新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1203 法的手段について


投稿者 18さん  投稿日時 2013. 1.18 PM 9:44


以前、同じ新聞(J新聞)を契約させられて質問した者です。

後からJ新聞を勧誘に来たA新聞の新聞店に電話したところ「二部取るのが違法なのは初めて聞きましたし、同じ新聞を二部取ってる方もいます」や、「契約者直筆サインでなくても契約は契約ですから」と言われてしまいました。

しまいには、「だったら法的手段取られてはいかがですか」と言われてしまいました。

どのようにしたらいいのでしょうか(;_;)


回答者 ゲン


その販売店の人間が『二部取るのが違法なのは初めて聞きました』と言うとるのは、あんたの方で法律違反やとでも言うたのかな。それとも、その販売店の人間が、あんたの話を聞いて勝手にそう判断したのやろうか。

前回の回答でワシが『宅配制度に違反していることになる』と言うたのは、法律に違反しているという意味やない。正しくは新聞業界の決まりに違反しているということや。

ただ、新聞の宅配制度に違反するということは業界にとってはある意味、法律以上に破ってはならんことやさかい、それと知れると、その販売店はまずい立場になると思うがな。

前回、『普通は、こういうケースはあまりないのやがな。考えられるとしたら、後から契約に訪れた販売店の勧誘員が自店の営業エリアを知らずに間違って勧誘に来たのか、あるいは、その新聞がN紙、J紙といった委託紙の場合くらいしかないと思う』、

『委託紙の場合は例外的に、その地域の販売店すべてに勧誘と配達業務を委託しているから、同じ新聞でありながら、別々の販売店から勧誘に訪れるというケースは考えられる』

と言うたが、あんたの場合は、図らずもJ新聞という地方紙の委託紙やったわけやな。

そのA新聞の新聞店のエリア内に同じA新聞の他の店が、同じ契約者からA新聞の契約を取って配達していたら、これは大問題になる。そのA新聞の新聞店は黙っていないはずや。

あんたからの相談は、てっきりそれやとばかり思うてたさかい、その宅配制度に違反するから簡単に解決できると言うたわけや。

『新聞販売店には新聞宅配制度というのがあり、その地域で同じ新聞の販売と配達ができる新聞販売店は1店舗だけと厳格に決められている』というのは、新聞販売店なら誰でも知っていることやさかいな。

あんたの場合も、それと同じことが行われているわけや。そのため『その場合であっても同一新聞の同一地域で同時期、同じ契約者との重複契約は認められていないから、後から勧誘に来た販売店が引き下がるというのが、業界の常識、不文律になっている』と言うたのやが、そのA新聞の新聞店の人間には、その常識が通用せんかったわけやな。

ワシは、そちらの地域のみに存在する地方紙のJ新聞を扱ったことがないので絶対とは言えんまでも、同じ委託紙の全国紙のN新聞やと、そういうケースは常識として後から勧誘した方があきらめるのが普通やさかい、ああいった回答をしたわけや。

一般の勧誘員が委託紙であるN新聞を勧誘して契約を取ってきても、それに対して報酬を支払うケースが殆どないから、すでにN新聞を購読しているということなら簡単に引き下がる。もっとも、それ以前に金にならん契約など取ろうとはせんわな。

ここで新聞勧誘員について一言。新聞拡張員であれ新聞販売店の従業員であれ、専属の新聞社からは、その新聞、業界では本紙と言うのやが、その本紙1紙のみを営業することで、新聞社から営業許可が下りているわけや。

委託紙というのは例外的に、新聞社同士の付き合いから、本紙の新聞社、あんたのケースならA新聞社から文字通り、特別に委託されて配達している新聞や。この委託紙は他に系列のスポーツ紙、業界紙などがある。

ただ、委託紙の場合は勧誘員自ら勧誘して契約を取るというケースは少ない。なぜなら、その委託紙を勧誘して契約を取っても、殆どの新聞販売店では報奨金が出ないからや。新聞販売店が契約により報奨金を支払うのは本紙1紙のみと相場が決まっているさかいな。

特にN新聞は、そうや。全国的に言えば、最初の段階で、あんたのようなケースにならん場合の方が圧倒的に多い。

ただ、J新聞の場合は、そちらで拡張の仕事をしている人に聞くと、J新聞の契約3軒分で全国紙1軒分の契約報奨金が貰えるということやさかい、勧誘員も無理して契約を取るのかも知れんな。

