新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A
NO.125 悪質な新聞勧誘が一体いつまで続くのでしょうか?
投稿者 tomさん 投稿日時 2005.7.14 AM 1:33
ゲンさん、ハカセさん初めまして。いつもHPを拝見させて頂いております。
私は常日頃から悪質な勧誘が一体いつまで続くのだろうと疑問に思っています。新聞社、販売店、拡張団、一体誰が何をどうすれば悪質な勧誘に終止符が打たれるのでしょうか?
トラブルが起きた時は警察に相談すればよいのでしょうが、警察に相談された方だけが何らかの解決の糸口を見つけるだけで、根本的には世の中からは悪質な新聞勧誘が撲滅されません。
例えば新聞社のトップである社長が新聞勧誘問題について、すぐにでも真剣に対処すれば、ただそれだけで悪質な新聞勧誘がなくなると思うのですが、ゲンさんはどのように思いますか?
新聞社は勧誘問題を追求された時には、販売店のやった事だから…って事を言うんでしょうけど、そんな理由は国民には通じないと思います。
ちゃんと、親である新聞社が責任をとらないと。これだけ国民に迷惑をかけているのだから、さっさと新聞勧誘問題について対処してほしいものです。
対処しない、黙認するという事は、国民の迷惑、被害をかえりみず己の私腹を肥やしますっていうふうにしか聞こえませんしね。警察は新聞社に対し動けないものなのでしょうか?
一日にどれだけ新聞勧誘に関する苦情が警察に寄せられるのでしょう。苦情件数の累積も相当なものだと思いますので、何らかの形で動けるとは思うのですが。
悪質な新聞勧誘、その他の悪質な訪問販売がなくなって、国民にとって暮らしやすい毎日がくればと思います。
回答者 ゲン
『私は常日頃から悪質な勧誘が一体いつまで続くのだろうと疑問に思っています。新聞社、販売店、拡張団、一体誰が何をどうすれば悪質な勧誘に終止符が打たれるのでしょうか?』
これは一般論で言うておられると思うので、一般論でお答えする。
まず「終止符」ということはあり得んことやということを言うとく。なくなることも考え辛い。これは、何も新聞の勧誘ということだけに限ったことやないと思う。
どの社会、組織にも必ず正しい行いの人間もおれば、悪さをする者がいとる。それに、例外はない。程度の違いはあってもな。哀しいけど、それが人間の世界や。
本来、絶対に悪さをしたらあかんとされる警察官にしても、犯罪を犯す人間は後を絶たん。それは、教師であろうと弁護士であろうと、医者であろうと同じや。
あんたは、新聞の勧誘員が、人に迷惑をかける特別な存在やと思うとるようやけど、それは、思いこみの部分が強すぎると思う。悪さをする人間は、その職業に関係なくどこにでもいとる。
例え、ボランティアや福祉に携わっとるからと言うても、その例外はない。昨今、その関係者の犯罪も増えとるしな。
一般論で話すとそうなる。もっとも、あんたに限らず多くの人間に、そう思い込ませる仕事やと言うのも問題はあるがな。
確かに、勧誘員の中には、ろくでもないのもおる。人に迷惑をかける者がおるのも否定はせん。
しかし、すべてやない。まず、そのことを分かって貰わなあかん。ワシがこの仕事に携わるようになった10年前と今では、勧誘員の質も格段に良うなっとる。
ワシの知る限り、拡張員で、人に迷惑をかける人間とそうでない者との比率は1対100くらいの割合で圧倒的に、後者の人間が多い。ほとんどは真面目な人間や。
ただ、少数やとは言え、迷惑をかける輩とか、あくどい者は目立つ。一部が目立つと、全体がそう思われる。それも仕方のないことやけどな。
あんたに、一つ苦言を言うならば、こういう問題を論じる場合は、なるべくその具体例を上げてからの方がええ。一般論には一般論でしか話せんからな。
この場合やと、具体的な悪質な勧誘についての事例で言うて貰うた方が分かりやすい。
具体性がないと「悪質な勧誘」というのが何を指して言うてるものか分かりにくいし、各自の受け取り方によっても、その悪質さも違うからな。あんたは悪質やと思うてても、他の人間はそれほどとも思わんということもある。
