新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1218 他人が契約するようなことがあるのでしょうか?


投稿者 Yさん  投稿日時 2013. 4. 6 PM 11:10


用事で、二ヶ月ほどアパートを開けていました。帰って来ると、戸口に新聞販売店さんからのメモがはさまっていました。

メモには、「数回来たけれどお留守なので」とあり、集金の項目にマルが入っていて、びっくりしました。

こんな契約をした覚えもないし、長期にいないことがわかっているから、するはずもないからです。部屋の中には、外のポストから新聞が投げ込まれていました。
 
すぐに販売店さんに電話しました。すると、店の人がいうには、男の人が契約したというのです。男の人が販売店にやってきて、うちの住所を書き、わたしと同居しているといって、一ヶ月だけ購読したいと申しこんだというのです。

「クニオ」と名乗っていたが親戚にいないか? と販売店さんがいうので、わたしもいらいらして、きつく言い返しました。そんな名前のひとは聞いたこともない。
 
そこの新聞さんは、昔、とっていたことはありました。が、里での介護が忙しくなり、お断りして数年経ちます。そのことも話しました。

店の説明では、「悪質ないやがらせに違いない。とにかく何回も集金に行き、誰もいないので困っていた。事情がわかり、よかった」ということでした。

販売店は、前にとっていたこともあり、ちゃんとしていると思います。その男の人が店にやってきて、住所やなんか正しく書き、架空の名前まで書いたのだから、お店が騙されたのも無理なく気の毒に思います。
 
わたしは新聞がとても好きです。二紙とっていたこともあるくらいです。文化として新聞には紙のまま残ってほしいです。

このような卑劣なことを新聞を使ってする犯人には、怒りを覚えます。また弱い販売店を苦しめるなど、最低の人間だと思います。とはいうものの、犯人はどの人かわからないです。

こんないやがらせをする例は、他にもあるのでしょうか?

わたしは金銭的な被害者ではないので、警察に行くのも変ですし。しかし、もしも、他の販売店さんもこのような被害にあうのではないかと思うと、今後も留守が多いため、心配です。

ゲンさん、そもそもこのいやがらせの犯人は、なんの罪になるのでしょうか?

お店に対する業務妨害か何かでしょうか?


回答者 ゲン


その販売店の説明では、『悪質ないやがらせに違いない』ということやが、ワシには素直にそうとは思えんがな。

人は良きにつけ悪しきにつけ、何らかの行動を取る場合、その人間にとっての損得や必然性といったものがあるのが普通や。意味のないことをする者は殆どいないと考えておくべきやと思う。

あんたの言われるとおり、『男の人が販売店にやってきて、うちの住所を書き、わたしと同居しているといって、一ヶ月だけ購読したいと申しこんだ』というのが事実やったとした場合、その男にはどんな利益があり、どんな狙いがあったのか。

それを考えてみたい。

まず、その男が、あんたと同居しているから『一ヶ月だけ購読したいと申しこんだ』としても、今回、あんたが『すぐに販売店さんに電話しました』と言われるように、誰でもそんな契約は否定する。

そして、否定されれば、たいていの新聞販売店なら解約に応じるはずや。その契約どおりに新聞が配達されないくらいのことは誰でも分かる。

結果として、あんたが『わたしは金銭的な被害者ではない』と言われるように、契約者への嫌がらせためにしたとは考えにくい。また、その販売店に対しても、実質的な被害と呼べるのは1ヶ月分の新聞代だけやと思われる。

新聞販売店は新聞代の約半分を新聞社へ仕入れ代金として支払うから、実質的な被害は購読料の半分、プラス配達員への1軒あたりの1ヶ月分の配達料500円程度のものや。総額でも2,500円前後の被害といったところかな。

その販売店が『悪質ないやがらせに違いない』と言うワリには被害額は少なすぎる。

この程度の被害額で、その販売店に何らかの打撃を加えられるほどの嫌がらせができると考える者がおるやろうかと思う。

考えられるのは精神的な打撃を与えて喜ぶ愉快犯ということになるが、今回の結果を見ても分かるように、その嫌がらせが外部に知られるほどの事件になることなど考えにくい。

愉快犯は、人が大騒ぎして困る様を見て喜ぶものやが、これでは喜びようがない。どれだけの関係者が困っているか、店が損をしているかなどといった具体的な被害、騒動などが分からんのやさかいな。

果たして、そんな無駄なことをして喜ぶ愉快犯がおるのか。ワシには、どうもそのあたりのところが引っ掛かる。

『悪質な嫌がらせ』にしては『一ヶ月だけ購読したいと申しこんだ』というのは、あまりにも、その販売店に配慮しすぎやないかと思う。

普通、その手のことをするのなら1年契約かそれ以上の長期契約を結び、それ相当のサービス品を要求するもんや。それを貰ってドロンということなら、やる者もそれなりの利益を得られるから納得もできる。詐欺としても十分考えられることではある。

しかし、1ヶ月契約やと大したサービス品など期待できんというのは誰でも想像できるわな。嫌がらせにしても、あまりにもその販売店に配慮しすぎやと言う所以や。

『そもそもこのいやがらせの犯人は、なんの罪になるのでしょうか?』ということやが、これは偽の契約書を作っているわけやから、刑法第159条の「私文書偽造等」の罪に問われる可能性が高い。

