新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1245 本当に悪質な新聞勧誘は減少して、業界は改善されてきているのですか?


投稿者 T.Tさん  投稿日時 2013. 9.19 PM


ハカセ様、ゲン様、お世話になっております。前回の質問(No.1238)ではお世話になりました。

返信がないため再送させていただきます。もし不適切な内容がございましたら失礼いたしました。

悪質な新聞訪問販売についてのニュースがありました。お二人はこちらの記事をお読みになりましたか?

▼新聞の訪問販売トラブル年1万件 国民生活センターが改善要望
http://www.j-cast.com/2013/08/23182066.html

▼新聞が報じない「悪質新聞勧誘」の実態 高齢者に契約迫り「解約なら10万円だ!」
http://www.j-cast.com/2013/09/08183098.html


内容を要約すると、国民生活センターに寄せられた苦情は新聞が最も多く、1万件近いとのことです。それに関して新聞業界に改善要望を出したとのことです。

揚げ足を取るような意見で申し訳ありませんが、前回の回答(No.1238)で「それでも敢えて言うが、今は業界全体としても法律を守れんような拡張員は排除する方向にあるさかい、そういう不心得者は確実に減っている。」とのお返事を頂きましたが、このようなニュースが流れるような状況でその回答は説得力がないという感想を持たずにはいられません。

しかも、大手新聞社ではこの内容がほとんど報じられていないという現状にも納得できません。

さも新聞そのものが否定されたかのような内容ですので、自社の不利益に繋がる記事は掲載しないという方針なのかもしれませんが、そもそもこの状況(苦情が殺到する)は新聞社が悪質な新聞拡張団を認識していながらそれを放置し続けた結果ですので、自業自得だと思うのですが。

偏向報道というものはマスコミ全体が抱える大きな問題ですが、本件は新聞に関してより不信感を抱かせるものです。

利益さえ得られれば何をしても良い。そのような業界の体制になっているという印象を受けます。

私の意見に対して、何か反論はありますか?

また、国民生活センターからの改善要求に関連して、そちらで何か具体的な動きはありましたか?

ご回答のほどよろしくお願い申し上げます。


回答者 ゲン


『返信がないため再送させていただきます。もし不適切な内容がございましたら失礼いたしました』というのは、どういうことやろうか。

ハカセに聞いたところ、前回の『NO.1238 特定商取引法を守らない勧誘員について』であんたに回答した以降、あんたからのメールは届いてないとのことやがな。

それから以降、あんたが送ったメールが何かあるのやろうか。

もしあるとすれば、何かの手違いがあったのかも知れんが、ワシらは過去、どんな質問にも逃げるようなことはしていないし、これからもするつもりはないから、今回と同じ質問があれば必ず回答しとるはずやと言うとく。

こちらの都合が悪いからという理由で寄せられた意見を無視することなど絶対にないと。

ましてや、『私の意見に対して、何か反論はありますか?』と言われるような自信たっぷりの意見が届くのをワシらは心待ちにしていたほどやさかい、そんな貴重なメールを無視することなどあり得ない。

当たり前やが、ワシらは自分たちの回答が絶対に正しいなどと自惚れていないし、考えてもいない。人間である限り間違いは避けられんものと思うとる。

ワシらに間違いや落ち度があれば、いくらでも指摘して欲しいと願っている。的を射た意見なら大いに歓迎するし、有り難いとも考えている。

例え、それがどんなに辛辣な内容であったとしても、それを受け容れて訂正するべきところは訂正し、謝罪するべきところは謝罪する度量くらいはワシらにはあるつもりや。過去にも、そうしてきたしな。

せやから、あんたがそのメールを送られたのなら、ワシらが意図して握りつぶしたのではないということだけは分かって欲しい。もっとも、握りつぶすつもりなら、この回答を公表したりはせんがな。

まあ、考えられるとすれば、最近プロバイダーによる迷惑メールの自動削除サービス機能がかなり強力になっとるようやから、あんたのメールがそこに間違って分類された可能性がある。

ワシらのサイトへは、そういうのは日に数百件届いとるさかいな。そのサービスを使うてなかったら、迷惑メールの洪水でどうにもならん状態になる。

それと、こちらからの返信メールが、同じように相手方にブロックされて届いてないということもある。これは主に携帯電話からのメールに返信した場合が多い。それで回答が届いてないケースも多々ある。最近、そういうのが増えとる。

