新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1229 クーリング・オフの内容証明を出すことに躊躇(ためら)っています


投稿者 ユウミ  投稿日時 2013. 6. 8 PM 7:06


はじめまして。私は、この春大学生になりましたユウミと申します。

今地元を離れ県外で一人暮らしをしています。

新聞購読の解約について相談させていただきたく投稿させていただきました。

今日、インターホンが鳴り、配達か何かだと思い出てみたところY新聞の訪問販売でした。出てすぐに某野球チームの話をされ、Tシャツやタオル、洗剤等を渡されました。

恥ずかしながらその時点で新聞購読の勧誘だと気づけず、渡されたのちにY新聞の購読契約だと気づきました。

しかし、いろいろ手渡されたのちにいりません、結構ですと断る勇気もなく、またほかの新入生も契約してくれている、就活で役立つということを言われ、来年の4月からの半年で契約をしてしまいました。

その方の話によると後で契約確認のために別の方がもう一度家に伺うということでした。

いったん部屋に戻ってから、すぐに反省しました。すべては私の軽率な行動のせいでこのような契約を結んでしまったのですが新聞はめったに読まないのに、月3000円は両親の援助を得て一人暮らしをしている私にとっては無駄になってしまうと思い、もう一度来られた時に解約を申し出ることにし、実際別の方が来られた際に解約させてほしいと口頭で伝え、もらった粗品すべてを返しました。

私が持っていた契約控えはその方に渡し、その方は私の控えを破りこれで解約だとおっしゃいました。

契約書は最初にきた方に知らせ見せたうえで破棄するとのことでしたが正直少し不安です。

クーリングオフは口頭では成立しないというのを聞いた覚えがあります。販売に来た方を信用できないわけじゃないのですが契約は来年からとしているのでもし忘れたころに新聞が配達されてきて、解約したということを否定された場合、半年間購読することになってしまいますよね。

そのことを考えるとやはり文面で正式に解約通知を出すべきでしょうか。

内容証明で送ったほうがいいという記事が多くありましたが販売店は本当に近所にあり、また、そこの代表者さんが私の通う大学のOBさんのようなので内容証明で送るということに少し躊躇いもあるのですがどうしたらよいでしょうか。


回答者 ゲン


『私が持っていた契約控えはその方に渡し、その方は私の控えを破りこれで解約だとおっしゃいました』というのは、それで解約になったと解してもええが、客の契約書の控えを破るような真似をする相手に対して、どこまで信用してええのかは疑問符がつくがな。

普通は、そんなことはしない。破く必要と理由がない。当たり前やが、契約が無効になった契約書の控えを契約者が持っていても悪用できるわけでもないさかい、その販売店が困ることはまずない。

後から来たその販売店の人間は何も考えずにそうしたのか、あるいは破くことで客を安心させる目的があったのかは分からんが、結果として『正直少し不安です』と客であるあんたに疑念を抱かせた分、その行為は失敗したと言える。

『契約は来年からとしているのでもし忘れたころに新聞が配達されてきて、解約したということを否定された場合、半年間購読することになってしまいますよね』と邪知されても仕方ない。

口頭だけの契約解除には、そういった懸念を持たれる方が多い。『NO.959 口頭でのクーリング・オフは大丈夫でしょうか?』でも、そう考えられた人がおられた。

そのケースでは『同じ日の午後9:00にふたたび販売員が自宅にやってきて洗剤をもってきました。クーリング・オフしたいことをつたえると激怒し契約書を私からひったくり「もう二度とするなよ」と言って、私からひったくった契約書をくしゃくしゃにし去っていきました』と酷い対応をされたということやった。

そのときも、あんたと同じように『本当に解約されているか不安です』と、心配されていた。

ワシはその際の回答で、


『クーリング・オフしたいことをつたえると激怒し契約書を私からひったくり「もう二度とするなよ」と言って、私からひったくった契約書をくしゃくしゃにし去っていきました』というのは、とんでもない販売店の人間やが、契約の解除という点なら、ほぼ間違いなくその処理が行われとるはずやと思う。

そんな態度の人間やから、『本当に解約されているか不安です』と言われる気持ちは分かるが、少なくとも後でその事をひっくり返すような悪質性はないという気がする。

本当に悪質な人間なら、そんな場合は却って、穏やかに接してくるケースの方が高い。

あんたが『クーリング・オフしたい』と言った場合、「そうですか。そのことは店に伝えておきますので、取り敢えず、この洗剤は受け取っておいてください。私の仕事ですので」といった感じで、その場を何とかごまかして帰っていたはずや。

そうしておけば、形の上では、その時点での契約が成立したことになるさかいな。

そして、あんたの『クーリング・オフしたい』と言った言葉を黙殺して、そのクーリング・オフの期限が過ぎるのを、ただひたすら待つわけや。


と言うたが、あんたの場合も契約解除の処理が為されている可能性の方が高いとは思う。

但し、絶対とは言い切れんがな。タチの悪い販売店なら、そのクーリング・オフの期限が過ぎると、とたんに掌を返して「解約するとは聞いていない」と開き直るケースも皆無やないさかいな。実際、その手のトラブルも幾つかある。

ワシは、今回のようなケースの相談があった場合は、その契約書の控えに「解約済み」と書いて貰うようにとアドバイスしとる。それが証拠として残るさかいな。そして、ここに相談された方で、そうアドバイスした方のすべてがそうして事なきを得ている。

