新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1220 先付け契約の解除について


投稿者 キョウイチさん  投稿日時 2013. 4.16 PM 9:34


初めまして、キョウイチと申します。相談させていただきたい事がありましたので、メールさせていただきました。

昨年の11月末、「今年の7月〜12月の6ヶ月」という契約で、新聞の購読契約をしました。

勧誘員の方に、「今、定住している場所もなくて、困ってるんです。ノルマがとれたら、寮とかには入れるんですよ。地方から出てきて、本当に困ってまして…」と言われ、しぶしぶ契約しました。

その際に、引越する予定があるのですがと伝えたのですが、「そのまま黙って引っ越してもらえばいい、いちいち追いかけたりはしないから」と言われました。また、お米を10キロ渡されています。

で、今はその方のおっしゃったとおり、黙って新住所へと引越ししているのですが、「このままでは、旧住所に7月から新聞が配達され、後に入居した人に迷惑がかかってしまうのではないか」と、今更ながら不安になり、解約を申し込もうかと思っています。

色々ネットなどで調べてみると、私と似たケースの質問に対し「黙ったままでOK」「旧住所の販売店に交渉しよう」「配達前なら、契約解除できると思いますよ」「違約金を払って解除しよう」「同じ量の品物を買い直して販売店に送って解除しよう」など、色々な回答があって、どれがベストな方法なのか分からなくなってしまいました。

このまま黙っていた方がいいのでしょうか、それとも何かしらのアクションを起こした方がいいのでしょうか…。


回答者 ゲン


『このままでは、旧住所に7月から新聞が配達され、後に入居した人に迷惑がかかってしまうのではないか』というのは、確かにそのままでは新聞が配達される可能性が高いから、その点では、あんたの言われるとおり『後に入居した人』に迷惑がかかるやろうと思う。

しかし、『後に入居した人』は、新聞を契約したわけやないから、その新聞販売店に対してクレームをつけるはずや。「契約などしていないので新聞を配達しないでくれ」と。

そう言われれば、本来の契約者である、あんたがすでに引っ越したことが、その新聞販売店にも分かるから、それ以降の新聞の配達はなくなるはずや。

当たり前やが、『後に入居した人』は、その新聞の投函を拒否できるし、新聞代を支払う義務もないさかいな。たいていは、その新聞販売店が泣いて終わる。そういうケースは、このQ&Aにも多い。

せやから、『後に入居した人』には、その煩わしさやゴタゴタに巻き込まれるという意味での迷惑はかかるやろうが、金銭的な被害という点では何もないのやないかと思う。

しかし、その新聞販売店にとっては迷惑どころの話ではないわな。

その勧誘員には契約報酬を支払っているやろうし、あんたにも『米を10キロ』を渡しているから、その分の損害を被ることになる。

当然のことながら、その勧誘員は、あんたに対して『そのまま黙って引っ越してもらえばいい、いちいち追いかけたりはしないから』と話したことなど、その販売店に言うはずもなく、それどころか「黙って引っ越しするとは、いい加減な契約者だ」と、あんたを悪者にするはずや。

それについては大半の新聞販売店は泣き寝入りするやろうと思う。

あんたの引っ越し先でも分かれば中には追いかける販売店があるかも知れんが、それにしても引っ越し先次第では、交通費などの関係で費用対効果を考えた場合ワリに合わんさかい、あきらめるケースが殆どやと考える。

ただ、そんな真似をするような勧誘員は他でも同じことを繰り返しているのが普通やから、いつかはその悪事が発覚する時が必ずくるやろうと思う。

今回のことが発覚して警察に告発されれば、その勧誘員には詐欺罪が適用されるものと考えられる。あんたは、その共犯者ということになる可能性が高い。

その勧誘員は、あんたが『引越する予定がある』と言っているわけやから、契約が履行されないことは分かっていたはずや。それを承知で、あんたから契約を取ったということは、その契約で得られる報酬を騙し取る目的で、そうしたのは、まず間違いないものと考えられる。

あんたも引っ越しすることが分かっていて、その契約を履行するつもりもないのに『米を10キロ』を受け取っているわけやから、その勧誘員に荷担したと見なされる可能性がある。共犯者になる可能性が高いというのは、そのためや。