この罪で摘発、起訴されれば、3ヶ月以上5年以下の懲役に処するという規定しかない。他の罪にありがちな罰金刑などないということや。

余談やが、業界には「てんぷら(架空契約)」行為というのがある。他人の名前で勧誘員が勝手に契約して契約の報奨金を不当に新聞販売店から得るというものや。これなんかも警察沙汰になれば、刑法第159条の「私文書偽造等」の罪で裁かれることになる。

やっている者は気軽な気持ちなのかも知れんが、考えている以上に重い罪なわけや。もちろん、業界としても禁止行為になっている。

『お店に対する業務妨害か何かでしょうか?』というのも、外部の人間が悪意を持ってやったことなら、『偽計業務妨害罪』に該当する可能性がある。こちらは、3年以下の懲役または50万円以下の罰金という規定がある。

いずれにしても、単なるいたずらでするにはワリに合わん罪やと思う。しかも、この犯人とやらは『男の人が販売店にやってきて』ということやから、その販売店の人間に顔を見られていることになる。

尚かつ、その男は契約書にも直筆で記入しとるわけやから筆跡という証拠も残している。どんなアホでも、ちょっと考えれば我が身に危険が及ぶというくらいのことは分かりそうなもんや。

いくら、いたずらにしても、そうまでして堂々と素顔を晒し、筆跡という証拠を残してまで、そんな真似をするやろうかと思う。

何らかの利益を得られるでもなく、いたずらの結果が確認できるのでもないとなれば尚更や。

ワシには、どうしてもそこらあたりが解せんのやけどな。

ただ、視点を少し変えることで、ワシには、その犯人像が比較的簡単に見えてくるがな。

もちろん、あんたの話でしか情報を得られていないから、確証があるわけやないので、これから言うことは、ワシの単なる推測にすぎんと断った上で話す。

この犯人は、特にあんたや販売店を困らせるためにしているのやなく、それなりに利益を得て自身の立場を守るためにしているものと考えられる。

すばり、その犯人とは、あんたが連絡を取った時、最初に対応した『店の人』の可能性が高いとワシは見ている。もしくは、その人間の良く知っている者の犯行やと。

そして、『販売店にやってきて、うちの住所を書き、わたしと同居しているといって、一ヶ月だけ購読したいと申しこんだ』という男など最初から存在しないと考えた方が、すべての辻褄が合うということも言い添えておく。

新聞販売店の従業員にも勧誘のノルマがあるのが普通や。その成績が悪いと経営者や店長あたりから叱責され具合が悪いと考える者も多い。

その人間が普通に勧誘で契約を取れれば問題ないが、取れない場合、先に言うた「てんぷら(架空契約)」行為に走る者も業界では、さほど珍しくはない。

あんたの言う『店の人』がそうなら、『そこの新聞さんは、昔、とっていたことはありました』というあんたの情報をパソコンのデータから引っ張り出し「てんぷら(架空契約)」として契約書を作った可能性が考えられる。

そう仮定すれば、あんたの住所を書くことなど造作もないさかいな。しかも『クニオ』という架空の名前を使うことで、万が一の場合の逃げ道も作っていたと考えられる。

これが、あんたの名前で作った「てんぷら(架空契約)」の場合は、とことん揉めることになり、その展開次第では『店の人』の立場が悪くなって、その行為が発覚せんとも限らん。

しかし、架空の契約者を登場させ、すべてをその人間の所為にすることで丸く収まった。

事実、あんたは正直で裏のない方のようで、その『店の人』の言うことを、そのまま信用されておられるようやしな。『このような卑劣なことを新聞を使ってする犯人には、怒りを覚えます。また弱い販売店を苦しめるなど、最低の人間だと思います』と共感されて。

ワシらは、この業界に長く、裏の裏まで知り尽くしているということもあるし、性根も尋常やないくらいねじ曲がっとるから、常に人を疑う癖が身に染みついとる。そのため、そんな見方になるのかも知れんがな。

ただ、そうすることで、『店の人』は契約を上げたことになり成績が確保され、それにより某かの報奨金も販売店から得られるのは確かや。

まあ、それに関しては僅かな額やから、本当の狙いは契約を確保することで、経営者や店長たちの叱責を躱したかっただけやと思うがな。

そう考えれば、極力、その販売店のマイナスにはならんようにとの配慮で『一ヶ月だけ購読』にしたというのも頷けるし、あんたからクレームがあった時にも、あっさりと引き下がった理由も分かる。

通常、1ヶ月契約などといったことを思いつくのは業界関係者しかおらんということもある。少なくとも業界外部の人間には、そんな発想は湧かない。

もしかすると、その『店の人』は、あんたが留守がちなのを知って、そうした可能性がある。集金人が何度行っても会えないのを承知で、「ええ加減な契約者」ということにして処理できると考えて。

ワシの『店の人』の自作自演の可能性が高いという理由や。

何度も言うが、それはあくまでもワシの憶測、推論にすぎんから、それを真に受けて、その販売店にクレームをつけられても困るがな。確かな証拠は何もないわけやさかいな。

この件に関しては何事もなく終わっとるさかい、それでええのやないかと思う。今更、ほじくり返しても得られるものは何もないさかいな。

『今後も留守が多いため、心配です』ということやが、その心配をする必要はあまりないのやないかと思う。

その『店の人』の犯行やとしても同じことはせんはずや。ヘタにすれば墓穴を掘りかねんさかいな。

まあ、あんたに関しては、似たようなことがこれから起きる可能性はないに等しいと思うよ。


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