新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1199 契約者が契約していないと言えば無効ですか?
投稿者 18さん 投稿日時 2013. 1.10 PM 11:06
ゲンさん、返事ありがとうございました。
元は契約者である祖父が「これはなんだ!」と、紙を持ってきてから始まりました。紙というのは今月から配達が開始しますというお知らせの紙です。
祖父にこんなもの知らないから断ってくれと言われ、今に至ります。
まず祖父が新聞屋に連絡し、家にきてもらいました。
最初は祖父と新聞屋の方と2人で討論していたのです。
祖父はずっと解約してくれと言っていました。ですが新聞屋の方はまったく聞く耳を持っていないようで、「そう言われましても契約は契約ですから…」といった感じでした。
そのあと話が終わらないので母が話に加わり、契約期間も書いてあるし、母のサインはしてあるし、諦めて新聞屋を帰らせました。
そのとき私は会話には加わっていません。
しかし、話を聞いておかしいなと思い、私と母が勝手に新聞屋にまた連絡をとり、その担当の方と話をつけようとしたのですが、契約してありますからと言われ手も足もでませんでした。
ちなみに私の家ではその新聞屋と契約した新聞と同じ新聞を何年も前からずっと別の新聞屋から購読しています。
なので私の考えとしては新聞が意味がないということではなく、同じ新聞では意味がないということです。
若いからと言ってそのくくりにされては困ります。新聞は無駄だとは思いません。
祖父は今でもその新聞屋から新聞を取ることには納得していません。断ってくれと言われました。
要するに母や私が契約してるしてない云々を新聞屋に苦情を言いつけても無駄と言うことですよね。
では祖父に任せればいいということですね?
それは母の直筆のサインがあっても無効にすることはできるのでしょうか?
またよろしくお願いいたします。
回答者 ゲン
今回の相談内容を最初に知りたかったな。そうすれば話は簡単やった。もっとも、前回の回答をしたことで、この文面を書かれたわけやから仕方ないとは思うがな。
あんたは『若いからと言ってそのくくりにされては困ります』と言われて気分を害されたようやが、契約者である祖父の方について、まったく語られておられなかったので、老婆心ながら、ああいった論調になってしもうた。気に障ったら申し訳ない。
今回のあんたからの説明で、契約を解除、あるいは無効にするということを論じる以前に、決定的な問題、間違いがあるということが分かった。
あんたの相談内容からすると、そもそも、その新聞の契約をその新聞販売店がしたらあかんかったし、新聞を配達することすら許されない事案ということになる。根本的なところで、その新聞販売店は大きな間違いを起こしている。
新聞販売店には新聞宅配制度というのがあり、その地域で同じ新聞の販売と配達ができる新聞販売店は1店舗だけと厳格に決められている。
従って『私の家ではその新聞屋と契約した新聞と同じ新聞を何年も前からずっと別の新聞屋から購読しています』というような同じ新聞が同じ契約者に別々の販売店から届けられるということは絶対にあり得ない。あってはならんことや。
どちらかの新聞販売店が、その宅配制度に違反していることになる。『何年も前からずっと別の新聞屋から購読しています』ということからすると、以前からの販売店が正しくて、後から契約した販売店が違反している可能性が高い。
せやから、その販売店には「うちは、お宅の新聞販売店の営業エリアとは違うでしょ。新聞の宅配制度に違反していますよ。新聞の配達はしないでください」と言えばええ。そう言えば引き下がるはずや。というか引き下がらずを得ない。
もし、それでも引き下がらないのであれば、『何年も前からずっと別の新聞屋から購読しています』という販売店に、その事実を告げるか、その新聞社の苦情係に通報すればええ。
以前からの販売店は、その事実を知れば、怒ってその販売店に掛け合うやろうし、新聞社も宅配制度の手前、エリア外の営業を容認することがないから、その新聞販売店に対してきつく叱責するはずや。
いずれにしても、その新聞の契約は自然消滅し、そこからの配達もされなくなる。その時、何かサービス品を貰っているのなら、それを返せば、すべて終わる。
普通は、こういうケースはあまりないのやがな。考えられるとしたら、後から契約に訪れた販売店の勧誘員が自店の営業エリアを知らずに間違って勧誘に来たのか、あるいは、その新聞がN紙、J紙といった委託紙の場合くらいしかないと思う。
間違って勧誘に来た場合は論外や。すぐに配達を止めさせることができる。
委託紙の場合は例外的に、その地域の販売店すべてに勧誘と配達業務を委託しているから、同じ新聞でありながら、別々の販売店から勧誘に訪れるというケースは考えられる。
しかし、その場合であっても同一新聞の同一地域で同時期、同じ契約者との重複契約は認められていないから、後から勧誘に来た販売店が引き下がるというのが、業界の常識、不文律になっている。
当たり前やが、同じ新聞を同じ契約者が2部も購読するというのは、常識的にも考えられんことやさかいな。ましてや、契約者が認めていない契約というのなら尚更や。
そのことを知らん販売店の場合、多少ごねるケースも考えられるが、その新聞社に通報すれば、結局はその販売店が引き下がることになるやろうと思う。
ついでやから、『契約者が契約していないと言えば無効ですか?』ということについても触れておく。
答は、「当然無効にできる」や。契約者が関わっていない契約は契約とは認められん。これは契約の大原則でもある。契約者以外の人間が、契約者の意思に反して行った契約は法的にも認められることはない。これについての判例は山ほどある。
新聞販売店の中には、新聞は家に配るからという理由で、その家の住人の誰が世帯主の名前で契約しても一緒やという、わけの分からん論法をかざす輩もいとるようやが、そんなものは法律上も常識的にも通用しない。
契約は契約者の承諾を得て、その契約者に自筆でサインして貰うことでしか成立しない。契約者の意思に反した契約が契約として認められることなどは絶対にないから、それについての争いで負けることなどないと言うとく。
ただ、それが認められるケースが一つだけある。それは祖父の奥さんが代筆した場合や。これは民法第第761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)というのがあるため、例外的に契約の責任が祖父の方にも生じる。
その条文に『夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責に任ずる』というのがあるためや。
但し、この場合でも『契約者が第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない』という附則もあるがな。
新聞の契約は日常の家事行為と認められる可能性が高いから、例外的に契約者ご夫婦の一方が契約した場合に限り、他方も共同で責任を取らなあかん場合があるということやな。
逆に言えば、それ以外の家族には、そんな縛りは一切ないということも意味する。例え親子間であっても、子供が未成年でない限り、子供の契約に口だしすることもできん。逆に、成人の子供の契約に親が束縛されることもないということや。
例えば、大人になった子供が借金をして、それを親に払えと債権者が迫っても、その親は拒否できるわけや。親に大人になった子供の借金を支払わせることはできんというくらいは常識やから分かると思う。その逆もしかりや。保証人にでもなっていない限りはな。
もっとも、保証人になっていれば家族云々とは別の次元で責任が生じるわけやから、それをここで言うても意味はないがな。
いずれにしても、今回のケースは契約以前の問題やから、揉める事自体がおかしい事案やと考えて差し支えないと言うとく。
白塚博士の有料メルマガ長編小説選集
月額 210円 登録当月無料 毎週土曜日発行 初回発行日 2012.12. 1
ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート1
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集』好評販売中