新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1252 拡材の金券使用は、続いているのでしょうか?


投稿者 le さん  投稿日時 2013.10.19 PM 4:50


ゲンさん、こんにちは!

以前私は、専業で働いていたことがあるので、多少なりとも、業界の内情は知っているつもりです。

今日、私の住むアパートに、Y新聞のセールスが来ました。

此方に引っ越して来たばかりで、新聞を取ろうとは思っていたのですが、自分から購読申し込みをしてはつまらないと思い、セールスが来るのを待っていた矢先のことです。

相手のセールスマンは、拡材として「ヨーロッパ」を出して来ました。3ヶ月で4枚、6ヶ月で6枚、1年なら8枚のことですね!

洗剤とかビール等と言った拡材には興味がないので、話は即決で、1年契約をしました。
契約日翌日の即入です。

そこで、ゲンさんにお聞きしたいのですが、金券制度は大分前に廃止になったと聞いていますが、未だに使われている地域はあるのでしょうか?

また、それは違法ではないのですか。


回答者 ゲン


『金券制度は大分前に廃止になったと聞いています』ということやが、あんたの言われるのは、関東方面でのA新聞とY新聞が2007年4月1日から、ビール券や商品券といった金券による拡材サービスの廃止を関係する各新聞販売店に通告したことやと思う。

ただ、新聞社による行き過ぎた金券サービスの禁止というのは昔からあったことで、特定の時期から急に決まったことやない。もともと新聞社は表向き、過剰な景品サービスを一切認めてなかったさかいな。

まあ、これは当たり前の話で、そんなものを公に認めたら、新聞特殊指定の撤廃につながり、再販制度(再販売価格維持制度)そのものの廃止すら招きかねんからな。

ただ、それまでは、あかんとは言うものの、それほど強制してなかったのは事実や。あくまでも勧誘は現場の責任ですべきという姿勢やったさかいな。それに新聞社は関知しないと。

よく言えば信頼してたということになるし、悪く言えば黙認ということになる。それで長年、済ませてきた。

ところが、関東周辺地域では業界でも異常なほど酷い金券サービスの乱発が続いていたため、当時、何かと協力関係にあったA新聞とY新聞が、公正取引委員会の追求を躱す意味でも「金券廃止」を唱え出したのやないかと考える。

A新聞とY新聞は、長年ライバル関係で凌ぎを削ってきたわけやが、ある時を堺に、両者が手を組めば関東方面のシェアを独占できると踏んで協力関係を築くようになったと。もっとも、今はその関係もギクシャクしていて怪しいようやがな。

ただ、関東方面のA新聞とY新聞のみは正式に「金券廃止」の通達を出したが、その他の全国紙、ブロック紙、地方紙などには「金券廃止」の通達は未だに出されていない。それらの新聞販売店では自由や。

もっとも、新聞各紙の販売店では拡材を抑制し、経費の負担を軽減させる狙いで「正常化の流れ」といった名目を掲げ、金券の使用を抑制しているケースもあるようやがな。

『未だに使われている地域はあるのでしょうか?』というのは、関東方面のA新聞とY新聞以外の販売店では、未だに金券を拡材に使うとる販売店はいくらでもある。

ワシらのもとには、一般読者、業界関係者の両方の方々から、そういった報告が「金券廃止」以降も数多く寄せられとるさかいな。

『また、それは違法ではないのですか』ということやが、それはその金券の額次第で違法かどうかが決まると思う。ちなみに、金券を拡材に使うこと自体は違法ではない。

金券と一口に言うてもビール券、デパートやスーパーの商品券、図書カード、クオカード、おこめ券、ギフトカードなどがあってその金額もいろいろある。変わったところでは「宝くじ」を拡材に使うとる新聞販売店もあると聞くが、これなんかも法律的には金券の範疇に入るとのことや。

あんたは『以前私は、専業で働いていたことがあるので、多少なりとも、業界の内情は知っているつもりです』と言われとるから景品表示法については知っておられると思う。

この景品表示法により新聞に適用されるのは、俗に言う「6・8ルール」というもので、景品付与の上限を『取引価格の8%又は6ヶ月分の購読料金の8%のいずれか低い金額の範囲』と決められている。

これを分かりやすく言うと、6ヶ月以上の契約はどんなに長期であっても6ヶ月分の購読料金の8%以下の景品しか渡すことを認めないというものや。ちなみに金額にして2000円弱程度なら許されるということやな。

もっとも、その違反が監督機関の公正取引委員会に知れたとして、景品表示法の「6・8ルール」で摘発されるかどうかは何とも言えんがな。可能性は低いのやないかと思う。

「景品表示法」での「6・8ルール」がありながら、2003年以降現在までの10年間、ただの1件も摘発事例がないというのが、その根拠や。

まあ、それも無理もない話やけどな。

「6・8ルール」というのは、新聞業界の決めた自主規制が、公正取引委員会の認定を受けることで法律になったという経緯がある。しかも、それは公正取引委員会が規制する一般的な景品の上限を取引価格の10%までという時代に決められたものや。それよりも新聞業界は厳しくしている。

現在、「景品表示法」での一般の企業での景品付与の上限は、取引価格の20%までと大幅に緩和されとる。しかし、新聞業界は依然として「6・8ルール」のままや。今のところ緩和するつもりはなさそうや。

普通に考えて、公正取引委員会も景品付与の上限を取引価格の20%までと大幅に緩和しておきながら、今更、それよりもはるかに厳しい「6・8ルール」違反での摘発が、し辛いというのが本音やないのかと思う。それが、ここ10年、ただの一件も摘発されていない大きな要因やないかと。

ちなみに、新聞業界の自主規制を取引価格の20%の水準で緩和した場合、6ヶ月契約で4710円までの景品付与が可能になるものと考えられる。

それであれば、『1年で8枚』というのが、額面1枚500円 の商品券の場合なら「景品表示法」上はセーフということになる。額面が1000円の商品券の場合は違法やがな。

いずれにしても、公正取引委員会の運用に則さない「6・8ルール」での摘発は今後もないやろうというのが、ワシの見立てや。もっとも、明らかに違反していると認められる場合は絶対に摘発されんとも言い切れんがな。

したがって、あんたのへの回答は、違法やが摘発されにくい違反行為やと考えられるということやな。

ちなみに、「景品表示法」は新聞業界の場合、新聞販売店のみに適用されるもので、勧誘員はもちろん、客である、あんたには、その法律に寄るお咎めはない。

つまり、客の立場で言えば、どれだけサービスを受けていようと問題はないということやな。堂々と貰えるものは貰っておけばええと思う。


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