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NO.1227 乙武洋匡氏のツイート上での発言問題について


投稿者 Tさん  投稿日時 2013. 5.25 AM 4:47


乙武洋匡氏が車イスを理由にレストランに入店拒否された事件がインターネット上で物議を醸しだしています。しかも氏は名指しで店名を公表しています。

この出来事について、ゲンさんとハカセの見解を教えて下さい。


回答者 ゲン


『この出来事について、ゲンさんとハカセの見解を教えて下さい』ということやから、個人的な意見、感想として質問に答える。

あんたが言われる『乙武洋匡氏が車イスを理由にレストランに入店拒否された事件』というのは、下記の事やと思う。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130520-00000389-bengocom-soci より引用


乙武さんの「銀座の屈辱」で議論沸騰 「車いす」を理由に入店拒否できるか?


 公共空間の一つである飲食店には、障害者を含めたすべての人が過ごしやすい環境が求められている。『五体不満足』などの著作で知られる作家の乙武洋匡さんが、東京・銀座の飲食店に予約して出向いたところ、車いすでの入店を断られたことをツイッターで明かし、議論を呼んでいる。

 乙武さんのツイートによれば、予約していたイタリア料理店に「車いすだからと入店拒否された」とのこと。エレベーターが止まらない階に店舗があるため、店員に下まで降りてきて抱えてもらえないかと頼んだが、断られてしまったそうだ。

 ツイッターで61万人のフォロワーをもつ乙武さんが、この出来事について「銀座での屈辱」とツイートすると、ネットユーザーが店を一斉に批判。店主がツイッターで謝罪する事態となった。

 店主はツイッターやホームページで、当日の状況や店の形状など、対応できなかった事情を釈明するとともに、今後は「車椅子の方は事前にご連絡ください」という但し書きを、店の情報を告知している各媒体に掲載する方針を明らかにした。

 一方で、ツイッターで店の名前を出して批判した乙武さんに対して、「弱者を気取った強者による横暴だ」と非難する声もあがっている。

 たしかに、公共空間の一つである飲食店には、障害者を含めたすべての人が過ごしやすい環境が求められているといえるだろう。だが、すぐには対応できない事情がある店舗もあるはずだ。

 では、今回のケースのように、車いすでの入店を断ることは、なんらかの権利侵害にあたるのだろうか。また、「車いすの客はお断り」などの掲示をしておけば、入店を拒否できるのだろうか。秋山直人弁護士に聞いた。

●障害者基本法は「障害を理由とした差別」を禁じている

「憲法14条は、法の下の平等をうたっており、障害者基本法4条は、『何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない』と規定しています」

秋山弁護士はまず、憲法と障害者基本法に言及して、障害者に対する差別が禁じられていることを示す。では、障害者を不当に扱うと、ただちに違法になってしまうのだろうか。

「憲法14条は、今回のような民間の問題に直接適用されるものではなく、障害者基本法4条も、多分に理念的な規定ではあります。ただ、これらの規定の趣旨に照らし、民間の問題であっても、障害を有することを理由とした不合理な差別を行えば、人格権を侵害する不法行為(民法709条)として、損害賠償義務を生じさせることがあり得ます」

「障害を有することを理由とした不合理な差別」とは、具体的にどんな場合が考えられるだろうか。

「たとえば、店内のスペースの広さなどから、物理的には車いすの客でも十分に利用可能であるにもかかわらず、『車いすの客はお断り』といった掲示を出して、車いすであることを理由に一律に入店を拒否するようなケースが考えられます。そのような場合には不法行為として、損害賠償を請求される可能性があるといえるでしょう」

●店側の言い分にはそれなりの「合理性」がある

では、今回の乙武さんの「入店拒否」は、そのような「不合理な差別」にあたるのだろうか。

「今回のケースでは、店側は障害者であることを理由に一律に入店拒否をしているわけではなく、事前に車椅子であることを連絡してもらえれば対応するが、事前に連絡してもらえないと物理的に対応が困難である、と言っているようです。そうすると、店側の言い分にはそれなりの合理性があるものといえ、障害を有することを理由とした不合理な差別とまでは言いにくいように思います」