例えば「勧誘に来るのが多すぎるから迷惑や」という声がある。これも、ただ、勧誘員が頻繁に訪問するということが迷惑やと思う人間もいとれば、仕事やから仕方ないことやと理解を示す者もおる。
それでも、それはあかんというのなら、現時点で、止めさせるには「訪問販売禁止」と法律で決めるしかない。しかし、今は、そんな法律はないし、新聞勧誘は立派な営業行為ということになっとる。
それに、迷惑に思うどころか、ワシらを心待ちにしてくれとる客も、実際には結構多い。「ちょうど、ええとこに来てくれた」という客もおるからな。せやから、勧誘の頻度は、必ずしもすべての人間にとって迷惑とは限らんということや。
あんたの言う、悪質なことが、脅すとか騙す、嘘をつくということであれば、これは、弁解の余地はない。同じ拡張員として、申し訳ないと言うしかない。
ワシも、同じ拡張員としてそういう行為は許せんという思いはあるからな。せやから、このQ&Aでも、そういう悪質な連中に対しての対処法を数多くアドバイスしとるわけや。
ワシが言いたいのは、あんたの思う悪質な人間も、ワシらのように真面目に考えて営業しとる者も、同じ拡張員やということや。
現在、大がかりな勧誘の改善を図る新聞社が増えとるということがある。あんたの知らん所で新聞各社もそれなりに考え、すでに実行に移しとるということや。
そのことの表れとして、サイトのQ&Aの「NO.81爆カード廃止の取り組みについて」や「NO.124 勧誘時の社員証、業務委託証明書の携帯について」を見て貰うたら良う分かるやろと思う。
ここには、ワシだけやなく、全国の多くの勧誘員の方々が、その現場の状況をつぶさに報告してくれとる。
もっとも、この動きが顕著に表れるようになったのは、最近、しかも、ここ数ヶ月のことやから、あんたにそれが分からんのも無理はないがな。
今、この新聞勧誘業界は、確実に良くはなってきとる。全国レベルで見ても、すでに、九州辺りでは、ワシらのような拡張員の所属する拡張団すら存在せんし、おっても少数や。
せやから、そういうトラブルは少ない。営業員に覇気がないと嘆いとるくらいやからな。
四国でも、新聞社のグループ企業の営業員が主流やから、客とトラブル者もほとんどおらん。客とトラブルを起こすと、それだけで馘首やと言われることも珍しいはないから自然にそうなる。
ワシらの東海でも、数年前から、客とトラブルを起こす者も目に見えて減った。ほとんど、おらんと言うてもええ。少なくとも、ワシの所属する団で悪質な勧誘のトラブルは、ここ3年ほど聞かんからな。
関西も今は締め付けが厳しい。徐々にやけど、悪さする連中はやりにくい環境になりつつあるようや。
もっとも、関西で悪さと言うても、もともと土地柄もあるけど、喝勧なんかもよほど相手を見んと反対にえらい目に遭うからな。
一般人にも、ヤクザ顔負けの人間もざらにおるし、関西のおばちゃんも、そう簡単に脅かされるような柔やない。
拡張員も、損をすることは極端に嫌がるから、身銭を切るような置き勧も、ほとんどせんしな。関西の拡張員の悪さの主流は「てんぷらカード」の架空契約がそのほとんどや。
しかし、これは、団や販売店に対しての損害行為で、一般客が実質的な被害を被ることは少ない。架空契約なんやから「知らん」と言えば終わりや。
問題は、関東のようやな。この辺りのせめぎ合いが、かなりきつそうや。特に、この地域の拡張員の評判は悪い。このQ&Aへの契約のこじれや苦情の大半がこの地域からやしな。
因みに、九州、四国、中国、東海、北陸、東北から寄せられた一般読者からの苦情や相談は、このサイトを開設して、1年が過ぎたが、ただの1件もない。関西、北海道から若干ある程度や。
これを、どう見るかやが、もともと、拡張員の発祥の地は関東やから、歴史的な土壌が影響しとるのか、あるいは、新聞社同士の熾烈な拡張合戦の場やったという事情からかも知れんがな。
その事情について話すと長くなるし、とても、ここで語り尽くせることやないから、また、別の機会にでも言う。
実は、次回の7月22日発行予定のメルマガ『第50回 新聞拡張員のゲンさんの裏話』で、それについて、触れとる部分もあるので、興味があれば読んでほしい。