犯罪云々以前に、常識的にも嘘の契約をすることにより、物が貰えて得をすると考えるのはおかしいわな。それに気づかなあかんかったと思う。

これは、刑法246条の詐欺罪、『人を欺いて財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりする行為、または他人にこれを得させる行為を内容とする犯罪』に該当すると見なされる。

『犯罪をおこなったものは10年以下の懲役に処され、犯罪によって得たものは没収(19条)または追徴(20条)される』と規定されている。軽い罪やない。

もっとも、あんたの場合は、それと知らず唆(そそのか)されたということで情状酌量の余地はあるやろうがな。ただ、例え知らずにやった、やらされたとしても罪自体は成立する。法律とはそうしたもんや。知らん者が悪いとされるだけやさかいな。

大半の新聞販売店はあきらめるとは言うたが、中には警察署に告発するケースもあると聞く。多くは、その勧誘員に対してやが、あんたに、その矛先が向かんとも限らん。

過去、それで新聞の購読契約者が咎められたという事案はないが、その事件を扱う警察署次第では何とも言えん部分がある。たった50円の物を騙し取ったとして詐欺罪に問われたケースもあるさかいな。厳密に言えば、あんたの行為は十分に罪に問える事案になり得るということや。

あんたが『今更ながら不安になり、解約を申し込もうかと思っています』と言われているのも他人に迷惑がかかるというのもあるやろうが、ご自身の後ろめたい気持ちがあってのことやないかと思う。

『色々ネットなどで調べてみると』というのは大手ポータルサイトで行われているQ&Aサイトの類やと思うが、事、新聞関係事案においては、すべてとは言わんが的外れな回答が多いと言うとく。

まあ、大半の回答者の方は素人さんのようやから無理もないがな。もっとも、業界関係者の方でも新聞関連の詳しい法律を分かっていない方もおられるさかい、専門家であっても見当外れな回答をする人もいとるようやけどな。

もっとも、法律の専門家と言われる弁護士の方でも、新聞事案に詳しくない場合も多く、ワシらに問い合わせて来られることもあるがな。

中には、このQ&Aの記述を、そのまま証拠として裁判所に提出したいという要望まであり、実際にそうされたケースもある。それにより、裁判に勝訴したと感謝されたこともある。

これは何も自慢しとるわけやない。「餅は餅屋」という諺にもあるとおり、誰であってもその道の専門家に聞かな分からん事もあるということや。

言うて悪いが、大手ポータルサイトで行われているQ&Aサイトの回答者の方には、そのあたりのところが欠落されておられるように思う。その回答をすることにより、某かのポイントを得られるということで無理に答えておられるのかも知れんがな。

何度も言うが、すべての人がそうやと言うてるわけやない。中には、素晴らしい回答をされる方もおられるとは思う。ワシらが目にしたことがないだけの話でな。

そのワシらの視点からは、『私と似たケースの質問に対し「黙ったままでOK」「旧住所の販売店に交渉しよう」「配達前なら、契約解除できると思いますよ」「違約金を払って解除しよう」「同じ量の品物を買い直して販売店に送って解除しよう」など、色々な回答があって、どれがベストな方法なのか分からなくなってしまいました』という回答の中のいずれにもベストな方法などないと言うしかない。

方法論、選択肢として、それもアリかなというのはあるがな。

これから、一つずつその理由を説明する。

「黙ったままでOK」というのは、『いちいち追いかけたりはしない』新聞販売店なら、それでもええと思うが、そうでない場合は、先に言うたように、僅かながら詐欺罪でその勧誘員共々、あんたも警察署に告発される可能性があるさかい、安全な方法とは言えん。

『いちいち追いかけたりはしないから』安全やということは、裏を返せば、追いかけられたら危険やという意味にもなるさかいな。

大半は泣き寝入りする販売店が多いのは確かやが、中には金銭の問題やなく、騙されたことに対する怒りだけで、意地になってとことん追いかける人間もおる。その人間の性質、考え方次第で違うてくるということやな。

「旧住所の販売店に交渉しよう」というのは一見もっともそうな回答やが、あんたの場合は『交渉』する必要はない。あんたの場合、『旧住所の販売店』に、引っ越しした事実を伝えれば、契約自体が自然に解除されるからや。

新聞販売店には宅配制度というものがあり、同一の地域での同じ新聞の販売店は一店舗のみと決められている。そのため、新聞販売店にはそれぞれ営業エリアが決められていて、その範囲内での営業活動(新聞配達を含む)しか認められていない。