もっとも、あんたの場合はメール自体がこちらに届いてないから、それとは違うがな。

長々とこういうことを言わせて貰ったのは、この場を借りて、他の人にもそういうケースがあれば、2、3日後に、もう一度メールを送り直すか、別のメールアドレスから送信して頂きたいという願いがあるからや。

Q&Aも含めて2、3日以内には必ず返信しとるさかい、その返信がないということは何らかのトラブルがあったと理解して欲しいと思う。

遅くなったが、それでは回答を始めさせて頂く。

『悪質な新聞訪問販売についてのニュースがありました。お二人はこちらの記事をお読みになりましたか?』ということやが、もちろん知っている。

その元ネタになっている国民生活センターの『なかなか減らない新聞のトラブル−高齢者に10年以上の契約も!解約しようとしたら断られた!』 のこともな。

余談やが、ワシらのサイトへは定期的に国民生活センターからの情報が届くようになっているから、たいていの事案はそれで分かる。

実はこの問題に関しては、以前当メルマガの『第271回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■消費者センターの警告チラシ『新聞購読の契約は慎重に!』の是非について』で、消費者センターの行き過ぎた記述について苦言を呈したことがあったが、今回もそれに似たような部分があるので、いずれメルマガの題材にするつもりやった。

このことを話し始めると長くなるさかいな。しかし、あんたからQ&Aの希望がある限り、ここで話さんわけにはいかんので回答させて頂くが、多少長引くのは辛抱して欲しい。

『揚げ足を取るような意見で申し訳ありませんが、前回の回答(No.1238)で「それでも敢えて言うが、今は業界全体としても法律を守れんような拡張員は排除する方向にあるさかい、そういう不心得者は確実に減っている。」とのお返事を頂きましたが、このようなニュースが流れるような状況でその回答は説得力がないという感想を持たずにはいられません』

ということやが、この手のニュースは何も今に始まったことやない。過去にも、同様のことはいくらでもあった。

例えば『第196回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■悪質と言われる新聞勧誘は、なぜなくならないのか?』で、あんたから寄せられた情報とほぼ同じような内容の話をしたことがあるしな。

それでも、ワシがこの業界に入った20年ほど前と比べれば『今は業界全体としても法律を守れんような拡張員は排除する方向にあるし、そういう不心得者は確実に減っている』と言えるのは間違いないさかい、その言を撤回するつもりはない。

もっとも、あんたが『このようなニュースが流れるような状況でその回答は説得力がないという感想を持たずにはいられません』と言われるのを否定するつもりはないがな。あんたの感想は感想として尊重したいと思う。

ただ、物事の推移は比べる時期との相対関係にあるさかい、「今は」と言うてるように昔に比べればマシになっているという意味やと理解して欲しい。

ワシが拡張を始めた頃は、訪問販売関連の法律が殆ど何も整備されてなかったということもあり、今とは比べものにならんくらい酷い状態やったさかい、そのことがよく分かる。

一度にすべて改善されれば言うことはないやろうが、それは新聞勧誘だけやなく何事においても難しいし、無理な注文やと思う。

どの世界、業界にも、あくどい人間は必ずいる。聖人君子だけの集まりなどない。それだけは絶対の真理、真実やと言える。

つまり、ワシが言いたいのは、新聞勧誘そのものが悪いという論調は間違っていて、悪いのはあくまでも法に触れた悪質な行為をする個人やということや。この考えだけは絶対に譲れない。

悪い者がいるから、その業界が悪いと決めつけてしまえば、この日本、いや世界中のすべての業界が悪いということになってしまうさかいな。救いなど、どこにもなくなる。

悪さをする人間がいるのは、何も新聞の勧誘員だけやないということや。そこに人がいる限り不正は付きものやと思う。

単に不正ということだけに関して言えば、絶対にあってはならん警察官の犯罪にしても常に報道され続けているように、簡単にはなくならんということや。

少なくともワシらは、そう考えるがな。

『大手新聞社ではこの内容がほとんど報じられていないという現状にも納得できません』については、ワシらも同意見や。

それについては3年前のメルマガ『第112回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■マスコミが新聞の勧誘問題を取り上げないのは何故?』で新聞社を含むマスコミが新聞勧誘の実態を取れ上げないことへの苦言を呈したことがあったさかいな。

