新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.1243 理想の新聞像を、お聞かせください
投稿者 Tさん 投稿日時 2013. 9. 4 PM 10:04
ほぼ毎月、目標には届きませんので、いつもきわどいカードで難を逃れているのが実状です。
いつまでこんなことを続けなけりゃならないんだろうと、つい将来を悲観してしまいます。
しかし、理想の新聞像を思い描き、一方通行の新聞ではなく双方向の、読者の声をどんどん紙面に反映することをメインとした新聞であれば、今とはまた違った業界になるのではないかと、少しだけ希望を抱いたりもします。
そこで、ゲンさんとハカセさんに質問なのですが、おふたりの理想の新聞像を、差し支えなければお聞かせください。
回答者 ゲン
『おふたりの理想の新聞像を、差し支えなければお聞かせください』ということやから、まず、ワシから言わせて貰う。
ワシの理想を言えば「売りやすい新聞を作ってくれ」ということに尽きる。
残念ながら日本の新聞に「売りやすい新聞」というのは見当たらん。その地域毎にシェアNO.1の新聞はあるが、それは地域に根差した新聞で昔からの読者が固定されているとか、新聞社や地域の販売店が営業に力を注いだ結果、そうなったというのが多い。
新聞社が思っているほど、新聞にブランド力というものはない。なぜなら、その地域で販売されている新聞に無名の新聞などないからや。すべて名が通っていて、それなりにブランド力も高い。それでも実際のシェアの差は大きく開いている。
そして、これが一番致命的かも知れんが、それぞれの新聞に差別化というものを一般の人は、ほとんど感じとらんということが挙げられる。
細かい点を指摘すれば、それぞれの新聞に特徴や良い面はあるのやが、そういうものはあまり知られていない。
もっとも、新聞の良さを新聞の勧誘員がいくら力説しても、どこか嘘臭く聞こえるのか、まともに聞いてくれる人が少ないから、勢いそうなるのかも知れんがな。
「新聞なんか、どこでも一緒」と考えておられる人が圧倒的に多い。
それならと、「どこでも一緒だと思われるのなら、ぜひ、当方の新聞を取ってください」と言うても、「どこでも一緒なら、読み馴れた新聞を読み続ける。新聞を変える意味がない」と簡単に切り返されてしまう。
それならと、「ご主人(奥さん)、A新聞なんかダメですよ。うちのY新聞の方が数段良いですよ」とその客が現在読んでいる新聞を否定して売り込んでも、大半の人はなびかない。
却って、ひんしゅくを買い、逆効果になる場合が多い。まあ、普通の感覚の人なら他者の悪口を言って売り込む者など信用せんやろうからな。
それ故、差別化を図って売り込むには、拡材やサービスに力を入れるしかないと考える勧誘員が多いのやろうと思う。
あるいは、ワシのように、新聞を売り込むのやなく、自分を売り込めという考え方をせなあかんとなるわけや。情に訴える。それでないと新聞は売れんからと。
ワシの考える理想ということなら、A新聞には詳しい政治情勢の記載があり、B新聞は経済の情報が多く、C新聞には事件や事故報道中心で、D新聞には地域の情報が網羅されていて、E新聞には企業や公人の曝露記事が満載し、F新聞には各界の有名人のコラムが多いといった具合に、名前を知らせるだけで、それと分かって貰える新聞を作ることやと思う。
そうすれば、「A新聞を読むと詳しい政治情勢が分かりますよ」、「C新聞には事件や事故の詳しい解説がありますよ」、「D新聞を読めば、この地域のことがよく分かりますよ」、「E新聞の曝露記事は面白いですよ」、「F新聞には有名人のコラムが多くためになりますよ」といった営業トークが使える。
明確な差別化により、ターゲットも絞れる。それらの新聞を好む読者を捜せばええことやしな。あるいは、その読者が読んでいる新聞以外の他分野の新聞の良さを伝えて契約にこぎつけることもできる。
しかし、ほぼすべての一般紙と呼ばれる新聞には、それらすべての記事が、同じような配分で万遍なく載っている。新聞により明確な違いは見当たらない。
もっとも、経済に特化した新聞ならN経新聞というのがあり、スポーツ紙や業界紙で、それぞれ専門の記事が掲載されとるがな。
そういう新聞なら売りやすいが、「どの新聞も同じ」と思われているものを売り込むのは、一筋縄ではいかん難しさがある。
『一方通行の新聞ではなく双方向の、読者の声をどんどん紙面に反映することをメインとした新聞』というのなら、今でも各新聞で「読者の意見」を掲載しているコーナーがある。
まあ、その内容を編集者が選別するためか、あまり否定的な論調は取り上げられんと聞くがな。実際、その新聞をボロクソに叩いた読者の主張が載っている新聞など、ワシは知らんさかいな。
また、現場写真などを含めた情報提供というのも、読者参加の部類になるが、それもすべての新聞で昔から行われていることやから、取り立てて言うほどのことでもないと思う。
ただ、双方向となると、必ずしもそうはなってないがな。新聞というのは、その性質上、一方通行の情報提供になるさかい、仕方のない面もある。
双方向ということになると、ネットを介してでないと難しいと思う。
