新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.122 引っ越し時の解約について
投稿者 Sさん 投稿日時2005.7. 7 PM4:34
先程、A新聞の勧誘員が来ました。私は引越しをする予定なので必要ナイと言ったのですが、「引っ越すなら、そのときに販売店に連絡すれば、契約を切れるから」と言われ、ビールや洗剤ももらったので、契約してしまいました。
その後、契約書を見ると、「転居後も契約満了まで購読していただきます」と書かれていたので、不安になり、販売店に電話をして勧誘員の話をすると、「契約満了までは解約できません。今から担当のものに確認します」と言われました。
その後、販売店からの連絡ではなく、勧誘員が家にきて、「ちゃんと販売店には引越しの予定があることは伝えてあるから心配しなくていい。急に引越しが決まったと言って」と言われました。
本当に大丈夫なんでしょうか?契約書に書いてあることと、口頭の約束とが食い違っているので心配です。アドバイスよろしくお願いします。
回答者 ゲン
契約書の内容と口頭での約束のどちらが優先されるかと言えば、間違いなく契約書ということになる。
この場合は、あんたがその新聞が必要ないということやったら、クーリング・オフで解約するのが一番ええと思う。
「先程」と言うておられるから、昨日のことやと思う。契約日から8日以内やったら、無条件に解約出来る。
明日にでも、まず、その販売店にその通告をすることや。貰った景品類は返すから、クーリング・オフの解約をしたいと言えばええ。
それで、その販売所と話がつけば問題ない。言うとくけど、契約書を交わした後は、その勧誘員とあんたは関係ないことになる。
契約を交わしとるのは、その販売店とあんたとの間ということになるからな。販売店との直接の話し合いがない限りは、その勧誘員とどんな話をしても無駄や。
もっとも、その勧誘員が、販売店の従業員やと言うのなら、その人間に直接、クーリング・オフを伝えるという手もあるけど、どうも、その人間は信用出来そうにないから、それも無駄かも知れん。
その勧誘員が、店の従業員であれ、拡張員であれ、いずれにしても言うてることは詐欺行為ということになる。
この詐欺行為というのは、あんたに対してのことやない。その販売店に対してや。あんたが、言う通りにしたら、契約はその勧誘員の成績になり、その拡張料が店から支払わられることになる。
あんたに新聞をとる意志がないのに、そうすれば、あんたはその詐欺行為に荷担したことになる。
あんたは騙されただけやと思うやろけど、法律的には詐欺の共犯ということになる。まあ、情状酌量の余地はあるから大した罪にはならんとは思うけどな。
こういう、話をすると、誰でもそんな馬鹿なと思う。しかし、良う考えてほしい。
あんたの『「引っ越すなら、そのときに販売店に連絡すれば、契約を切れるから」と言われ、ビールや洗剤ももらったので、契約してしまいました』と言うのは、どうかと思う。
この勧誘員がこう言うのは、新聞の契約後、実際に、急な引っ越しが必要になった場合、大抵の販売店がその契約の解除を認めるという業界の常識を利用しとるわけや。
因みに、この場合、契約の解除は認められるけど、それで貰うた景品の返還は求められる。それも、当然と言えば、当然やわな。つまり、この勧誘員の言う、丸儲けということにはならんわけや。
あんたは、貰い得やからということで、それに応じることにしたんやろけど、最初からその新聞を取るつもりもないのに、どうして、そのためのサービス品が貰えると思うたのやろか。普通は、そんなことはあり得んことやと考えるもんや。
この不況のせち辛い時代に、ただで物が貰えるようなそんな旨い話はどこにも転がっとらんと思うで。そういう時は、必ず裏があるもんやと考えなあかん。
まして、その話を持ちかけとるのは、あんたの身内でも親友でも、まして、恋人でもない。営利目的のために営業しとる勧誘員や。
しかし、そうは言うても、海千山千の営業員に言葉巧みに言われたら、その場はついそう思うてしまうのも仕方ないし、良うあることや。あんただけを責めるわけにもいかんがな。