『さも新聞そのものが否定されたかのような内容ですので、自社の不利益に繋がる記事は掲載しないという方針なのかもしれません』というのも、まさにそのとおりやと思う。

新聞社は自ら「公器」とは言うものの、所詮は営利企業の一つにすぎんという一面がある。
営利企業では利益を生むことが最優先される。そのために、売り上げのマイナスになる「悪声を公表せず」というのは十分考えられることやと。

新聞社は新聞勧誘の実態を昔からアンタッチャブルなタブーとして扱ってきたという歴史がある。

それではあかん。新聞業界を浄化させたいのなら隠し事やタブーがある限りできんとワシらは長年言い続けてきた。これからも言い続けるつもりや。

『そもそもこの状況(苦情が殺到する)は新聞社が悪質な新聞拡張団を認識していながらそれを放置し続けた結果ですので、自業自得だと思うのですが』というのは、一面正しいが、一面は間違っているとも言える。

それは『そもそもこの状況(苦情が殺到する)』という根本的な点においてや。

『国民生活センターに寄せられた苦情は新聞が最も多く、1万件近いとのことです』というのは、確かにそれだけの苦情やトラブルがあるのは間違いないやろうと思う。

しかし、そのすべてが相談者が被害者で、勧誘員が悪いということは絶対にないと断言できる。相談者に責任のある事案も相当数あるはずや。

それは、このQ&Aを見て貰うたら分かると思うが、勘違いされた相談者の方が相当数おられるさかいな。その構図は、国民生活センターであってもワシらのQ&Aであっても同じやと考える。

苦情を言い立てる人は自らの都合と立場、損得だけしか考えないということが往々にしてある。根本的な契約とは何かということを知らん人に、そういうのが多い。

特に契約を解除した場合、貰った景品分の返還は民法545条の原状回復義務に規定されとるから、如何なる理由での契約解除であっても法律上は、受け取った景品類は返還せなあかんことになっとる。

契約を解除した場合の原状回復義務とは、双方、契約をする前の状態に戻して「何もなかったことにしよう」ということやさかいな。

契約の解除については、その時々で善し悪しの判断をせなあかんから、ここでは言及を避けるが、契約解除を申し出た者は、景品の返還を求められたことが「解約違約金」やと考えて「高額な違約金を請求された」と苦情を言い立てるケースが多い。

高額な景品を貰っていれば、それを買って返すか、その代金を返すことが、民法545条の原状回復義務に照らせば当然のことやと思う。当該の新聞販売店が、それに沿った要求をしていれば、それは正当な行為ということになる。

よく景品表示法に触れた違法な行為やから、それに違反する景品の返還などする必要がないというバカな論調を、さも正当な言い分でもあるかのように勘違いして、堂々とネット上で広言しとる輩がいとるが、それは違うと断言する。

法律は私的制裁を一切認めていない。何人たりとも契約することを条件に貰った物を返さななくて良いということなど法律は認めてない。それを可能にしようと思えば、少なくとも裁判所の決定、判決を得てからでしかできない。これは司法に携わる人間なら常識とされとることや。

景品表示法に違反しとるから、貰った物を返さないというのは、明らかに私的制裁をしとるということになるさかいな。その方が、よほど罪深いことやと思う。

景品表示法に触れた違法な行為なら、その法律で裁けばええだけの話や。もっとも、その法律を警察署に訴えても取り合っては貰えんがな。裁判所に訴えを起こしても受理はされん。

この法律に関しては通常の犯罪のように警察に逮捕されることもなければ、裁判にもならんということや。したがって一般国民からの訴えもできん仕組みになっとる。

景品表示法は、公正取引委員会および消費者庁の表示対策課の管轄になっている。訴え出るのなら、そこしかない。

この法律は、独占禁止法の補完法という位置づけやから、適用されるのは業者、新聞業界の場合は新聞販売店のみということになる。新聞社には何のお咎めもない。この法律で罰せられることはないということや。

もっと言えば、どんなに悪質な勧誘をしようと、どれだけ高額な景品を渡そうと、それを実行した勧誘員が、この法律で摘発され、裁かれることはないというのも付け加えておく。

あんたは、その景品付与に関しても新聞社に責任があると考えておられるのかも知れんが、事、この法律に関しては違うと言うしかない。

新聞社はその法律を作った張本人で、系列の新聞販売店には、その法律を厳守させようとしとる側やさかいな。新聞社としても、その法律を系列の販売店に守らせな面子が立たんと考えとるわけや。少なくとも表向きにはな。

新聞に適用されるのは、俗に言われとる「6・8ルール」というもので、景品付与の上限を『取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲』と決められている。