その「解約済み」との書き込みは後からでも可能やさかい、その契約書は残しておくべきやったと思う。

ただ、今となっては仕方ないので、最悪の場合を想定して次善の策を考えておいた方がええやろうな。

普通は『もらった粗品すべてを返しました』という時点で、その契約は解除になったと解してええのやが、万が一の場合を考えるのなら、『文面で正式に解約通知』を出しておいた方が無難やと思う。

つまり、クーリング・オフをするということやな。

『内容証明で送ったほうがいいという記事が多くありました』というのは、クーリング・オフは法律で「文書での通知をすること」と決められとるさかい、その方法以外ではクーリング・オフを行使したことにはならん。

今回も場合も、例えそれで解約になっていたとしても、それはあくまでもその販売店との話し合いによる「合意契約解除」でしかないわけや。

その「文書での通知をすること」というのは、一般的には内容証明郵便を出すことを意味する。

クーリング・オフについての詳しい説明は、サイトの『ゲンさんのお役立ち情報 その8 クーリング・オフについての情報』というのがあるので、それを見て貰えば分かって頂けるものと思う。

『販売店は本当に近所にあり、また、そこの代表者さんが私の通う大学のOBさんのようなので内容証明で送るということに少し躊躇いもあるのですがどうしたらよいでしょうか』というのは、後から何らかの圧力をかけられるといったようなことを心配されておられるのやしたら、それはないと言うとく。それはできんと。

そもそもクーリング・オフをした客へは、特定商取引法第6条第3項で、


販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。


と規定されている。簡単に言うと、契約した客がクーリング・オフを申し出ているのに、それを防ぐため脅したり威圧して困らせるような行為の禁止ということや。

これには理由を問い質したり、翻意を迫ったりする行為も禁止されている。早い話がクーリング・オフした客への接見禁止みたいなものやな。唯一の例外は、受け取った景品の返還をする場合しかない。

これに違反すると罰則規定として、2年以下の懲役・300万以下の罰金に処せられるとある。

つまり、あんたがクーリング・オフの内容証明郵便(配達証明付きハガキ、簡易書留ハガキでも可) を出して届いた時点で、その販売店は何もできんということや。それと分かる何らかの圧力をかけただけでも、その販売店はまずいことになるさかいな。

ワシが心配ないと言うてるのは、そのためや。

ただ『少し躊躇いもある』というのが、『そこの代表者さんが私の通う大学のOBさん』ということに気を遣っておられるという意味なら、あんたの判断に任せるしかないがな。

あんたは『今日』と言うておられるから、契約されたのは6月8日やから、本来ならクーリング・オフの有効期間は8日間で6月15日までやが、日本郵便(JP)でその手続きをする必要があるから、実際には6月10日(月曜日)〜6月14日(金曜日)までと考えておかれた方がええ。

ただ、日本郵便(JP)には、土日も窓口業務をしている所もあるさかい、それがある地域は関係ないがな。また電子内容証明郵便を出せる環境にあるのなら、6月15日の24時までは手続き可能や。

後腐れがないのは、このクーリング・オフの手続きをすることやと思う。

他にもあんたの場合は、『私は、この春大学生になりました』ということで、契約時まだ未成年なら、民法第4条で『未成年者と契約するには、原則として法定代理人(親権者)の同意が必要で、同意のない行為は、取り消すことができる』と規定されとるので、その線での解約も可能や。

あんたが契約時未成年やったのなら、このまま、解約になったというその販売店の言を信じて放置されても構わんと思う。万が一、解約になっていないとその販売店から言われても民法第4条を盾に解約に持ち込めるさかいな。

いずれの方法を選ばれるかは、あんたの判断次第や。完全を期すならクーリング・オフの手続きで、その販売店を信用するのなら、そのままにするかのいずれかということになる。

後者の場合は、その販売店次第で多少揉めることになるかも知れんが負けることは、まずないさかい、実際にそういう事態になったら、また相談されたらええ。


追記 私の意見です

投稿者 町工場のホームドクター・中小企業診断士トミさん  投稿日時 2013. 6.14 AM 10:44


結局のところは目的を達するために、「どんな意思表示をすればいいのか?」という点につきるでしょう。

でも、そこまでやらないと後々に面倒が起き得ることは、ゲンさんがおっしゃっています。

想定されることは、必ず起きると言うのが、福島原発事故の教訓です。

一般的な概念として、内容証明は法的な争いを前提とした比較的強い意思表示なので、そこまでやるのは気が引けるというのが普通の感覚ですよね。

でも、百戦錬磨の新聞販売店が一部拡張するのに掛ける手数からすれば、口約束でおいそれと解約に応じてくれるとは思えません。

彼らも経営者ですから、そう易々と売上予定を手放すはずがありません。

一部減ったら、というよりも目標未達成だったら、月初めの定数日に本社販売部の担当から何を言われるか。

お客さんの側からすれば、年に一度あるかないかの、滅多にないことでも、販売店の側からすれば、解約申し入れなど日常茶飯事です。

あまり気にする必要はありません。

相手に対する変な気遣いをして、自分の意思を通さないことの方が問題です。

それがために、自分が経済的に大変な思いをしたりするほうがいけないと思います。


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