話を元に戻すが、クーリング・オフを店側に伝えたら、そこが、普通の販売店なら、それに応じて、あんたが書き込んだ契約書を持参して、その解約に応じるはずや。
その際、その契約書に解約済みと書いて貰い、返した景品の領収のサインを忘れずに貰うたら、それで、何の問題もなく終わる。
それを、何か理由をつけて応じる様子がないとか、日を延び延びにしようという意図が感じられるようやと、文書による通知をせんとあかんということになる。もともと、このクーリング・オフは文書での通知が原則とされとるからな。
内容証明郵便が一番確かやけど、配達証明付きハガキでの通知でもええ。多少は安上がりやしな。このQ&Aでの相談でも何人かの人にそうアドバイスして、それで皆、問題なく解約出来とる。
念のために簡単にその書式を紹介しとく。郵便局の窓口で、配達証明付きと言えばそのようにしてくれる。
通知書 私は、平成○年○月○日に貴社のセールスマンと新聞購読契約 を結びましたが、特定商取引に関する法律第九条の規定に基づき 本書面をもって上記契約を解除致します。 平成○年○月○日 新聞販売所の住所(契約書に記載。多くはゴム印が押してある) ○○新聞販売所 代表者(名前が分かればその名前。分からなくてもいい)殿 差し出し人の住所 氏名 印 |
8日以内というのは、相手に届くまでの日やなく、あんたが郵便局に行ってそれを出すまでの日数や。郵便局で処理して貰うたら、それで終わる。
このハガキが先方に届いたら、その理由は何も言う必要はない。このハガキを出すのは話し合いが無駄やと判断したからやからな。
特に、その勧誘員とは話しても無駄や。おそらく「ちゃんと販売店には引越しの予定があることは伝えてあるから心配しなくていい」と言うのも嘘の可能性が高い。今更、それを確かめるまでもないがな。
第一、引っ越しすると分かとって、景品を渡してまで契約する販売店はどこにもないはずやかからな。少なくとも、ワシはそんな販売店は知らん。
やっぱり、考え直したからと伝えるだけで十分や。クーリング・オフというのはそういう法律やからな。ただ、景品を返すとだけ言うて引き取らせたらええ。その場合も、その領収のサインは貰うことやで。
参考までに『契約書を見ると、「転居後も契約満了まで購読していただきます」と書かれていた』と言うことやけど、いくら契約書にこの一文が明記してあっても、これは無効になる。法律としての拘束力はない。
なぜなら、新聞購読契約というのは、あんたとその販売店との間の契約なわけや。あんたが、どこに転居するのかは知らんが、そこの販売店が、その場所まで配達するというのなら、あんたとの契約も効力がある。
しかし、現実には、それは不可能や。結果的に、同じ新聞の他の販売所からの配達ということになるが、それは、あんたの承諾が必要になる。新たに、そこと購読契約を結ぶ必要があるからな。
あんたが、その新聞を取り続ける意志があるのなら、これも得をする場合もある。新聞の購読契約に対するサービスは地域毎、販売所毎で違うから、最初に契約した店の方がサービスがええという場合があるからな。
良く読者の中には、契約は新聞社と交わしたと思う人が稀におられるけど、新聞社は個人との購読契約は直接関係ないという立場や。あくまでも、客と販売店の間の問題になる。
それは、インターネットで新聞社のサイトに新聞の購読契約を申し込んでも同じや。実際には、その地域の販売所との契約になるからな。
せやから、あんたが、新しい地域で、その新聞購読を断れば、契約が成立せんことになる。つまり、そういう一文は何の拘束力もないということや。
あんたも、今回のことで良う分かったやろけど、いらんものは、いらんとはっきり断らなあかん。また、守れんことを約束しても、何の利益も生むはずがないというのも良う分かったと思う。
何でもそうやけど、契約というものは甘う考えたらあかん。特に旨い話に簡単に乗るようやと、もっと、酷い騙しに遭うかも知れんで。
何度も言うが、世の中に旨い話はないということは分かっときや。