーク練習をするということや。

ワシが、その昔、建築屋の営業員として勤め出したとき、真っ先に練習をやらされたのがこれやった。

電話アポというのがあるが、あれが結構、このためのええ練習になる。

また、ロール・プレイング(役割演技)というて社内で疑似営業訓練というのも頻繁に行うことが多い。

一般の営業会社やと、そういうのは基本とされとることやが、残念ながら拡張の世界ではおざなりにされてきた。

もっとも、それと知らずとも、その慣れが結局、その訓練を積んで行っとるのと同じことにはなるわけやがな。ただ、それやと時間がかかる。

現在の拡張団の中にも、初心者に対して徹底してこの教育をする所もあると聞くが、やはり少ない。多くの拡張員は、自分で率先してやるしかないやろうと思う。

良く、立て板に水が流れる如き話すという営業マンを見かけるが、たいていはこれらの訓練の賜(たまもの)や。

そのバリエーションを多く持つ者は、客の反応次第で幾つもの対応ができるまでになる。

まずはバカの一つ覚えでもええから、自分の話やすい営業トークを何度でも練習することやな。

もっとも多い、インターフォン向けのトークの一例を挙げる。

「こんにちは(今晩は)○○さん。○○新聞の○○と申します。今だけのキャンペーンサービスのご案内に寄せて頂きました。お手間は取らせませんから、お話だけでも聞いて頂けないでしょうか」

「こんにちは(今晩は)○○さん。近所の販売店から来ました。お忙しいところまことに申し訳ありませんが、お手間は取らせませんので、お話だけでも結構ですので、ぜひお願いします」

このとき、声は大きめに明るくを心がける。その人の雰囲気もさることながら、声の調子で判断するという客も多いさかいな。

この繰り返し練習するということは何においても重要や。頭で覚えるより身体(口)で覚えろということやな。

「そんなことを言うてもドアなんか開けて貰えんで」と嘆く者がいとるが、それは仕方ないことや。

この仕事の特性の一つでもあるが、どんなベテランが叩(訪問)いてもなかなかドアを開けて貰えんということは普通にあるさかいな。

ベテランは、この仕事はこんなんものやと思うとるから、まだそのモチベーションを維持することはできるが、初心者にはそれが難しい。

ものの5、6軒も断られたら、それで落ち込む。声も暗く弱々しくなる。マイナスの感情を生むわけや。それが悪循環となって、やる気を削ぐ。

この拡張の仕事は、極端な話、10軒に1軒、ドアを開けて貰えたら御の字なんやと考えとれば、それほど落ち込むこともないと思う。

それに、この段階では、話すということを練習しとるわけやから、開けて貰える貰えんということは気にせず、取りあえず数をこなすことに徹することや。

それに伴って自分なりのバリエーションを少しずつ増やしていくようにすればええ。

いずれにしても、このタイプは練習を重ねることで比較的簡単に話し下手というのは克服できるはずやと思う。


A相手を意識すると話せないタイプ。

これも、たいていは練習で克服できるものやが、中には、相手を意識しすぎるあまり声が出なくなる者もおる。

これは、何でも完璧にやろうとする人間が陥りやすいことでもある。失敗を恐れる気持ちがよけい、それを意識させるのやと思う。

その人にとっては難しいことかも知れんが、それを聞く人間は、それほど気にはならんものやで。

あんたも、話しとる相手が、例え言葉をかんだとしとても一々それを咎めたりはせんやろ?

それと同じことや。むしろ、それがあることでその相手に対して好感度が上がることの方が多いはずや。笑いのネタにできることすらある。

営業は、その喋りの優劣で契約が取れる取れへんというものでもない。せやから、それに大きなウェートをおく必要もないと思う。

話の下手な者でも成績のええ人間はナンボでおるさかいな。

ただ、最低限度、必要なことは必ず伝えなあかんのは確かやけどな。何を言うとるのか分からんというのでは営業は辛いわな。

裏を返せば、最低限でも伝われば、その話の下手さが実直な人間という印象与え、好結果につながることも多いということや。

せやから、こういう人は、下手に上手く喋ろうと努力するよりも、必要なことを確実に伝えるように集中した方がええと思う。


B声の小さなタイプ。

これは、恥ずかしさが先に立つのやろうなと思う。

しかし、たいていは、これも同じトークを繰り返し練習をすることで解消されていくはずやと思う。

そのときに声を大きくして分かりやすく話すということを意識して練習に励めばええ。

もっとも、拡張のように対面営業の場合は、演壇に立って大勢に向かって話すのとは違い、近距離で相手に通じたらええわけやから、それほど特別な大声が必要ということやないがな。