多くの人は、この「6・8ルール」が制定されとる「景品表示法」というのは、「お上(国)」が強制的に決めた法律やと思うとるようやけど、それは少し違う。

新聞の場合、自主規制によるものとされとる。新聞業界の自主規制が、公正取引委員会の認定を受けることで法律になっとるわけや。

日本の法律の中では特異なケースと言える。

その法律が制定された当時、公正取引委員会が規制する一般的な業種の景品の上限は、取引価格の10%までやった。

新聞業界の自主規制『取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲』というのは、単に「新聞社はここまで厳しく規制してますよ」ということを世間にアピールしたかっただけのことやと思う。そうすれば新聞社の体裁が保てると考えてな。

その後、その公正取引委員会自体が一般的な業種の景品の上限を20%にまで緩和することになったんやが、新聞業界はその後も依然としてその「6・8ルール」に拘(こだわ)り続けとるわけや。新聞社は一向に緩和する姿勢を見せない。

そのためか、どうかは定かやないが、「景品表示法」での新聞業界への取締りは有名無実になったのかと思えるほど緩い。

その根拠は、「景品表示法」での「6・8ルール」がありながら、2003年以降の10年間、ただの1件も摘発事例がないことや。

国民生活センターに寄せられた苦情は、去年1年間で約1万件、10年やと悠に10万件を越す。その多くの事例の中に「景品表示法」の「6・8ルール」違反が相当数あるというのは誰にでも容易に想像がつくわな。

いくら管轄違いの公正取引委員会であっても、その事実を知らんはずがない。

また、その公正取引委員会自体も毎年900名にも上る調査モニターを募集して「景品表示法」違反の事例を報告させとるわけやさかいな。その中でも新聞販売店による「景品表示法」違反事例は常に上位に位置している。

それにも関わらず、この10年間の摘発事例はゼロなわけや。容認とまでは言い切れんが、それに近い状態やないのかと思う。

まあ、普通に考えて、公正取引委員会全体が20%までの景品付与を認めとるのに、8%の違反をしとるからと言うて摘発するというのも変な話やけどな。

その「景品表示法」の根拠を以て、新聞の景品の渡しすぎは違法だと書き立てるネットメディアもどうかと思うがな。ワシらからしたら、何も知らんから書けることやとしか思えん。

まあ、いくら有名無実とはいえ、法律には違いないから、違反の疑いがあるということなら分かるがな。表記するのなら、そこまでにしとくことや。

犯罪というのは、その法律で摘発されて証拠があって初めて犯罪と認知されるわけやから、その事例がないにもかかわらず「違法」呼ばわりした挙げ句、その法律に違反しとるから、貰うた景品類は返さんでええというのは行き過ぎた論調や。

ネットメディアに、そういうのが多いために、間違った認識を植え付けられた人が相当数おられるという気がしてならん。そういう方がおられたら本当にお気の毒やと思う。

その景品の返還を要求されたことを理由に「高額な違約金を請求された」と考え苦情を言い立てるのは、明らかに間違っている。

しかし、そういうのも相当数、国民生活センターの苦情としてカウントされとるはずや。

それは、このQ&Aにも数多くあるから、よく分かる。

このQ&Aに相談される方については、「解約するのなら、その契約をすることを条件に貰った物は返した方がいいですよ」と言えば、たいていの人がそれと分かって頂ける。

そうしないと、その契約者は、その契約を履行もせんのに、その景品だけをタダで受け取ることになる。タダ取りすることに正義がないというのは法律云々に照らすまでもなく誰にでも分かることやと思う。

契約という約束事が守れないというのは、それぞれの事情で分かる。仕方ない理由があるというのも承知や。ケースによりやむを得ないこともあるやろう。

しかし、契約者が望めるのは、その解約までや。法律上も、違法な契約を解除できることが契約者に与えられた最高の権利で、それ以上はないとされとる。まあ、被害が生じたらその損害賠償ということもあり得るが、新聞勧誘にそれはない。

新聞の勧誘員は景品を渡すだけで、客から金銭を騙し取るということはないさかいな。

たまに契約して新聞代を払わされたことが被害やと言われる方もおられるが、新聞は対価の生じる立派な商品やさかい、届けられた新聞の代金を支払うことが被害とは言えんわな。

一度はその契約を納得した上で貰った物が返せない、返す必要がないというのは人として情けないとしか言いようがないと思う。

言い方は悪いが、その相談者が、その景品の返還をしたくないために苦情を言い立てているというのは、当該の新聞販売店から、その景品を強奪したいからということになるわけや。それが許されるか、どうかなど議論の余地すらないわな。