このように秋山弁護士は分析している。また、乙武さんの主張についても、次のように冷静な見方を示している。

「乙武氏も、店の対応が違法と言っているわけではなく、店側の接客業としての対応や言い方を主に問題にしているように見受けられます」

ネットユーザーを紛糾させた今回の事件だが、障害者に対するサービスはどのようにあるべきかを、改めて考える機会としたいものである。


正直、ワシはこの記事のようなことがあったというのは知らんかった。ハカセは日々ネット記事をいろいろチェックしとるということもあり知っていたようやがな。

記事では、「憲法14条は、法の下の平等をうたっており、障害者基本法4条は、『何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない』と規定しています」と弁護士が言うておられるが、法律云々の問題やなく、障害者の方を差別したらあかんというのは当たり前のことや。

もし、本当に差別意識があって入店を断ったというのなら問題やが、今時、客商売をしていて、そんな考えの店の経営者がいとるのやろうかと思う。

この記事に関連ありそうなことを調べているうちに、どうも、これはお互いの勘違い、誤解、および言葉足らずによるものではないのかと考えるに至った。

ワシは乙武氏のことは常々凄い人やと思うてた。両手、両足をなくされていながら、あれだけ明るく前向きに生きておられ、多くの人に勇気と希望をもたらしている姿は敬服に値すると。人としてもできたお方やとテレビ画面を通して、そう見ていた。

ワシは、何かの評価をする際、好き嫌いに関係なく、是々非々で判断するよう心がけているつもりや。どんなに尊敬する人でも悪いと思うことは悪いとし、どんなに軽蔑していても良いと思える行いは素直に評価しようと。

それからすると『ツイッターで店の名前を出して批判した』という乙武氏の行為は残念ながら褒められた行為ではないと言うしかない。するべきことやなかったと思う。

乙武氏は知名度が高く、『ツイッターで61万人のフォロワーをもつ』ということでもあり、その発言は社会的な影響力が強い。それを自覚して欲しかった。

その点で言えば、障害を抱えた弱者というより、強者に近い。その店の経営者より、はるかに乙武氏の発言力の方が強いわけやさかいな。

『予約していたイタリア料理店に「車いすだからと入店拒否された」』上に、その対応、および、かけられた言葉に我慢できず、怒りに任せてツイッターで思わず、つぶやいてしまったようや。

人間である限り、我慢できんことや許せん一言に怒るというのは誰にでもある。障害者故の苦悩があり、健常者に及びもつかん思いがあるというのも理解できる。健常者の何気ない一言で傷つくこともあるやろうと思う。

しかし、有名人で、その発言に社会的な影響力が強いということを自覚していれば、どんなことがあろうと、相手を名指しで批判するべきやなかったと思う。

せめて「あるイタリア料理店で、こんなことがあった」とだけしていれば、これほどの騒ぎにはならんかったはずや。怒りで思わず我を忘れてしもうたのかも知れんが、配慮が足らんかったと言われても仕方がない。

結果、『ネットユーザーが店を一斉に批判』という事態になったという。名指しされた店は信用という面で言えばガタ落ちやわな。これは客商売をしている者にとっては痛いし、辛い。ヘタをすれば店が閉鎖に追い込まれることすらあり得るさかいな。

この程度と言えば語弊があるかも知れんが、この店が、この件でそこまでの社会的な制裁を受けなあかんほどの落ち度を冒したとは、ワシには思えんがな。

この記事では、『エレベーターが止まらない階に店舗があるため、店員に下まで降りてきて抱えてもらえないかと頼んだが、断られてしまったそうだ』ということやが、状況を聞く限り、それは仕方なかった面もあると思う。

当時この店では満席状態で、スタッフは調理人の店長と接客係の店員の二人しかおらんかったと店側が説明している。もっとも、予約していて満席状態やったというのは、どうなのかとは思うがな。

ただ、忙しさのあまり他に時間が割けない状態にあったのだけは間違いなかったようや。

おそらく、乙武氏はそうとは知らず『店員に下まで降りてきて抱えてもらえないかと頼んだ』のやろうが、店側にそうする余裕がなかったのは容易に想像できるし、理解できる。

これは『障害を有することを理由とした不合理な差別』でも何でもなく、単に物理的に無理な状況やっただけやと思う。同じような状況に置かれている店であれば大半が同じように断っていたのやないかという気がする。

人は同時に幾つものことはできん。特に時間に追われ一杯一杯の状態であれば、尚更や。今現在のなすべき事、仕事をこなそうとするだけで手一杯やったはずやからな。

これが大きなレストランでスタッフに余裕のある店であれば、また違ったかも知れん。乙武氏は有名やから、そうすることでレストランの評判が上がるから、その申し出に応じる可能性も高い。

