新聞勧誘・拡張問題なんでもQ&A

NO.1255 嘘の契約について


投稿者 たなかさん  投稿日時 2013.10.20 PM 8:56


はじめまして。たなかと申します。バックナンバーにある程度は目を通したのですが、すべては難しくどの方も微妙に事例が違うので相談させてくださ い。

定期購読のセールスについて相談です。

以前7月頃に定期購読のセールスがありました。経済的な事情でその場では断ったのですが、三ヶ月後の11月に余裕ができたらとってほしいといわれました。

そこで11月に余裕がなければ断らせてくださいということで予約として三ヵ月後から三ヶ月間の定期購読の契約書に記入をしました。(その際" 契約"書と書かれた紙面に違和感を覚えつつも販売員の説明を信用することにしました。)

そして10月になり販売所から11月から配達すると連絡が入りました。経済面での余裕はまだあまりなく、配達が決定事項となっていることに驚き7月に訪れた販売員とは違う方とお話をすることになりました。

その方の言い分としては「契約書に記入をした以上は契約成立としている、裏面のクーリングオフの説明(7月の訪問の際裏面の説明はありませんでした)とあわせて翌日に本当に契約の意思があるかを電話したはず。またクーリングオフの期間も過ぎているので解約はできない」といわれました。

電話に覚えはないのでおそらく留守番電話を聞かずに消してしまったのだと思います。

私としては納得がいかず交渉をしたのですが結果は変わらず、未定ですが転居の可能性を告げたところ引越しをする場合のみ途中解約をするという結論にいたりました。

紙面をよく見ずに記入をし、留守番電話を聞かずに消したことで私に落ち度はあるのですが、騙されるような形で契約させられた気持ちがして納得がいっておりません。

嘘をついて契約をしたことは言った言わないになるので証明が難しいことは承知です。ただ電話に関して大事な話を留守番電話に入れて相手が聞いたかわからないのにそこで終わりにするのはいい加減すぎると思います。

7月の販売員にはペナルティを課すそうですが、そんなことは私にはどうでもいい事のはずです。

私の落ち度を考えれば契約解消は虫のいい話かもしれませんが、契約相手を会社の人間が騙したということに対する補填が、引越しする場合の途中解約だけというのは適切なのでしょうか?

迷惑料として一ヶ月のみに変更するなどの譲歩がほしいです。

泣き寝入りしかないでしょうか?


回答者 ゲン


『泣き寝入りしかないでしょうか?』というのは、あんたの考え方次第で違うてくる。

徹底抗戦される気持ちがあるのなら、その方法をアドバイスするさかい、それが良ければ採用されたらええし、面倒は好まないので、このままあきらめると言われるのなら、その道を選択されるのでも構わない。

また、争わないまでも『一ヶ月のみに変更』、あるいは他の有利な状態に持っていくよう交渉する方法もある。

いずれを選ばれるかは、あんた次第や。そのための方法をこれから教える。

まずは、徹底抗戦の方法から。

『三ヶ月後の11月に余裕ができたらとってほしい』というのは、一般常識で言えば、その時になってから契約するのが筋やわな。

それにもかかわらず『予約として三ヵ月後から三ヶ月間の定期購読の契約書に記入をしました。(その際" 契約"書と書かれた紙面に違和感を覚えつつも販売員の説明を信用することにしました。)』と、あんたを煙に巻いたような形で契約させたということになるさかい、これは消費者契約法で言うところの「錯誤の契約」、「不実の告知」と考えられる。

予約も立派な契約になる。「余裕ができたら」という条件付きの契約など新聞に限らず、世の中すべての契約事ではあり得んことや。そんな曖昧な契約書など、どこにもない。

契約者はたいていの場合、契約の素人というケースが多いさかい、プロである業者が「契約事」についての説明をする責任がある。

それを素人さんと一緒になって「これは余裕ができた場合の仮契約ですから、確定したものではありません」てなことを言うて、あんたを安心させて契約書にサインさせたのは騙す目的以外の何ものでもないと思う。

どんな形であれ、あんたの直筆で『契約書に記入』したということになれば、法律上は、その時点で契約が成立したことになるわけやさかいな。

あんたは『三ヶ月後の11月に余裕ができたら』という条件が優先されるものと考えたわけやから、勘違いでその契約書にサインした、させられたことになる。

契約者勘違い、またはそのように誘導された契約ということなると、消費者契約法の「錯誤の契約」、「不実の告知」に該当する。

それを理由に、「その契約は無効です」と、その販売店に主張することができる。「私は騙されて契約書にサインさせられた」と。

その新聞販売店が、それに納得して契約を解除すれば問題ないが、そうでない場合は揉めるというのは、ある程度、覚悟せなあかん。

先ほど、錯誤の契約とは言うたが、『その際" 契約"書と書かれた紙面に違和感を覚えつつ』ということで、その書面が契約書と認識していたのであれば法律の判断も微妙になる。

普通、怪しいと思えば、その新聞販売店に直接、確認するもんやさかいな。それを『販売員の説明を信用することにしました』というのは、如何にも迂闊やわな。

加えて、こういうケースでは『三ヶ月間の定期購読』に対するサービス品を貰っているのが普通で、それを受け取っていたということであれば、その契約を契約として認めたと解されやすい。