さすがに国民生活センターもそれについては『高額な景品を受け取らない、景品につられて契約しない』と言うに止めとるがな。それは、受け取った高額な景品は返さなければならないということが分かっとるからや。それ以外に、それと表記して注意喚起する必要がない。

受け取ってから返すのが嫌になったから、あるいは返せないから『「高額な違約金を請求された」と苦情を言い立てるのは、間違っていると思う』と言うたのは、そのためや。

もっと言えば、悪質な新聞勧誘員がいとるのと同時に、悪辣な新聞購読者がおるのも事実なんや。その悪辣な新聞購読者ほど苦情を言い立てるということがある。実際にその事例がある。

その1例として、『NO.133 理不尽な中途解約客について』 に寄せられた、ある新聞販売店の従業員の方からの相談を紹介する。


以前のことですが、お客さんから中途解約の申し出が電話でありました。

当然、契約期間が残っており…「契約期間が残っていますから、それまでは、ご購読していただきたいのですが」と、答えました。

お客:「新聞が読みにくいんじゃ!それに契約いうて、客に読めん新聞に金を払えというんか!!」

私: 「お言葉を返すようですが、契約して戴き、もう1年以上ご購読いただいています。あと1年もありませんし、このまま、何とかお願いできませんか?」

お客:「新聞入れても、金は払わん。明日から止めろ!!」

私: 「契約の解約には、規定がございます。今からお伺いしてお話させてください。」

この間に解約理由が店の不手際なのかを、お客に問いかけたが、答えてはもらえず…店の顧客情報(今は全部PC入力で一目でわかる)で、不配、集金トラブル、拡材の未届けが無い事を確認して、お客の家に向かいました。

私: 「○○新聞の○○です。お伺いさせていただきました。」

お客:「何しにきたんや、とにかく新聞はいれるな!もう、これで解決じゃろうが。」

私: 「いいえ、契約期間をお客様の事情で解約と言う事になれば、契約書の裏面に記載されているように、残りの期間に対しての違約金をいただかなくてはいけません。」

お客:「そんな契約書、なんの効力もないんじゃ!イネや!(帰れ)」

私: 「そういうわけにはいきません。契約していただいた時に、クーリング・オフのお話も、契約期間の確認も、サービス品の話も全てお話いたしました。お客様には、ご理解のお返事を頂いてから、契約書にサインもいただいております。小さな契約書ではありますが、効力はあります。応じていただけないですか?」

お客:「消費者センターに苦情をいうからの!後で詫びいれてきても、今度は損害賠償で訴えるから、その覚悟しとけ!」

私: 「わかりました。1週間したらもう一度お伺いさせて下さい。私共に落ち度がございましたら、訴えられても結構です。」

冷静にかつ、丁寧に応対したつもりだと、今でも思っていますが…元来、心配性なもので夜も眠ることは出来ませんでした。

3日後、消費者センターから問い合わせが入って、簡単な質問があり、事情を説明すると我々に問題のないことを分かっていただけました。

センター側は非常に好意的に受け取ってくださり、以降、他店や他系統紙でのトラブルも相談を受けることがあるようになりました。

1週間後、再度、訪問しましたが…そこでビックリする扱いを受けました。

私: 「○○新聞の○○です。」
(そこには、たくさんの親戚や、知人が集まっていました)

お客:「金払ったらええんやろ!クソ新聞屋が!!なんぼじゃ!」

私: 「○○○円頂きたいと思います。」これは、センターの方にも、話していました。センターの方が好意的に思ってくださったのは、この程度の解約金を提示したからだと思っています。良心的な店だと評価していただきました。

お客達は、数枚の1000円札で、鼻をかみ・破った上に、それを玄関前に投げ「金は金やろ!拾ってイネや!」とその場で、ひどい笑いものとしてさらされました。

写メで撮られ、色んな人に送っている様子。しかたなく「ありがとうございました」とだけ告げ、後にしようとすると、今度は灰皿が飛んできて、腕にあたってしまい、腫れてしまいました。

暴行罪にも、侮辱罪にも当たると思いますが・・・何も言わず車の中で悔しくて泣きながら帰りました。それでも、怒っちゃダメだし、正論を言っちゃだめだ・・・。一応仕事は出来たのだから・・・。そう自分に言い聞かせて帰りました。