新聞購読契約というのは、顧客はその新聞代の支払いの義務を負い、販売店は遅滞なく新聞を配達する責務を負うものと決められている。

ところが、その顧客が、その販売店の営業エリア外に引っ越せば、事実上、販売店はその義務が果たせんようになる。宅配制度により新聞の配達ができんようになるわけやさかいな。

つまり、債務不履行になるということを意味するわけや。債務不履行になった契約は解除せざるを得ないという理屈になる。

「配達前なら、契約解除できると思いますよ」というのも配達前やなく、引っ越しした瞬間にその契約は不履行を余儀なくされるから『解除できる』ではなく『解除になる』でええ。

ただ、配達前までに引っ越ししたことを、以前の販売店に伝え、その契約を解除しておくことには、それなりに意味があると言える。

現時点では、まだ『今年の7月〜12月の6ヶ月』契約は履行されていない。その契約が履行される前までに引っ越しした事を、その販売店に伝え、貰った『米10キロ』を返せば何事もなく終わるものと考える。

そうしておけば、万が一、その勧誘員の悪事がバレたとしても、あんたが罪に問われる可能性は低いということや。意味があるというのは、そういうことやと解して欲しい。

「違約金を払って解除しよう」というのは論外な回答や。そもそも引っ越しすること自体には双方に責任のある話やない。単に宅配制度上、その契約の続行ができんというだけのことやさかいな。

違約金というのは、契約者が自己都合による解約を希望する際、ペナルティとして発生するものや。不可抗力、および責任のない契約解除に違約金などというものは発生しない。

新聞購読契約で違約金が発生しないケースには、クーリング・オフの期間中、不法行為による契約、そして引っ越しによる契約の解除がある。それら以外では違約金の発生する可能性は高いがな。

「同じ量の品物を買い直して販売店に送って解除しよう」というのも、必ずしもそうする必要はない。そうすることもできるという一つの方法論にすぎん。

貰った『米10キロ』がそのまま残っていれば、それをそのまま返せばええ。万が一、食べたか、なくしたかして手元にない場合は、その販売店と相談して金銭に換算して支払うのでも構わない。もちろん、まったく同じ『米10キロ』の商品を買って返すのでもええということや。

ワシが、それらの回答の中には『いずれにもベストな方法などない』というのは、そういうことや。

それならば、あんたの場合、どうすることがベストなのか。ワシの考える正解を言う。

今からでも遅くはないから、以前の販売店に引っ越しした事実を伝えることや。

「引っ越しましたので、契約は解除します」でええ。そして、「貰った『米10キロ』はお返しします」と言って、その販売店と相談の上で郵送すれば終わる。

この時、その勧誘員に唆(そそのか)されたというようなことは言わん方が無難や。嘘をつけというのやないが、言うても益にならんことは言わん方がええと思う。

実際、それを正直に言うたことでトラブルに見舞われた人もおられるさかいな。

あんたが、正直にそう言うても、その勧誘員の悪事が発覚していない段階なら、同然のようにその勧誘員はあんたの言葉を必死で否定する。そうせな我が身が危ないからな。

また、他でもその勧誘員の悪事がバレていた場合、その販売店が「お宅は引っ越しを承知で契約に応じたのか」と責めることも考えられる。その弱みのため、望まない新聞を新たな引っ越し先で購読させられることにならんとも限らん。

もちろん、法的には貰った物を返した段階で、あんたに累が及ぶ可能性は殆どないわけやが、人は引け目を感じると、なかなか割り切った考え方ができんようになる。その弱さにつけ込まれる可能性がある。

その勧誘員に唆(そそのか)されたという事実さえ伝えていなければ、「そんなことはありませんよ」と言って、とぼけることも可能やと思う。

もっとも、そんな曲がったことができないと言われるのなら、正直にすべてを話され、「やはり、こういうことをしていてはいけないと思い、ご連絡しました」でもええがな。

どうされるかは、あんた次第や。良う考えて決められたらええ。

最後に一言。

どんなアドバイスであっても参考にするのは構わんが、盲信するのは避けた方がええと言うとく。ネットのアドバイスもワシらのアドバイスも、それは同じやと。

得られる情報を吟味、租借して、あんたなりの結論を出されることや。その意味でのアドバイスを望まれるのであればいつでも相談されたらええと思う。


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