これは、おそらくその地域だけに適用されている特殊なケースやないかと考える。

いずれにせよ、その常識の通用せん、A新聞の新聞店の人間を相手にしても仕方ないやろうと思う。

前回でも言うたが、その場合は『そのことを知らん販売店の場合、多少ごねるケースも考えられるが、その新聞社に通報すれば、結局はその販売店が引き下がることになるやろうと思う』と言うたようにされたらどうかと思う。

あんたの場合、通報する新聞社はJ新聞とA新聞の2社になる。いずれも、新聞の宅配制度に違反する重大事やからと言えば分かるはずや。

実際、こういうことが公に知られたら、(と言うてもワシらが知った以上は、すでに公になったも同じかも知れんが)新聞の宅配制度そのものが揺るぎかねんことやさかいな。新聞業界は今までにも、その新聞宅配制度を維持することにやっきになっていたわけやから、そのシステムを自ら崩すわけにはいかんやろうと思う。

新聞宅配制度がある故に、再販制度が維持できとるわけやさかいな。

ただ、委託紙であるJ新聞の場合は、新聞販売店にお願いして営業と配達をして貰っているという事情があるさかい、通常の新聞社と新聞販売店の関係のように、新聞社が強く出られないということも考えられる。

一応、先にJ新聞にそのことを伝え、ラチがあかんようならA新聞社ということになるが、A新聞社の場合は他紙を理由にして、あんたの言い分を受け付けん場合があるかも知れん。

その場合は次の手段として、消費者センターに通告するという方法がある。ただ、消費者センターは行政機関やから、法律違反になっているケースでないと対処できん場合がある。新聞の宅配制度に違反しているというのは、あくまでも新聞業界内だけの問題やさかい、それでは弱いかも知れんな。

それに対しても前回アドバイスした、


ついでやから、『契約者が契約していないと言えば無効ですか?』ということについても触れておく。

答は、「当然無効にできる」や。契約者が関わっていない契約は契約とは認められん。これは契約の大原則でもある。契約者以外の人間が、契約者の意思に反して行った契約は法的にも認められることはない。これについての判例は山ほどある。

新聞販売店の中には、新聞は家に配るからという理由で、その家の住人の誰が世帯主の名前で契約しても一緒やという、わけの分からん論法をかざす輩もいとるようやが、そんなものは法律上も常識的にも通用しない。

契約は契約者の承諾を得て、その契約者に自筆でサインして貰うことでしか成立しない。契約者の意思に反した契約が契約として認められることなどは絶対にないから、それについての争いで負けることなどないと言うとく。


を持ち出して、『契約者直筆サインでなくても契約は契約ですから』と、無茶なことを言われて困っていますと相談されたらええ。当たり前やが、法的に言えば契約者の直筆サインがない契約書など認められんから、それでごり押しして新聞を不法に送り付けるのは明らかに違法になるさかいな。

そう言えば消費者センターの担当者が、そのA新聞の販売店に掛け合うやろうから、それで収まることが考えられる。

中には、新聞販売店の直接の管理組織やないということで、その消費者センターの意向を無視する販売店もあるが、その場合は新聞代の「不払い」 ということで応じればええ。

早い話が、その新聞販売店とは話し合いにならんやろうから、祖父の方から「ワシが契約したわけでもない新聞の代金など支払えん」と言うわけや。正規の契約になってないものについては応じられんと言うてな。これは正当な言い分として通る。

『しまいには、「だったら法的手段取られてはいかがですか」と言われてしまいました』と言うことやが、あんたにできるのは今のところ、消費者センターに相談することと、新聞社に「身に覚えのない契約で困っている」 と祖父の方から強く抗議できるくらいで、法的手段まで講じることはできない、というよりその必要がない。

この場合の法的手段というのは民事訴訟ということになるが、今回のケースでは、あんたの方にまだ損害賠償を請求できるような被害を受けているとは言えんさかい、裁判を起こすことがてきんし、起こしても無駄や。

今回の場合、その裁判を起こすことができるのは、あんたの方が「新聞代は払わない」と言っているのにもかかわらず、A新聞の販売店が強引に配達した場合、その新聞代が回収できない時、その支払い請求として損害賠償訴訟を起こせるくらいや。しかし、例えそうなっても、あんたの方が負ける確率は限りなく少ないと思う。

まずは、J新聞社、その次に消費者センター、そしてA新聞社、それでもだめなら新聞代の支払い拒否をするという順序でええ。新聞代の支払い拒否をするのなら、その旨を内容証明郵便で通告しとくのもええと思う。

ただ、どうされるかは、祖父の方と良く相談されて決められることや。契約者の意思次第やさかいな。ワシからのアドバイスということなら、そういうことや。

この問題は、今後も尾を引く可能性があるから何度でも相談されて来られたらええと言うとく。


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