その契約が確定されていない場合は、当然、そのサービス品を受け取る権利も理由もないさかいな。

それについても適当なことを言われて受け取ったのやとは思うが、そのあたりの言い分が、どこまで認められるかが焦点になる。

ただ、その販売店側にも『翌日に本当に契約の意思があるかを電話したはず』と言っていても、それがあんたに伝わっていなかったという落ち度もある。

この『翌日に本当に契約の意思があるかを電話』するという行為は、あんたの気持ちを確かめるためと同時に、その勧誘員の取った契約を検査する目的があるわけや。業界では、これを「監査」と呼んでいる。

その連絡が、あんたに伝わっていなかったということになる。何事もそうやが、相手が伝わってない、知らないと言えば、それは伝わったことにはならない。

『電話に覚えはないのでおそらく留守番電話を聞かずに消してしまったのだと思います』と言われておられるが、もし、留守電にそんなものが本当に吹き込まれていたとしたら、それはそれで問題や。それで済ませてええわけがない。

監査というのは、契約者と連絡がつくまで電話をするというのが鉄則やさかいな。

あんたとしたら、その監査の電話を聞いてないわけやから、そんなものはなかったと主張できる。

最近、この手の聞いた、聞いてないというトラブルが多いということもあり、たいていの販売店では、その会話を録音しているケースもあるさかい、「契約の意思について電話したという証拠が何かあるんですか。私は何も聞いてませんよ」と突っぱねられたらええ。

それで、少しは有利になるかも知れん。

しかし、それでも、その新聞販売店が、頑として『契約書に記入をした以上は契約成立としている』と言い張り、聞く耳を持たんというのであれば、最寄りの消費者センターに通告するという手がある。

その後、新聞社の苦情係、新聞公正取引評議会に苦情を持ち込むのも効果的な場合がある。

その際、その勧誘員との経緯云々を細かく言うより、その新聞販売店からやって来た勧誘員に騙された。消費者契約法の「錯誤の契約」、および「不実の告知」違反があると、あくまでも法律違反をしているという点に絞って話をした方がええ。

特に新聞社あたりは、「契約のトラブルでしたら当該の販売店とお話してください」と逃げを打つ可能性があるさかいな。新聞社は、個人的な契約の揉め事にはタッチしない、またシステム的にできないという姿勢やから、どうしてもそういう返答になりやすい。

現在、消費者センターへの苦情の持ち込み問題 が大きくクローズアップされているということもあり、積極的に対応する相談員が多いとのことや。

「新聞公正取引評議会」も消費者センターと似たような対応をするとのことや。ちなみに、「新聞公正取引評議会」には各地域の支部へ直接連絡した方がええと言うとく。

ネットの場合は「○○支部新聞公正取引評議会」といった具合で検索するとすぐにヒットする。○○の部分には、そちらの地域名を入れたらええ。

新聞公正取引評議会の支部は、全国に設置されていて、違反処理などを主な業務にしている新聞勧誘についての監視機関というところやな。

消費者センターや新聞社、および新聞公正取引評議会は、あんたからの苦情があれば、その話を聞いて、当該の新聞販売店に指導、および連絡するはずやから、プレッシャーを感じるためか善処するケースが多い。

新聞販売店にしても、それらの機関に目をつけられるのは得策やないと考えるというのもあるやろうしな。

ただ、それでも頑なに「解約できん」と言い張る販売店も僅かながらあるさかい、その場合は強気で「それなら、新聞を入れても金は払いませんよ」と突っぱねる方法もある。

もともと、あんたとしては『余裕ができたら』ということやったわけやから、「今はその余裕がなく新聞代金が払えない状態や」と言えば筋は通るさかいな。

まあ、さすがにそこまでいけば、その販売店も折れるやろうと思うが、中には新聞代云々やなしに意地になる店主もいとるさかい、揉め事がその後も続くかも知れん。

そうなったらなったで、その状況に合わせたアドバイスはするが、そういう揉め事が嫌だという場合は、少しでも有利に事を運ぶという手がある。

新聞販売店は解約することには難色を示しても、契約の延期には比較的応じるという場合が多い。せやから、配達日を数ヶ月後にするなどして、現状の揉め事を回避するという方法もある。

また、配達の休止というのも応じる新聞販売店が多い。その理由も「今は金が払えないので迷惑をかけるから」でええのやないかな。

もっとも、延期や休止をした場合は、その契約の解除は言い出しにくいとは思うがな。

『一ヶ月のみに変更する』というのも、上記の機関への通告をした後やったら、その販売店も受け容れるかも知れん。

ちなみに『未定ですが転居の可能性を告げたところ引越しをする場合のみ途中解約をするという結論にいたりました』というのは交渉の結果でも何でもないと言うとく。

新聞販売店は宅配制度によって自店の営業範囲外へ購読者が引っ越す場合、法律的には、同じ新聞を継続する義務はないさかい、中途解約ができるは当然なわけや。

結論として、強気で徹底抗戦するか、延期や休止、または期間短縮の交渉に持っていくか、揉め事や交渉事が嫌なら、3ヶ月間あきらめて購読するかのいずれかを選択することになると思う。

その選択は、あんたが決めるしかない。その結論を出して、まだ揉めるようなら何度でも相談に来られたらええ。


白塚博士の有料メルマガ長編小説選集
月額 210円 登録当月無料 毎週土曜日発行 初回発行日 2012.12. 1

ゲンさんの新聞勧誘問題なんでもQ&A選集 電子書籍版パート 
2011.4.28 販売開始 販売価格350円
 

書籍販売コーナー 『新聞拡張員ゲンさんの新聞勧誘問題なんでも選集』好評販売中


ご感想・ご意見・質問・相談・知りたい事等はこちら から


Q&A 目次へ                                 ホーム