ただ、この関東でも相当にきつい勧誘の締め付けが始まっとると聞く。新聞社も本腰を入れ始めたということや。
その表れとして、今より遙かにえげつなかった過去の勧誘でさえ、その報道もほとんどなく、警察も見て見ぬ振りをしとったようなことでも、状況が変わってきとるということがある。
ここにきてQ&A NO.108 の事件のように、業界の誰もが「そんな程度で」というくらいのことで逮捕され、各紙で報道されとったという事実がそれを示しとる。
しかも、その当事者の勤務する販売店の新聞社も報道しとったからな。ワシも、こういうのは記憶にない。ちょっと前までなら考えられんことやった。これは、やはり、新聞社が本気になった証と見た方がええやろと思う。
もっとも、その煽りをくらって、その周辺の北陸、東北辺りが、関東からはじき出された悪質な拡張員の流入なんかで大変らしいがな。
現在は、この新聞勧誘業界も大きな変革の時を迎えとる。少なくとも、悪質な勧誘というのが近い将来、確実に激減するやろと思う。
ただ、冒頭でも言うたが、それでも、悪質な勧誘に終止符が打たれるとか、撲滅ということはあり得んことやと思う。そこに、人間が関わっとる以上はな。ええ者も悪い者も混在するのが人間の社会や。
あんたの最大の質問である「悪質な新聞勧誘が一体いつまで続くのでしょうか?」ということなら、激減するのは、もうすぐや。早ければ、ここ1,2年、遅くても5年ほどの間やと思う。
もっとも、新聞各社が今の姿勢のまま続けばという条件付きやがな。拡張員を締め付けるということは、放逐や減少にもつながるから、拡張員に依存していた部数減という問題が起こる可能性がある。
勧誘員は拡張員だけに限らず、販売店の従業員もそうやから、当然、締め付けはそちらにもある。
拡張員総数の確かな数字の把握はしにくいが、全国紙、地方紙併せて常時在籍しとるのは約10万人ほどやと思う。
拡張員一人当たりの月の平均契約件数を30件とする。それで計算すると、拡張員が年間に契約する総数は、3600万件前後になる。
販売店の従業員、新聞配達人は全国で47万人前後いとる。彼らの多くも、勧誘を義務付けられとるから、それで契約する総数は、その営業力は拡張員に及ばんとしても、少なくても500万件前後はあるのやないかと思う。
日本の新聞の総発行部数は、約5300万部ほどになる。これは、公表やから、実数は押し紙、予備紙などの関係で、その1割減の4800万部程度のはずや。その内、コンビニや駅売り分の6%を引くと4500万部前後という計算が成り立つ。
拡張員と従業員の勧誘の合計が4100万件。実に90%前後が、それに依存しとる計算になる。
残りは、契約書すらない長期読者やインターネット契約者、あるいは自ら販売店に申し込む人間やと思う。
その勧誘員を締め付けて、業界で住みにくくすると、他業種に走る者もおるやろし、残った者も、今までの手法の変更を余儀なくされ、その契約部数が減ることが予想される。
今のところ、新聞各社の上層部の意向は、例え、部数減になろうとも、現状の締め付けは強化するということのようや。本腰を入れたというのは、そういうことやからな。現実に、去年あたりから、新聞社発表の発行部数が微減やけど、減ってきとる。
しかし、その部数減をどこまで辛抱できるかとなると、それは、ワシにも分からん。九州の例に見るまでもなく、行儀が良うなった分、営業力は昔と比べると格段に落ちたと言うことや。
ただ、今は、その推移を見守るしかない。もっとも、ワシのような者にとっては、歓迎すべき事態や。本当の意味での営業力の勝負ができるからな。
新聞社もそれなりに考えて対処しとるし、新聞勧誘業界から悪質な勧誘が激減する兆しはある。ただし、皆無とはならん。あんたの質問の答えをまとめるとそういうことや。
あんたも、これから、このサイトを注意深く見てくれたら、そのことも、良う分かるやろと思う。
次に、質問がある時は具体的な事例で、お願いする。それで困ることがあるのなら、いくらでも相談に乗るつもりやから、遠慮せんといつでも言うてくれたらええ。