近所には読者もいるし、揉め事が起こったことが噂になるのは、店や本社にはよくない事だと思いますので、言いたいことも言えず我慢するしかありませんでした。

けがも命に係わるわけじゃ無いし。とにかく、その日は、浴びるほど酒を飲んで自分をごまかしました。

ゲンさんは、こんな経験ありますか。また、こんなとき、どうしたら良かったのでしょう。私には、外に方法は思いつきませんでした。


というものや。

これを読まれて、どう感じられたやろうか。この手のことが日常茶飯事に行われているのも、また動かし難い事実なんや。そんな事例なら他に腐るほどある。一々挙げたらキリがないので止めとくが。

新聞販売店の人間は、ネットであまり、そういうことを声に出して言わんから知られていないだけでな。ワシが、どこにでも、あくどい人間がいるというのは、そういう意味や。

つまり、『国民生活センターに寄せられた苦情は新聞が最も多く、1万件近い』という中には、確かに悪質な新聞勧誘もあるやろうが、悪辣な購読者からの苦情もそれに負けんくらいあるということや。

もっとも、それについては一件ずつ精査せな分からんやろうがな。

いずれにしても、ワシには、それを額面どおりに受け取ることはできんということや。公平に考えれば、苦情やトラブルは両者に責任があることの方が多いと言える。

とは言うても、悪質な勧誘員がおるというのも事実やから、その点については認める。

おそらく、新聞販売協会も国民生活センターからの要望には善処すると言うものと思う。もともと、新聞社自体は、悪質な勧誘を取り締まっていく方針やさかいな。

もっとも、それで、現場の悪質な勧誘員がどれだけ変わるかは疑問やけどな。

何度も言うが、悪辣な輩を一掃することなど、どんな業界にも絶対にできんと思う。減少するくらいのことや。それで良しとせなあかんと考える。

『また、国民生活センターからの改善要求に関連して、そちらで何か具体的な動きはありましたか?』というのは、どういう意味かな。

『国民生活センターからの改善要求に関連』した回答について、新聞社から、新聞販売店、新聞拡張団への通達があるかも知れんが、今のところは何もない。少なくともワシは知らん。

あんたが、もしワシらを新聞社サイドの人間で、それに対して何らかの影響力を持っているとと考えておられるのなら、それは大きな間違いやと言うとく。

ワシは一介の拡張員で業界には何の影響力もないし、そもそもワシが「ゲン」であるということすら新聞業界の人間は誰も知らん。ハカセは新聞業界とは縁もゆかりない一般人や。

新聞業界サイドの人間どころか、その新聞業界、特に新聞社からは毛嫌いされ睨まれとるような存在なんや。

新聞社のことについても言いたい放題のことを言うとるさかいな。聞く話やと、系列の新聞販売店に対して、ワシらのサイトとは接触を持つなとフレを出しとる新聞社もあるとのことや。

もっとも、新聞社が、そんなことを広言するわけはないから、その真偽のほどは定かやないがな。ただ、信頼できる業界関係者からの情報では、そうや。

そんなワシらに『国民生活センターからの改善要求に関連して、そちらで何か具体的な動きはありましたか?』ということを聞かれても、そんなことは知らん、関係ないとしか言いようがないわな。新聞社に直接聞いて確かめてくれとしか言えん。

最後に一言、言うとく。

ワシらは、新聞社、および新聞業界の味方でも、一般購読者の味方でもない。もちろん敵でもない。

いずれの側であろうと、疑問に思うこと、トラブルなどに巻き込まれて困った人から相談があれば助言するし、場合によればその対処法をアドバイスすることもある。悪辣な輩、無法なやり方をする者に対しては苦言を呈している。

正しいと思ったことは、そう言い、間違っていると考えれば、そう伝える。良い行いは賞賛するが、悪い行いは否定する。

ただ、それだけのことや。このサイトの役割、ワシらの存在価値は、それ以外に何もないと考えとるしな。

まあ、ワシは一応、業界関係者やさかい、業界寄りの発言をしとると思われがちやが、それも違うと言うとく。単に、その知識と経験に基づいて言うてるだけや。

ワシは確かに拡張員やが、その前に一人の人間やという思いの方が強い。ワシのここでの立ち位置は、そうや。

物事の善し悪しは、一人の人間として判断する。そう理解して貰いたい。もちろん、ハカセも同じや。人として何をするべきか、何が正しいかを考えているだけやと。


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