そういった人的にも余裕のある大きなレストランが同じような対応をして障害者という理由で入店を拒否したというのであれば批判されても仕方ないやろうが、たった二人だけでやっている余裕のない当該の店を責めるのは酷やないかと思う。

乙武氏は普段、障害者に対して良心的に対応するレストランに出入りされておられるのやろうと推察する。それ故、断られたことに対して違和感を覚え、『障害を有することを理由とした不合理な差別』と誤解されたのやないかと思う。

それほど余裕のない店とは知らずに。

また、乙武氏のツイッターには、


お店はビルの2階。エレベーターはあるが、2階には止まらない仕組みだという。「それはホームページにも書いてあるんだけどね」――ぶっきらぼうに言う店主。

「ちょっと下まで降りてきて、抱えていただくことは…」「忙しいから無理」「……」「これがうちのスタイルなんでね」以上、銀座での屈辱。


とある。

おそらく乙武氏は『ぶっきらぼうに言う店主』に怒りを覚えたのやろう。差別され侮辱されたと。

もっとも、後日、店主はその発言を否定しているから、それが事実やったのかどうかは分からんがな。

ただ、乙武氏には、そう聞こえ、そう感じたということのようや。だからこそ怒ってそうつぶやいたのやと思う。

揉め事、諍いの原因というのは、ちょっとした言葉の行き違いがあったからというのが多い。「その言い方が悪い」、「その態度が悪い」といったレベルの問題や。

今回の問題も、その程度のことやないかと推察する。

その程度でも人によれば看過できん重大事と捉える人もいる。許せんと怒る人もおる。何度も言うが、例えそうであっても相手を名指しで批判するべきやなかったと思う。

その点についてはハカセが説明すると言うてたから、ワシからはここまでにする。


回答者 ハカセ


『ゲンさんとハカセの見解を教えて下さい』ということですので、私からも一言、言わせて頂きます。

私もゲンさんと同じく、どんなに気に入らないことがあったとしてもネット上で相手の名前を晒すべきではなかったと考えます。

ブログやツイッターが炎上して大きな騒ぎになる原因の大半は不用意な発言と名指しでの批判にあります。

今や有名人のブログやツイッター上での発言は新聞記事以上の影響力を及ぼすことも珍しくありません。この問題も、その一つでしょう。

私は、その事についてはサイトを開設する9年以上も前から自覚していましたので、公人と言われる人以外では名指しで批判することは極力避けてきました。

私も人間ですから、理不尽な仕打ちに対しては怒ることがあります。それらの事を読者に実名を晒して問いたい、分かって欲しいという事案も数多くありました。

その場合は、そういった内容の事実があるとだけ訴えるようにしてきました。その相手が特定されるように記述は避けて。それが自らに課した私たちのルールだからでもあります。

それは読者からの投稿でも同じです。名指しで批判をされて来られても、その事例の紹介のみに止めるようにしています。

怒りを覚える人は、自身の怒りに正義があると考えるのが普通です。相手が悪いから怒るのだと。しかし、そういった人たちでも冷静になって考えれば、そうではない場合もあると気づくことがあります。自身にも非があったと。

今回の乙武氏の問題を冷静になって客観的に見ると、『エレベーターが止まらない階に店舗があるため、店員に下まで降りてきて抱えてもらえないかと頼んだが、断られてしまった』というのは、『人の善意を期待して拒否された』ことになります。

そうであれば、私ならあきらめます。この店は、こういった対応をするのだと考えて、その思いを自身の気持ちの中だけに止めます。

そして、二度とその店には行きません。そういうところで、どんなに美味いと言われる料理を食べても美味いとは感じないと思いますので。

ただ今回のケースは軽率な発信だったと思う反面、ブログやツイッターには、常にそうした危険な要因が潜んでいるのは前々から感じていましたので、またやってしまったのかというのが正直な気持ちでした。

手軽で便利な媒体ですが、落とし穴も大きいと。誰もが陥りやすいことだと。

私もネットで発信している人間だから分かるのですが、ブログやツイッターに掲載する記事で衆目を集められるような事案や事件が、そうそう都合良く起きることなどありません。

ブログやツイッターというのは日々発信しなければならないと考えすぎるあまり、ネタに困るような事が起こりやすいのではないかと思います。

私のように多くの読者からの情報に支えられていれば別ですが、そんなケースは希でしょう。

そのため、今回のような怒りを覚える出来事に遭遇した場合、その発信の安易さ、気軽さも手伝って、つい「つぶやいてしまう」のではないでしょうか。

結果として、その場の勢いで相手の店を名指しで批判してしまったと。そうすることで社会的制裁、ダメージを加えることにつながるわけですが、そのときには、そこまでのことは考えていなかったのではないでしょうか。