現在、ある新聞では、記事の中にある写真をスマホにかざすと、その写真が動画となって動き出し、テレビニュースのように見ることができるという試みが始まっている。
それを利用して、特定の新聞記事をスマホなどでかざすことにより、その記事について読者が書き込みできるようにすることも可能になるのやないかと考える。
そうなれば、ええと思うが、肝心の新聞社のトップの連中が、そこまでしようとするかは不透明で何とも言えん。
ワシらのサイトについても、そうやが、依然としてネットの論調に関わりたくないというのが本音のようやさかいな。
その証拠に、どれだけ新聞のためになることを言うてたとしても、ネット上の発言が新聞上で取り上げられるケースは、ほとんどないからな。
ただ、そうなれば、ワシらとしても新聞を売りやすくなるさかい、大歓迎なんやけどな。
回答者 ハカセ
私にも質問ということですので、お答えします。
その前に、先日の9月8日に東京国際フォーラムで開催しました『第1回「新聞拡張員ゲンさんの嘆き」オフサイト・セミナー』へ参加頂き、まことにありがとうございましたと、一言お礼を述べさせて頂きます。
「理想の新聞」とのことですが、購読者の立場から言わせて頂ければ、「読みたくなる新聞」が、「理想の新聞」になるということに尽きるのではないかと思います。
私は仕事柄、新聞などの情報媒体は必要ですので、読みたい読みたくないにかかわらず毎日、目を通しています。
新聞紙面が、いろいろ工夫されて作られているということは知っています。私のような必要に迫られた人間であれば、情報さえ確かなら、今のままの新聞で十分です。
新聞紙面には、ネット上にない情報も数多くありますので、その意味でも重宝しています。こんなことがあるのか、そういうことだっのかと気づかせて貰える記事が数多くあり助かっています。
しかし、一般の人には、ゲンさんの言うとおり、「どの新聞も同じ」という感はぬぐえないのではないかと思います。
では「読みたくなる新聞」にするのは、どうしたら良いのでしょうか。
これは難しいようで、実は案外簡単かも知れません。もっとも、新聞社が、その気になればの話ですが。
新聞には署名記事が結構ありますが、熱心な読者以外で、その記者の名前を知っている方が、どれだけおられるでしょうか。
残念ながら、署名記事を書いている記者の方で、一般に人気があると言えるような人はいないと言って良いでしょう。
現在、絶大な人気を誇る「東進ハイスクール」の講師、林修氏のような存在の人が、新聞記者さんの中にいれば、その新聞の書名記事を「読みたい」と多くの人が考えるのではないかと思います。
海外には、ニューヨーク・タイムズ社のデイヴィッド・ハルバースタム記者のような人がいます。
あまりに辛辣な記事を書くことで人気を博しているため、当時のジョン・F・ケネディ大統領が、デイヴィッド・ハルバースタム記者の配置換えをニューヨーク・タイムズ社に求めたと言われているほどの人です。
他にも数え上げたらキリがないくらい、有名な署名記者がいます。もっとも、アメリカにはピューリッツァー賞という世界的に有名な賞があり、それを署名記者たちが目標にしているという背景もあるわけですが。
ちなみに、デイヴィッド・ハルバースタム記者もピューリッツァー賞を受賞しています。
アメリカをベトナム戦争に導くことになったケネディと、その政策を継いでベトナム戦争を拡大したジョンソン政権の政治エリートたちを中心に描いた『ベスト・アンド・ブライテスト』という記事でその名を不動のものにしたとのことです。
ハルバースタムの作風は、読者の興味を惹く導入や逸話の挿入、刺激的な語句の使用とドラマチックな展開が多いと言われています。
つまり、それだけ読んでいて面白いということです。海外には、そういった有名な署名記者が何人もいます。
日本にも、日本新聞協会賞というのがあるにはあるのですが、よほどの興味を持っている人でもない限り、その受賞者の名前を知っている人は少ないのではないかと思います。
日本に、デイヴィッド・ハルバースタム記者のような実力のある人がいないというわけではありません。匹敵する実力の持ち主はいくらでもいると思います。
デイヴィッド・ハルバースタム記者に負けないくらい面白い記事を書くことのできる記者の方も相当数いるはずです。
しかし、一般に知れ渡っているというほどの人はいません。それは、日本新聞協会賞が個人を表彰するというより、新聞社を表彰することの方に重きが置かれているからだと思います。
どんな業界でもそうですが、カリスマ的な人気を博している存在がいないと、なかなか注目されることはありません。
「読みたくなる新聞」、「読みたくなる新聞記事」を願うなら、誰もが知るカリスマ的な人気を持つ、新聞記者が現れることが、もっとも近道ではないかと思います。
おそらく、そういう人物が現れれば、新聞嫌いの無読者も心を動かされるのではないかと思います。
そのカリスマ新聞記者の記事が、その新聞でしか読めないとなれば、よけいだと。
実際、新聞社を辞めてから作家に転身した、松本清張、司馬遼太郎、井上靖といった文豪もいるわけですから、その人たちの書く記事が面白くないわけがないと思います。
私の理想を言えば、そんなところですね。
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