新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1211 ご見解を求めるわけではありませんが
投稿者 Sさん 投稿日時 2013. 3. 6 PM 2:49
今、A新聞の販売店で営業をしていますが固定給なしで、いわゆるフルコミです。
ネットでは評判の悪いA紙です、私も自宅で購読しながら、私の考えでは脳天気な論に思えることが再々です。
そこで、最近止め押しの読者に感動しました。
その方はA新聞が大嫌いだそうです。しかし、世の中には、こういう考えを持つ論客がいるのだな、と参考になる、、、とのこと。
私は新聞は事実に近い内容を書くべきで、主義主張は避けるべきと考えますが、米国では、はっきりと支持政党を打ち出すそうで、難しい問題です。
この件でハカセのご見解を求めるわけではありませんが、こういう読者がいるのに感動しました。
回答者 ハカセ
『この件でハカセのご見解を求めるわけではありませんが』と言われていますが、念のため私の考えを申し述べておきます。
『その方はA新聞が大嫌いだそうです。しかし、世の中には、こういう考えを持つ論客がいるのだな、と参考になる、、、とのこと』というのは、私も似たようなところがあるので良く分かります。
私は何かの意見や主張をする場合、同じような考えや論調だけを調べて引用するのではなく、なるべく正反対の意見も参考にするように心がけています。
物事は見方を変えると、それが良く見えたり悪く思えたりするものです。視点の違いを知る、養うという点でも、自分とは違う物の見方や意見は参考にするべきだと考えています。
そこに好き嫌いを介在させてはいけません。好き嫌いで物事を判断すると過ちを冒しやすくなります。
それよりも、すべてがアリだと考えることで視野が確実に広がります。世の中には、いろいろな人がおられるものだと分かります。
『私は新聞は事実に近い内容を書くべきで、主義主張は避けるべきと考えます』と言われるのは、まったくもってそのとおりだと私も思います。
もっとも、実際には『事実に近い内容』はともかく、『主義主張』については社説という形で多くの新聞社が論じていることではありますが。
『米国では、はっきりと支持政党を打ち出す』ということですが、日本でも「はっきり」とではなくても、それに近い傾向は多少あります。
大雑把に言うとY紙とS紙が右寄りの保守政党、A紙とM紙が左寄りの革新政党をそれぞれ支持しているものと思われます。これは戦後、特に顕著になっている傾向で、今も引き継がれているようです。
ただ、日本の場合、新聞社は中立、公平という表面的な立場を維持しなければいけないと考えているようですので、あからさまな政党支持の論調はあまり見かけません。これは「新聞の公共性」を意識するためだと思われます。
対して米国の場合は、民主党と共和党という2大政党制が確立されていて、読者がどっちつかずの論調を嫌うというところから、新聞社も『はっきりと支持政党を打ち出す』必要があると考えているのではないでしょうか。
所詮、新聞は一営利企業なわけですから、利益を上げるためには固定の読者を確保したいということを考えれば、米国ではそうならざるを得ないのでしょう。
その点、日本はあいまいな中立性を好む国民性ということもあり、どっちつかずでも新聞社はやっていけると考えているのではないかと思われます。
ただ、新聞社それぞれに置かれた政治的な背景、歴史から、どちらかと言えば右寄り、左寄り気味の論調があるということではないでしょうか。
加えて、最近特に感じることですが、体制側や広告主などに配慮した論調の記事は以前よりも増えているように思います。
特に1、2年前の原発報道は体制側の政府、広告主の電力会社に阿(おもね)った報道が目につましたからね。
それについては、当メルマガ『第182回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■報道のあり方 その2 消された「原発国民投票」CMについて』 を見て貰えれば分かって頂けるのではないかと思います。
日本の新聞、テレビ、雑誌などには「スポンサー・タブー」というのが存在します。それらの媒体では広告収入に依存している割合が高いため、スポンサーから広告収入が得られなければ即座に経営が立ち行かなくなります。
それ故、スポンサーを刺激したくない、逆なでしたくないという気持ちになるのは、一営利企業とすれば無理もないと言えるかも知れません。
さらに言えば、新聞社自身の利益、立場に立った論調も目立ちます。
メルマガの『第243回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞の実像その7……日本新聞協会の軽減税率を求める声明の矛盾とは』 で話したように、新聞社は消費税増税に賛成の立場を示しつつ、新聞には軽減税率を求める声明を発表しています。
つまり、消費税増税には賛成の姿勢を示すから、新聞には税金をかけないようにと要求しているわけです。これなどは交換条件のように思えてなりません。
新聞を公器、万人のための媒体と考えるから、そういった矛盾が鼻につくのであって、一企業の営利目的のために存在していると考えれば、すべてが納得できます。偏向報道もその一環なのだと。
要するに、新聞の存在とは、その程度のものだと思えば、それぞれの新聞社がそれぞれのの利益のために報道しているケースもあるということが理解できるのではないでしょうか。
それを一つの論調と捉えれば、それをどう評価して、どう分析すれば良いのかが見えてくるものと思います。そうすることで、そのような記事、論調がなぜ存在するのかといった書く側の利益、背景が読み解けると考えます。
ネット記事の論調にも同じことが言えますが、今やそこに書かれている記事をそのまま信じる、鵜呑みにするという時代ではなくなったのではないでしょうか。
記事の内容に責任が生じるのは、当然ですが、それ以上に、読者にもその記事を読み解く能力がもとめられている時代だと。
私は、このサイトやメルマガ、および雑誌媒体に新聞業界に関する記事を数多く書いていますので、客観的に判断するためにも好き嫌いに関係なく、また先入観を持たず新聞記事を読むように心がけています。
その意味において新聞は単なる資料の一つだと思っています。またそれ以外、新聞に多くを求めるつもりはありません。
以上が、新聞に対する私の見解、考えです。
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