何でもそうですが、事が大きくなって初めて気づくということはよくあります。

それでは遅い場合も多々ありますが、起きてしまったことは仕方ありません。乙武氏も、それについては十分承知されたでしょうから、次からは気をつけられるはずだと思います。

「軽率だった。自分でも、冷静さを欠いた行為 だったと思う」と5月21日の自身のブログで騒動を謝罪されていますし、同じように名指しされたレストランの店主も「お気分をがいされたと思いますが申し訳ありませんでした。もし次回タイミングが合いましたら是非宜しくお願いいたします」と謝っておられます。

当事者同士は、すでにお互い謝罪され受け入れられているのですから、これはこれで一件落着になったとしてもよろしいのではないかと思います。

そして、この出来事の教訓として、多くのブログやツイッターの発信者、ネットユーザーに、そのことが浸透するのであれば、あながち無駄なことではなかったのではないかと考えます。迂闊な発信をすると大変な問題に発展することになるかも知れないという良い見本として。

幸い、私の調べた限りでは名指しされたお店は、それほど酷くは批判の対象になっていないようですし、好意的に捉えられている人もおられるようですから、その点では救われているのではないかと思います。大きな打撃を受けずに済んでいると。

それではこういったケースをなくすには、どうすれば良いのでしょうか。

私の場合は名指しでの批判を避けるだけではなく、書き上げた記事を最低1日は寝かしてから推敲するようにしています。

書き上げてすぐ掲載すると、通常では考えられないようなポカや不適切な言葉を使ってしまうことがあるためです。これはこれで、名指しの批判以上の失言、失態につながることがあります。

それに、記事を寝かしていれば、その間に、記事を発信した場合の反響についても予想することが可能になります。それにより、「この表現はまずい」、「これは書かない方が良い」と自重して削除することも多々ありました。また、言葉足らずだと感じれば補足することも可能になります。

お陰で、サイトを開設してから約9年もの間、掲載した記事に対して今のところ、どこからもクレームが寄せられず、大きな騒ぎになっていないのは、そのためだと思っています。

ネット上で多くの人に読まれる記事を書く限りは、やはり細心の注意を払うことが発信者の努めだと、私は考えます。

ブログやツイッターの場合は、日々の短い間隔での発信が多いということもあり、そうするのは難しい面もあるでしょうが、不適切な発言があった場合、それを理由にできない以上、やはりそれぞれが徹底した注意を払うしかないと思います。

たった一言の失言で今までの実績や名声、信用、人格すら否定されかねませんので。ブログやツイッター、SNSおよびHP上での発信は、そういう危険を常に内包しているのだ自覚しておく必要があるということです。

言葉は使い方、用い方次第で、人のためにもなり、人を傷つける毒にもなります。そして、それは相手に向けてだけではなく、自分自身への薬にもなり毒にもなって帰ってくるのです。

私自身、今回のことでそれを再認識しました。


読者意見 良い(要求する)サービスを受けるために、お客様が為すべきことは?

投稿者 町工場のホームドクター・中小企業診断士トミさん  投稿日時 2013. 5.30 AM 8:55


ひとことで言えば、お店にとって良いお客様になることです。

件の話であれば、車いすで入店するならば、人手がかかることは、容易に推測できるわけです。

そうであるなら、お店の最も混む時間帯を避けることや自身を介助するスタッフを連れていくなど、お客様の側で対応できること、店側の負担を軽減できることがあるはずです。

自分で出来ることを考えもせずに、相手に責任を押し付けるのはいかがかと思います。

言いかえると、「お店のルール(私はプロトコルと言いますけど)に従うことです。」

ファーストフード店で、配ぜんや後片付けは期待してはいけません。(テーブルに置きっぱなしで、片付けないお客様いるけどね。)それをしてもらうだけの価格設定になっていないからです。

この辺の飲食店とサービスに関するお話について、外食コンサルタントのサカキシンイチロウ先生が、ほぼ日刊イトイ新聞で掲載している、木曜日更新のコラム「おいしい店とのつきあい方」が面白いです。

このコラムを読むと、お店に対して無茶なことが要求できなくなります。でもそれこそが、お店にとって良いお客様になることの一番大事なことです。


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