ただ、いくら聞こえたらええとはいうものの、大きい声の者に比べれば不利には違いない。

この声の大きいというのは、集合住宅なんかでその威力を発揮することが多い。

声が大きめやと、その家の住人だけやなく、同時にその隣にまで聞こえることがある。

そのとき、客に好印象を与えられる話し方をしとると思われると、その隣人の中には、次に順番が来たときに話くらい聞いてもええかと考える人が実際にいとるさかいな。

声が小さいと、その可能性が消えることになる。

この恥ずかしさを吹き飛ばす大声訓練というのは、ワシが、メルマガやサイトの中で時折言うてることでもある。

公園のど真ん中で大声で笑えというのがそれや。

ワシの経験で言うと、恥ずかしさを飛ばして声を大きくさせるには最良の方法やと思う。

ただ、通行人の多い、公園のど真ん中で意味もなく笑う姿というのは、傍目には異常ではあるがな。

ワシなんかそれをしとると、周りから確実に人が減るさかいな。

しかし、この道で頑張ってそれを克服しようと思うのやったら、そんなもの気にするべきやない。

それに、これができれば、確実に声が大きくなり恥ずかしさも消えるはずやしな。

身を捨てる覚悟。

大袈裟に言えば、営業の仕事はそれくらいの気持ちが必要やということや。それを分かってほしい。


C初対面の人間となかなか話せないタイプ

俗に言う、人見知りをするというやつやな。その相手と慣れんとなかなか会話が交わせん人や。

このタイプも営業するのには困る。

ただ、やる限りは、意識してそれを克服するという努力をせんとどうにもならんやろうと思う。

こういう人は、思い込みという部分が強い。苦手意識と言うてもええかも知れん。

初対面の人間となかなか話せないタイプやと自分で自分を決めてしまうわけや。

これを克服するには、そうではないという気持ちの転換をする必要がある。

どうするか。

思い込みには思い込みで対抗するわけや。

初対面やと思うから話しにくいわけで、その相手を以前、どこかであった知り合いと重ねて見るということをしてみる。

つまり、その相手とは初対面とは思わず「以前、ご契約頂いてありがとうございました」と思い切って言うてみる。

不思議なもので、こういう風に言葉に出すと自分でもそうかなと思うてしまうことがある。

それは、騙しやないのかという突っ込みを受けそうやが、相手がはっきり違うと言えば、「済みません、私の勘違いでした。あまりにも、その方と良く似ていらしたもので」と謝ればええ。

相手次第では、本当に過去に、その勧誘員の勧誘する新聞を取っていたというケースもあり、それで和んで話が弾むこともある。

狙いは、あくまでも、その客への思い込みにある。初対面ということだけで話ができんのなら、そうではないと暗示にかければええわけや。


Dそもそも営業での話し方の分からないタイプ。

残念ながら、他の営業の世界では常識とされとる営業の話し方というのを、まったく知らんという拡張員も結構多い。

「敬語の使い方も知らん」とは、拡張員を批判する際に良く聞く言葉や。

当然やが、入社した会社の人間がしていることは正しい、あるいはそうせな仕方ないと考えるのが普通やさかい、たいていはそこのカラーに染まる。

その拡張団で、客に対して、ぞんざいな口調が良しとしてまかり通っとる所やと、どうしてもそうなる。

それに疑問を挟まんような人は、それはそれで仕方ない。そういう人には、こういう話自体必要ないやろうしな。

そうやなく、正しい営業での話し方が知りたいということであれば、それを勉強するつもりさえあれば比較的簡単に会得はできると思う。

サイトの『ゲンさんの勧誘・拡張営業講座 第2章 新聞営業の実践についての考え方 拡張トーク編』を参考にされるのでもええし、本屋に行けば、その類の営業の指南本はいくらでもあるから、それを読めばええ。

多くの営業の指南本には、当たり障りのない記述があるのが普通やから、基本を勉強するというのなら、それで十分やと思う。

何でもそうやが、基本的なことを知っとかな、それ以上の上達というのは難しいさかいな。


というものや。

また、『第187回 新聞拡張員ゲンさんの裏話 ■ゲンさんの話し方教室 その2 新聞営業での失言について』 の中の「新聞勧誘営業での失言防止についての心得」、あるいは『第83回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■2010年からの新聞営業講座……その1 拡張の心得について』にある「拡張の心得について」なども営業初心者には必修事項やないかと思う。

この他にも、サイト内を探せば、あんたの役に立ちそうなものは、まだまだあるはずや。要は、あんたがどこまで腹を括って勉強できるか、取り組めるかにかかっていると言うてもええやろうな。

いろいろ不安もあるやろうが、まず精一杯チャレンジしてみてから、今後の事をどうされるか判断したらええのやないかと思う。


白塚博士の有料メルマガ長編小説選集
月額 210円 登録当月無料 毎週土曜日発行 初回発行日 2012.12. 1

ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート 
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
 

書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム